計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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アジレント・テクノロジー(あじれんとてくのろじー)

(Agilent Technologies) HP(Hewlett-Packard、ヒューレットパッカード)のIT器機以外の部門を継承した会社で、1999年にHPから分社して設立した。化学分析・ライフサイエンス事業と電子計測事業があったが、後者は2014年に分割されKeysight Technologies(キーサイト・テクノロジー)となった。 アジレント・テクノロジーは横河電機のアナリティカル製品を吸収し、現在は科学分析機器の大手メーカ(ブランド)である。 会社の概要は「ライフサイエンス、診断、応用化学市場のリーディングカンパニー」だが、計測関連の用語としては、国産の島津製作所、堀場製作所などと並ぶ、科学分析機器のトップメーカである。代表的な科学分析機器である液体クロマトグラフィー(略称はLC:Liquid Chromatography、液クロ)メーカの1社である。毎年秋に開催される科学分析機器の展示会 JASISなどに出展している。 アジレント・テクノロジーの会社名は英語のagility(アジリティ)に由来する。日本法人(Agilent Technologies Japan, Ltd.)の本社住所は、キーサイト・テクノロジーの本社・八王子事業所と同じ東京都八王子市高倉町9番1号である。 中国地方を地場とする計測商社の新川電機が「 Agilent 社 GC、GC/MS、LC、ICP-MS の基礎およびメンテナンスセミナー」を主催したり、計装のエンジニアリングから理化学機器販売まで行う大手商社の西川計測ホームページには「アジレント・テクノロジー 新製品 Bond Elut HLB 固相抽出カラムや、原子吸光・ICP-OES・MP-AES・ICP-MS」などの販売キャンペーン情報が公開されている。真空機器のメーカ&商社である株式会社パスカルはアジレント・テクノロジーの真空機器の大手販売店の1社である。 HPは計測器で創業した会社だが、後にコンピュータに参入し、計測器は別会社になった(HPという名門の会社名は計測器ではなくIT機器が襲名した)。計測器の新しい会社名(ブランド)であるアジレント・テクノロジーも14年後に科学分析機器に譲り、計測器はキーサイト・テクノロジーというまた新しい会社となった。2023年現在、この会社名で継続しているが、やっと10年である。横河電機も計測器が創業当時の機種群だが、現在は計測器は別会社になっていて(横河計測)、同社の本業はDCSなどの工業計器である。 日本の高度成長時代(1955年頃~1973年頃)には電気計測器は時代の最先端で大手電機企業の系列会社に多くの計測器メーカがあったが、2000年以降は大手企業の主力事業ではなくなっている。海外ではM&Aが盛んで統合吸収された計測器メーカが多い(たとえばActerna、フォーティブなど)、HPの計測器・分析機器はアジレント・テクノロジー、キーサイト・テクノロジーとして生き残っている。オシロスコープの世界的トップブランドであるテクトロニクスも、日本法人はソニー・テクトロニクスから始まり、会社名はテクトロニクス社/ケースレーインスツルメンツ社などと変遷し、現在は「株式会社テクトロニクス&フルーク テクトロニクス社」となったが、Tektronixという名称が会社名で続いている。

アスマン式通風乾湿計(あすまんしきつうふうかんしつけい)

(assmann ventilation psychrometer) 乾球と湿球の温度から公式(計算)によって相対湿度を読み取る方式の湿度計。2本の同種・同型・同体の温度計を並べ、一方の乾湿部を水で湿らせたガーゼ等で包み、この湿球が水の蒸発による気化熱によって温度が低下することを利用して湿度を知る。「式」がない、「アスマン通風乾湿計」という呼称も多い。 温度計だけを使って湿度がわかるため、この原理を使った簡易的な温湿度計が、1980年代頃までは一般家庭に普及していた(ガーゼを湿らす水を入れたタンクは小型で、まめに補充しないと乾燥してしまい、いざというときに即座に湿度がわからないことが良くあった)。 アスマン式通風乾湿計のメーカとしては、棒状温度計(ガラス管に封入された水銀(※)などの液体が温度変化により膨張して温度を示す)など、多くの温度計をラインアップする国産の佐藤計量器製作所が有名。温度・湿度・圧力の計測器の輸入商社&メーカである株式会社第一科学も、取り扱っている。柴田科学株式会社は、ガラス器具、環境測定機器、科学機器メーカで、粉じん計やアスマン通風乾湿計をラインアップしている。自然計測のシステムインテグレータを自称し、温度、風向・風速などを計測するクリマテック株式会社もつくっている。 (※) 水銀レス(または水銀フリー)といって、2020年以降は水銀の使用は制限されている(以下の参考記事に例がある)。

アセンブラ(あせんぶら)

(assembler)マイクロコンピュータ(マイコン、CPU)を動かすソフトウェアに関連する用語。C言語などで書かれたプログラム(ソースファイル)から生成されたアセンブリ言語を、アセンブラは機械語に変換する。機械語はマイクロコンピュータが読めて実行できるもの。ソースファイルから最終的なデータファイル(機械語)を作る作業をコンパイルと呼ぶ。アセンブラはコンパイルの重要な機能である。 assemble(アセンブル)は「組み立てる」の意味。 参考用語:コンパイラ、インタープリタ 参考記事:車載マイクロコンピュータの基礎~車載システムを支える頭脳・・マイクロコンピュータの構造と動作原理を説明。

アセンブリ言語(あせんぶりげんご)

(assembly language)マイクロコンピュータ(マイコン)を動かすソフトウェアに関連する用語。マイクロコンピュータが理解し、実行できる機械語(マシン語)と正確に対応する命令語(ニーモニック)で記述された言語(プログラム)。プロセッサ(MPU)にはそれぞれ特徴があり、MPUに依存した命令語がある。人間が機械語を理解しやすいように翻訳したものがアセンブリ言語。マイコンのソフトウェアを開発するプログラマは高級言語(C言語など)で、機器の設計仕様書からプログラムを作成する。このソースファイルをアセンブリ言語に変換して(コンパイル)、さらにアセンブラが機械語にして、マイコンが実行可能なデータファイルが完成する。 参考用語:コンパイラ、インタープリタ 参考記事:車載マイクロコンピュータの基礎~車載システムを支える頭脳・・マイクロコンピュータの構造と動作原理を説明。

ATAPI(あたぴ)

AT Attachment Packet Interface の略。IDEコントローラにCD-ROMドライブなどハードディスク以外の機器を接続するために考案されたデータ転送方式の規格。ATAとATAPIは当初は別の規格であったが、ATA-4で「ATA/ATAPI-4」として統一された。

ACK(あっく)

(psositive ACKnowledgement) データ通信の制御手法で、「肯定応答」のこと。受信側が正しく受信したことを送信側に知らせるために送る受信確認情報。データ通信では、データが届いたかどうかを送信側・受信側で確認をし合う。ACKはデータパケットがうまく受信されたことを示し、他方、NACK(Negative ACKnowledgement、否定応答)はデータパケットがうまく受信できなかったことを示す。acknowledgementは「受領確認」の意味。「ACKが送られてこなければ失敗」、「NACKが送られてこなければ成功」のようにACKかNACKのどちらか1つで運用されることも多い。

厚さ計(あつさけい)

(thickness meter) 色々な物の厚さを測定する計測器を「厚さ計」と呼んでいる。塗装などの厚さを測定する可搬型モデルは、屋外での塗装時と保守用途で使われる(膜厚計と呼称されることが多い)。金属などの厚さを測る装置は各メーカの生産ラインに設置されて検査機器として稼働している(サイズは冷蔵庫くらいの大きさがある)。そのように測定対象と用途によって厚さ計の寸法と価格は大変幅が広く、使い方も様々だが、それらが皆「厚さ計」を品名にしているため、説明は広範にわたる。測定方式は超音波の他、電磁式、渦電流式、蛍光X線式などがある。可搬型モデルは通販でも購入でき、多くのメーカがある。 超音波式厚さ計は非破壊検査機器の範疇で、非破壊検査の計測・検査機器メーカの多くが厚さ計をラインアップしている(たとえばオリンパス)。Fischer(フィッシャー、本社:ドイツ)は皮膜測定と材料の特殊試験の専門メーカだが、塗装やメッキ皮膜の厚さ測定器の老舗である。厚さは長さという物理量なので、温度計のように物理量測定器ともいえるが、先述のように実際は非破壊検査メーカが多く作っているので、カテゴリーは科学分析機器といえる。

圧着端子(あっちゃくたんし)

電線と電気機器を接続するための部品。従来ははんだ付けしていたが、1925年頃に圧着端子が開発され、手軽に機器との脱着ができるため普及した。線材の終端処理をしている部品で、オス・メスがあるコネクタほど簡便な脱着はできず、ネジによって機器の端子部分に固定する。種類はY型、丸形、棒型がある。小型(ハンドヘルド)のデータロガーは、狭いスペースに多くの線材を接続するので、入力部(端子台)は、ネジ端子や押し締め端子が多い。ネジ端子は圧着端子(Y型や丸型)の付いた線材をつないで固定することができる。

アッテネータ(あってねーた)

(attenuator) 歪みを発生させることなく、電圧信号を減衰させる機器。和訳は「減衰器」だが、もはや「アッテネータ」は日本語として頻繁に使われている。スペクトラムアナライザ(スペアナ)の用語としては、スペアナがひずみの生じにくい最適な入力レベルで信号観測するために、スペアナ内部の入力ミキサ回路前にある減衰器のことをいう。 略記はATT。

アッテネータパッド(あってねーたぱっど)

(attenuator pad) インピーダンス不整合を改善する目的で使用される減衰量が固定の高周波アッテネータを「アッテネータパッド」と呼ぶ。6dB, 10dB等のアッテネータが使用されることが多い。ネットワークアナライザによる測定の基礎知識で、「負荷のVSWRが悪化しているときは、整合改善用の減衰器(attenuation pad、またはPad)を直列に挿入してVSWRを小さくする」という解説があった。Padは「肩パッド」のように「形を整える」の意味と思われるが、明確に説明している資料は無いので推測である。 参考用語:パッド

アッテネータプローブ(あってねーたぷろーぶ)

(attenuator probe) 一般的にオシロスコープに標準添付している電圧測定用のプローブ(電圧プローブ)は、パッシブプローブの分圧プローブである。プローブをオシロスコープに勘合すると、プローブとオシロスコープ入力部が減衰器となり、測定対象の信号を1/10に分圧するので10:1プローブの呼称がある(減衰比は1:1~1000:1まで様々なモデルがあり、減衰比が大きいのが高電圧プローブ)。減衰器はアッテネータなので、分圧プローブをアッテネータプローブとも呼ぶ。 TechEyesOnlineの記事「オシロスコープのプローブの種類」に、回路図などの原理が解説されている。

圧力キャリブレータ(あつりょくきゃりぶれーた)

(pressure calibrator) 圧力計のメンテナンスや工場検査工程での計測・校正作業を行う測定器。海外製の計測器が多い。代表はベーカーヒューズ。Druck(ドラック)の圧力計、圧力校正器がGE(ゼネラルエレクトリック)グループに吸収され、「GEセンシング&インスペクション・テクノロジーズ 」の会社名で販売されてきたが、さらにGEからBaker Hughes(ベーカーヒューズ)が大株主となった。会社名はベーカーヒューズだが、ブランドとしてはDruckが有名で、現在もブランドは健在。フルークもラインアップが多い。温度・露点計測器が有名なMichell(ミッシェル)も圧力計をつくっている。国産では横河計測の圧力キャリブレータが、「コンパクトキャル」などの品名で販売されている。 大型プラントの代表である原子力発電所は、定期点検の期間を13か月ごと、と法律で規定しているため、定期点検で数多くの圧力キャリブレータが必要になる。日本の原発で採用されているのはドラックと横河の2社が多い。フルークやミッシェルも使われている。

圧力計(あつりょくけい)

(pressure gauge、manometer) pressure(圧力)のgauge(計器、メータ)なので、日本語では圧力計という。気体や液体の圧力を測定する機器。計測器としての圧力計以外に、工場・発電プラントなどの配管各所などの圧力を計測して表示する、設置型の圧力計もある。設置型の圧力計(圧力計器)は丸形のアナログ表示(白い文字盤の上を針が動いて、止まった場所の値、つまり指示値を読む、指示計器)の物が多い。圧力(差圧、絶対圧など)の測定器をマノメータ(manometer)と呼称している。設置型の圧力計器でなく、計測器としての圧力計はマノメータと呼ばれることが多い。「圧力計」というときは、設置型か計測器かを確認する必要がある。 圧力計、マノメータ、pressure gaugeの使い分け(違い)を正確に説明することは難しい。これらの用語は場面や人によってさまざまに使われている。 参考用語:マノメータ

圧力校正器(あつりょくこうせいき)

(pressure calibrator) 圧力計のメンテナンスや工場検査工程での計測・校正作業を行う測定器。単に圧力を測定する機能(マノメータ)ではなく、圧力発生器を備えている圧力計測器。Druck(ドラック、現ベーカーヒューズ)や横河計測がつくっている。横河計測はハンドヘルドの現場測定器で、高圧はカバーしていない。フルークなどの海外製品が高圧まで対応しているが、ハンディではなくベンチトップになる。Mensor(メンサー)やAdditel(アディテル)は圧力コントローラが高精度なため、圧力校正器にもなっている(以下の参考記事が詳しい)。

圧力センサ(あつりょくせんさ)

2つ意味がある。 1. 計測器である圧力計の構成要素には圧力センサがある。計測器本体とは別にレンジ別に圧力センサがあり、センサを選択して本体と組み合わせて使用する機種も多い。計測器としての圧力計をつくっている長野計器などは圧力センサのメーカである。 2. 単体(部品)としての圧力センサ。圧力を検出するセンサ。各種の方式や種類があり、通販でも売っている。メーカはオムロン、キーエンスなどの大手センサメーカから中小までたくさんある。

圧力調整器(あつりょくちょうせいき)

圧力供給源(コンプレッサー等)と組み合わせて、発生する圧力を調整する機器。

圧力伝送器(あつりょくでんそうき)

圧力を測定し、電流信号に変換して伝送する機器。計装(工業計器)の1種。横河電機などのPA、FAメーカがつくっている。

圧力発生器(あつりょくはっせいき)

圧力を発生する機器。圧力発生ハンドポンプなどがある。

圧力発生ハンドポンプ(あつりょくはっせいはんどぽんぷ)

手動で圧力を発生するポンプ。(=ハンドポンプ)

アデックスエール(あでっくすえーる)

LCRメータやCメータ、抵抗計などの計測器をラインアップする京都の国産メーカ。1980年代に発売されたアデックス製品を2010年代に継承したと思われる。 アデックス株式会社(本社:京都市伏見区、略記:ADEX)は1980年代に回路素子測定器を発売した。インピーダンス測定器の世界的なデファクト、ヒューレット・パッカード(hp、当時の日本ではYHP。現キーサイト・テクノロジー)などの海外メーカから遅れて、1970年代に国産計測器メーカはLCRメータをつくり始めた。カーブトレーサなどの電子部品測定器の國洋電機工業、FRA(周波数特性分析器)で電子部品評価の要素技術があるエヌエフ回路設計ブロック(エヌエフ)、tanδ(タンデルタ、誘電体損測定器)などで材料・回路素子の評価をしてきた安藤電気などである。 アデックスはこれら計測器メーカよりも安価なLCRメータをつくり、1980年代の月刊トランジスタ技術に頻繁に広告を掲載していた。高周波の製品は無く、2005年頃のラインアップはLCRメータ(1kHz)、Cメータ(静電容量計、キャパシタンスチェッカ)、抵抗計、ミリオームメータ、ハンディDMMなど。現在は「アデックスエール」社がベンチトップの製品群(LCRメータやCメータ、抵抗計など)、約45機種をHPに掲載している(2022年4月現在)。アデックスエール(株)は「1986年4月にエールシステム設立、2013年11月に事業統合によりアデックスエール(株)に社名変更」だが(同社HP、2026年現在)、1980年代~2000年代のアデックスとの関係は不明。アデックス社が現存していないので、三栄測器や日立電子、松下通信工業のように、消えてしまった会社の計測器の実態が全く記録が残らないのと同じく、アデックスの実態(なぜ、いつ、LCRメータを開発したかという経緯や背景)は謎である。 アデックスの計測器はアデックスエールで現在も現役だが、國洋電機工業や安藤電気は会社自体がもうない。エヌエフは、英国のLCRメータ老舗 Wayne Kerr Electronics(ウエインカー)社と提携してLCRメータを継続しているが、自社製品ではFRA関連製品を充実している(最大15MHzで測定ができるZGA5920インピーダンス/ゲイン・フェーズ アナライザなど)。日置電機 は多くの電子部品メーカの生産ライン用LCRメータに採用され、2000年にはZハイテスタなどを発売し、MHz帯域モデルも揃えで国産LCRメータのトップメーカになった。LCRメータ/インピーダンスアナライザは、国内では日置とキーサイトが2強である。そんな中、アデックスエールは周波数1kHz固定のLCRメータ2機種を販売している。 ローデ・シュワルツは2010年に汎用オシロスコープ(500M~2GHz)に参入するなど、無線通信以外の機種群にラインアップを広げていて、2022年3月にはLCXシリーズ LCRメータ 「クラス最高確度で、最高10MHzをカバー」を発売し、高周波LCRメータに品揃えを広げた。同社のコンペチタはキーサイト・テクノロジーや日置電機で、アデックスエールでないことはいうまでもない。