計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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圧力調整器(あつりょくちょうせいき)

圧力供給源(コンプレッサー等)と組み合わせて、発生する圧力を調整する機器。

圧力伝送器(あつりょくでんそうき)

圧力を測定し、電流信号に変換して伝送する機器。計装(工業計器)の1種。横河電機などのPA、FAメーカがつくっている。

圧力発生器(あつりょくはっせいき)

圧力を発生する機器。圧力発生ハンドポンプなどがある。

圧力発生ハンドポンプ(あつりょくはっせいはんどぽんぷ)

手動で圧力を発生するポンプ。(=ハンドポンプ)

アデックス(あでっくす)

1980~2010年頃にあった回路素子測定器メーカ。正式名称はアデックス株式会社、本社は京都市伏見区。略記:ADEX。インピーダンス測定器の世界的なデファクト、ヒューレット・パッカード(当時は日本ではYHP。現キーサイト・テクノロジー)などの海外メーカから遅れて、1970年代に国産計測器メーカはLCRメータをつくり始めた。カーブトレーサなどの電子部品測定器の國洋電機工業、FRA(周波数特性分析器)で電子部品評価の要素技術があるエヌエフ回路設計ブロック(エヌエフ)、tanδ(タンデルタ、誘電体損測定器)などで材料・回路素子の評価をしてきた安藤電気などである。 アデックスはこれら計測器メーカよりも安価なLCRメータをつくり、1980年代の月刊トランジスタ技術に頻繁に広告掲載していた。高周波の製品は無く、2005年頃のラインアップはLCRメータ(1kHz)、Cメータ(静電容量計、キャパシタンスチェッカ)、抵抗計、ミリオームメータ、ハンディDMMなど。現在は「アデックスエール」社がベンチトップの製品群(LCRメータやCメータ、抵抗計など)約45機種をHPに掲載している(2022年4月現在)。 アデックスの計測器はアデックスエールで現在も現役だが、國洋電機工業や安藤電気は会社自体がもうない。エヌエフは、英国のLCRメータ老舗Wayne Kerr Electronics(ウエインカー)社と提携してLCRメータを継続しているが、自社製品ではFRA関連製品を充実している(最大15MHzで測定ができるZGA5920インピーダンス/ゲイン・フェーズ アナライザなど)。日置電機は生産ライン用LCRメータで多くの電子部品メーカに採用され、2000年にはZハイテスタなどをラインアップし、MHz帯域モデルも揃えで国産LCRメータのトップブランドになった。LCRメータ/インピーダンスアナライザは、日置とキーサイトが現在の2強。そんな中、アデックスエールは周波数1kHz固定のLCRメータ2機種を販売している。ローデ&シュワルツは2010年に汎用オシロスコープ(500M~2GHz)に参入するなど、無線通信以外の機種群にラインアップを広げていて、2022年3月にはLCXシリーズLCRメータ「クラス最高確度で、最高10MHzをカバー」を発売し、高周波LCRメータをラインアップした。同社のコンペチタはキーサイト・テクノロジーや日置電機で、アデックスエールでないことはいうまでもない。

後工程(あとこうてい)

半導体の製造工程には前工程と後工程がある。回路をつくるためのフォトマスクを、積層される層ごとに製造した後は、半導体ウェーハをつくるまでを前工程、ウエーハを切ってチップをつくるのを後工程という。後工程にはダイシング、ワイヤボンティング、モールディングがある。 ダイシングはウエーハを切断し、チップごとに切り分けることで、半導体製造装置メーカでは国産のディスコがトップメーカである。次は、チップを固定する土台と、半導体パッケージの端子を備えた部品(リードフレーム)にチップを固定し、チップとパッケージ端子側を細い金属のワイヤで接続するワイヤボンティング。最後のモールディングは、埃や衝撃からチップを保護するために、エポキシ樹脂で包み込む作業。 前工程は印刷によるウエーハ作成、後工程は切り分けによるチップ作成で、2工程とも最後に半導体テスタによる試験・検査が行われる。後工程ではパッケージされたデバイスをハンドラ(搬送機)によって効率よく検査する。

advice(あどばいす)

横河デジタルコンピュータ(現DTSインサイト)のICE(開発支援装置、エミュレータ)の名称。1980年代に多くの計測器メーカはICEをつくっていた。ただし非計測器メーカ(株式会社ソフィアシステムズなど)がシェアを伸ばし計測器メーカは苦戦していた。横河電機は1990年に発足した横河デジタルコンピュータ株式会社にICE製品を移管し、advice(advance ICE、前進するICE、高度なICE、という意味を込めたと推定)と称して、横河電機時代とは違う製品群を発表した。以降、ソフィアシステムズと横河デジタルコンピュータ(略称YDC、わいでぃしー)はトップ2社としてシェアを競った。フルICEからJTAGまで多種を販売し、現在もadviceという製品群は現役。2000年代以降のICE市場の縮小(フルエミュレータからオンチップエミュレータへの移行)によりadviceは会社の主力製品ではなくなった。ICEメーカの雄、ソフィアシステムズは1980年にICEに参入したベンチャー企業だが、2013年には株式会社Sohwa&Sophia Technologiesに社名変更し、現在はICEは生産終了している(Universal Probe Blueを 2021年9月30日で販売終了)。現在のICE製品は非計測器メーカ(コンピューテックス、京都マイクロコンピュータなど)と半導体デバイスメーカ(ルネサスエレクトロニクス、TEXAS INSTRUMENTSなど)と海外メーカ(LAUTERBACHなど)が担っている。adviceは唯一残った国産計測器メーカ系ICEである。1990年の横河デジタルコンピュータ設立はデジタルコンピュータ(株)、横河ユーシステム(株)の合弁によるが、現在、デジタルコンピュータは株式会社ワイ・ディー・シーという社名で継続し、現存している。なので、adviceのYDCはこの現存する会社YDCとは別である。横河電機の代理店で、分析機器など多くの機種群を取り扱う東京電機産業株式会社は、横河デジタルコンピュータ(YDC)設立後にadvice専門の販売会社、ワイデー システム(略称:YDS)を作り、大手電機メーカなどに売上を伸ばした。いまは会社は現存しないが、YDSとは、YDCの関連会社を思わせる絶妙なネーミングである。北陸の富山に本社がある「ワイディシステム株式会社(YD System Corporation、旧横河電陽社)」は横河電機の北陸地区の代理店である。このように横河電機の関連会社ではYD(ワイディー)は大変好まれて使われている(理由は不明)。

アドミッタンス(あどみったんす)

(admittance) 【電子工学で使われる電気に関する量】 電流の流れやすさを表し、インピーダンスの逆数として示される基本量。単位は[S](ジーメンス)。アドミッタンス(y)は下式のように複素数の形で表される。 ここで、g: コンダクタンス, b: サセプタンス と呼ばれる。 「アドミタンス」という表記もある。

アドレス(あどれす)

(address) コンピュータやネットワーク、半導体関連の用語。組込みシステムの開発・デバッグに使われるICEやROMライタなどの計測器では基本用語である。コンピュータやネットワークでもIPアドレスのような用語がある。 株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集では、ICEの用語として以下の説明がある。アドレス:メモリやIOポートの格納場所を示した住所のようなもの。CPUはメモリやIOポートのアドレス(住所)を指定することで、指定したデータにアクセスできる。

アナライジングレコーダ(あならいじんぐれこーだ)

(analyzing recorder) 横河電機(現横河計測)が1980年代~1990年代につくっていたレコーダ(多チャンネルの波形測定器)。AR1100Aなど、形名の頭がARだった。シリーズ最後のモデルAR4000シリーズは2004年7月に販売終了し、後継モデルはスコープコーダDL950である(2022年7月、同社HPより)。 同社の製品説明には「AR4400/AR4800は波形測定に必要な測定、処理、表示、記録機能を1台に集約し、プラグイン入力ユニット、カラー表示、光磁気ディス クドライブなど最新技術を導入した多機能波形測定器」とある。同時期のオシログラフィックレコーダOR(またはORM)シリーズとともに、当時の横河電機のメモリレコーダの機種群である。 アナライジングレコーダ(現在のスコープコーダ)の源流は1976年発売のモデル3650(品名はサウンド・バイブレーション・モニタだったらしい)。後に3650(1980年発売、品名はウェーブメモライザ)、3655(1983年、このモデルからアナライジングレコーダ)、AR1100(1990年)と続き、DL708(1997年、デジタルレコーダ)、DL750(2002年、スコープコーダ)になる。 横河電機は記録計(いわゆるレコーダ)の老舗である。現在でもデータ収集(DAQ)は主要な製品群の1つで、計装分野のデータロガーやペーパーレスのレコーダなどを継続的にラインアップしている。横河電機の計測器事業部門が分社化した横河計測はレコーダではなくオシロスコープに注力し、看板商品のDLシリーズは、1980年~2000年代には国内のデジタルオシロスコープ(汎用オシロスコープ)でテクトロニクスとシェアを2分するトップブランドだった。 ただし、レコーダのようなオシロスコープとしてアナライジングレコーダをつくった。オシロスコープとレコーダの中間の仕様で、「両者のいいとこどりをしたオンリーワン製品」とメーカはPRしている。発売当時のコンセプトが「(レコーダのような)オシロ」のため、当サイトのカテゴリー(機種分類)はオシロスコープの中にレコーダオシロという分類をつくっている。ただし、現在のスコープコーダ(アナライジングレコーダの後継)は、横河計測ホームページでは「オシロスコープ/波形測定器」と「データロガー/データ集録(DAQ)」の両方のページに掲載している。つまりオシロと記録計の両方である)という主張になっている(2023年10月現在)。

アナログ・フィルタ(あなろぐ・ふぃるた)

DMMに内蔵されている、高い周波数成分をカットするローパス・フィルタ。図はアナログ・フィルタの回路と周波数特性(キーサイト・テクノロジー8505A/8506Aの例)。

アナログ圧力計(あなろぐあつりょくけい)

工場、プラントなどに設置されているメータ(指示計)で、針が圧力の値を示している。ほとんどが丸い形をしている。長野計器がメーカとして有名。

アナログオシロスコープ(あなろぐおしろすこーぷ)

(analog oscilloscope) オスロスコープ(オシロ)は、電気信号の波形を映し出し、周波数や電圧を観測する測定器。アナログオシロはブラウン管に当てる電子線を水平方向と垂直方向に制御することで波形として表示する。測定データを保存できないため、ポラロイドカメラを表示画面を覆うように取り付けて撮影して保存する(カメラやカメラフードが、波形撮影用として、オシロのオプションで販売されていた)。略称:アナログオシロ。元々オシロはアナログだったが、その後開発されたデジタルオシロスコープと区別してアナログオシロというようになった。現在ではオシロの主流はデジタルオシロで、アナログオシロはほとんど見かけない。オシロは1931年に米国で強制同期式オシロが開発され、日本でも第二次世界大戦前に東京電気(現東芝)や松下無線(現パナソニック)などが製造・販売した(まず、オシロはアナログ式で登場した)。アナログオシロのNo1メーカは海外ではテクトロニクス、国産では岩崎通信機だった。 アナログオシロは2000年初頭まで販売されたが、デジタルオシロの低価格化と画面更新レートの高速化などで優位性が失われた。現在は生産中止で、市場でもほとんど使用されていない。安価であるという利点から、家電製品の生産ラインで導入される例があったが、新興国製の激安デジタルオシロによってそのような例は駆逐されてしまった。 テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)には以下の説明がある。アナログ・オシロスコープ:波形を表示する機器で、入力信号は調節、増幅された後に電子ビームの垂直軸へ印加され、その垂直軸がCRT上を左から右へと移動して波形を表示する。化学的蛍光体がCRT上(陰極線管の表示画面の部分)にコーティングされていて、そこにビームが当たると、明るく輝く波形が表示される。

アナログ出力(あなろぐしゅつりょく)

(analog output) 計測器はデジタル式が流行りで、測定値をサンプリングしてデジタルデータに変換し、半導体メモリに記録したり、デジタル出力(イーサネット、RS-485など)できる。半導体メモリが高額で、デジタル伝送が今ほど普及していなかった頃の計測器は、(測定値の表示はデジタル式でも)測定値の出力はアナログが多かった。温度計や振動計などの測定器のアナログ出力は記録計(レコーダやデータロガー、データレコーダなど)に入力され、紙に印字されたり、テープなどの記録媒体に保存された。振動、騒音、ひずみ(応力)などの測定データは今でもアナログの記録媒体で保存されている例が多い。デジタルが主流になった計測器だが、アナログ出力しかないモデルもまだ多い。アナログ出力の方式は4-20mAや0-10mVなどがある。 参考用語:フルスケール 参考記事(会員専用):【展示会レポート】スマートエネルギーWeek春展(FC EXPO/二次電池展/スマートグリッドEXPO)の3ページ目・・従来はアナログ出力しかなかったのに出力方式を増やした例。

アナログ信号(あなろぐしんごう)

連続的に値が変化する信号。自然界の現象(音、振動、電圧など)は値が連続的に変化している(アナログである)。計測器は各種のセンサによってこれらの物理現象をアナログ信号で捉える。測定値の記録も以前はアナログであった(記録計の紙や、データレコーダのテープなどへのアナログ信号としての記録)。ただしアナログは解析には扱いにくい事や、技術の進歩でAD変換器やデジタルメモリが安価になった事により、現在はデジタル信号に変換されて、後工程で扱われる事が多い。テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)では「アナログ信号:電圧が常に変化する信号」と説明されている。

アナログ/デジタル変換器(あなろぐでじたるへんかんき)

アナログをデジタルに変換する部品や装置。表記は多種類。ADコンバータ、A/Dコンバータ、ADCなど。

アナログ・デバイセズ(あなろぐでばいせず)

(Analog Devices) 米国の半導体デバイスメーカ(多国籍企業)。ADC(A/D変換器)、DAC(D/Aコンバータ)、MEMS、DSPなどをラインアップしている。計測器メーカではないが、計測に関するアプリケーション資料を多く作成している。同社ホームページには「アナログ・デバイセズは、世界をリードするアナログ、ミックスド・シグナル、DSPなどの集積回路を開発製造している」旨が記載されている。会社名が示す通りアナログ半導体の世界的トップベンダ。「ミックスド・シグナル」はオシロスコープのMSOを連想させる。NASDAC(ナスダック、米国の新興企業向け株式市場)ではAnalog Devices Inc.を略したADIで呼称されている。大手メディアもアナログ・デバイセズをADIと略記している場合がある。 計測器のデジタル化が進み、FPGAなどが計測器に導入され、半導体チップが計測器の心臓部を担うようになった。アナログ半導体が得意な同社は、自社製品(デバイス)を使って電子回路を設計すると、数々の計測ソリューションが実現できるので、計測に関する技術資料を公開している。「往年の計測器メーカがつくっていたアプリケーション事例が最近は減って、デバイスメーカが提案する例が目立つ」という年配技術者の声も聞かれるほどである。ハードウェア製品として(計測器ではないが)発振器ボードなどをつくっている。発振器ボードは計測器のデモ(デモンストレーション、宣伝のための実演)などに使われる。 2000年代に安価な基本測定器(中華系メーカのオシロスコープやデジタルマルチメータなど)が秋葉原の計測器ショップに並び、国産オシロスコープメーカは次第に姿を消した。電子回路の知識があれば、計測器の心臓部を市販の半導体を購入して作り込んで、デジタルオシロスコープがつくれる時代になった。老舗の計測器メーカが蓄積してきた知見がデジタルの時代には優位にならなくなりつつある。エントリーからミドルクラスのオシロスコープの価格は2000年代に数十万円から数万円に1桁安くなったので、ユーザにとっては嬉しいことである。 アナログの電子部品(半導体)であるOPアンプをつくっているメーカはアナログ・デバイセズ以外ではTexas Instruments(テキサス・インスツルメンツ、略記:TI)など海外メーカが有名だが、東芝デバイス&ストレージや日清紡マイクロデバイスなどの国産もある。2017年3月にLiner Technology(リニアテクノロジー)、2021年8月にMaxim Integrated(マキシム・インテグレーテッド)を買収して製品群を拡大している。Maxim Japan(マキシム・ジャパン)のツイッターには「Maxim IntegratedとAnalog Devicesは1つの会社になった(2021/12/14)」と書かれている。

アナログ電圧計(あなろぐでんあつけい)

電圧を電気信号に変換し、さらに測定値をアナログ表示する機器。交流電圧計と直流電圧計に大別される。

アナログ電流計(あなろぐでんりゅうけい)

電流を電気信号に変換し、さらに測定値をアナログ表示する機器。交流電流計と直流電流計に大別される。

アナログメータ(あなろぐめーた)

(analog meter) 指針や帯の長さなどが目盛りを指し示して数値を表示する(指示値)計器。計器の構造がアナログということではなく、表示方法がアナログ式のメータ(計器)。電圧や電流、電力などのメータ(電圧計、電流計、電力計など)は従来アナログ式である。計測器の主流はデジタル式になったが、精密計測器(0.5級、1.0級など)は現在もアナログ式(つまりアナログメータ)である。デジタル式(デジタルメータ)は「パネルメータ」と呼ばれることが多い。 アナログメータは数字表示のデジタルメータに比べて、表示量の割合や変化の度合いを直感的に把握しやすいことが特長。たとえば現場測定器の代表であるメガー(絶縁抵抗計)は(計測器の主流がデジタル表示になった現在でも)アナログ式の方が多い。なぜなら、針が振れる(動く)範囲(針の挙動)を瞬時に把握して、絶縁状態を確認できるためである。絶縁状態の確認は数値を測定して判定するよりも、アナログメータの針の挙動で判断する方が効率的で早く済む。ただし、最近は音によって絶縁状態を示したり、LEDのバー表示でアナログ的な確認ができるモデル(デジタル式のモデル)も増えて、徐々にデジタル式の割合が増えている。 アナログメータやパネルメータを総称して指示計器と呼ぶが、主にアナログメータを指していることが多い。