計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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モーションコントローラ(もーしょんこんとろーら)

モータを使った位置制御など、動きを制御するユニットのこと

モータ(もーた)

(motor) 一般的には電気モータのことを指すが、電気や燃料をエネルギ源として、回転運動や往復運動に変換する機構の総称(広義には原動機の一種)。電動機はmotorを翻訳した日本語だが、すでにモータは日本語になっている(moterを電動機と翻訳したが、現在は電動機ではなくモータということが多い)。モータは用途によって大型から小型までサイズも様々、電気モータだけでも各種の方式がある。電動車(EV)の普及によってインバータとともにモータは脚光を浴びている(材料や方式などの様々な研究開発が進められている)。 モータの総合メーカでは日本電産が有名。1973年に京都で4人で創業したベンチャー企業。小型交流モータから始め、1975年にはブラシレス直流モータ(※)を量産開始、M&Aによっていまや世界的な企業グループ(NIDEC、ニデック)になった。創業者の永守重信氏は日本を代表する経済人・経営者であるが、後継者の育成に苦心している。NIDECグループは仕事が厳しくマネージャー職の離職率は低くないといわれている。 他には工業用(産業用途)のモータでは、安川電機(1917年、三相誘導モータを製品化)や山洋電気(1932年、小型回転機を生産)が大手。現在の自動車はパワーウィンドウなど電動化(自動化)が進み、1台の中に何10個も小型モータが使われている。小型モータではマブチモータ(1946年、馬渕健一氏が香川県高松市で創業)やオリエンタルモータ(1909年、単相整流子モータを試作)などの会社があがる。 (※)現在のEV車に多く採用される方式。 ことばの由来は、「moto」(ラテン語で「動きをあたえる」)の語尾に「r」が付き「動きを与える物」。自動車「motor car」はmotorを省略して「car」と呼ばれているが、「自動車レース」は「motor race」の翻訳で、ここでいうmotorは原動機のことを指している(排気量50cc以下のオートバイを原動機付自転車と呼ぶ、あの原動機である)。 記事「モータ ~ いまや産業のコメ」の内容は以下である。 ・モータの歴史、モータの基本原理。モータの基礎となったアンペール、ビオ/サバール、アラゴ、ファラデー、レンツ、フレミングなどの発見・発明を概説。車載用のモータ事例を紹介。 ・モータの分類、特徴、モータに関連した技術や制度。前段で説明した発見・発明が現在の各種モータ(永久磁石界磁型モータ、ブラシレス直流モータ、誘導モータなど)に使われていることを図解。モータに関連した要素技術も記述。 ・モータの技術に関連した計測器の紹介。電力計測(パワーアナライザなど)、トルク計測などの基本的な電気計測器から、磁石や磁気の検査装置まで使われる。

モーダル解析(もーだるかいせき)

(Modal Analysis)あらゆる構造物(機械、建物、自動車、自転車、家電製品など)は、それぞれ固有振動数をもっている。そこで、固有振動数及びそれ以外の周波数の振動においても、構造物がどのように振動するかを知っておく必要がある。モーダル解析は、各種構造物に各周波数の振動を与えた場合の状態をシミュレーションするソフトウェア。現在FFTアナライザと加振器、振動ピックアップを組み合わせることにより求めた各構造物上の伝達特性からパソコンなどにより、モーダル解析が簡単に行える。これにより構造上の弱点を見つけ、防振、防音などの対策を効果的に行うことができる。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より)

模擬遮断器(もぎしゃだんき)

遮断機の代わりをする機器。

木材水分計(もくざいすいぶんけい)

木材の水分含有量を測定する機器。食品などの水分量を測定する水分計を多くラインアップする株式会社ケット科学研究所は木材水分計もつくっている。

モジュール型(もじゅーるがた)

計測器の分類の1つに、機器の動作の形態(他の機器との接続状態など)による表現がある。測定機能はあるが、単体では動作せず、メインフレームに装着して使用される形状のものをモジュール型の計測器という。機種によってはユニットとよばれる場合もある。

モジュール式計測器(もじゅーるしきけいそくき)

それぞれの計測器がモジュールになっていて、ユーザは自由に組み合わせて計測システムを作れる。例えばファンクションジェネレータモジュールとオシロスコープモジュールを共通のメインフレームに装着して複数の計測器を使う計測システムを1台で作るなど。共通の規格としてはPXI(PCI Extensions for Instrumentation)やLXI(Local Area Network Extensions for Instrumentation)がある。ラインアップはNI(National Instruments、ナショナルインスツルメンツ)などの海外メーカが多い。

モジュレーションドメインアナライザ(もじゅれーしょんどめいんあならいざ)

周波数の時間的な変化を観測する機器。ディスプレイには横軸:時間、縦軸:周波数の波形が表示され、信号源のジッタ観測や、PLL(Phase Locked Loop)の応答時間の観測などに使用される。

MOSFET(もすえふいーてぃー)

(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor) MOS構造のあるFET 。ゲート電極の下に酸化物層(SiO2など)があるFET。「MOS型FET」や、「金属酸化膜電界効果トランジスタ」と呼ばれるが、FETの代表で大変良く使われるのでもはやMOSFETは日本語となっている。読み方は「もすふぇっと」もある。

MOST通信(もすとつうしん)

(Media Oriented System Transport) 光ファイバでオーディオ、ビデオ、制御データを転送するためのシリアル通信の規格。自動車の車内のマルチメディア系で採用されている。150MbpsのMOST150はEthernetとの共存が可能で、MOST150からEthernetへ接続することができる。 BMW、アウディ、ポルシェなど16社以上の自動車メーカと、70社以上の部品サプライヤが加盟する「MOST Cooperation」が規格化・標準化を進めていて、50を超える車種に採用された(2008年2月現在)といわれる。2017年には大手メディアがMOSTを「世界中で利用が広がっている高帯域車載マルチメディアネットワークの業界標準」と報じている。 ケーブルは、POF(Plastic Optical Fiber、プラスチック光ファイバ)と銅線のツイストペアケーブル(UTP:Unshielded Twisted Pair)を使用する。

MOX燃料(もっくすねんりょう)

使用済の核燃料をリサイクルすることで作られた原発の燃料。 使用済燃料の中にはプルトニウムが含まれているが、「再処理」と呼ばれる処理をしてプルトニウムを取り出し、ウランと混ぜ合わせることによって、新しい燃料を作り出すことができる(資源エネルギー庁HPより)。再処理施設は青森県の六ケ所村にある。各電力会社から出向した技術者が運営に携わり、原発関連の各メーカも事務所を置いている。MOX燃料を使って原発を稼働している発電所もではじめている(商業用では九州電力の玄海3号機が2009年12月に国内初のプルサーマルを開始)。原子力発電の保守・運用には現場用の可搬型の計測器を中心に多くのモデルが使われる。

モデム(もでむ)

(modem) MOdulation(変調)&DEModulation(復調)を略記した言葉。直訳すると「変復調装置」だが、すでに「モデム」は日本語となっている。日本全国に張り巡らされた電話回線はアナログの通信網として整備された。1980年代にデジタル式の電話機ができるまで一般の電話機(いわゆる家庭にあるダイヤル式の黒電話)はアナログ信号で伝送していた。PCはもちろんデジタル信号なので、PCと電話回線の仲介をモデムが行った。PCのデジタル信号を変調して電話回線で送信し、受信側では電話回線の信号をモデムが復調してデジタルデータをPCに渡した。モデムは遠隔地のPC同士でデータ通信したり、PCと電話回線を使ってインターネットに接続するために欠かせない装置だった。モデムにはモジュラージャックのコネクタ(RJ11)があり、モジュラーケーブルで物理的には電話回線と接続し、やり方はダイヤルアップ接続で使用された。2000年ころからADSLなどの新しい方式のデジタル通信が始まり、インターネットの普及とともに、ダイヤルアップ接続やモデムは使われなくなっていった。現在はルータやハブがネットワーク接続の主要な機器になったが、Wi-Fiのルータなどをいまでもモデムと呼ぶことがある。 モデムの試験をする測定器をモデムテスタという。

モデムテスタ(もでむてすた)

(modem tester) モデム(modem)は MOdulation&DEModulationの略で、変復調装置。デジタルデータを変調して回線で送り、受信側では反対に復調して元のデータにする。モデムの評価を行う測定器がモデムテスタ。公衆回線がまだアナログの電話回線が主流の時代は、デジタルデータを遠隔地に届けたり、コンピュータ間を通信するのにモデムが必須だった。そのため進化する各種のモデムに対応するモデムテスタが重宝された。電話のメタル回線は健在だが、デジタル通信、IP通信、光通信が主流になり、モデムの減少とともにモデムテスタの需要もなくなった。 計測器メーカとしてはプロトコルアナライザなどのデータ通信の測定器を多くラインアップしていた安藤電気や、通信装置&通信計測器のメーカである大井電気がつくっていた。 計測器情報:モデムテスタの製品例

モデルベース開発(もでるべーすかいはつ)

(model based development) 開発の上流工程でモデルが動く仕様として、検証・性能改善を行う。「動く仕様書」であるモデルを作成し、モデルを元(ベース)にシミュレーションによって、開発期間を従来より大幅に短縮させ、ソフトウェアの品質を向上させる手法。HILS(ヒルズ)などのシミュレーションを使い、試作機(ハードウェア)のテスト比重を減少(テストベンチを削減)させる。自働車の開発などで導入されている。略記:MBD。

Modbus(もどばす)

米Modicon社が1979年に開発したPLC向けシリアル通信プロトコル。仕様が公開されていて、多くの産業用機器で採用されている。計装用のインタフェース規格といえる。Modbus Protocolでは通信プロトコルだけを定義し物理レイヤ(通信媒体)は規定していない。そのためレイヤ1はRS-232/485が使われていることが多い。EthernetなどのネットワークにModbus Protocolが乗っていることもある。PLC用ということは工場やプラントなどで使われるバスである。

モトローラ(もとろーら)

(Motrola)モトローラは無線通信の黎明期(1940年代)にラジオや無線機のメーカとして創業したが、1974年に8ビットCPUの6800でマイクロプロセッサ(マイコン)市場に参入した。期しくも同年はマイコンの先達インテルが8080(8ビットCPU)を発売した年である。計測の用語としてのモトローラはマイコンの黎明期から普及期にかけてインテルと競ったチップベンダーである。1984年には世界初の32ビットCPU である68020 をインテルより先に発売 (インテルの80386は1985年発売)。マイコンのデバッグツールであるICEは、毎年のようにインテルやモトローラなどから発売される新しいCPUに対応した製品を、各ICEメーカが他社に先駆けて発売する、という開発競争が当時は続いていた。また、高性能なCPUが発売されると計測器自体にも採用して、性能アップを図った。計測器に限らず、通信機器から情報家電製品まで、インテルの80系、86系と、モトローラの68系のどちらを採用するかを吟味した(インテル製品は8086、80286、80386、80486と頭が80で、末尾が86の型番、モトローラは68000、68020、68030、68040と頭が68)。1970年代後半には日立製作所はモトローラと提携して68系CPU関連のビジネスを推進した(現ルネサスエレクトロニクスは68系のICEをデバイスメーカとして自前でラインアップした)。NECも独自マイコンの販売の為に、NECブランドのICEをつくっていた(メジャーなCPUでない為に、一般のICEメーカが対応できないので、自前でラインアップせざろうえなかった、という解釈もある)。ICEメーカも新しいCPUが開発されると、それがどれだけ市場に受け入れられるかを目利きして、対応するICEを開発する必要があった(開発したが売れずに赤字で終わるモデルも少なくなかった)。そのような一種のモンキービジネスのため、ベンチャー企業が多くICEに参入した。ZAX(ザックス)、岩崎技研などは高性能CPU対応のICEをつくり、NECなどの大手企業の設計部門でも使われていたが、両社とも今は現存していない。ビットランは現在はICEではなく画像処理関連製品を主力にして存続している。

モニタースコープ(もにたーすこーぷ)

(monitor scope) 物体の表面を拡大して見ることができる、顕微鏡の1種で、マイクロスコープの別称。ただし、工業用内視鏡(ファイバースコープ)の中には品名がモニタースコープという製品がある。 モニタースコープは「モニタ(画像を映すディスプレイ)で見ることができるスコープ(観測機器)」、という意味なので、それに該当する製品の名称に使われている。そのためマイクロスコープや、一部の工業用内視鏡が該当している。「モニター付きマイクロスコープ」や「ファイバースコープ(モニタ付き)」、「モニター付きスコープカメラ(いわゆる、モニタ付きのファイバースコープ)」などの名称の製品がある。まさに、マイクロスコープから工業用内視鏡にまたがる広範なモデルに使われている名称が「モニタースコープ」といえる。 表記は「モニタスコープ」もある。

モノ(もの)

目に見える具体的な物だけでなく、抽象的な事象も含めた広義の意味でカタカナ表記をする。例:IoT(モノのインターネット)

モノリシック(ものりしっく)

(monolithic)半導体で、回路を構成するすべての素子が1個のチップ内にある(1個の半導体結晶上につくられている)こと。「モノリシック」は「一枚板」や「一つの結晶片でできている」という意味。半導体チップの一体化や集積化で使われる用語。計測器の内部にも使用されている。

モバイル(もばいる)

(mobile) 移動性や携帯性があること、またはその機器。ITや通信分野で使われる用語。たとえば「モバイル通信」は携帯電話やモバイルPC(たとえばノート型PCやB5サイズPCのように、人が手で持ち運べる薄型軽量の可搬型のPC)で行う移動式の通信のこと。 グーグル翻訳で英語の「mobile」を日本語にすると「モバイル」と表示されるので、すでに日本語といえる。似た言葉にモビリティがある。 モバイルデバイスやモバイル機器に使われているカメラやディスプレイなどの高速な画像通信の規格を、モバイル業界の企業がつくったMIPI Alliance(ミピー アライアンス)が策定している。物理層(レイヤ1)を規定したPHY(ファイ)シリーズの規格で、C-PHY、D-PHY、M-PHYがある。オシロスコープやバスアナライザにはPHY規格に対応した機能をもっているモデルがある。 モバイルは移動体通信のことばなので、計測器は無線/移動体通信のカテゴリーのものが多いが、その他のカテゴリーのモデルにも「モバイル」とつくモデルがある。