計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
フリーワード検索をはじめ、カテゴリー、索引から簡単にお調べいただけます。

フリーワード検索

検索用語一覧

87

各用語の詳細ページでは関連用語などを確認することができます。
このアイコンが表示されている用語には、詳細ページに図解や数式での説明があります。

カーエレクトロニクス技術展(かーえれくとろにくすぎじゅつてん)

RX Japan株式会社(旧リードエグジビションジャパン)が開催する「オートモーティブワールド」は毎年1月に開催される自動車関連の展示会で、複数の併設展がある。2024年の展示会構成は、国際カーエレクトロニクス技術展(カーエレJAPAN、出展品:電子部品や半導体など)、EV・HV・FCV技術展(EV JAPAN、出展品:電池、モータ、FCV技術など)、コネクテッド・カーEXPO(セキュリティなど)、自動運転EXPO(センサ、LiDAR、半導体など)などで、合計8つの展示会が併設される。 カーエレJAPANには計測器メーカが出展するので、TechEyesOnlineは取材して、展示会レポートを公開している。その他の自動車に関する技術展示会では、毎年5月にパシフィコ横浜で開催の人とくるまのテクノロジー展が盛況である。自動車の技術展としてはカーエレクトロニクス技術展よりも、人とくるまのテクノロジー展の方が技術者には人気がある。計測器メーカは2つの展示会の両方、または片方に出展している(人とくるまのテクノロジー展の方が計測器メーカが多い)。

カーソル(かーそる)

オシロスコープやスペクトラムアナライザなどの波形表示で、波形の数値を表示する機能。縦線や横線が画面に表示され、測定波形と交差する場所の測定値をデジタル表示する。カーソルの位置を手動で動かして、測定値を読み取ることができる。テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)では「画面上で波形のピークに合せて正確な測定を行うマーカ」と解説している。カーソルのことをマーカと表現することも多い。一般にオシロスコープは時間測定の精度は高い(時間分解能はサンプリング周期の整数倍で、設定によって高くできる)が、電圧は2~3桁程度である(用語の「分解能」の項目を参照)。オシロスコープはカーソルによって電圧値は5桁程度が表示されるが、有効桁数はそんなに多くないことに注意が必要である。有効桁数が3桁以下の誤差の大きい数値を表示するのは誤解を招かないか?、という疑問があるが、オシロスコープ各社は競うように桁数の多い数値を表示している。

ガードバンド(がーどばんど)

(guard band) 測定の不確かさに相当する幅のこと。校正用標準器の代表メーカ、フルークキャリブレーションのセミナーでは「校正結果の適合性と不確かさの関わりについての考え方」と解説している。

カーネル(かーねる)

(kernel)オペレーティングシステム(OS)の基本機能を担うソフトウェアのこと。ハードディスクやメモリなどコンピュータの資源(リソース)管理や、アプリケーションの実行の許可などを行う。ハードウェアとソフトウェア(アプリケーションなど)の連携を管理しているといえる。

カーブトレーサ(かーぶとれーさ)

(curve tracer) 半導体デバイスの電流・電圧特性(I-V特性)を精密に測定する計測器。デバイスメーカでは研究開発~設計~検査のすべての行程で使用する基本測定器である。名称は、I-V特性のグラフ(カーブ)をトレースして表示することに由来する。半導体の受け入れ検査でも使われ、過去には菊水電子工業や國洋電機が作っていたが、すべて生産中止した。R&D向けには長らくテクトロニクスの370型と371型が業界標準だったが2000年代に生産終了し、岩崎通信機が同等品のCS-3000シリーズを2013年に発売した。現在同社はラインアップを増やし、現在はCS-5000、CS-8000などのシリーズがある。国内の半導体デバイス(パワエレ半導体)メーカも設備は、テクトロニクスから岩崎通信機に入れ替えが進行している。 太陽光パネルの発電量を測定するとき、(パネルは半導体なので)I-Vカーブを測定して評価する。日射計で有名な英弘精機などがPV(太陽光発電)用のI-Vカーブトレーサを発売している。PVの普及が拡大する2010年頃にはPV評価用機材としてベンチャー企業がPV用のI-Vカーブトレーサを発売している。 菊水電子工業や國洋電機が生産中止した、受け入れ検査用のカーブトレーサは、現在では中国メーカのShanghai MCP Corp.(ブランド名:INSDAC)がつくっている(日本法人の日本INSADACは2020年に設立)。

カーブ・フィッティング(かーぶふぃってぃんぐ)

(Curve Fitting)機械などの構造物の動的特性の測定では、通常、構造物にハンマーでインパルスを加えて得られるインパルス応答を、FFTで処理して系の伝達関数を求めている。しかし、FFTを用いた伝達関数は、有限の等間隔周波数分解能をもつ離散値データであるため、振幅曲線が急激に変化する固有振動数付近では測定点が非常に少ない。そのため、これから求めたナイキスト線図は理想的な円軌跡とはならないので、正しいピーク値、固有振動数などのモーダル・パラメータを得るためには、この等間隔データ間を補間しながら計算する、曲線あてはめ(カーブ・フィット)が必要である。カーブ・フィッティングと呼ばれる手法は、伝達関数の解析式を想定し、この式中の固有振動数、減衰比、振動モードなどのモーダル・パラメータを適当な値にすることにより、実測された伝達関数とモデルの伝達関数をできるだけ近似させるようにするものである。これは、モーダル解析において、構造物の動的応答を理論的に決定づけるものである。実際のカーブ・フィッティングでは、まず測定して得られた離散系の複素伝達関数の実数部と虚数部を用いて、複数個の点をナイキスト線上にプロットする。次に、これらの点との誤差が最小になるような、理論上のナイキスト線図を算出し、このナイキスト線図から改めて伝達関数を計算して求め、測定した伝達関数にこれをフィットする。測定された伝達関数のカーブ・フィッティングには、主として2つの方法が用いられる。各振動モードのピークが離れていて、相互に影響を及ぼさない場合には、1自由度系のカーブ・フィット(SDOF:Single-Degree-of-Freedom curve fit)が使われる。一方、隣接する振動モードの特性が互いに重なり合った場合には、多数の振動モードの影響を考慮する必要があり、伝達関数を解析的に表現している多数のモーダル・パラメータを、測定された伝達関数に同時に適合させる計算アルゴリズムが要求される。この方法は、多自由度系カーブ・フィット(MDOF:Multi-Degree-of-Freedom curve fit)と呼ばれている。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より)

カーボンニュートラル(かーぼんにゅーとらる)

(carbon neutral)翻訳すると「炭素中立」。最近はやりの環境用語で、炭素排出量を削減する取り組み。参考用語ゼロエミッション

カーボンフットプリント(かーぼんふっとぷりんと)

(Carbon Footprint of Products)商品 やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至る、ライフサイクル全体で排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して、商品やサービスに表示するしくみ。略記:CFP。(経済産業省HPより)参考用語:ゼロエミッション、カーボンニュートラル

ガイガーカウンタ(がいがーかうんた)

1928年にガイガーとミュラーが作った簡単な構造の放射線測定器。 (=GMカウンタ)

回生(かいせい)

(regeneration) 機器で生じる余剰エネルギーを回収し、電力に変換して再利用すること(回収して生かす、という意味)。モータで駆動している電車や電気自動車は、減速時はモータに電力供給していないが、ロータは惰性で回転しているので発電機となってバッテリに電力を供給し、充電状態になる(回生ではない、通常の運転状態を力行と呼ぶ)。 大容量の計測用電源や電子負荷装置で近年、回生機能のある機種が増えている。発熱が少なく、計測器が省エネ、省スペースになることが理由の1つである。また、2010年頃から一般家庭も含めて普及したPV(太陽光発電)のインバータ(パワーコンディショナ)の評価(設計・開発・検査)で回生電源は使用された。自動車の電動化でバッテリの評価(充放電試験)でも回生電源の技術が使われる。 菊水電子工業の製品総合カタログ2019年版の用語集では次の解説がある。「通常、電子機器では機器内部で発熱があり、ファンなどで冷却している。このエネルギーを熱に変えず、電力に変え、商用電力線に返す機能を回生という。」

回生電流(かいせいでんりゅう)

回生機能付き直流電源や回生機能付き電子負荷などで、電子負荷として電力を吸収してACラインに回生しているときの電流や状態(シンク電流/シンク状態)。(株式会社高砂製作所の用語集より)

解析時間(かいせきじかん)

解析表示の入力として使用される、1ブロックからの時間的に連続したサンプルのサブセット。(2009年9月発行のテクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて」より)

解析表示(かいせきひょうじ)

リアルタイム測定結果を表示するために使用されるウィンドウ。(2009年9月発行のテクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて」より)

回折格子(かいせつこうし)

(gratings) 多くの波長を含む光(白色光)を波長ごとにわける光学素子(分光装置)。一般には複数の平行の溝(スリット)が等間隔にある構造をしている。白色光が入射すると、波長ごとに決まったある角度で光が強め合い(この現象を回折という)、元の光を波長で選別できる。ガラス板に1cm当たり約千本の直線の溝を等間隔に刻んだもの(回折格子)をつくり白色光をあてると、溝の部分では光は散乱し、溝以外の平らな部分は光が通る。レーザー(単一波長の光)をあてるとガラス板の後方のスクリーンに干渉縞が現れる。スリットの幅によって、干渉縞の見え方は変わる。干渉、回折という光の特性を使った分光(光を波長ごとに分ける)機器が回析格子である。 広義には格子状のパターンをつくり回折によって干渉縞をつくる光学素子の総称。格子パターンは直線状の凹凸がμm(マイクロメートル)間隔で平行に並んでいることが多い。具体的には理化学機器(科学分析機器)の分光器(分光計)や、光学用の分光装置(光スペクトラムアナライザのモノクロメータなど)の構成部品として使われている。つまり、光のスペクトルの測定(表示装置)に使われる。英語をカタカナにした「グレーティング」も日本語として良く使われている。 光に含まれる波長成分を分離する方法として、ガラスの屈折率が波長によって異なることを利用するのがプリズム(prism)である。プリズムは三角錐の形状をしていて、一方から可視光を入射すると、多色に分かれた光が現れるので、絵的にもわかりやすく、回析格子よりも知られている。プリズムと回析格子は用途によって使い分けられる。 光測定器も手掛ける光学機器/光学部品メーカのThorlabs(ソーラボ)や科学分析機器の大手、島津製作所などが回析格子について詳しく(数式を使い学術的に)解説している。 計測器情報:回折格子タイプの光スペクトラムアナライザの例

回転計(かいてんけい)

軸の回転数を測定する機器。輸送機器(自動車、鉄道など)や工場設備など、回転している装置は多くある。それらの回転数を測定することは、保守の観点からも重要である。小野測器やキーエンスが製品をラインアップしている。別名:タコメータ。 回転数と速度は似た指標である。小野測器HPの製品ページには「回転・速度」のタイトルで、回転計(タコメータ)、回転検出器・回転演算表示器、速度計、ロータリーエンコーダ、FVコンバータ(周波数-電圧変換器)などが掲載されている(2022年8月現在)。 回転数の単位はrpm(revolutions per minute、1分当たりの回転数)など、時間の逆数である。周波数も時間の逆数なので、回転数と周波数は次元が同じ。小野測器は回転計だけでなく、FVコンバータ(周波数を電圧に変化して出力する測定器)もつくっている。振動、加速度、速度、回転、騒音(音響)、などの測定の要素技術は近い位置関係にある。

回転検出器(かいてんけんしゅつき)

回転数を検出するセンサー(=回転センサー)。回転計(回転数の測定器)のセンサー部分をこのように呼ぶ。「回転角度センサー」の品名の製品もある。接触式と非接触式がある。原理は電磁式が多く見受けられる。

回転次数比分析(かいてんじすうひぶんせき)

(Rotational Order Ratio Analysis) 小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」には次のようにある。回転次数比分析とは、回転機械の振動や騒音の周波数分析を行う場合、回転体に取付けたパルス発生器のパルスを外部サンプリングクロックとして、信号のサンプリングを行う方法である。周波数分析で、1 Hzは1秒間に1周期を完了する成分だが、これに対して回転次数比分析で回転1次とは、基準とする回転体の1回転について1周期を完了する成分をいう。回転2次は1回転について2周期を完了する成分で、回転1次の2倍となる。このように1回転当りの変動を基準とする分析を行うためには、回転数に同期したサンプリングを行う必要がある。内部サンプリングクロックそのままでは、回転速度が変化すれば1回転当りのサンプリング点数は変わってしまうが、回転パルスに同期したクロックをサンプリングクロックとした場合には、1回転当りのサンプリング点数は常に一定となる。例えば、600 r/minで回転している回転体ならば、回転1次は(600 r/min)/60 =10 Hz、回転2次は20 Hzとなる。回転速度が上昇して700 r/minになると、回転1次は11.7 Hz、回転2次は23.3 Hzに上がる。このように周波数は回転速度の変化に伴って変動してしまうが、次数として正規化すれば、回転変動による影響を受けず、ある成分に着目することも容易となる。

回転センサ(かいてんせんさ)

回転数を検出するセンサ。別名:回転検出器。回転計(回転数の測定器)のセンサ部分をこのように呼ぶ。回転計を指していることもある。

回転トラッキング分析(かいてんとらっきんぐぶんせき)

(Rotational Tracking Analysis) 回転次数比分析の応用として、回転トラッキング分析がある。回転トラッキング分析は、ある次数成分の振幅の変化を回転速度を横軸のパラメータとしてトレースすることによって、ある回転速度に対して、回転機器のどのコンポーネントが共振しているのか、あるいは回転速度の何倍(何次)の成分が共振しているのかを見極めるもの。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より)

開発支援装置(かいはつしえんそうち)

マイコン(マイクロプロセッサ、CPU)を使った組込みシステムの開発・デバッグを行なう測定器。マイコン開発支援装置や、ICE(In Circuit Emulator、アイス)、デバッガなどとも呼ばれる。