計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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REF CAL(あーるいーえふきゃる)

(Reference Calibration)非接触温度計(サーモグラフィ、放射温度計)関連の用語。測定対象物の放射が低く、温度が室温付近や低温の場合、室温や周囲温度からの反射成分が無視できなくなり、放射率補正では誤差が生じる。この誤差を補正するために環境温度に相当する物体を測定し、室温反射を補正する信号を発生させ、以後の補正値とする動作をいう。関連用語:IRSP CAL、ERSP CAL。(日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」より)

RS-232C(あーるえすにーさんにーしー)

(Recommended Standard 232 version C) 米国電子工業会(EIA :Electronic Industries Association)によって標準化されたシリアル通信の規格の一つ。1960年に最初のRS-232が策定され、改訂を経て1969年にバージョンCのRS-232Cになった。EIA-232-Cという表記もある。 ホストコンピュータや端末(テレタイプライタ※1など)の「データ端末装置」(DTE:Data Terminal Equipment)と、モデムなどの「データ回線終端装置」(DCE:Data Circuit-Terminating Equipment)を接続してデータ通信するための電気的・機械的な特性の規格として策定された(※2)。その後、パソコン同士の直接接続や、コンピュータ周辺機器の通信インタフェースとして普及した。1970年代から1980年代のマイクロプロセッサ(MPU )の進歩とコンピュータの普及が背景にある。1980年代に民間に普及したパソコンには通信インタフェースとしてRS-232Cが標準で、2000年代にUSB が普及するまで採用されていた。工場などの産業・工業分野の電子機器も1980年代にアナログ通信がデジタル化する際に、シリアル通信のRS-○○(RS-422,RS-485 )が採用された。規格の発端はITU -T(旧CCITT)がテレタイプ端末とモデムの接続用に勧告したV.24やV.28で、これをIEAは米国内の規格にした。 モデム側のコネクタ仕様からピン数は25だったが、IBM が小型の9ピンのコネクタをつくり、現在はこちらが普及している。規格外だった9ピン仕様はANSI /TIA/EIA-574-90として規格に追加された。USBや無線LANなどのより高速な通信規格が普及し、RS-232Cは古い規格となったが、現在でも低速インタフェースとして使い続けられている。RS-232Cのプロトコルアナライザ、オンラインモニタは通信計測器の1機種群として健在である。 (※1)(teletypewriter) 遠隔地と文字で通信するための、タイプライタ型の装置。送信した文字が回線を通じて相手の装置に届き、自動的に印字され、電信(Electrical telegraph)のために開発された。テレタイプ端末という呼称もある。その後のコンピュータのキーボードやプリンタの元となった。電動タイプライタを使って文字情報を通信する電信のための装置。NTTは日本電信電話株式会社の英語名、Nippon Telegraph and Telephoneの略である。昭和前半の電話普及率が高くない時代には、カタカナの短い手紙で情報を届ける電報が使われている。teleは「遠く、遠隔の」を意味する接頭辞で、テレタイプライタは「(遠隔地と通信する)遠くのタイプライタ」。teleは多く使われ、television(テレビ)、telephone(電話)、telemeter(テレメータ)、telescope(望遠鏡)などがある。 (※2)遠隔地のコンピュータ同士がデータ通信する方法は、アナログの電話網を使うしかなく、モデムのような装置が開発された。1990年代に公衆通信網でデジタル通信(日本だとISDNなど)が始まるまでこの方式が主流だった。TechEyesOnlineの記事「計測器の形名・・・第4回 通信計測器Part1」の図3で図解している。

RS-232Cアナライザ(あーるえすにーさんにーしーあならいざ)

(RS-232C analyzer) RS-232C回線の情報のやり取りを観測する測定器。別名、RS-232Cラインモニタ、さらに略してラインモニタとも呼ばれる。 1980年頃から2000年代前半頃までPCのインタフェースはRS-232Cが標準だった。端末間のデータ通信にRS-232Cが広く使われ(モデムとの接続もRS-232C)、ラインモニタといえばRS-232Cの通信ラインをモニタするもの、という意味で「RS-232Cラインモニタ」や「RS-232Cアナライザ」という表現が良く使われた(ラインモニタはRS-232C以外の規格も観測できる)。アナライザとは、プロトコルアナライザのことである。 プロトコルアナライザはRS-232Cなどで通信している端末の代わりになって送受信することができる(擬似端末になる)。そのようなエミュレーション機能ではなく、回線に流れているデータを観測する機能がラインモニタ(正式にはオンラインモニタ。オフラインではなくオンラインでリアルタイムにモニタできる)である。つまり、ラインモニタは限定された機能のプロトコルアナライザ。プロトコルアナライザのモニタ機能を指してオンラインモニタ(やラインモニタ)と呼ぶが、ラインモニタと呼称するモデルでも擬似端末になる機能がある場合があり、具体的な名称(品名)からは判別が難しい。 PCのインタフェースはRS-232CではなくUSBになり、アナログ電話回線の時代に活躍したモデムも過去の物となったが、RS-232Cは低速の通信規格としていまでも現役である。「データリンク / RS232Cアナライザ」や「RS232C RS422 RS485アナライザー / シリアル通信モニタ」、「ラインモニタ Analyze232C」などの名称の製品が販売されている(2024年にインターネットで検索)。 形状は、タブレット型のハンドヘルドなサイズから、変換アダプタのような2~3cm程度の小箱だったり、PC上で動くソフトウェアだったりする製品も多い。1980年代にhp(現キーサイト・テクノロジー)や安藤電気がラップトップ型計測器のRS-232Cアナライザ(AE-5106など)をつくっていた時代とは違い、いまはデジタル機器のベンチャー企業が主なメーカである。形状もハードウェア(計測器という外観)ではなく、小箱やソフトウェアになっている。

RS-232Cラインモニタ(あーるえすにーさんにーしーらいんもにた)

(RS-232C line monitor) 低速のシリアル通信規格であるRS-232Cの、通信データをモニタするプロトコルアナライザ。正式には「RS-232Cのオンラインモニタ」(オフラインではなくオンラインでリアルタイムにモニタできる)だが、ラインモニタという呼称が良く使われている。 RS-232Cアナライザともいわれる(プロトコルアナライザの1種なので)。 パソコンの標準インタフェースがRS-232Cで、モデムにRS-232Cで接続して、アナログ電話回線でデータ通信をした時代(1980~1990年頃)とは異なり、いまのPCはUSBが標準で、Wi-Fiや光回線を使いインターネットにつながるのでRS-232Cは使わないが、低速の安価な規格としてRS-232Cはいまでも現役である。「RS-232cラインモニタ / シリアル通信用アナライザ」や「ラインモニタ Analyze232C」、「RS232C RS422 RS485 シリアル通信用ラインモニター」などの名称の製品が販売されている(2024年にインターネットで検索)。 ただしこれらは、1980年代のhp(現キーサイト・テクノロジー)や安藤電気がつくっていたラップトップ型計測器(AE-5106)やハンドヘルドモデル(AE-5108)のRS-232Cラインモニタとは大きく異なる。現在のメーカはほとんどがデジタル機器のベンチャー企業で、形状もハードウェア(計測器という外観)ではなく、2~3cm程度の小箱やソフトウェアが多い。つまり計測器というよりIT商品に近い。通信計測器の1カテゴリーであるプロトコルアナライザには違いないので、本稿でも取り上げているが、計測器メーカはつくっていないし、計測器の範疇でも流通していない。通信機器、PC周辺機器、デジタル商品、という範疇でECサイトなどが販売している。 プロトコルアナライザだけでなくロジックアナライザ(※)やICE(マイコン開発支援装置、デバッガ。アイスと呼称)などのデジタル系の計測器はアナログの物理現象を測定しないので、校正の必要がない。PCのようにソフトウェアで動作するデジタル系計測器は計測器メーカだけではなく、デジタル機器をつくれるメーカが元から多い。 (※) ロジックアナライザは電圧を測定するが、表示はHigh/Low(1か0)で、電圧値ではない。値を表示しないのでマルチメータのように測定精度(誤差)の概念がない。つまり校正対象外である。

RS-485(あーるえすよんはちご)

(Recommended Standard 485 ) 米国電子工業会(EIA :Electronic Industries Association)によって標準化されたシリアル通信で、バス型のマルチポイント接続に対応しており、最大32台まで対応している(株式会社高砂製作所の用語集より)。FA(工場の自動化)やビル管理などの産業現場で広く使われているデジタル通信の規格。別名、EIA-485やTIA-485。 マルチポイント接続(マスタ/スレーブ)は親機 1台に対し、最大32台の子機を接続できる。特長は1つのペア線で複数機器を接続でき、最大1.2km(ケーブル長)まで最大10M bpsの長距離・高速伝送できること。2本の信号線(A線、B線)の電圧差でデータを判別する差動のためノイズが乗りにくい(耐ノイズ性が高い)ので、産業機器などのノイズが多い環境でも安定した通信ができる。半二重通信(2線式)で、1つのバス(2線)を共有するので、送受信を切り替える。工場内でPLC(プログラマブルロジックコントローラ)とセンサ間の通信や、温調計、インバータ、モータドライバの監視・制御、BA(ビルオートメーション)や空調管理システムなど、広範に使われている。 RS-485は物理層(レイヤ1)規格で、Modbus(モドバス)やMECHATROLINK(メカトロリンク)はRS-485を使って上位レイヤ(プロトコル)を規定している。RS-485はRS-422と共に工場内の生産現場、発電所などのプラントで現役で広く普及しているデジタル通信である。1970年代から長らくパソコンに標準装備されていた通信インタフェースのRS-232Cは、2000年頃からUSBに置き換わった。工場内のネットワークもより高速化が求められ、産業用イーサネットが2000年代前半に登場し、2010年代を通じて従来のフィールドバス に代わる主流通信技術として普及した。2017年には新規市場の過半数を占めるようになったといわれるが、RS-485などの従来技術は現在も使われ続けている。

Rx(あーるえっくす)

有線・無線通信で受信データのこと。Received dataの略記(小文字のxはデータの意味)。受信機(レシーバ)のことをRxと記述している例もある。Rxと対になる送信データはTx(Transmission dataの略記)と記載される。Rx同様に送信機をTxと表記することもある。

RF(あーるえふ)

(Radio Frequency) 別名:無線周波数。和訳すると「ラジオ周波数」。無線通信に使われる周波数のこと。「高周波」と表現されることもある。正確に何Hzの周波数範囲を指すかは文献によってさまざまで、定義は難しい。無線通信が始まったとき、無線機(ラジオ)で通信できるキャリア(搬送波)の周波数範囲をRFと呼称したと推測される。現在ではおおむねMHz~GHzの周波数を指している。「kHz~300GHzの電磁波の総称」という定義もある(※)。 RFの計測器というと、スペクトラムアナライザ(スペアナ)を筆頭に信号発生器(SG)や高周波パワーメータ(低周波の「デジタルパワーメータ」ではなくRFパワーメータ)などの高周波の(無線の)基本測定器が相当する。高周波ということでネットワークアナライザ(ネットアナ)を含める場合もあるが、ネットアナは回路素子測定器(LCRメータなど)や材料測定器と同じ分類にされることも多い。 同じRFの周波数帯の測定器でも、携帯電話などの特定の通信方式に対応した測定器(ワンボックステスタ、無線機テスタ、シグナリングテスタなど)は(基本測定器ではなく)専用器なのでTechEyesOnlineでは「無線/移動体測定器」という別カテゴリーに分類している。ただし、無線測定器の主力(大きな売上)は携帯電話用途なので、「RF/マイクロ波」というカテゴリーで、上記のスペアナから無線機テスタや、電磁界強度計(メジャリングレシーバ)までを説明している文献(計測器の辞典)もある。 通信計測器には有線の測定器(光通信測定器や伝送交換の装置用測定器など)と無線の測定器があり、RFを含む無線測定器のメーカは、世界的にキーサイト・テクノロジー (米国)、ローデ・シュワルツ(ドイツ)、アンリツ(日本)の3社が有名で、多くのラインアップがある。特定分野の無線測定器ではリーダー電子(TV放送)、目黒電波測器(現計測技術研究所、GPS関連測定器)などがある。横河計測や菊水電子工業も特定モデルをラインアップしていたが、ほとんど生産中止になっている(横河計測は低周波の電力計、パワーアナライザなど、菊水電子工業は直流電源などの安定化電源が高シェアで、いずれも低周波の基本測定器が主力のメーカといえる。菊水電子工業はEMC関連計測器もある)。テクトロニクスはリアルタイムスペクトラムアナライザでRFの基本測定器であるスペアナに参入したが、上記の無線3メーカに伍するまでにはなっていない。 無線のほぼ専業だったローデ・シュワルツやアンリツは無線以外のカテゴリーの計測器(オシロスコープや温度・振動・ひずみなどの物理量測定器)にラインアップを広げている。キーサイト・テクノロジーは無線の専業ではなく、デジタルマルチメータなどの基本測定器からワンボックステスタなどの専用器まで直流から高周波を幅広くラインアップする総合計測器メーカだが、RF測定器の事業部門は名門で、同社を支える屋台骨である(オシロスコープの事業部門よりも歴史が古い)。 計測器の名称(品名など)でRFが付くモデルは多く、TechEyesOnlineでは約800モデルを掲載している(2025年現在)。 (※) RFの定義(周波数範囲)は文献によって「数kHz~数GHz」や「3kHz~300GHz」と説明している例がある。ただし、AMラジオ(中波放送)は526.5kHz~1606.5kHz(つまり0.5MHz~1.6MHz)、FMラジオの東京FMは80.0MHz、4G携帯電話は700MHz~3.5GHzで、身近な無線通信はMHz~GHzの周波数を使用している。計測器でRF(または高周波、無線)というとこの範囲を指していることが多い。 もっと高い周波数にマイクロ波(一般の定義では、300MHzから30GHz)、ミリ波(一般の定義では、30GHz~300GHz)がある。一般にマイクロ波は「RFよりも高い周波数」と認識されている。両者の違いは「波長がメートル単位だとRF(高周波)、もっと短い(周波数が高い)センチメートル単位がマイクロ波」といえるが、ほとんど同義で使用されることも多い。別の解説で「RFは、3kHz~300GHzの広い範囲の電磁波の総称で、マイクロ波はその一部の300MHz~300GHzの比較的高い周波数を指す」という説明もある。ここではマイクロ波にミリ波が含まれているが、通常はミリ波はマイクロ波とは別で区別されている。つまりこの解説は少し怪しいが、「RFはマイクロ波を含む呼称」という解説は一理あると筆者は思う。 可聴周波数(20Hz~20kHz)に対応するオーディオ関連測定器は、低周波(商用周波数の50Hz/60Hz)ではないので高周波と呼ばれることはあるが、RF(無線周波数)かというと微妙である。スペアナの測定範囲はkHzからの機種も多いので、明確に「kHzはRFではない」とはいえないが、RFの範囲といえば筆者はMHz~GHzをイメージする。広義で「MHz~30GHz」であろうか。このようにRFの周波数範囲は識者の見解によって変わり、定義は明確ではない。

RF I-V法(あーるえふあいぶいほう)

交流インピーダンス測定の手法の1つ。インピーダンスアナライザで測定周波数100MHz~3GHzあたりのモデルに採用されている方式。100MHz以下のLCRメータなどには自動平衡ブリッジ法が採用されている。参考記事:LCRメータの基礎と概要 (第1回)・・LCRメータの構造や測定原理、各社LCRメータの紹介など。

RF信号発生器(あーるえふしんごうはっせいき)

主に無線通信機器の試験用信号を発生する測定器。別名:シグナルジェネレータや標準信号発生器。 2000年代に無線通信がアナログからデジタル方式に変わっていったため、現在はRFデジタル信号発生器という品名のモデルが増えた。また、キャリア周波数が高くなる傾向で、マイクロ波での通信が普及したり、6Gではミリ波の使用が現実視されている。そのため無線通信用の信号発生器も「RF/マイクロ波信号発生器」という品名のモデルもある。

RFパワーアンプ(あーるえふぱわーあんぷ)

(RF power amplifier) RF帯で使用される電力増幅器。RFとはRadio Frequencyの略で、無線通信などに使われる周波数のこと。「高周波」と表現されることもある。RFパワーアンプを翻訳すると「高周波電力増幅器」。EMCでは必須で使われる。また、SG(信号発生器)からDUTに高周波信号を入力してスペクトラムアナライザで評価する場合、複数のDUTを一度に評価するとき、DUTの前にPFパワーアンプと分配器を入れ、DUTの後に切替器(スイッチ)を入れると、効率の良い評価ができる。そのためRFパワーアンプは精度が求められる。「RFアンプ」というと計測器(機器)ではなく部品を指している場合が多い。 EMC用途では海外のAmplifier Research社(販売は日本オートマティック・コントロール株式会社)が有名。東陽テクニカも複数メーカを取り扱っている。国産では高周波機器の株式会社R&K(アールアンドケー、本社:静岡県富士市)が計測器(RFパワーアンプ)と部品(RFアンプ)の両方をつくっている。高周波部品メーカのMini-Circuits(ミニサーキット)もRFパワーアンプのラインアップがある。 計測器の情報サイトTechEyesOnlineの計測器ページでは、障害・EMI試験器 / 電力増幅器に分類している。RFが付かない「パワーアンプ」だと高周波に限らず、商用周波数の電力計(パワーメータ)のアクセサリなどがある。

RFパワーセンサ(あーるえふぱわーせんさ)

(RF power sensor) RFパワーメータ(高周波電力計)のセンサ。高周波電力の値を測定するために各種のセンサがあり、用途によって使い分けられている。周波数などの仕様が各センサで異なる。 センサはパワーメータ本体によって使えるものが決まっている。メーカが異なると通常は併用できない。メーカが同じでもパワーメータによって使えるセンサは限定される。つまりパワーメータの併用製品(センサがないとパワーメータは測定できないので必須の製品)である。 メーカは高周波(RF)の計測器をつくる、アンリツ、キーサイト・テクノロジー、ローデ・シュワルツなどである。以前は国産のフジソクがあったが、2022年頃に生産中止になっている。

RFパワーメータ(あーるえふぱわーめーた)

(RF power meter) 高周波(RF)信号の電力(power)を測定する計測器(メータ)。別名:高周波パワーメータ、高周波電力計。 パワーメータ(電力計)には3つあり、アナログの指示計器のものを通常は「電力計」、低周波(商用周波数など)のものを「デジタルパワーメータ」や「パワーアナライザ」、高周波のものを「RFパワーメータ」や「高周波電力計」と呼称する。計測器村の住人ではない初心者にはこの呼び方の違いを理解するのは難しい。 メーカは高周波の計測器をつくる、アンリツ、キーサイト・テクノロジー、ローデ・シュワルツなどである。同3社は低周波のパワーメータをつくっていないので、自社のRFパワーメータを単に「パワーメータ」と呼称することも多い。3社が高周波が得意な計測器メーカであるという知識がないと、この「パワーメータ」がRFパワーメータであることがわからない(計測器村の住人以外は、まったくわからない)。 以前は国産のフジソクがあったが、2022年頃に生産中止になっている。

rms(あーるえむえす)

(root mean square) 日本語では実効値。交流の電気信号の大きさを表す指標の1つ。定義(計算式)は、「ある波形の瞬時値の二乗を、1周期間で平均した値の、平方根」。英語を翻訳すると「平方根(ルート)・平均・二乗」で、各英単語の頭の略記がrmsである。たとえば「Vrms」という表記は「電圧V(実効値)」(実効値電圧のV)という意味。RMSと表記されるときもある。 大きさが変化する正弦波などの交流の値を示すのに、基本的には平均値が使われる。デジタルマルチメータ(DMM)などの多くの電圧測定器は平均値を表示する。ただし、実際の交流信号は単一周波数の綺麗な波形ではなく、高調波などを含み歪んでいる。そういう交流信号の大きさを示す指標は平均値より実効値の方が適している(真の値に近い)。 「二乗平均平方根」という計算手法は、確率変数の散らばり具合を示す、統計学の数値として使われている。単一の周波数ではない(多くの周波数、つまり散らばった変数を含む)交流信号の大きさを示すのに、電気工学でこの計算手法を使っている。ディメンジョン(次元、単位)が元の値と同じになる点がミソである。 また、単純な平均値が和算と除算なのに対して、計算が積和演算であるためにプログラム(計算手法)の高速化が容易になるという利点もある。 統計学の手法の「二乗平均平方根(Root Mean Square)」を電気工学ではRMS(またはrms)と略記して、実効値(Root Mean Square value)ということばで呼んでいる。負荷に直流が流れたときに発生する熱量(電力、パワー)と、実効的に等価な交流の値、という意味で、「実効値」(直流と実際に同じ効果として、交流を規定した値)という熟語になった。抵抗に直流電圧E[V(ボルト)]を加えたときに消費される電力と同じ電力が、交流電圧でも消費されたとき、E(V)はこの交流の実効値電圧である。 英語では実効値はeffective valueである。rmsは実効値を示す記号といえる。 大文字でRMSと記述すると、RMSマウント(Royal Microscope Society mount):顕微鏡の対物レンズマウントの標準規格、RMS粒状度(Root Mean Square granularity):粒状性の評価の一種、RMS(Rakuten Merchant Server):楽天のECサイトの名称、など実効値以外にも複数ある。

RLC負荷(あーるえるしーふか)

抵抗負荷(R)、誘導負荷(L)、容量負荷(C)を選択できる負荷装置(電子負荷装置の1種)。メーカによっては「RCL負荷」という名称もある。 発電機の評価・検査ではRLC負荷が一般的に使われることが、電子負荷装置のトップブランド、計測技術研究所(パワエレ事業)のホームページに紹介されている。 系統連系試験用の負荷装置として、JETの認証試験(系統連系保護装置等の試験方法通則)やJIS C 8963「系統連系形太陽光発電システム用パワーコンディショナの単独運転検出機能の試験方法」の負荷条件に準拠した製品が各メーカ(電源関連のメーカ)から発売されている。 抵抗(R)やコイル(インダクタンス、L)、コンデンサ(キャパシタンス、C)などの電子部品の値(インピーダンス)を測定するLCRメータは名称がL、C、Rの順である。電気の物理量としては、R、L(またはC)、C(またはL)というRLCかRCLが説明する順番であることが多い。そのためRLC負荷やRCL負荷は大変に納得できる素直な品名である。反対にLCRメータがなぜRCLメータ(またはRLCメータ)と呼称されないのか不可解である。交流インピーダンス測定ではRよりもリアクタンス成分であるLとCが重要なために、LCR(またはCLR)メータという順番になったのかもしれない(あくまで筆者の推測)。

RC発振器(あーるしーはっしんき)

(RC oscillator) 主にオーディオ関連の試験用信号を発生する測定器。RCはResistance(抵抗)とCapacitance(コンデンサ)の略。RとCでフィルタを作り、負帰還回路を組み合わせると正弦波の発振回路ができる。その原理を応用した発振器。以前は大手計測器メーカがつくっていたが、現在はほとんど中止になっている。正弦波以外に方形波、三角波などの多くの波形を出力できるファンクションジェネレータが安価になったことが要因と思われる(CメータがLCRメータに置き換わったことに似ている)。 RC発振器の製品例を紹介する。目黒電波測器(現計測技術研究所)のMCR-4021、松下通信工業(パナソニックモバイルコミュニケーションズ)のVP-7201A、アンリツのMG425B、安藤電気のTCO-47/TCO-48、菊水電子工業の418Bなどがあった。目黒電波測器や松下通信工業はテレビ・オーディオ測定器(映像、ビデオ関連の信号発生器など)をつくっていた計測器メーカ。アンリツや安藤電気は通信計測器メーカだが、電話などの可聴周波数のモデルとしてRC発振器をラインアップしていた。菊水電子工業は現在では安定化電源を主力にEMI関連のモデルもラインアップしているが、1970年頃はオシロスコープや低周波の発振器などの基本測定器、電子部品検査用のカーブトレーサなどのメーカだった(直流電源のラインアップは1970年以降に増えていることが、TechEyesOnlineのインタビューで語られている)

RGB(あーるじーびー)

色の3原色のこと。赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の原色の混ぜる具合で幅広い色を再現する手法や、その割合、表示装置に送る信号などを指す。RGBは3色の頭文字。 TVやDVDプレーヤなどの映像機器の接続にはR、G、Bそれぞれの信号線がある。近年薄型テレビなどの新しいディスプレイが発売され、4K/8K放送が始まり、モニタが高精細になっている。光と色の測定器である輝度計や色彩計などもそれに対応して高性能になっている。コニカミノルタやトプコンテクノハウスなどがカラーアナライザ、色彩輝度計、分光放射計などの製品群をシリーズ化、改良して、新製品を発売している。

RJ11(あーるじぇーじゅういち)

(Registered Jack 11) アナログの電話回線(一般の家庭にある固定電話機)に使われているモジュラー式のコネクタ。FCC(Federal Communication Commission、米連邦通信委員会)が定めたRegistered Jack 11(登録済みのジャック11)の略記。コネクタ形状は端子が6ピン(6極)で、通信線が2本(2芯)のため「6P2C」(6極2芯)と表記される。RJ-11(ハイフンあり)の表記もあり、こちらが正式名称という解説もあるが、ECサイトで流通している商品はRJ11の表記が多い。 アナログの電話回線が基幹通信の主流だった時代に活躍したモデムのケーブルもRJ11である。RJ11は電話機、ADSL、モデムなどの接続ケーブルのコネクタといえる。現在でも現役の電話線(銅線)は通信線が2線式で、コネクタに6つ並んだピンのうち中央の2つに芯線が接続されていて、他の4ピンは使用されていない。 LANのコネクタはRJ11によく似ているが、一回りサイズが大きいRJ45(登録済のジャック45)である。米国電子工業会(EIA :Electronic Industries Association)が規定したRS-232C(Recommended Standard 232 version C)など、米国由来の規格名称が広く世界中で使われている。11や232は団体が規格策定時に発番した番号である。さしずめRJ11は「11番コネクタ」であろう。

RJ45(あーるじぇーよんじゅうご)

LANケーブルに使われているコネクタのこと。FCC (米連邦通信委員会)が定めたRegistered Jack 45の略記。8ピンすべてが信号線に繋がれた8極8芯のモジュラー式コネクタ。ANSI(米国国家規格協会)/TIAで規定された8P8Cコネクタとほぼ同じ。8P8Cはeight positions, eight conductorsの略で、プラグ部とジャック部を総称して8P8Cモジュラーコネクタとも呼ぶ。電話機のコネクタRJ11と外観が似ているがサイズやピン数が異なる。RJ11は6つの位置(ピン)のうち2つを利用する6P2C(6位置2導体、つまり信号線は2本)である。RJ45はコンピュータなどネットワーク機器の接続用(RS-232CやISDNで使用)、RJ11は電話機、ADSL、モデムなどのケーブルで使われる。

RTI(あーるてぃーあい)

(Referred To Input)アンプのノイズ特性(雑音)を規定する時に、RTI(入力換算)とRTO(出力換算)がある。回路で使われる電子部品のオペアンプのノイズ特性は通常、RTIで表記される。計測器のシグナルコンディショナの仕様には、「入力換算雑音」と記載されていたり、ノイズ特性をRTIとRTOの両方で表記していたりする。

RTSA(あーるてぃーえすえー)

(Real Time Spectrum Analyzer) リアルタイムスペクトラムアナライザの略記。 キーサイト・テクノロジーの「情報まとめサイト」で、オシロスコープのトップページには形名別の一覧がある。モデルMXRシリーズにはその特長として「RTSA」と書いてある(2025年12月)。これはMXRシリーズがスペアナ機能があることを示している(テクトロニクス流にいえば、MDOである)。2010年代以降、オシロスコープに他の測定器の機能がオプションで搭載できるモデルが登場し、増えた。キーサイト・テクノロジーはあまりその機能をPRしていない気が筆者はするが、MXRはRTSA機能を特長にしている。 テクトロニクスはRSA306B型やRSA500シリーズなど、RTSAの形名(同社は型名と呼んでいる)がRSAなので、「リアルタイム・スペクトラム・アナライザ(RSA)」というように、RSAと略記することが多いが、一部の資料ではRTSAという表現も見受けられる。つまりRSAよりもRTSAの方が一般的な略記である。アンリツの「フィールドマスタ プロ MS2090A」の関連資料に「リアルタイム スペクトラムアナライザ(RTSA)の基本構成、特性の理解」なる冊子がある。RSAではなくRTSAである。RTOS(リアルタイムOS)のように、リアルタイムはRTと略記されることが多い。 医療分野ではリバース型人工肩関節全置換術 (Reverse Total Shoulder Arthroplasty)をRTSAと呼んでいる。余談だがTSA (Total Shoulder Arthroplasty)は「通常の人工肩関節置換術」、RSA (Reverse Shoulder Arthroplasty)は「リバース型(反転型)」で高度な手術といわれている。医療にもRTSAやRSAがある。