計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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mova(むーば)

1995年4月からNTTドコモが販売開始したPDC端末(携帯電話機)の名称。発売時は4機種あり、おのおの特徴的な形状をしていた。その後のガラケーの主流になる折り畳み式はNECが製造した。ほかに富士通や三菱電機、松下通信工業(後のパナソニック モバイルコミュニケーションズ)がつくった。 当時はアナログの無線方式の2Gの時代で、世界中の無線通信の方式が統一されていなかった。movaは現在のスマホにつながる小型の無線端末(携帯電話機)の走りである。

無効電力(むこうでんりょく)

負荷で有効に利用できない電力のことで、電気エネルギーの消費はない。無効電力=(電力の実効値)×(電流の実効値)×(無効率:sinφ)。(菊水電子工業の製品総合カタログ・用語集より)

無線機テスタ(むせんきてすた)

無線通信測定器の1種(1カテゴリー名)。アンリツMS555が有名なので、無線機テスタというとアンリツの品名ともいえる(同社が無線測定器の代表メーカであることを伺わせる)。アナログ無線通信時代(2000年頃まで)に、無線機の総合試験機として重宝された。SG(信号発生器)にPM(RFパワーメータ、高周波パワーメータ)やSA(スペクトラムアナライザ、スペアナ)機能などを付加し、送信と受信の両方を1台で測定できる。後のデジタル無線通信時代の携帯電話評価用のワンボックステスタの源流。 国産では日本無線(JRC)の計測器部門もラインアップがあった。安藤電気はラジオコミュニケーションアナライザの品名で無線機テスタ製品があった。海外のマルコーニ(旧AEROFLEX、現在はVIAVIの傘下)製品は菊水電子工業が現在でも取り扱っている。ローデ&シュワルツはアドバンテストの外販営業部門が販売していた(この部署が独立して現在の日本法人となった)。 アンリツの形名がMSであることから、同社はスペアナの1種と位置付けていたと推定されるが、その後のデジタル通信時代にはMT8801ラジオコミュニケーションアナライザがある(ワンボックステスタのテスタからTをとったと推定。また品名も無線機テスタではない)。また同時期に スペアナをベースにしたMS8608デジタル移動無線送信機テスタという製品もある。これは「送信機テスタ」というスペアナの1種で、ワンボックステスタ(T)と送信機テスタ(S)の2系統の製品でユーザニーズに応えていた。 2000年代中期には無線機テスタの種類は次の4つといわれた。1.RFコンフォーマンステストシステム、2.シグナリングテスタ+プロトコルテストシステム、3.デジタル無線機テスタ、4.サービステスタ。この分類は(現在からみれば)大変広義の解釈である。無線機テスタとはアナログ方式の無線機の総合試験機で、デジタル時代になるとワンボックステスタとよばれ上記3と4がデジタル無線の無線機テスタといえる(4は保守用途に特化した小型のモデル)。シグナリングテスタ(呼接続試験機)は現在では別カテゴリーとして確立している。2000年代は携帯電話のデジタル方式が始まった黎明期で、その当時の解説といえる。 計測器情報:品名に無線機テスタが付く製品の例

無線給電(むせんきゅうでん)

(wireless power supply、Wireless Power Transmission) 電力は通常、ケーブルで供給されるが、無線によってそれを行う技術のこと。小型の携帯電気機器(スマートフォンなど)ですでに実用化されている。自動車の電動化(EV車)に伴い、各種の研究(方式や使用する周波数)が行われている。たとえば共振方式ではコイルに高周波で大電力を流すことが模索されている。 別名:非接触給電、ワイヤレス給電。Wireless Power Transmissionを略してWPTと記載している文献もある。 2030年代には世界市場の規模は1兆5000億円といわれる。信号の伝送は無線化が進んだが、電力の伝送だけはケーブルによる有線通信である。そのため、メディアではパワーエレクトロニクス最後のフロンティアなどとも書かれて取り上げられている。2021年度に総務省は無線給電に使用可能な周波数帯域の拡大のために、電波法の改正を検討している。

無線式ロガー(むせんしきろがー)

計測器のカテゴリー(機種群)として「無線ロガー」はまだ確立しているとはいえないが、最近の流行りで各社がラインアップしてきたので、解説する。 従来、離れた場所の物理量(温度など)を子機で測定し、データを無線で親機に送り、データ収集やデータ監視、ロギングをするという計測システムはあった。温度計とロガーは親和性が良く、温度計とデータロガーが合体した、温度ロガーも従来からあった。計測器としての温度ロガーを新しい形態に進歩させたのは株式会社ティアンドデイ社の「おんどとり」である。小型・安価な製品で、工場の各場所に設置して温度を記録し、定期的に設置場所を回ってデータを収集した(小型・安価なことが従来製品との違い)。1999年には無線モデルを発売し、各所に設置した計測器を確認に行く必要は無くなった。温度測定器 やデータロガー をつくっていた計測器メーカ(日置電機、チノーなど)は、現在、ほぼ「おんどとり」と同等の製品を発売している。温度計のラインアップが多い安立計器が2019年に発売したワイヤレスサーモロガーTWS-100は多チャンネルの無線式ロガーである。このように温度測定用の「無線ロガー」は1つのカテゴリーを形成してきている。 株式会社アドバンテストは2015年にAirLoggerの商標で、おんどとりとは別のコンセプトの無線ロガーを発売した。子機はボタン電池を内蔵したセンサで、小型なので回転体などに装着できる。親機は、外観がほとんどUSBメモリで、PCのUSBポートに装着し、PC上のソフトウェアで制御を行う。2017年には温度だけでなくひずみセンサを揃えた2モデル目を発売し、自動車市場などに販売数を伸ばしている。これも無線式ロガーの最新の一例といえる。 自動車業界向けの計測器が多い小野測器は2022年に「無線温度計測システムWC-1000 / WT-1000シリーズ」を発売したが、製品構成はアドバンテストのAirLoggerとほぼ同じである。

無線LAN(むせんらん)

(wireless LAN) 無線通信によってデータの送受信をするLAN。別名、ワイヤレスLAN。Ethernet規格の一部である「IEEE 802.11b」で規定されたが、2000年代に無線LANの1種であるWi-FIが普及したため、現在ではWi-Fiは無線LANと同義。無線LANよりもWi-Fiの方が良く使われることばになった。たとえば、多くの家庭にはWi-Fiルータがあり、PCなどの情報機器と無線通信している。Wi-Fiルータは光ファイバやCATVなどの通信網でネットワーク(インターネットなど)につながっている。 LANは1980年代に銅線ケーブルを使い、建物内(限定された狭い範囲内)でネットワークを構築したのが始まり。1990年代の企業内へのOAパソコンの普及、インターネットの拡大によって、LANは企業内に広まった。その後、無線方式のLANが登場し、従来のLANは有線LANと呼ばれるようになった。従来のLANは設計開発や検証時にLANプロトコルアナライザを使用したので、LANアナライザというとプロトコルアナライザを指すことが多かったが、無線LANは無線の評価があり、無線機テスタのような「無線を使用する機器の、無線の総合評価」をする無線LANアナライザもある。そのため無線LANアナライザの範囲は広く、計測器の名称からはプロアナか無線機テスタか判別しにくい場合が多い。「無線LANテスタ」という呼称もあり、無線機テスタで無線LANに対応したモデルが各社から発売されている。LANケーブルメータ(ケーブルテスタ)は有線LANであることが名称から想像できる。 無線LANは2010年代に多くの電子機器に広がったため、無線通信測定器の雄、アンリツは「無線LANに詳しくない技術者でも使える」をコンセプトに、無線LANテスタMT8862A(品名はワイヤレスコネクティビティテストセット)を2017年3月に発売している。同社の形名でMTは無線機テスタ、ワンボックステスタを示している(2文字目のTはtesterからの命名といわれている)。つまり、MT8862Aは無線LAN用の無線機テスタである。 ハンドヘルドの無線LANテスタ、AirCheck G2はWi-Fiなどの接続試験ができるので電気工事会社で重宝されている。

無線LANアナライザ(むせんらんあならいざ)

(wireless LAN analyzer) 無線LANプロトコルアナライザの略称。LANプロトコルアナライザはLAN用のプロトコルアナライザ。有線だったLANが「IEEE 802.11」という規格で無線になった。「無線LAN」や「ワイヤレスLAN」と呼ばれる。この規格に準拠した無線LAN機器メーカの団体がWi-Fi(ワイファイ)という規格をつくった。そのため無線LANとWi-Fiは現在では同じことである。無線LANプロトコルアナライザはIEEE 802.11用のプロトコルアナライザといえる。Wi-Fiアナライザと呼んでいるメーカもある。 「プロトコル」が略されて「無線LAN(またはWi-Fi)アナライザ」という場合、スペクトラムアナライザなどのRFの測定器を指していることがあるので注意が必要。何の項目を測定するかの確認が大事である。Wi-Fiが広く一般家庭に普及したため、品名などの名称が「無線LANテスタ」と呼ばれる製品群も増えている。たとえばNetAlly(旧NETSCOUT)のAirCheck G2やアンリツのMT8862Aなどがある。

無線LANプロトコルアナライザ(むせんらんぷろとこるあならいざ)

(wireless LAN protocol analyzer) 無線LANでデジタル通信を行っている機器間のプロトコル(定められた通信方式)を測定し、機器の検査や通信障害の解析を行う計測器。無線LANが登場し、普及する時期に機器の開発メーカや、保守点検で盛んに使われた。別名、無線LANアナライザとも呼ばれる。 Wi-Fiなどが十分に広まった現在ではプロトコルの確認よりも、RF(無線)の項目の評価に確認事項の比重が移り、無線LANアナライザや無線LANテスタというとスペクトラムアナライザや無線機テスタのような機能の測定器を指すことが多くなった。ただし、無線LANに新しい規格が登場すると、それに対応する機器の開発・検証用途で、新しい規格に対応した無線LANプロトコルアナライザが登場する。新規格とともにプロアナは開発され、このカテゴリーの計測器がなくなることはない。

無停電電源(むていでんでんげん)

蓄電池を内蔵していて、停電時でもしばらくの間電気を供給できる電源。別名:UPS(Uninterruptible Power Supply)。メーカとしてはAPC(American Power Conversion)が有名。PC用のUPSではオムロンも名前があがる。計測用電源の高砂製作所にはUPS機能がある交流電源があった(ポータブル電源 PP-2001A、現在は生産終了)。

無電解ニッケルメッキ(むでんかいにっけるめっき)

(electroless nickel plating 、chemical nickel plating )電気を使用しないでメッキする処理のこと。メッキの膜厚が均一につくため、「複雑な形状」「寸法精度を有するもの」に適している。 鋼上での耐食性は、電気ニッケルメッキ皮膜より良好で、無電解メッキ特有の皮膜厚さの均一性被覆能力が優れていること等があげられる。また、数%のリンを含有しているため、有機物、塩類、有機溶剤及び苛性アルカリ、希薄鉱酸に対しても優れた耐食性を示す。(フィッシャー・インストルメンツの膜厚測定、素材分析、材料試験、表面特性解析に関する用語集より)

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