計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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ベアボードテスタ(べあぼーどてすた)

(bare board tester) ボードテスタの1種。電子部品が実装されていないプリント基板(ベアボード)の配線パターンが、設計通りにできているかを検査する測定器、プリント基板の検査装置。機能は多ピンの治具(コンタクトピン)を持つデジタルマルチメータ(またはLCRメータ)である。bareとは裸の意味。ベアボードを「生の基板」と表現することもある。 参考用語:プリント配線板 参考記事(会員専用): 【展示会レポート】JPCA Show 2018 大学展示コーナー(計測関連展示の2校)の2ページ目 ・・ボードテスタに代わる新しい検査手法であるバウンダリスキャンについて一般社団法人エレクトロニクス実装学会の亀山博士に解説いただいた。

平均化処理(へいきんかしょり)

(Averaging)1.種類。1)加算平均(Summation averaging)またはノーマライズ加算平均(Normalize summation averaging)2)指数平均(Exponential averaging):回数の設定ではなく最新データの重みづけの数値を設定。この数はアナログのRCフィルタの時定数に相当。3)ピークホールド(Peak hold):パワースペクトルのピークホールドを行う。ピークホールドスタートからポーズまでの各周波数ライン毎の最大値をホールド(記憶)する。連動してマックスオーバーオール機能がある。これはオーバーオールのピークホールド機能で、オーバーオールが最大値であった時の瞬時のパワースペクトルを記憶する。ピークホールドモードには平均化回数設定はないため平均化モードにおいてスタートとポーズ(ストップ)の操作が必要。すでに平均化回数が設定されていてもピークホールドには関係ない。ピークホールド実行時はCRTの実行回数が増える。これはFFT演算の回数を示している。(注意:ピークホールドモードはチャンネル間演算等ができないので、次の関数の平均結果の表示はできない。クロススペクトル、周波数応答関数、コヒーレンス関数、コヒーレントアウトプットパワー、インパルス応答)4)減算平均(Subtraction averaging):加算平均後のパワースペクトルからパワースペクトルを減算する機能。5)スイープ平均(Sweep averaging):サイン信号を使用して周波数をスイープし、その信号に応じてFFT演算を行う。1回の取り込みごとにマスタチャンネル側で最大のスペクトル(1ライン)を検出し、その1ラインについてのみ計算し、そのラインのみ更新する。外部スイープ信号のスイープ速度が演算処理時間より速い場合、求められないスペクトルラインが生じる(歯ぬけ)。2.平均化処理できる領域と種類。1)時間領域平均:加算平均、指数化平均。(時間領域の平均化はトリガ機能を使用する必要がある。)2)周波数領域平均:加算平均、指数化平均、ピークホールド、減算平均、スイープ平均。3)振幅領域:加算平均。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より)計測器の機能の名称としては「アベレージング」と呼んでいることが多い。

平均雑音レベル(へいきんざつおんれべる)

(average noise level) スペクトラムアナライザの熱雑音 により内部で発生する雑音レベルの平均値。 >参照用語:表示平均雑音レベル

平均値(へいきんち)

交流の半周期間の瞬時値の平均の値。現場で使われるハンドヘルドのテスタの指示は一般に平均値。正弦波の場合、平均値=最大値×2/π=最大値×0.637。実効値が100Vの場合、平均値=最大値×2/π=141×0.637=90(V)。一般のテスタでは平均値を指示するが、この値が正弦波の実効値になるように修正されている。これを平均値検波実効値指示型と呼ぶ。よって正弦波以外の波形の場合は誤差になる。これに対して、実効値が直接測定できるタイプを「真の実効値タイプ」と呼び区別している。(共立電気計器株式会社の用語集より)参考用語:True RMS参考記事:デジタルマルチメータの基礎と概要 (第3回) 「DMM測定機能と確度仕様」「AC測定」の章で平均値整流方式と真の実効値変換方式について解説している。

平衡(へいこう)

(balence) 電気信号の伝送方式には大きく平衡と不平衡(unbalence)がある。信号線が1本で、グランドとの電位差によって信号を伝送しているのが不平衡。2本の信号線を使い、1本には伝送したい信号を、もう1本にはその信号のマイナスの大きさ(逆位相)信号を送ると、信号が平衡関係にあるため、平衡と呼ばれる。データ伝送では「対の信号線を使い、その電位差で信号を表す」伝送方式といわれる。2本の電線はどちらも接地されない(信号がグランドレベルに左右されない)ため、不平衡に比べて平衡は耐ノイズ性能が高く、長距離、高速通信に向いている。具体的にはシリアル通信 のRS-422、RS-485、LVDSなどの規格。 プロトコルアナライザなどの有線通信分野では平衡というが、別名、差動とも呼ばれる。オシロスコープのプローブなどでは1本伝送を「シングルエンド(single-ended signalling、最後まで1本で伝送する)」、2本の場合を「差動」伝送と呼んでいる。平衡(balance)=差動(differential )で、両方は全く同じことを違う表現をしている。「(2本の線が)平衡(している)」、「(1本なので平衡していない、つまり)不平衡」という表現が、見方を変えると「(2本の)差動」と「シングル(1本で)エンド(最後まで伝送)」という表現になる。平衡、不平衡ならまだわかりやすいが、シングルエンドと差動は素人には理解しにくい。計測の世界は、(原理を知っている)知識のある限られた人々のニッチな世界(ツウな業界)である。 平衡(=差動)は不平衡(=シングルエンド)に比べて2本の電線が必要だが、技術の進歩によって従来より低い電圧での伝送が可能になり、LVDSのような従来より低電圧の差動伝送方式が普及している。

平衡相対湿度(へいこうそうたいしつど)

(Equilibrium Relative Humidity)[水分用語] 吸湿性の物質が周囲環境との間で水分の交換が無い状態での相対湿度。略記:ERH。 空気とその近傍のどの物質とも正味の水分の交換がない場合の空気の相対湿度(「気体中の水分管理」の会社、株式会社テクネ計測の「湿度で良く使われる用語」より)。 参考用語:湿度、絶対湿度

平衡調整確度(へいこうちょうせいかくど)

(balancing accuracy) 平衡調整動作の確度。入力ひずみ値などに換算して示される。(ひずみ測定器メーカである株式会社東京測器研究所の「測定器の概要と主な用語」より) 参考用語:平衡調整範囲、ブリッジ電源

平衡調整範囲(へいこうちょうせいはんい)

(balancing range) 測定器で調整できる初期不平衡値の範囲。ブリッジ電源に交流を用いた搬送波型測定器では、抵抗値だけでなく容量値についても示している。(ひずみ測定器メーカである株式会社東京測器研究所の「測定器の概要と主な用語」より) 参考用語:平衡調整確度

米国薬局方(べいこくやっきょくほう)

( United States Pharmacopoeia)略記:USP。米国の医薬品に関する品質規格書。試験法や純度の基準などが記されている。

並列運転(へいれつうんてん)

計測用電源などで、1つの負荷に2台以上の電源機器の出力電流の和が取り出せるように電源出力を接続して運転すること。(菊水電子工業の製品総合カタログ・用語集より)

並列接続(へいれつせつぞく)

(parallel connection)複数の物を横に並べてつなぐこと。電気回路では抵抗やキャパシタなどの電子部品を並列につなぐことがある。同じ2つの抵抗を並列接続すると、抵抗の大きさは2倍ではなく逆数の和算になる。物を縦につなぐ直列接続では抵抗値は2倍になる。 計測用電源の安定化電源(CV/CC電源)は同じ機種を2台並列接続すると出力電流が2倍に増える。ただし、どのモデルを何台までつなげられるかは、メーカに確認が必要で、不用意に多くの台数をつなぐと正常動作が保証されない。回生型直流電源を早くから手掛けていたMywayプラスは直列・並列接続が自由にできて容量をフレキシブルに変えられることを売りにしていた(2022年8月現在は他社でも普通にできるようになっている)。 参考用語:並列運転 参考記事:電子負荷と直流電源が一体型の回生電源 Mywayプラス pCUBE・・並列接続の例。

BASIC(べーしっく)

プログラミング言語の1つ。Beginner's All-purpose Symbolic Instruction Codeの頭文字を取った造語。1964年に米国のダートマス大学で開発された。日本では1970年代後半のパーソナルコンピューターに良く使われた。たとえばシャープ「MZ-80K」(1978年発売)、NEC「PC-8001」(1979年発売)、富士通「FM-8」(1981年発売)などがBASICを採用していたので、理工系の学生を中心にBASICでプログラムを作成することが普及した。初級者には勉強しやすい言語で、後にC言語など他のプログラム言語を理解するための基礎学習となった。マイクロソフトはBASICの進化系であるVisual BASICを開発した。

pH(ぺーはー)

(potential Hydrogen)溶液の水素イオン濃度を示す。pH7が中性で、数が7より小さいと酸性、大きいとアルカリ性。溶液の大まかな状態を知る指標。日本語では「水素イオン指数」。ペーハーやピーエッチと呼称。pHの測定にはpHセンサやpH計が使われる。pH計は水質計と呼ばれていることが多い。参考記事:【展示会レポート】IIFES(アイアイフェス)2022/3ページ目。東亜ディーケーケーのポータブル水質計を取材。

pH計(ぺーはーけい)

液体の水素イオンの濃度を測定する機器。水質計の1種。pHとは水溶液の酸性・アルカリ性の程度を数値で示したもの。水素イオンの濃度(mol/L)が10-7乗をpH:7として中性、7より小さいと酸性、大きいとアルカリ性。pH=-log10(水素イオン濃度)。濃度の程度を知る指標として良く用いられる。ラボでの実験、現場での点検などの品質管理など幅広く使われ、通販でも購入できる。堀場製作所などの分析計メーカから、現場測定器メーカまで数が多い。ラテン語のpounds Hydrogeniiが語源(pounds:重量、Hydrogenii:水素)。読み方は「ぴーえっちけい」もある。

ペーパーレス記録計(ぺーぱーれすきろくけい)

(paperless recorder)紙に印字する機能が無い記録計のこと。1950年代のディジタルマルチメータ(DMM)の登場と同じくしてペーパーレスのデータロガーが計測システム製品として登場した。現在ではグラフィックディスプレイを持った多チャンネル記録計や、すべての設定や測定結果の表示をパソコンで行うものなどさまざまな製品が登場している。横河電機は早い時期からペーパーレスに着眼し、「これからの記録計は紙で残すのではなくメモリに記録し、PCで後処理する」という方針を強く打ち出してきた(同じ時期に同業の計測器メーカである日置電機や三栄測器は印刷機能を主要な特長にしていた)。横河電機はペーパレスモデルを計装、IA分野向けに多くをラインアップしている。横河電機と横河計測の記録計(レコーダ)の違いは用語「記録計」を参照されたい。当サイトの技術情報・レポート/原理・基礎の「記録計・データロガーの基礎と概要」に、他の種類の製品も含めて解説がある。https://www.techeyesonline.com/tech-column/detail/Reference-Recorder-01/

ベクトルシグナルアナライザ(べくとるしぐなるあならいざ)

(Vector Signal Analyzer)キーサイト・テクノロジーの89600シリーズの名称。略記:VSA。デジタル無線などで使われるベクトル変調信号の解析を主眼にした測定器。PCに接続して使用する。各種の解析ソフトウェアがオプションで用意されている。スペクトラムアナライザが変調解析機能を搭載したシグナルアナライザになる以前は、デジタル無線に使われる変調方式の解析に使われた。現在は製造中止。略してシグナルアナライザ(変調解析ができる測定器)とも言われたが、現在はシグナルアナライザというと最近のスペクトラムアナライザの名称である。

ベクトル信号解析(べくとるしんごうかいせき)

テクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて(2009年9月発行)」では「ベクトル信号解析:RF信号の変調の特性を評価する測定技法。ベ クトル解析は振幅と位相の両方に対して行われる。」とある。同社がリアルタイムスペクトラムアナライザ製品を発売する以前に、RF測定器の雄、キーサイト・テクノロジーにはベクトルシグナルアナライザ(Vector Signal Analyzer、VSA)というオンリーワン製品があり、ベクトル信号解析の標準器だった。2000年代以降、世界的に携帯電話のデジタル化(3G)が普及し、デジタル変調方式の進化に伴いスペクトラムアナライザのシグナルアナライザ化などが進み、VSAはその役目を終えた。ベクトル信号解析は現在はスペクトラムアナライザで行われている。

ベクトル信号発生器(べくとるしんごうはっせいき)

(vector signal generator) 信号発生器の分類方法の1つに、アナログ信号発生器とデジタル信号発生器があり、後者をベクトル信号発生器と呼称する。無線通信で使われるデジタル変調方式に対応した高周波の信号発生器。 国産のアンリツは無線通信計測器の世界的チップベンダで、2024年4月現在の信号発生器のラインアップは以下の3モデルである。 ・アナログ信号発生器 MG3740A(100kHz~6GHz) ・ベクトル信号発生器 MG3710E(100kHz~6GHz) ・RF/マイクロ波信号発生器 MG362x1A(9kHz~70GHz) まだアナログの無線通信が主流だった1980年頃の同社の信号発生器の品名は「標準信号発生器」だったと筆者は記憶しているが、現在ではデジタル無線通信用途のモデルの名称は「ベクトル信号発生器」であることがわかる。 キーサイト・テクノロジーは汎用のファンクションジェネレータ(Trueform)から任意波形発生器、パルス発生器まで、低周波から高周波のほぼすべての信号源をラインアップする老舗で、計測器メーカの中で信号発生器のラインアップが一番豊富である。無線通信用途のモデルの品名は、「アナログ信号発生器」と「ベクトル信号発生器」に統一されている(2024年4月現在の同社ホームページより)。 アンリツ、キーサイト・テクノロジーと並ぶ無線通信計測器3大メーカの1社、ローデ・シュワルツの信号発生器は9分類されているが、主要なタイトルは以下である(2024年4月、同社ホームページ)。 ・アナログ信号発生器(SMA100B RF/マイクロ波信号発生器など) ・ベクトル信号発生器(SMBV100B ベクトル信号発生器など) ・ベースバンド信号発生器 ・放送信号発生器 同社のアナログとデジタルの信号発生器の品名の名称も前2社と全く同じである。 1μHz(モデルAFG1002/1062)~20GHz(AWG7001B)と、低周波から高周波まで、汎用のファンクションジェネレータから無線通信用途の任意波形発生器まで、FGとAWG(両方の機能があるAFG)を広くラインアップするテクトロニクスは、通信・高周波(ワイヤレス)用途の信号発生器として次の2種類があると解説している(同社ホームページ、2024年現在)。 ・RF signal generator(日本語訳:RF信号発生機):ワイヤレス・アプリケーションに使用され、AM、FM、PMなどのアナログ変調も提供する信号発生器。 ・RF vector signal generator(日本語訳:RFベクトル信号発生器):デジタル通信アプリケーションのRF キャリア上でアナログとベクトルの両方の変調をサポートする信号発生器。 上記を筆者なりに説明すると、「RF信号発生器とは、標準信号発生器などの従来からの高周波(無線)の信号源で、アナログ変調(AM変調、FM変調、PM変調)機能のあるモデルも含む」。RF(Radio Frequency)とはMHz(~GHz)の無線通信に使われる周波数を指す。「RFベクトル信号発生器とは、アナログ変調だけでなく、現在の携帯電話などの移動体通信で使われているデジタル方式の無線に対応した、ASKやFSK、PSKなどのデジタル変調の信号も出力できる信号発生器」。つまり、ベクトル信号発生器とはデジタル変調機能があるモデルのこと、といっている。同社のTSG4100Aシリーズの品名は「ベクトル信号発生器」で、特長の1番目は「アナログおよびベクトル/デジタル信号生成機能」とある。(同社ホームぺージ)。なので、品名はRFベクトル信号発生器ではなく、ベクトル信号発生器となっている。 このように、主要な大手計測器メーカの無線通信向け信号発生器で、現在流行りのデジタルに対応したモデルは「ベクトル信号発生器」という名称になっている(驚くべきことだが、品名が統一されている)。1990年代にデジタル方式が登場・普及し始めたときはI/Q変調信号発生器やI/Qジェネレータという、I/Qという表記が多かったと筆者は記憶しているが、現在は信号発生器の名称としてはI/Qは過去のものになったようである。同様に、標準信号発生器という名称もほとんど見かけなくなった(標準信号発生器とは、高精度であることを「標準」という表記で表す、無線通信用途の信号発生器の代表的な名称・品名だった)。通信計測器は時代とともにある専用器が多く、信号発生器のような基本測定器でも、品名は10年もすると変わってしまい(流行がある)、オシロスコープやマルチメータのような往年の長く続く名称・品名ではない。 直交座標でベクトル表示をするときの2成分をI(あい)、Q(きゅう)と呼ぶ。I:In-Phase(同相)、Q:Quadrature-Phase(直交位相)。つまり、I/Qと「ベクトル」は同じことを意味している。表記はメーカによってI/QとIQの2通りがあった。同じメーカでもモデルや技術資料によって、ベクトル信号発生器やI/Q変調信号発生器、IQ信号発生器、などの複数の表記や品名が2000年代まではあったと筆者は記憶している。 計測器の品名には使われなくなったが、I/Q信号やI/Q変調ということばは、デジタル無線(デジタル変調)の基礎なので、いまでも良く使われる用語である。

ベクトルスコープ(べくとるすこーぷ)

テレビ信号において、有線または無線の伝送系から受ける副搬送波の振幅ひずみと位相ひずみを測定する機器。

ベクトル電圧計(べくとるでんあつけい)

RF帯の電圧と位相を測定する機器。(=ベクトルボルトメータ)