計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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Rx(あーるえっくす)

有線・無線通信で受信データのこと。Received dataの略記(小文字のxはデータの意味)。受信機(レシーバ)のことをRxと記述している例もある。Rxと対になる送信データはTx(Transmission dataの略記)と記載される。Rx同様に送信機をTxと表記することもある。

IETF(あいいーてぃーえふ)

(Internet Engineering Task Force) インターネット技術の標準化を推進する任意団体(NPO法人)。ネットワークにつながる機器の相互接続のための技術仕様を議論するグループから発展したといわれる。企業ではなく個人で登録し、WG(ワーキンググループ)に参加して議論することができる。 インターネットの円滑な運営を支えるための組織である、一般社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンターのHPには「1992年に組織化された、インターネットガバナンスの頂点に立つ学会機関であるISOC(Interet SOCiety)の下にIETFが属している」旨が明記されている(2024年11月現在)。IETFがインターネットの技術的な側面の議論検討を行うのに対して、社会学的側面や経済的側面からインターネットに関する課題や問題の解決を行うためのISTF(Internet Societal Task Forse)という組織もISOCにはある。 VoIP(Voice over IP、インターネットを使った音声通信技術)で使われるシグナリングのSIP(Session Initiation Protocol)はIETFが標準化した。

IP(あいぴー)

(Internet Protocol)インターネットで使われているネットワーク層プロトコル。 米国の国防総省のネットワークプロジェクトで開発されたプロトコル。軍事技術が民間に広まった例の1つ。

IP負荷試験装置(あいぴーふかしけんそうち)

ネットワーク機器に負荷を与えて、パフォーマンスを評価する測定器。2000年頃にインターネットが普及し、IP電話(VoIP)など「IP」は流行りのことばだったが、今ではIPは普通になったので略して、負荷試験装置や負荷試験機(または負荷試験器)と呼ばれている。インターネットなどネットワークの様々な機器の性能を評価する測定器。機器にたくさんの端末からアクセス(トラフィック)が集中したときに、正常な動作(所定の性能を発揮)できるかを試験する。電話機の時代の疑似呼(ぎじこ)に似ている。ネットワーク機器に負荷をかけるというネーミング。通信方式やインタフェースなどの機能ごとにユニットがあり、メインフレームに装着する構成のモデルが多かった。 2000年代には海外のIXIA(イクシア)やSpirent Communications(スパイレント。取り扱いは東陽テクニカ)社のSmartBits(スマートビット)が活躍したが、現在はほぼ生産中止になっている。スパイレントは情報通信の基礎技術をもとにセキュリティの会社となったが、基幹通信網で蓄積した負荷試験装置の技術をほかの通信規格に応用し、ネットワークの品質を評価する測定器を販売し続けている。次世代ネットワークパフォーマンステスター「Spirent TestCenter」(トラフックジェネレータ)などの製品がある。IXIAはネットワークパケットブローカなどの通信機器にラインアップを移し、2018年にキーサイト・テクノロジーに吸収されている。 2005年に横河電機はIP負荷試験器Traffic TesterPro AE5511を発売した。この実態は、吸収した有線通信計測器の老舗、安藤電気の製品であるが、スマートビットやIXIAほどヒットした記憶はない(現在は生産中止)。富士通の関連会社がつくった測定器に、IPネットワークエミュレータという品名の製品があった。無線通信測定器の雄、アンリツにはMD1230データクオリティアナライザというイーサネットに対応したモデルがあり、IP負荷試験装置といえる。現在の同社の「IPネットワーク測定器」と称する機種群にはMT1040Aネットワークマスタ プロがあるが、IP負荷試験というよりSDH/SONETアナライザ系列のモデルといえる。 IP負荷試験という表現は少なくなったとはいえまだみかける(2020年現在)。別名、ネットワーク負荷試験機やネットワークシミュレータ、トラフィックジェネレータという表現もされている。

アクセス網(あくせすもう)

従来はNTTの電話局の交換機と加入者(各家庭や事業所の電話機)を結ぶネットワークを指した。現在は電話機がPCやスマホになり、交換機はルータに変わりインターネットの世界となったが、NTT以外の通信事業者(キャリア)が増えても、いまだにアクセス網はNTTが強く、他の通信事業者はNTTのアクセス網を借りて通信をしている場合が多い。NTTもアクセス網をFTTH(Fiber To The Home、家まで光ファイバを届かせる)の掛け声で光ファイバ化し、フレッツ光などのサービスを展開している。アクセス網を光ファイバにして高速にしたのがPON(Passive Optical Network、ポンと呼称)である。アクセス網の先にあるネットワークの中枢(基幹通信網)をアクセス網と区別してコアネットワークと呼んでいる。

安藤電気(あんどうでんき)

(Ando Electric Co., Ltd.) 1933年~2004年に存在した老舗計測器メーカ。正式名称:安藤電気株式会社。東京証券取引所第二部に上場。通信計測器や半導体テスタをつくっていた。大株主はNECで、アンリツ同様にNEC系の計測器メーカだが、安藤電気はNECの持ち株比率が高く、NEC出身者が複数人、社長になっている。有線通信の計測器ではYHP(現キーサイト・テクノロジー)やアンリツと競っていた。独立系ではなくNECが大株主だが、「通信と半導体」という時代の先端を担ったハイテク企業である(1977年にNECはコンピュータ&コミュニケーションを標榜する「C&C」をCIにしていた。通信とコンピュータである)。 1933年に安藤氏が創業。電電公社(現NTT)から通信計測器の開発を任された電電ファミリーの1社。光通信測定器はアンリツと安藤電気の2社がNTTに納めた。1980~2000年頃につくっていたのは基幹通信網の伝送装置向けの測定器である、SDH/SONETアナライザ、 MTDMアナライザ、モデムテスタなど。有線通信には強かったが無線ではアンリツに遠く及ばなかった(ラインアップには無線機テスタはあるが、SGやスペクトラムアナライザはない)。NTTなどに最先端の計測器を納入した。単発の波形しか捉えられないが、パルススコープとでもいうオシロスコープの原子版のような測定器をつくったという話がある。インピーダンス測定も早くから行い、「ブリッジなどの回路素子測定器をつくっていた横河電機の製品より高精度な測定結果」と評価した大学教授もいた。 1980年代の通信測定器以外のラインアップは、ICE、ROMライタ、LCRメータ、tanδ測定器など。ICEはインテル80386などの最先端のCPUに果敢に挑戦したが、特定顧客にしか販路が広がらなかった。ROMライタはNECから情報を得るなど、幅広いチップに対応したが、協力関係にあった浜松東亜電機(現東亜エレクトロニクス のフラッシュサポートグループ)に技術移管し、製品は現在も続いている。LCRメータはシリーズ化でシェアを伸ばしたが、業界標準のHP(現キーサイト・テクノロジー)のような高周波モデルが開発できず撤退した。 2000年の光海底ケーブルバブルで屋台骨の光計測器が落ち込むと経営が傾いた。大株主のNECが半導体ビジネスから撤退するのに伴い、子会社にATE製品(半導体検査装置)は不要となり、NECに変わる株主が必要となった。横河電機が資本参加し、安藤電気の全事業を受け入れた(2001年にNEC保有株式が横河電機に売却された)。2002年に安藤電気は横河電機の100%出資子会社になり、2004年には事業再編で解体している。 プロトコルアナライザや光通信測定器では当時世界No.1のHPと競い、モデルによってはHPより売れた製品もあった。光通信測定器は現在の横河計測株式会社に引き継がれ、光スペクトラムアナライザは世界No.1である(2022年現在)。 前述のようにNECが半導体デバイスビジネスをするために、グループ内の計測器メーカに半導体テスタをつくらせた。そのため安藤電気の半導体テスタは同業のアドバンテスト(旧タケダ理研工業)などに比べるとNEC以外にはあまり売れなかった。1970年代から2000年頃の半導体テスタは最先端の検査機器(花形製品)として、複数の計測器メーカがつくっていた。安藤電気は半導体テスタ事業が赤字でも、通信計測器(プロトコルアナライザや光計測器など)が補填した。ところが光計測器が赤字になったときに半導体テスタはそれを補填することはなく、会社は立ち行かなくなった。 軽率なことはいえないが、安藤電気がもし半導体テスタをやっていなかったら、光通信などの有線通信計測器の世界トップメーカとして存続していたかもしれない。2002年の社長である本橋氏は同社の計測器事業部出身の技術者で、何代も続いたNECからの天下りではなく生え抜きだった。キーサイト・テクノロジー(当時はアジレント・テクノロジー)が光測定器を縮小したので、安藤電気は光測定器で世界No.1になる目前だった。計測出身のプロパー社長のもとで躍進することなく、横河電機に身売りすることになったのは残念である。 参考用語:YEW、Acterna、ミナトレクトロニクス、光計測 3A 計測器情報:安藤電気の光測定器、安藤電気のプロトコルアナライザの例

IXIA(いくしあ)

2000年代にIxia Communications(イクシアコミュニケーションズ)社のIP負荷試験装置はSPIRENT(スパイレント)社のスマートビットと共に、ルータなどのネットワーク機器をつくる通信機器メーカやキャリア(通信事業者)に採用されていた。XGS2などの形名の製品があった。当時、IP負荷試験装置といえば、Smartbits(スマートビット)かIXIAが有名だった。 IXIAはコンセプトから運用まで、ネットワークとセキュリティ製品をサポートするソリューションを提供した。製品のリリース、アプリケーションの導入、運用中の製品の管理など、ネットワークにおけるテスト、可視化、セキュリティに関する幅広いソリューションである。 IXIAは計測器(ネットワークの評価装置)である負荷試験機だけでなく、ネットワーク機器もつくった。2018年にキーサイト・テクノロジーはIXIAを買収した。当初は社内カンパニーの扱いでIXIAの企業ロゴも使われていたが、2022年現在、IXIAという名前やロゴはまったく姿を消して、旧IXIAのネットワーク機器はキーサイト・テクノロジーのネットワーク ソリューションとして同社ホームページに掲載されている。

Interop(いんたーろっぷ)

インターネットテクノロジーの国内最大のイベント。ネットワークにつながるモノのInteroperability(相互接続性)を検証する場として、日本では1994年から毎年開催されている。 幕張メッセで2024年6月5日~7日に開催されたInterop 2024には光伝送の関連メーカ(通信キャリア、光部品、伝送装置、計測器メーカなど)が出展した(会場の約35%の空間はデジタルサイネージ)。 計測器メーカとしてはViaviソリューションズ(OTN関連の光伝送の通信計測器、光パワーメータなど)、メインテクノロジー(VeEXの現場測定器の光測定器、OPMや数値表示の簡易OTDRなど)、原田産業(EXFOの販売店、ただしEXFO製品は展示していない)、東陽テクニカ(Spirentの負荷試験機など)、キーサイト・テクノロジー(IXIAの負荷試験機など)、データコントロールズ(製造ライン向けの負荷試験機など)。独立行政法人 情報処理通信機構(IPA)のブースでは、通信機器を使ったデモをしていたが、負荷試験機はTestCenter(スパイレント)ではなくIXIAが使われていた。データコントロールズはメディアコンバータなどの通信機器のメーカだが、生産向けの負荷試験機(30万円~100万円代)もラインアップし、SpilentやIXIAのようなR&D向けの高額・高性能モデルとは違う市場で実績を出している。 このようにInteropは計測器としては光測定器と光伝送測定器、負荷試験機が出展される展示会である。海外の通信計測器がメインでアンリツやラインアイなどの国産計測器メーカは出展していない(2024年の実績)。EXFOの出展ブースはないが、Shownetで原田産業の関連会社として計測器を提供している。つまり、ViaviとEXFO、VeEXのOTN測定器、光測定器と、Spirent(東陽テクニカ)、IXIA(キーサイト・テクノロジー)の負荷試験機が競う展示会といえる。アンリツのOTN測定器、光測定器やラインアイのRS-232C系プロトコルアナライザ(オンラインモニタ)は、少なくとも2024年には出展していない。 Interopではメディア(プレス)に対してプレゼンテーションや会場ツアーを行っている。プレスルームのテーブル席は(2024年には)20席程度で、部屋は広くはないが、冷蔵庫には各種飲料が並び、ホットコーヒーやお菓子の無料提供がされ、プレスに対するサービスが充実している。最近は大規模な展示会でもプレスルームに無料の飲食物の提供がない場合が多いが、Interopは報道機関を巻き込んだ華やかな大型イベントである。 旧電設工業展のJECA FAIRは毎年5月頃に東京ビッグサイトで開催される大きなイベントで、来場者も多く賑わっているが、プレスルームはなく、会場は撮影禁止である。つまり報道機関に取材してもらうことを拒絶している。そのためほとんどメディアでは取り上げられないが、それでも来場者は多い。2024年は5/29~31に東ホールで開催されたが、同時期に西ホール(4F)で開催のワイヤレス展よりも出展社が多い。 InteropとJECA FAIRはプレス(報道機関)に対するスタンスが180度違っている。

FOE(えふおーいー)

(Fiber Optics EXPO) 光通信技術に関する国際見本展示会。日本語では「光通信技術展」だが、ファイバーオプティクスEXPOの略称であるFOEの方が良く使われることばになっている。2001年より毎年1回開催されてきたので、20年の歴史ある展示会だが、2000年代の光海底ケーブルバブルなどを経て、2020年頃には出展する会社が少なくなり、寂しい展示会になっていた。2023年にRXジャパン株式会社(旧リード)が、5Gや6Gなどの移動体通信の展示会を併設したCOMNEXT(コムネクスト)を開催し(旧「通信・放送Week」を名称変更)、2023年からは出展社も増えた。過去には幕張メッセで盛況に開催されたが、やっと2023年からは主要な有線通信のベンダが出展するようになった。有線通信(光伝送)の需要が増えてきたことを示している。 1980~1990年代にInterOpto(インターオプト)という名称の展示会には多くの光計測器(光通信計測)メーカが出展したが、最近はあまり出展していない。InterOptoは2024年秋から「光とレーザーの科学技術フェア」と一体となりCOMNEXT(旧FOE)同様に盛り返す気配がある。開催が待ち遠しい(2024年7月現在)。

FTTH(えふてぃーてぃーえっち)

(Fiber To The Home)2000年代にCATVやADSLが普及し始めると、従来からアクセス網の光ファイバ化を構想していたNTTが「家まで光ファイバを引き込む」をスローガンに(コアネットワークだけでなく)アクセス系の通信網も光通信にすることで高速・大容量化を進展させようとした。家だけでなく事業所も含めてFTTP(Fiber To The Premises、敷地までファイバを)と呼ぶときもあった。アクセス系光通信網を完成することによって、広範囲にわたるユーザに高品質の通信を提供することを目指した。具体的な方式としてPON(Passive Optical Network)などが導入された。2022年現在はあまりFTTHということばは聞かなくなったので、ISDNと同じように、通信用語としては過去のもの(死語)になりかけている。

L2スイッチ(えるつーすいっち)

(Layer 2 switch) OSI参照モデルの第2層(データリンク層)での転送能力、ブリッジ機能があるLANのスイッチ。レイヤ2レベルで行き先を振り分けてくれるスイッチ。L2スイッチとは別に、より上位レイヤのレイヤ3スイッチやルータがある。 参考記事(会員専用):【展示会レポート】人とくるまのテクノロジー展 2022 横浜 ・・ガイロジック株式会社が取り扱っている車載Eherenet製品を取材。

ONU(おーえぬゆー)

(Optical Nertwork Unit)光回線の終端装置。NTTの光通信サービスであるフレッツ光などに契約すると、家にONUが必要になる。従来の電話電(銅線の加入者線)を使ったアナログ通信ではモデムが使われたので、ONUのことを光モデムと呼称しているケースが散見されるが、それは正しい表現ではないと筆者は考える。一方で「変復調はしているが、デジタルとアナログの変換をする装置がモデム」だから、「ONUは技術的にはモデムである」という主張もある。この説は間違いではないが、大変乱暴な主張と思える。モデムとは変復調装置である。ONUは変復調装置ではない、またモデムは電気で、通常は光ではない(余談だが、一部のメーカの商品に光モデムなるものがあり、定義を混乱させるので私は困ったネーミングだと思っているが、他社の商品名に文句はつけられない)。ONUとモデムについてはネットのQ&Aでも「両者は違う」という見解が多いが、上記のように「ONUはモデムである。違うというのは素人の間違った回答」という自信に満ちた書き込みもある。 2000年頃にFTTHを推進する方式として考案されたPON(Passive Optical Network)で加入者宅(契約をしているユーザ)側の装置としてOMUということばが使われるようになった。

OFC(おーえふしー)

(Optical Fiber Communication Conference & Exhibition)世界的な光通信の会議&展示会。毎年、3月下旬に米国カリフォルニア州(サンフランシスコやサンディエゴなど)で開催される。OFCの公式サイトには「光通信およびネットワーキングの専門家向けの最大のグローバル会議および展示会。テレコムおよびデータセンターオプティクスのプレミアイベント」とある。世界中の通信機器メーカが最新の商品を出展する。2021年には光伝送装置の最新のモデルであるOpen ROADMが出展されている。

Open APN(おーぷんえーぴーえぬ)

APN(All Photonics Network)は従来の電子技術(エレクトロニクス)ではなく光技術(フォトニクス )を使い、通信網のすべてを光化(フォトニクスに)するというNTTの構想(IOWN )。Open APNは既存の光伝送装置であるROADM (Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)を機能分離し、その一部をユーザ拠点の近くまで伸ばすという新しい提案で、2022年1月に「IOWN Global Forum」が発表した(機能が分離してマルチベンダーになると仕様がオープンになる必要がある)。これは2015年設立の団体Open ROADM MSMの方向とも一致していて、2022年はIOWN構想の進展する年となった。 通常APNというと「Access Point Name」(アクセスポイント名)の略。「アクセスポイント」とはスマホをインターネットに接続するための「中継地点」のこと。今後ROADMの機能分離やIOWNの進展が進むとAPNはフォトニクスネットワークの略記としてWeb検索上で地位を得るかもしれない。

キャプチャ(きゃぷちゃ)

(capture)記録、保存することをIT分野ではこのように表現する。直訳は「捕獲」、「占領」。

QoS(きゅーおーえす)

(Quality of Service) 一般的には利用者に提供される「サービス品質」のことだが、特に通信(ネットワーク)の世界で使われることば。ネットワーク(通信回線網)で提供されるサービス品質として出てくることが多い。ルータや伝送装置などのネットワーク機器にはQoSが実装されている。ある特定の通信を優先して伝送させたり、帯域幅を確保するなど、そのネットワークの中で重要度(優先度)が高いパケットが確実に伝達される(届く)ようにサービス品質が規定されている。 QoSの良否を定量的に判定する尺度をQoSパラメータと呼ぶ。QoSとQoSパラメータには一定の関係があるが、その関係は単純ではない。たとえば野球選手の質(良い選手か悪い選手か)はQoSで、QoSパラメータには「打力:打率3割以上」、や「走力:6秒以内/50m」などがある。QoSパラメータのことをQoSと呼んでいる場合もある。 QoSは提供者側(プロダクト目線)のサービス品質だが、似たことばにQoE(Quality of Experience、ユーザ体感品質)がある。 テクトロニクスは、放送事業者が番組のQoS監視に使う、PQM3000型プログラムQoSモニタという計測器を2000年頃に販売していた(同社のビデオ事業部は2019年にTelestream社に売却され、PQM3000を含むテレビ・オーディオ測定器から撤退している)。

コアネットワーク(こあねっとわーく)

(core network) 通信回線の中で、基幹通信網のことを指す。通信網の中枢で大容量の回線の部分のこと。背骨の意味でbackbone(バックボーン)とも呼ばれる。コアネットワークは光ファイバや光伝送装置によって運用されている。通信容量(トラフィック)を増加させるときにコアネットワークの仕様が話題になる。コアネットワークの先につながる各ユーザに近い回線網をアクセス網や、足回りと呼ぶ。アクセス網を光ファイバにして高速にしたのがPON(Passive Optical Network、ポンと呼称)である。 この用語は、2010年以降に使われるようになったと記憶している。それ以前は基幹通信網とか、基幹回線などの表現がされていた。通信網の一番最速で通信容量が大きい箇所(通信網の最大速度など、仕様を決定している回線)のことである。2000年以降にWDMなどの光伝送技術が導入されて、現在のコアネットワークは光ファイバと光伝送装置によるOTNになっている。

COMNEXT(こむねくすと)

5Gや6Gの通信技術や材料、ローカル5G、エッジAI・IoTソリューション、光通信技術、映像伝送の6つのWorldで構成される、次世代通信技術・ソリューションに特化した展示会。RXジャパン株式会社主催で、2023年から始まった。 2024年6月26日(水)から28(金)に東京ビッグサイトの南展示棟で開催された第2回展示会は、光通信WORLD(旧FOE:Fiber Optics EXPO)に国内外のほとんどの有線通信の計測器メーカが出展した。COMNEXTの出展社の約45%が光通信WORLDなので、一時期、消滅状態だった光通信の展示会が2023年からCOMNEXTとして復活した(旧「通信・放送Week」が名称変更した)。NEXT generation COMmunication technology & solutions expo(次世代通信技術&ソリューション展)から取って展示会名にしているようである。 2024年出展の計測器メーカは、国産ではアンリツ、santec(サンテック)、横河計測、SYCATUS(シカタス)、シナジーオプトシステムズ、海外はViavi Solutions、キーサイト・テクノロジー、VeEX(ヴィーエックス、日本法人はメインテクノロジー株式会社)である。商社はハイテック(Luna、santecなど)、三喜(ミキ)、セブンシックス(コヒーレント社)、サンインスツルメント(EXFO)、日本レーザー。古河電気工業やフジクラは融着器(古河電工はグループ会社の簡易OTDRを展示)。 2024年5月開催のInterop(インターロップ)と同じく400G/800Gの光通信が最先端として展示された。光トランシーバはSiPhx(サイフィックス)と中国InnoLight(イノライト)が古河・フジクラ同等かそれ以上の広いブースで出展した。SiPhxはViaviとアンリツ、キーサイト・テクノロジー(旧IXIA、イクシア)の計測器に自社トランスポンダを装着して展示、InnoLightはEXFO、Spirent Communications(スパイレント)社のTestCenter(負荷試験機)を展示。光伝送のネットワーク試験器(OTN/SDH/SONET関連測定器)の主要ベンダがViavi、アンリツ、EXFOの3社であることを印象付けた(Viaviブースには販売店の伯東の営業もいたが、EXFOは単独ブースでは出展していない)。キーサイト・テクノロジーはデータコム製品からは撤退したので、PG/PPGやDCA-X(サンプリングオシロスコープ)を展示、横河計測は光スペクトラムアナライザや光波長計を展示(同じくデータコムからは撤退済み)。現場測定器としてはVeEXがOTDRからデータコムまで豊富なラインアップ。三喜は自社ブランド(MIKI)で工事会社向けのハンディテスタ(光源+OPM)を2024年3月にリリース。精工技研やNTTアドバンストテクノロジ(NTT AT)は光コネクタの端面研磨機や形状測定器を展示。 NECや住友電工は出展していない(富士通は古河より狭いブースで出展)。「Innolightが中国パビリオンではなく独立で大きなブースを構えたことは、光トランシーバは(三菱電機などもつくっているが)データセンタ向けなどの大量生産が国産の電機・半導体メーカではできないことを象徴している」(元キーサイト・テクノロジーの光計測器エンジニア談)。つまり光伝送のキーデバイスである光トランスポンダは欧米と中国が生産の主体で、国産メーカはほとんど存在感がない。2000年頃の光海底ケーブル時代のメインプレーヤだった国産メーカのNECや住友電工は、光伝送の展示会であるCONMEXT 2024に出展していない。 5G/6Gコーナ(無線コーナ)には、森田テックやキャンドックスシステムズがアンテナカプラや暗箱を展示。商社の原田産業は無線通信機器を展示(EXFO製品は展示していない)。恒温槽の国内トップ、エスペックは「基地局の試験向け」と題して、暗箱仕様の環境試験器を展示。中国製のサーモストリーム(急速に温度を変化させてデバイスの評価をする環境試験器の1種)を出展する商社もあった(アールエムテック株式会社)。

受信機(じゅしんき)

(receiver)信号を受信する機器のこと。部品から装置まで多様。アンテナは受信機と送信機の両方に使われる。別名:レシーバ

ShowNet(しょーねっと)

通信ネットワークの展示会、Interop(インターロップ)で構築される大きなインターネット環境。出展者の製品2600台以上が接続され、出展者はShowNet上で実際的なデモなどを行う、実稼働ネットワーク。