計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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Rx(あーるえっくす)

有線・無線通信で受信データのこと。Received dataの略記(小文字のxはデータの意味)。受信機(レシーバ)のことをRxと記述している例もある。

IOWN(あいおん)

「Innovative Optical and Wireless Network」の略で、NTTが2019年に発表した次世代ネットワーク構想。光信号のままで(半導体レベルでも電気に変換しないで)伝送・交換処理を行うオールフォトニクス・ネットワークを実現しする。そのためのキーとなる新しい光半導体の試作にNTTは成功したといわれる。従来の電子技術(エレクトロニクス)が光技術(フォトニクス)に変わり、電子技術では解決できなかった低遅延、低消費電力、大容量・高品質のネットワークを構築できる(現在のインターネットの課題が改善できる)と期待される。 GAFA(ガーファ、米国の巨大IT企業Google、Apple、Facebook、Amazon)のような異業種が通信事業者(キャリア)になろうとしている。NTTは老舗の通信事業者として安泰ではない。IOWNの実現でゲームチェンジをはかり、NTTが世界をリードする通信事業者になるというビジョンを発表したのである。2019年にNTT、インテル、ソニーが発起人となって立ち上げた「IOWNグローバルフォーラム」には世界中の名だたる企業が参画した。2030年のIOWN実現に向け、2022年には第一弾としてオープン仕様に基づくAPN(All Photonics Network)(Open APNと呼ばれる)に対応した光伝送装置がNECや富士通から発売される。 参考用語:WDM、電電ファミリー

IDテスタ(あいでぃーてすた)

光ファイバの心線対照器の名称。光ファイバ心線を被覆の上から湾曲させ、漏洩した光を受光素子で検知して、心線を検出する測定器。「光ファイバIDテスタ」とも呼ばれる。計測器メーカだけでなく、光ファイバを作っている線材メーカである住友電気工業やフジクラなどが製品をラインアップしている。

アイパターン(あいぱたーん)

(eye pattern) デジタル信号のハイ/ロー(1/0)の時間推移を重ね書きで表示した図形。デジタル通信(デジタル伝送)の伝送品質評価に使われる。図形が目(eye)のように見えることに由来する。別名:アイダイアグラム(eye diagram)。アイの開口度合いから視覚的に伝送品質を確認できる。重ね書きされた複数の波形が同じ位置なら信号の時間推移は同じで、(立ち上がりや立ち下がりの時間やタイミングが変動していない)波形はシャープな形になる。この波形は品質の良い信号で、「アイが開いている」、「アイの開口が広い」と表現される。反対に、波形が細くなくて塗りつぶしたようになっていたら、波形の位置(タイミングや電圧)がずれている、品質の悪い信号で、「ジッタが悪い」という評価になる。 アイが開いている(波形の軌跡が塗りつぶす範囲が狭い)ほど、ジッタ(信号の揺らぎ)が少ない、品質が良い状態である。アイパターンを目視すれば、波形の縦の高さや横の幅からタイミングや電圧のマージンを簡便に知ることができる。信号にはオーバーシュートやアンダーシュートが起こるが、アイパターンはアイの形状からジッタなどを知り、必要なら設計を見直すなどのデバッグに使われる。多くの電気・電子回路の設計技術者にとって、アイパターンは基礎用語である。 アイパターン測定器としてはサンプリングオシロスコープ(キーサイト・テクノロジーの86100シリーズなど)が代表モデルだったが、広帯域オシロスコープ(高速オシロスコープ)が2000年代から普及し、マスクパターンがオプションで用意されるようになり、規格ごとのアイパターン評価(適合性試験、コンフォーマンステスト)はオシロスコープで自動測定できるようになった。マスクパターンとは「アイの開口」が通信規格の範囲内にあることを、オシロの測定画面で図形で規定するもの。測定者が波形から伝送品質(ジッタなど)を確認するのではなく、測定器のオプションソフトウェアが規格に合格しているかを評価(判定)する。

アクセス網(あくせすもう)

従来はNTTの電話局の交換機と加入者(各家庭や事業所の電話機)を結ぶネットワークを指した。現在は電話機がPCやスマホになり、交換機はルータに変わりインターネットの世界となったが、NTT以外の通信事業者(キャリア)が増えても、いまだにアクセス網はNTTが強く、他の通信事業者はNTTのアクセス網を借りて通信をしている場合が多い。NTTもアクセス網をFTTH(Fiber To The Home、家まで光ファイバを届かせる)の掛け声で光ファイバ化し、フレッツ光などのサービスを展開している。アクセス網を光ファイバにして高速にしたのがPON(Passive Optical Network、ポンと呼称)である。アクセス網の先にあるネットワークの中枢(基幹通信網)をアクセス網と区別してコアネットワークと呼んでいる。

Acterna(あくてるな)

2000~2005年に存在した通信計測器メーカ。短期間で無くなったので、今となっては実態が良くわからず「謎の通信計測器メーカ」である。ただしネット上にはActerna製の製品カタログも検索でき、(日本だけでなく世界の)通信計測器業界に爪痕を残した。WWG(Wavetek Wandel Goltermann)は米国の計測器メーカWAVETEK(ウエーブテック)とドイツの通信計測器メーカWandel&Goltermann (ワンデル・ゴルターマン)が1998年に合弁した会社だが、さらにハンドヘルドの計測器メーカTTCが2000年にWWCに合併してActerna(アクテルナ、またはアクターナと呼称)が設立された。当時の日本はCATVの普及期で、Acternaはケーブルテレビ用の計測器をInterBEE(インタービー、映像関連の大きな展示会)などに出展していたが、当時の日本での正式な企業名は今となっては不明。 2001年に有線通信測定器の老舗、安藤電気が大株主をNECから横河電機に変更(つまり横河電機に身売り)することに造反して、安藤電気の計測器事業部門の技術マネージャ以下複数の技術者がActernaに転職している。Acternaは光ファイバ用計測器をラインアップするJDSU(旧JDSファイテル)に2005年に買収され、さらに2015年に計測器部門が分割されて現在はViavi Solutions(ヴィアヴィソリューションズ)になっている。 2000年当時は、ドイツのワンデル・ゴルターマンと米国ウエーブテックという老舗計測器メーカが合体したWWGは、キーサイト・テクノロジーに対抗する通信計測器の1極であったが、それを継承したActernaはJDSUに吸収され、数年間で消滅した。JDSUがWWGを飲み込んだのは、従来のデータ通信や伝送・交換装置用測定器という機種群は、光通信を主体にしたモデルに移行していったという背景がうかがえる。光通信測定器と無線測定器を継承したViavi Solutions以外の海外の通信測定器メーカとしては、EXFO(エクスフォ)が光通信の基本測定器(光パワーメータや光スペクトラムアナライザなど)とネットワーク用測定器(伝送装置などの評価)をラインアップしている。国内の光通信の測定器は横河計測(旧安藤電気の光通信の製品群)が健在。LANやOTDR(光パルス測定器)などの可搬型のケーブルテスタではFlukeNetworks(フルークネットワークス)が専業メーカとして有名。 参考用語:伝送交換

アクテルナ(あくてるな)

(Acterna)通信計測器の老舗ワンデル・ゴルターマンや、米国の老舗計測器メーカのウエーブテックを継承し、2000年に設立した、主に通信計測器をつくったメーカ。2005年に光ファイバ用計測器のJDSユニフェーズ(JDSU、旧JDSファイテル)に買収されて会社は無くなった。数年しか存在しなかったため、今では実態が良くわからない、幻の通信計測器メーカ。「アクテルナ」または「アクターナ」と呼ばれた。参考用語:Acterna

安定化光源(あんていかこうげん)

波長が固定で、高安定出力の光源。光通信用の測定器。種類はLEDとLDがある。波長を可変できる光源もある。

安藤電気(あんどうでんき)

(Ando Electric Co., Ltd.) 1933年~2004年に存在した老舗計測器メーカ。正式名称:安藤電気株式会社。東京証券取引所第二部に上場。通信計測器や半導体テスタをつくっていた。大株主はNECで、アンリツ同様にNEC系の計測器メーカだが、安藤電気はNECの持ち株比率が高く、NEC出身者が複数人、社長になっている。有線通信の計測器ではYHP(現キーサイト・テクノロジー)やアンリツと競っていた。 1933年に安藤氏が創業。電電公社(現NTT)から通信計測器の開発を任された電電ファミリーの1社。光通信測定器はアンリツと安藤電気の2社がNTTに納めた。1980~2000年頃につくっていたのは基幹通信網の伝送装置向けの測定器である、SDH/SONETアナライザ、 MTDMアナライザ、モデムテスタなど。有線通信には強かったが無線ではアンリツに遠く及ばなかった(ラインアップには無線機テスタはあるが、SGやスペクトラムアナライザはない)。NTTなどに最先端の計測器を納入した。単発の波形しか捉えられないが、パルススコープとでもいうオシロスコープの原子版のような測定器をつくったという話がある。インピーダンス測定も早くから行い、「ブリッジなどの回路素子測定器をつくっていた横河電機の製品より高精度な測定結果」と評価した大学教授もいた。 1980年代の通信測定器以外のラインアップは、ICE、ROMライタ、LCRメータ、tanδ測定器など。ICEはインテル80386などの最先端のCPUに果敢に挑戦したが、特定顧客にしか販路が広がらなかった。ROMライタはNECから情報を得るなど、幅広いチップに対応したが、協力関係にあった浜松東亜電機(現東亜エレクトロニクス のフラッシュサポートグループ)に技術移管し、製品は現在も続いている。LCRメータはシリーズ化でシェアを伸ばしたが、業界標準のHP(現キーサイト・テクノロジー)のような高周波モデルが開発できず撤退した。 2000年の光海底ケーブルバブルで屋台骨の光計測器が落ち込むと経営が傾いた。大株主のNECが半導体ビジネスから撤退するのに伴い、子会社にATE製品(半導体検査装置)は不要となり、NECに変わる株主が必要となった。横河電機が資本参加し、安藤電気の全事業を受け入れた(2001年にNEC保有株式が横河電機に売却された)。2002年に安藤電気は横河電機の100%出資子会社になり、2004年には事業再編で解体している。 プロトコルアナライザや光通信測定器では当時世界No.1のHPと競い、モデルによってはHPより売れた製品もあった。光通信測定器は現在の横河計測株式会社に引き継がれ、光スペクトラムアナライザは世界No.1である(2022年現在)。 前述のようにNECが半導体デバイスビジネスをするために、グループ内の計測器メーカに半導体テスタをつくらせた。そのため安藤電気の半導体テスタは同業のアドバンテスト(旧タケダ理研工業)などに比べるとNEC以外にはあまり売れなかった。1970年代から2000年頃の半導体テスタは最先端の検査機器(花形製品)として、複数の計測器メーカがつくっていた。安藤電気は半導体テスタ事業が赤字でも、通信計測器(プロトコルアナライザや光計測器など)が補填した。ところが光計測器が赤字になったときに半導体テスタはそれを補填することはなく、会社は立ち行かなくなった。 軽率なことはいえないが、安藤電気がもし半導体テスタをやっていなかったら、光通信などの有線通信計測器の世界トップメーカとして存続していたかもしれない。2002年の社長である本橋氏は同社の計測器事業部出身の技術者で、何代も続いたNECからの天下りではなく生え抜きだった。キーサイト・テクノロジー(当時はアジレント・テクノロジー)が光測定器を縮小したので、安藤電気は光測定器で世界No.1になる目前だった。計測出身のプロパー社長のもとで躍進することなく、横河電機に身売りすることになったのは残念である。 参考用語:YEW、Acterna、ミナトレクトロニクス 計測器情報:安藤電気の光測定器

InGaAs(いんじうむがりうむひそ)

化合物半導体のヒ化インジウムガリウム(インジウム・ガリウム・ヒ素)。「3元の素子」と呼ばれ、光電素子にInGaAs を用いたフォトダイオード は、900~1700nmの波長帯でフラットな特性があるため、光通信や近赤外波長のセンサなどに採用されている。光パワーメータのセンサ(通信の波長帯)で高感度モデルはInGaAsを使って約-130dBmの仕様を実現している(一般のセンサは-90dBmくらい)。高価なのが難点。 InGaAsの読み方は「インガス」もある。

Interop(いんたーろっぷ)

インターネットテクノロジーの国内最大のイベント。ネットワークにつながるモノのInteroperability(相互接続性)を検証する場として、日本では1994年から毎年開催されている。

APC研磨(えーぴーしーけんま)

APCはAngled Physical Contactの略で、光ファイバをコネクタ接続する際の、コネクタ端面(接触面)の研磨の種類の1つ。研磨方法にはPC、SPC、UPC、APCなどがある。表記は「APC」、「Angled PC」など。表記がFC/APCだとFCコネクタではなく「FC/APC」、または「APC」という新しい名称のコネクタと誤解されるので「FC/Angled PC」(APC研磨のFCコネクタ)と表記しているメーカもある(光コネクタは時代と共に多くの種類がつくられては消滅していき、現在はFCやSCが主流だが、新しい名称のコネクタは今後も出現していく)。光計測器のコネクタの記述もFC/PCやSC/APCなど研磨も記述するケースが増えている(1980年頃はほとんど記述されなかったが、2020年には主要な光計測器の仕様に明記されるようになっている)。 光ファイバの端にコネクタを取り付けると反射などで損失が発生する。反射光は入力側の光源に向かってファイバ(コア)に反射される。後方反射は光源の損傷や信号品質の悪化の原因になるので、コネクタのフェルールの研磨方法によって対策している。UPC(Ultra Physical Contact)はファイバの端面が垂直(角度をつけずに研磨)だが、APCは8度の角度で研磨している(angled:角度を付けた、斜め、という意味)。そうすると反射光はまっすぐにコア内に入射せず斜めにクラッドに反射して、光源への戻り光を減らすことができる。 RFなどの高周波の(電気の)コネクタにもAPCがある。たとえばAPC-7は「Amphenol Precision Connector(7mm)」である。電気(高周波)のAPCコネクタは1960年代に開発されているので、コネクタでAPCといえばこちらの方が大先輩である。そのため、光計測器のコネクタにはAPCよりもAngled PCと記載する方が親切といえるかもしれない。

SRS(えすあーるえす)

(Stimulated Raman Scattering)誘導ラマン散乱。非線形光学効果の1つで、この応用例にはラマン増幅器などがあるが、加工用の高出力レーザーでは機能を阻害する要因となる。

SCコネクタ(えすしーこねくた)

光通信に使われる代表的な光コネクタ。単芯で、コネクタ外観は角形。青色をよく見かける。差し込んでクリック音とともに嵌合する。1980年にNTTが基幹通信網に光を導入した際の主流はFCコネクタだった(シングルモード、波長1310/1550 nmを中心に)。現在もそれは続いているが後に開発されたSCコネクタを標準にしている機器も現在は多い。たとえば光通信用の計測器も標準をSCコネクタにしている。

NFP(えぬえふぴー)

(Near Field Pattern)半導体レーザーの出力光はビーム断面が楕円錐状に拡がっていく。ビーム形状は出力端近傍と数cm離れた場所で異なり、近傍をNFP、離れた場所をFFP(Far Field Pattern)と呼ぶ。

FFP(えふえふぴー)

(Far Field Pattern)半導体レーザーの出力光はビーム断面が楕円錐状に拡がっていく。ビーム形状は出力端近傍と数cm離れた場所で異なり、近傍をNFP(Near Field Pattern)、離れた場所をFFPと呼ぶ。

FCコネクタ(えふしーこねくた)

光通信に使われる代表的な光コネクタ。単芯で、コネクタ外観は丸型、嵌合後に外側を回して固定する(締める)。1980年にNTTが基幹通信網に光を導入した際にすでにあり、当時はFCコネクタがほぼ代表的なコネクタだった。現在もそれは続いているが後に開発されたSCコネクタを現在は標準にしている機器も多い。NTTの機器は長らくFCコネクタだったため現存している面もあるが、現在広く普及している光コネクタである。

FTTH(えふてぃーてぃーえっち)

(Fiber To The Home)2000年代にCATVやADSLが普及し始めると、従来からアクセス網の光ファイバ化を構想していたNTTが「家まで光ファイバを引き込む」をスローガンに(コアネットワークだけでなく)アクセス系の通信網も光通信にすることで高速・大容量化を進展させようとした。家だけでなく事業所も含めてFTTP(Fiber To The Premises、敷地までファイバを)と呼ぶときもあった。アクセス系光通信網を完成することによって、広範囲にわたるユーザに高品質の通信を提供することを目指した。具体的な方式としてPON(Passive Optical Network)などが導入された。2022年現在はあまりFTTHということばは聞かなくなったので、ISDNと同じように、通信用語としては過去のもの(死語)になりかけている。

LED(えるいーでぃ)

(Light Emitting Diode) 日本語では発光ダイオードだが、LEDはもはや日本語である。電気によって光を出す、発光素子の1つ。最近の照明は蛍光灯から代わり、省エネのLED照明が普及している。 1962年の発明時には赤色LEDだったが、1970年代に緑色、1980年代に青色の開発がされた。映像用のメディアであるBlu-ray Disc(ブルーレイディスク)は青色LEDの発明によってできたといえる。青色LEDの発明では2014年に日本人がノーベル物理学賞を受賞している。またRGBの3原色をLEDでつくれることから、新しいディスプレイであるマイクロLEDが検討されている。 計測器としては、光測定器(光通信測定器)の安定化光源に、LED光源とLD(レーザーダイオード)光源がある。 計測器情報:品名にLEDが付く製品の例

LED光源(えるいーでぃこうげん)

発光素子にLEDを使用している安定化光源。LED=Light Emitting Diode の略。