計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
フリーワード検索をはじめ、カテゴリー、索引から簡単にお調べいただけます。

フリーワード検索

検索用語一覧

37

各用語の詳細ページでは関連用語などを確認することができます。
このアイコンが表示されている用語には、詳細ページに図解や数式での説明があります。

FRA(えふあーるえー)

(Frequency Response Analyzer) 日本語では「周波数特性分析器」。その略号。正弦波信号を被測定物に与えて、その周波数応答(利得・位相)を、ノイズ除去特性に優れたディジタルフーリエ演算方式により高精度に測定する装置。正弦波の発振器とオシロスコープで行うゲインーフェーズ特性が1台で測定できる。正弦波周波数を可変(自動的にスイープ)させてゲインーフェーズ特性のグラフ(カーブ)を得る。特長は広いダイナミックレンジによる高精度な測定と、超低周波数の測定が可能であること。「低周波のネットワークアナライザ」と称されることもある。電源やモータ・サーボ回路の評価に使われる。フィードバック技術を応用した測定器で、エヌエフ回路設計ブロック(エヌエフ)の製品がほぼ独占状態である。複数のモデルをラインアップしている。形名はその名のとおり、FRA50xxやFRA516xx。最近は「インピーダンス/ゲイン・フェーズアナライザ」などインピーダンスアナライザを称したモデルも発売している。余談だが、同社は古くからLCRメータを製品化している。インピーダンス測定に多くのノウハウがあり、インピーダンス計測のセミナーを活発に開催している(2020年現在)。LCRメータは低周波から高周波まで業界標準はキーサイト・テクノロジー(キーサイト)である。1980年頃に国産メーカが参入(たとえば安藤電気のAG-4000シリーズなど)したが、測定周波数は数百kHzまでの製品しかなく、MHzモデルはキーサイトの牙城が守られた。ただし、2010年代以降、電子部品メーカの生産ライン向けLCRメータでシェアを伸ばした日置電機がラインアップを増やし、現在はMHzオーダの製品も同社がメインプレーヤになった。つまり現在の国内LCRメータ/インピーダンスアナライザ市場は、標準器はキーサイト、汎用器は日置電機、の2社に収斂した。そんな中、エヌエフはずっとLCRメータを作り続け撤退しなかった。2019年5月に発売されたインピーダンスアナライザZA57630は最高測定周波数36MHzである。

FR2(えふあーるつー)

5Gの周波数帯域は、4G以前から使ってきた6 GHz以下(FR1:Frequency Range1)と24 GHzからミリ波を含むFR2の2つがある。

FIP(えふあいぴー)

(Feed-in Premium) 日本の再生可能エネルギー(再エネ)は、2012年にFIT(固定価格買取)制度が導入されて太陽光発電(PV)の普及が加速した。ただし2012年には高額だった買取価格も年々下がり、設置から10年が経過したPVは老朽化などで撤去される例も少なくない。そこで政府(資源エネルギー庁)は「2050年カーボンニュートラル」に向けた施策として2022年4月からFIP制度をスタートした。FIP制度は電源構成に占める再エネの比率が高い欧州などでは、すでに取り入れられている。FITのように固定価格で買い取るのではなく、再エネ発電事業者が卸市場などで売電したとき、その売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せすることで再エネ導入を促進する。 メガソーラーなどの中~大型の発電所ではなく、地域に根差した小型の施設や各家庭での導入を促進したい狙いがある。2024年度から「屋根設置」区分を新設し、(各家庭などの)屋根を使って太陽光パネルを設置することに配慮し、有利になるような仕組みが検討されている(2023年1月現在)。

FEM(えふいーえむ)

(Finite Element Method) 日本語では「有限要素法」。数値解析手法の一種。電磁波の伝搬の解析や、流体力学に応用される。数学としての数式に具体的に数値を入れて計算をすることは複雑すぎて人間には無理だったが、コンピュータの発達によって計算が可能となり脚光を浴びた。電磁界や流体の計算は、多くの産業分野で使われている。CAE(Computer Aided Engineering)の代表的な手法の1つともいえる。 ひずみ測定の国内トップベンダーである株式会社共和電業ではFEMというと、ひずみ量がどの部位にどの位あるかを色のついた画像で解析できるツールをさしている。 参考記事:ひずみゲージの理解を通じて「安全と安心」を社会に提供していく! 共和電業インタビュー・・記事の2ページ目で、FEMと実測について語っている

FET(えふいーてぃー)

(Field Effect Transistor) 日本語では「電界効果トランジスタ」だが、もはやFETは日本語になっていて計測器ではよく使われる。たとえばオシロスコープの能動プローブ(active probe)であるFETプローブが代表例。 トランジスタは電流駆動だが、FETは電圧駆動。そのためスイッチング速度はトランジスタより速く、オン抵抗が高いためゲートを駆動する電力は少なく省エネである。トランジスタの機能であるスイッチング用途に適しているため、デジタルICは、MOSFETが大変良く使われる。FETの性能向上(さらなる低消費電力化)によってアナログICにもMOSFETが広がっている。一般のトランジスタを「バイポーラトランジスタ」、FETを「ユニポーラトランジスタ」と呼ぶこともある。 トランジスタの3端子はエミッタ、コレクタ、ベースだが、FETはソース、ドレイン、ゲートと呼ばれる。FETは同じく電圧駆動である真空管と同じアノード、カソード、グリッドが開発当初は端子名に使われているが、トランジスタ開発者の1人であるShockley(ショックレー)の資料にソース、ドレイン、ゲートの記載があるという。電子はソースからゲートを経由してドレインに流れるので、高所にあるソース(水源、みなもと)からゲート(水門)を調整することでドレイン(排水溝)に水が流れ落ちることをイメージした命名と思われる。

FETプローブ(えふいーてぃーぷろーぶ)

(FET probe) 主にオシロスコープ (オシロ)と併用されるアクセサリ。入力容量が小さいため高い周波数を測定できる電圧プローブ。別名:アクティブプローブ、能動プローブ。通常はオシロスコープにはチャンネル数分のパッシブプローブ(受動プローブ)が標準添付されていることが多い。FETプローブのようなアクティブプローブはオシロの性能を確認して使わないと性能が発揮できないので注意が必要(オシロとプローブの性能があっていないといけない)。オシロ本体によっては電源が必要となったり、使用できるオシロスコープ本体が限られたりする。FETは電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor)で、FETを使用したプローブである。

FA(えふえー)

(Factory Automation) 工場をコンピュータで自動化することや、自動化の機器(設備)のこと。日本の大手FAメーカは、三菱電機、オムロン、ファナック、SMC(空気圧機器で世界シェア40%)、ダイフク(搬送機器)、安川電機、ハーモニック・ドライブ・システムズなど。 1990年頃に日本市場でNo1だったNECのパソコン、PC-9800シリーズはオフィスやコンシューマ向けで、工場用途には「FC-9800」という名称のシリーズがあった。FA用途のパソコンをFCと命名したと推測される。FA用のコンピュータとOA(Office Automation、事務の自動化)パソコンは使用環境が違うので仕様が異なっている。

FA-M3(えふえーえむさん)

横河電機のPLC(プログラマブルロジックコントローラ)の通称。モジュール型で、CPU、電源、I/O、I/Fなど様々なモジュール製品の組み合わせで構成される。形名はF3XXYY-YX(XX:アルファベット大文字2つ、YY:数字2桁)、たとえばF3SP76-7SシーケンスCPUモジュールなど。同社HPでは「プログラマブルコントローラ」と表記されている。 現在の現役モデルは「FA-M3V(シリーズV)」(2021/8/1現在)

FSK(えふえすけー)

(Frequency Shift Keying)日本語では「周波数偏移変調」だがFSKという表記の方が良く使われている。「周波数シフトキーイング」とも呼ばれる。周波数を変えることで情報を伝達する変調方式。無線通信がデジタル化されて、デジタル変調方式がいくつも考案された中の1つ。アナログ変調のFM(Frequency Modulation、周波数変調)のデジタル変調版。

FFT(えふえふてぃー)

(Fast Fourier Transform) ・フーリエ変換 数学では、複雑な周期関数は(単純な周期関数である)正弦関数(サイン関数、正弦波)や余弦関数(コサイン関数)の和として表されることが知られている(フーリエ級数)。複雑な物理現象(関数f)を正弦波と余弦波に変換すると計算がしやすくなり、物理現象を簡便に解析できる。この変換をフーリエ変換と呼ぶ。工学では時間領域の現象(時間の関数)をフーリエ変換して周波数領域(周波数の関数)にして、色々な解析を行う。解析結果を逆フーリエ変換で時間関数に戻すと、時間領域の現象(現実の物理現象)がどうなるかがシミュレーションできる。フーリエ変換は数学、物理、工学で使われる代表的な解析手法である。 ・DFT フーリエ変換をデジタルデータで行うのが離散フーリエ変換(DFT:discrete Fourier transform)である。現実世界の物理現象はアナログ(連続して起こっている)だが、計測器はサンプリングによってデジタルデータをつくり、各種の処理や解析を行う。そのため、DFTの理論が確立した。 ・FFT DFTを高速に計算する手法がFFT(高速フーリエ変換)である。この手法を使った周波数分析器がFFTアナライザである。振動や音などの周波数測定に使われる。表示される波形はスペクトラムアナライザ(スペアナ)と同じで、横軸が周波数、縦軸がパワー(電力)だが、DC(直流)から低周波で使われ、スペアナとはアプリケーションや周波数帯が異なる。 FFTはFFTアナライザだけでなくオシロスコープの解析オプションにもあり、測定データを周波数領域に変換してスペアナのような表示を出すことができる。FFTアナライザは日本では小野測器が有名だが、環境計測のリオンもラインアップがある(両社ともに最近は「多チャンネル分析器」や「音響振動解析システム」などの品名で、FFTアナライザというよりデータ集録&解析器である)。海外メーカでは東陽テクニカの取り扱うオロス社がFFTアナライザでは名が通っている。

FFTアナライザ(えふえふてぃーあならいざ)

(FFT analyzer) 信号波形を高速フーリエ変換(FFT)の手法で、横軸を周波数、縦軸をレベルとして表示する測定器。フーリエ変換は時間の関数を周波数の関数に変換する数学の理論。デジタルの演算手法であるFFTを使いスペクトラムアナライザ(スペアナ)の様な周波数ドメイン(周波数軸での分布を測定する)の計測器。日本では小野測器が有名で1980年頃から製品化された。主に音響・振動などの低周波数信号の解析に使用される。周波数成分ごとのパワーを測定する測定器だが、スペアナとは原理も用途も異なる。FFTアナライザはDC~100kHz程度の周波数解析が得意。スペアナはDCから測定可能な機種はほとんど無く低周波は苦手、RF帯域の周波数測定に使われる。 FFTアナライザはベンチトップやポータブルのモデル(いわゆるスタンドアロン)だけでなく、最近はPC接続型の多機能計測器、データ収集&解析器のモデルも増えている。そのようなモデルでは振動測定など環境計測のリオンや、音響計測器のHBK(旧Bruel&Kjaer、B&K、ブリュエルケアー)もデータ集録機能に特長を持ったFFTアナライザ製品をつくっている。つまりFFTアナライザのアプリである振動解析に、振動計のリオンや、音響測定器のB&Kが、データ集録機器として小野測器のFFTアナライザと競合する製品群をつくっている。FFTアナライザ、振動計測、騒音計、音響測定器、データ集録機器(たとえばデータロガー)などは似た位置関係にあるカテゴリー(機種群)といえる。 自動車の評価機器をラインアップするエー・アンド・デイには「車載用振動・騒音解析測定器」があり、実態はFFTアナライザである。

FFP(えふえふぴー)

(Far Field Pattern)半導体レーザーの出力光はビーム断面が楕円錐状に拡がっていく。ビーム形状は出力端近傍と数cm離れた場所で異なり、近傍をNFP(Near Field Pattern)、離れた場所をFFPと呼ぶ。

FMT(えふえむてぃー)

(Frequency Mask Trigger) 「周波数マスク・トリガ」の略記。(2009年9月発行のテクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて」より)

FM変調(えふえむへんちょう)

「周波数変調(Frequency Modulation)」をFMと略記する。周波数変調よりもFMという表記の方が多く使われている。搬送波に対して変調信号の変化に合わせて周波数(f)を変化させるアナログの変調方式。FMはラジオ放送で良く知られている。AM(振幅変調)ほど送受信回路は簡単ではないが、音質の良い音楽をFM放送は受信することができる。FMというとFM放送の略記の意味もあるので、本解説ではタイトルを「FM変調」とした。

FC(えふしー)

(Fuel Cell) 燃料電池。水素と酸素(空気)を供給し電力を得る、一種の発電機。アルカリ型(AFC)、リン酸型(PAFC)、溶融炭酸塩型(MCFC)、固体高分子型(PEFC)、固体酸化物型(SOFC)などの形式がある。近年、自動車、携帯電子機器の電源や、家庭用コジェネレーションシステム固体高分子型、次世代の燃料電池として固体酸化物型の研究開発が活発に行われている。(菊水電子工業の製品総合カタログ・用語集より)

FG(えふじー)

2つ意味がある。 1.Function Generator(ファンクションジェネレータ )の略記。 SGなどの信号発生器は主に正弦波を高精度に出力できるが、正弦波だけでなく、三角波、方形波(短形波)など多くの波形信号を出せる発生器をFGと呼ぶ。 SGはRF(高周波)、FGは低周波という使い分けがあるが、論文によってはFGとSGの使い分けは厳密ではない。広義の信号発生器、の中にFGやSGがあるが、人によっては信号発生器の意味でFGと略記している場合もある(SGもSignal Generatorの略記なので日本語では「信号発生器」だが、RFの信号発生器である標準信号発生器のことを通常は指している)。 当サイトではFGはカテゴリー「信号発生器(汎用)」に区分している。FGは正弦波以外のいろいろな波形を出力できるだけでなく、プログラムによってより複雑に変化する波形信号の作成も可能である(FGの国産代表メーカ、エヌエフ回路設計ブロックの製品など)。最近は任意波形発生器(AWG)の機能を持つFGも出現している。AWGというとテクトロニクスのモデルが有名で高速無線通信MIMO(マイモ)などの評価に使われているが、岩崎通信機が2020年に発売したFGの新製品SG-42xxシリーズの品名は「任意波形/ファンクション・ジェネレータ」である。当サイトはFGとAWGを別カテゴリーにして登録しているが、今後は両者は1つになる傾向が伺える(FGのAWG化、AWG機能の獲得)。 2.Frame Ground(フレームグランド)の略記。フレーム接地。 計測器に限らず、電気機器の筐体(フレーム)の電圧をグランドに合わせて、感電事故を防止すること。機器にFGと記載さ入れた端子がある場合がある。家電製品の洗濯機は水回りで使用するので、電源コンセントにはアース線を必ず接続している。これがFG(フレーム接地)である。FGを「シャーシ(筐体)グランド」と呼ぶこともある。

FCEV(えふしーいーぶい)

(Fuel Cell Electric Vehicle)燃料電池自動車。水素と酸素で発電し、モータ駆動する自動車。FCVという表記もある。xEVと呼称される、電動車の1種。参考記事・電動化システムの主要技術と規制動向~進展するxEVの現状と今後:記事の後半で各種のxEVについて解説。 ・電動化の進展~カーボンニュートラルに向けた動向:テクノフロンティア2021で展示された中国の格安EV、「宏光EV mini」についてレポート。

FCコネクタ(えふしーこねくた)

光通信に使われる代表的な光コネクタ。単芯で、コネクタ外観は丸型、嵌合後に外側を回して固定する(締める)。1980年にNTTが基幹通信網に光を導入した際にすでにあり、当時はFCコネクタがほぼ代表的なコネクタだった。現在もそれは続いているが後に開発されたSCコネクタを現在は標準にしている機器も多い。NTTの機器は長らくFCコネクタだったため現存している面もあるが、現在広く普及している光コネクタである。

FCC(えふしーしー)

(Federal Communication Commission)日本語では、「(米国)連邦通信委員会」。米国では大統領直属の独立政府機関。通信・電波の規制を行う連邦政府の組織。米国の電話、TV、ラジオなどの事業の許認可権限をもつ。1934年に通信法によって設立。大統領が指名し上院議会が承認する5人の委員によって構成され、5年の任期で改選される。日本では総務省が行っている「周波数の割り当て」や、「無線機器・電子機器の規制」をする。EMCの内エミッション(電子機器からの電磁波の放出)は米国ではFCC規格に準じないといけない。国際的なエミッションであるCISPR規格とは別に、米国にはFCCがある。

FCV(えふしーぶい)

(Fuel Cell Vehicle)燃料電池自動車。水素と酸素で発電し、モータ駆動する自動車。FCEVという表記もある。xEVと呼称される、電動車の1種。参考記事・電動化システムの主要技術と規制動向~進展するxEVの現状と今後:記事の後半で各種のxEVについて解説。 ・電動化の進展~カーボンニュートラルに向けた動向:テクノフロンティア2021で展示された中国の格安EV、「宏光EV mini」についてレポート。