計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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Rx(あーるえっくす)

有線・無線通信で受信データのこと。Received dataの略記(小文字のxはデータの意味)。受信機(レシーバ)のことをRxと記述している例もある。

ROADM(あーるおーえーでぃーえむ)

(reconfigurable optical add/drop multiplexer)光伝送装置の1種。日本語に翻訳すると「再構成可能な、光信号を追加/削除できる多重装置」。通信事業者のコアネットワークに設置されていて、光信号を縦横無尽に分岐・挿入できる装置。光スイッチ、合分波器やトランシーバ(O/E変換器とE/O変換器を含む)で構成されている。すでに2000年代から各ベンダー(国産ではNECや富士通など)が製品化し、ネットワークに導入されている。 WDMの普及によってOADM(光アド/ドロップマルチプレクサ)が光伝送装置の主要な機能となった。さらにReconfigurable(再構成可能)とは、装置内の波長選択スイッチによって、波長レイヤでWDMシステムからトラフィックをリモートで切り替える機能が追加された。 現在、ROADMの各機能は分離され、コアネットワークではなくアクセス網(PONなど)に配備されようとしている。従来、光伝送装置の代表であるROADMは各ベンダーが1社で装置をつくる(垂直統合型モデル)だったが、機能が分離するとともに仕様がオープン化し、マルチベンダーが光伝送装置を提供することになる。 2015年に米国AT&Tや富士通が中心となりOpen ROADM MSMという団体ができ、2021年のOFC(Optical Fiber Communication Conference & Exhibition、世界的な光通信の展示会)には複数企業がOpen ROADM製品を出展した。富士通はすでにROADMからWDM機能を分離した装置を製品化している。Open ROADMはNTTのIOWN構想の実現にも寄与する。

RJ11(あーるじぇーじゅういち)

アナログの電話回線(一般の家庭にある固定電話機)に使われているモジュラー式のコネクタ。FCC(米連邦通信委員会)が定めたRegistered Jack 11の略記。コネクタ形状は端子が6ピン(6極)で、通信線が2本(2芯)のため「6P2C」(6極2芯)と表記される。アナログの電話回線が基幹通信の主流だった時代に活躍したモデムのケーブルもRJ11である。RJ11は電話機、ADSL、モデムなどの接続ケーブルのコネクタといえる。現在でも現役の電話線(銅線)は通信線が2線式で、コネクタに6つ並んだピンのうち中央の2つに芯線が接続されていて、他の4ピンは使用されていない。 LANのコネクタはRJ11によく似ているが、一回りサイズが大きいRJ45である。

IOWN(あいおん)

「Innovative Optical and Wireless Network」の略で、NTTが2019年に発表した次世代ネットワーク構想。光信号のままで(半導体レベルでも電気に変換しないで)伝送・交換処理を行うオールフォトニクス・ネットワークを実現しする。そのためのキーとなる新しい光半導体の試作にNTTは成功したといわれる。従来の電子技術(エレクトロニクス)が光技術(フォトニクス)に変わり、電子技術では解決できなかった低遅延、低消費電力、大容量・高品質のネットワークを構築できる(現在のインターネットの課題が改善できる)と期待される。 GAFA(ガーファ、米国の巨大IT企業Google、Apple、Facebook、Amazon)のような異業種が通信事業者(キャリア)になろうとしている。NTTは老舗の通信事業者として安泰ではない。IOWNの実現でゲームチェンジをはかり、NTTが世界をリードする通信事業者になるというビジョンを発表したのである。2019年にNTT、インテル、ソニーが発起人となって立ち上げた「IOWNグローバルフォーラム」には世界中の名だたる企業が参画した。2030年のIOWN実現に向け、2022年には第一弾としてオープン仕様に基づくAPN(All Photonics Network)(Open APNと呼ばれる)に対応した光伝送装置がNECや富士通から発売される。 参考用語:WDM、電電ファミリー

アイパターン(あいぱたーん)

(eye pattern) デジタル信号のハイ/ロー(1/0)の時間推移を重ね書きで表示した図形。デジタル通信(デジタル伝送)の伝送品質評価に使われる。図形が目(eye)のように見えることに由来する。別名:アイダイアグラム(eye diagram)。アイの開口度合いから視覚的に伝送品質を確認できる。重ね書きされた複数の波形が同じ位置なら信号の時間推移は同じで、(立ち上がりや立ち下がりの時間やタイミングが変動していない)波形はシャープな形になる。この波形は品質の良い信号で、「アイが開いている」、「アイの開口が広い」と表現される。反対に、波形が細くなくて塗りつぶしたようになっていたら、波形の位置(タイミングや電圧)がずれている、品質の悪い信号で、「ジッタが悪い」という評価になる。 アイが開いている(波形の軌跡が塗りつぶす範囲が狭い)ほど、ジッタ(信号の揺らぎ)が少ない、品質が良い状態である。アイパターンを目視すれば、波形の縦の高さや横の幅からタイミングや電圧のマージンを簡便に知ることができる。信号にはオーバーシュートやアンダーシュートが起こるが、アイパターンはアイの形状からジッタなどを知り、必要なら設計を見直すなどのデバッグに使われる。多くの電気・電子回路の設計技術者にとって、アイパターンは基礎用語である。 アイパターン測定器としてはサンプリングオシロスコープ(キーサイト・テクノロジーの86100シリーズなど)が代表モデルだったが、広帯域オシロスコープ(高速オシロスコープ)が2000年代から普及し、マスクパターンがオプションで用意されるようになり、規格ごとのアイパターン評価(適合性試験、コンフォーマンステスト)はオシロスコープで自動測定できるようになった。マスクパターンとは「アイの開口」が通信規格の範囲内にあることを、オシロの測定画面で図形で規定するもの。測定者が波形から伝送品質(ジッタなど)を確認するのではなく、測定器のオプションソフトウェアが規格に合格しているかを評価(判定)する。

アクセス網(あくせすもう)

従来はNTTの電話局の交換機と加入者(各家庭や事業所の電話機)を結ぶネットワークを指した。現在は電話機がPCやスマホになり、交換機はルータに変わりインターネットの世界となったが、NTT以外の通信事業者(キャリア)が増えても、いまだにアクセス網はNTTが強く、他の通信事業者はNTTのアクセス網を借りて通信をしている場合が多い。NTTもアクセス網をFTTH(Fiber To The Home、家まで光ファイバを届かせる)の掛け声で光ファイバ化し、フレッツ光などのサービスを展開している。アクセス網を光ファイバにして高速にしたのがPON(Passive Optical Network、ポンと呼称)である。アクセス網の先にあるネットワークの中枢(基幹通信網)をアクセス網と区別してコアネットワークと呼んでいる。

Acterna(あくてるな)

2000~2005年に存在した通信計測器メーカ。短期間で無くなったので、今となっては実態が良くわからず「謎の通信計測器メーカ」である。ただしネット上にはActerna製の製品カタログも検索でき、(日本だけでなく世界の)通信計測器業界に爪痕を残した。WWG(Wavetek Wandel Goltermann)は米国の計測器メーカWAVETEK(ウエーブテック)とドイツの通信計測器メーカWandel&Goltermann (ワンデル・ゴルターマン)が1998年に合弁した会社だが、さらにハンドヘルドの計測器メーカTTCが2000年にWWCに合併してActerna(アクテルナ、またはアクターナと呼称)が設立された。当時の日本はCATVの普及期で、Acternaはケーブルテレビ用の計測器をInterBEE(インタービー、映像関連の大きな展示会)などに出展していたが、当時の日本での正式な企業名は今となっては不明。 2001年に有線通信測定器の老舗、安藤電気が大株主をNECから横河電機に変更(つまり横河電機に身売り)することに造反して、安藤電気の計測器事業部門の技術マネージャ以下複数の技術者がActernaに転職している。Acternaは光ファイバ用計測器をラインアップするJDSU(旧JDSファイテル)に2005年に買収され、さらに2015年に計測器部門が分割されて現在はViavi Solutions(ヴィアヴィソリューションズ)になっている。 2000年当時は、ドイツのワンデル・ゴルターマンと米国ウエーブテックという老舗計測器メーカが合体したWWGは、キーサイト・テクノロジーに対抗する通信計測器の1極であったが、それを継承したActernaはJDSUに吸収され、数年間で消滅した。JDSUがWWGを飲み込んだのは、従来のデータ通信や伝送・交換装置用測定器という機種群は、光通信を主体にしたモデルに移行していったという背景がうかがえる。光通信測定器と無線測定器を継承したViavi Solutions以外の海外の通信測定器メーカとしては、EXFO(エクスフォ)が光通信の基本測定器(光パワーメータや光スペクトラムアナライザなど)とネットワーク用測定器(伝送装置などの評価)をラインアップしている。国内の光通信の測定器は横河計測(旧安藤電気の光通信の製品群)が健在。LANやOTDR(光パルス測定器)などの可搬型のケーブルテスタではFlukeNetworks(フルークネットワークス)が専業メーカとして有名。 参考用語:伝送交換

アクテルナ(あくてるな)

(Acterna)通信計測器の老舗ワンデル・ゴルターマンや、米国の老舗計測器メーカのウエーブテックを継承し、2000年に設立した、主に通信計測器をつくったメーカ。2005年に光ファイバ用計測器のJDSユニフェーズ(JDSU、旧JDSファイテル)に買収されて会社は無くなった。数年しか存在しなかったため、今では実態が良くわからない、幻の通信計測器メーカ。「アクテルナ」または「アクターナ」と呼ばれた。参考用語:Acterna

誤り率測定器(あやまりりつそくていき)

BER(Bit Error Rate、バー)の測定器。ビット誤り率測定器を略した呼称。別名:「ビットエラーレート測定器」、「ビットエラー測定器」、「BER測」など。

安藤電気(あんどうでんき)

1933年~2004年に存在した老舗計測器メーカ。正式名称:安藤電気株式会社。「ANDO」のブランドで通信計測器や半導体テスタをつくっていた。大株主はNECで、アンリツ同様にNEC系の計測器メーカだが、安藤電気はNECの持ち株比率が高く、NEC出身者が複数人、社長になっている。有線通信の計測器ではキーサイト・テクノロジーやアンリツと伍していた。1933年に安藤氏が創業。電電公社(現NTT)から通信計測器の開発を任された電電ファミリーの1社。光通信測定器はアンリツと安藤電気の2社がNTTに納めた。1980~2000年頃につくっていたのは基幹通信網の伝送装置向けの測定器である、SDH/SONETアナライザ、 MTDMアナライザ、モデムテスタなど。有線通信には強かったが無線ではアンリツに遠く及ばなかった(ラインアップには無線機テスタはあるが、SGやスペクトラムアナライザはない)。NTTなどに最先端の計測器を納入した。単発の波形しか捉えられないが、パルススコープとでもいうオシロスコープの原子版のような測定器をつくったという話がある。インピーダンス測定も早くから行い、「横河電機(LCRメータの特許などの要素技術があり、後のYHPに移管)の製品より高精度な測定結果だった」と発言した大学教授もいた。 1980年代の通信測定器以外のラインアップは、ICE、ROMライタ、LCRメータ、tanδ測定器など。ICEはインテル80386などの最先端のCPUに果敢に挑戦したが、特定顧客にしか販路が広がらなかった。ROMライタはNECから情報を得るなど、幅広いチップに対応したが、協力関係にあった浜松東亜電機(現東亜エレクトロニクスのフラッシュサポートグループ)に技術移管し、製品は現在も続いている。LCRメータはシリーズ化でシェアを伸ばしたが、業界標準のYHP(現キーサイト・テクノロジー)のような高周波モデルが開発できず撤退した。 2000年の光海底ケーブルバブルで屋台骨の光計測器が落ち込むと経営が傾いた。大株主のNECが半導体ビジネスから撤退するのに伴い、子会社にATE製品(半導体検査装置)は不要となり、NECに変わる株主が必要となった。横河電機が資本参加し、安藤電気の全事業を受け入れた(2001年にNEC保有株式が横河電機に売却された)。2002年に安藤電気は横河電機の100%出資子会社になり、2004年には事業再編で解体している。 プロトコルアナライザや光通信測定器では当時世界No.1のHPと競い、モデルによってはHPより売れた製品もあった。光通信測定器は現在の横河計測株式会社に引き継がれ、光スペクトラムアナライザは世界No.1である(2022年現在)。 参考用語:タケダ理研工業、YEW、Acterna

岩通計測(いわつうけいそく)

正式名称:岩通計測株式会社。2002年に岩崎通信機(岩通)の計測事業部門を分社化(同年は超高輝度ストレージスコープTS-81000が発売された年である)。2010年代後半に親会社(岩通)に吸収された。横河電機は2010年に計測器部門(オシロスコープや電力計測器など)を子会社の横河メータ&インスツルメンツ株式会社(現横河計測株式会社)に統合している。つまり岩通とは反対に計測器部門を別会社として切り離している。横河電機はプロセス・オートメーション、計装分野に事業を集中する過程で、半導体テスタ、科学分析機器、フォトニクスデバイスなどを本体から分社化や、撤退させてきた。計測器の事業も横河電機の主力ではないので分社化された。岩通が事業再編の中で計測器を本体に戻したのは、計測器事業が単独で収益を出すことが難しい時代に、計測器が岩通にとって必要な技術・商材と認識しているためと理解される。 2018年発行の計測器総合カタログ「IWATSU 電子計測器ダイジェスト2018 Vol.2」には計測器の連絡先として「岩通計測・第二営業部・計測系業担当/アカウント営業担当/国際営業担当と営業推進部 西日本支店」が明記されている。同社の第二営業部が計測器を販売していたことがわかる。時期は1990年頃と記憶しているので岩通計測のできる前だが、岩通の計測器の営業部門から計測器のレンタル会社である昭和ハイテクレントに複数人が転職している。 岩通の開発部門からはアドシステムズ(ISDNの擬似交換機の草分け)などの計測器メーカがスピンアウトで生まれている。岩通は古くからNTTに電話機を納品してきた中堅の通信機メーカ(電電ファミリー)だし、岩通計測はアナログオシロスコープの国内トップブランドという計測器の老舗(名門)である。 岩崎通信機(京王線久我山、杉並区)、横河電機(JR中央線三鷹、武蔵野市)、日本無線(JR中央線三鷹、三鷹市)と、東京都の23区西端には計測器メーカが3社もある(日本無線は2000年頃までは計測器部門があり、アナログの無線機テスタをラインアップしていた)。付近の地元住民には、電話機の岩通(がんつう)、無線のJRC(Japan Radio Co., Ltd.日本無線)、計測器のYEW(Yokogawa Electric Works、横河電機製作所)と呼ばれていた。

ADSL(えーでぃーえすえる)

(Asymmetric Digital Subscriber Line)既存の銅線電話加入者線を使って高速データ伝送をする技術。直訳すると「非対称デジタル加入者線」。上り(端末から局への通信)と下り(局から端末への通信)の通信速度が異なる事から非対称といわれる。ADSLは固定電話のサービスとして1999年に商用開始され2000年代前半に普及が進んだ。ソフトバンクのブロードバンド・インフラ事業のひとつであるYahoo! BB(ヤフービービー)は2002年にADSLを使った格安通信サービスを開始した。それまでの日本の通信料金は北米・韓国などに比べて高く、世界一高額といわれてきた。「日本に安価で高速なネットワークができなければIT(情報技術)ビジネスは広がらない」という信念のもと、ソフトバンクは自らがキャリア(通信事業者)となってその様なネットワークの普及に邁進した(いまでこそソフトバンクはNTT、auに次ぐ携帯電話の通信事業者だが、当時はそうではなかった)。街頭でのADSLモデムの無料配布、NTT回線初期費用無料、などの過激なキャンペーンで、ヤフーBBの加入者は激増し、基幹通信の通信料金の価格破壊の元となった。普及から20年を経た2024年にはADSLはサービスを終了し、後継は(同様に普及が進んだ)光通信(正式には光ファイバ通信)となる。ソフトバンクは2018年5月に、ADSL各種サービスを2024年3月末で終了すると発表した。NTT東日本とNTT西日本も2018年11月に「フレッツ光」の提供エリアで「フレッツ・ADSL」を2023年1月に終了予定と発表している。 ADSLに限らずIPネットワークの普及を推進した通信サービス(FTTHやCATVなど)は、2000年代前半までの(SDHに代表される)高安定高額方式(ギャランティ型)とは異なりベストエフォート型と呼ばれた。そもそもインターネットは、送信したデータが確実に相手に届く事を保証していない典型的なベストエフォート型の通信システムとして導入された。これはキャリア側がすべての加入者に一定の仕様を保証する(その見返りが応分に高額な回線使用料金となる)のではなく、「最大8Mbps」などベストでの仕様を提示し、全ユーザにこれを保証しない。そのためキャリアはギャランティ型のように高額測定器を常時設備せず、全営業地域で最大通信速度を保証する訳ではないので加入者料金が安価になる、という構造である。これは昨今の金融商品の自由化で謳われている利用者の自己責任でサービスを選択する事に類似している。2000年代前半に導入が始まったベストエフォート型のサービスは現在では当たり前で、家庭のパソコンをWi-Fiにつないでも、日々の状況など環境によって通信速度は変化して遅くなる場合がある。 有線の通信計測器も、インターネットの普及によって(以前のように)高額な専用器を通信インフラの保守会社が設備しなくなった(というかできなくなった)。無線通信でも、2021年に商用開始した楽天モバイルは、無線通信や電話の装置は高額なため導入せず、パソコンとソフトウェアでその機能を行うことで、格安な契約料金を実現しているといわれる。計測器だけでなく、高額な通信機器も導入が見送られる時代となった。2022年現在、楽天モバイルの品質は決して良くない(筆者は2021年4月から使用している)が、今後知見を積んで、品質改善や新サービス開始につながることが期待される。 参考用語:SDH/SONETアナライザ 計測器情報:ADSLが品名につく製品の例

ATMアナライザ(えーてぃーえむあならいざ)

ISDNサービスなどが導入された1990年代には、基幹通信網にはまだ交換機があり、ATM(Asynchronous Transfer Mode)交換技術は大変に重要だった。新しい技術に関する勧告が次々と出され、測定器も新しい勧告に基づいた仕様や機能が求められた。ATM機器にはUNI(User Network Interface)とNNI(Network Node Interface)があり、ATMアナライザはUNIとNNIでATM機器に接続し、機器の挙動などを評価した。HP(現キーサイト・テクノロジー)のE4200シリーズは走りの製品で、1995年頃に発売され、NECや富士通など多くの通信機器会社で使用された。ATMアナライザというとHPの製品名を指す時期もあった。E4200シリーズは当時のHPでは流行りだった、メインフレームとモジュールで構成するタイプで、今からすれば大型の測定器だった。当然、PCにつないで使用する。後年になると、可搬型のSDH/SONETアナライザにATMも対応した機種が主流になり、同社の37718A コミュニケーション・パフォーマンス・アナライザや、アンリツのMP1570A SONET/SDH/PDH/ATM アナライザなどのモデルが発売された。エイブルコミュニケーション(現アルチザネットワークス)はATMプロトコルアナライザ(DB-500/1000)という品名(形名)の製品を発売していた。岩崎通信機も当時はISDN関連の通信測定器群があり、ポータブルATMテスタSD-1000があった。これらのモデルはすべて製造中止である。

SDH/SONETアナライザ(えすでぃーえっちそねっとあならいざ)

SDH(Synchronous Digital Hierarchy)は1988年にITU-Tが制定した国際標準のデジタル伝送規格。90年代に「新同期網」と称して日本の基幹通信網に導入された。SDH装置を開発するメーカ(NEC、富士通、沖電気、日立製作所など)はアンリツか安藤電気のSDHアナライザで試験を行った。 SONET(Synchronous Optical NETwork)規格はほぼSDHと同等。SDHアナライザはSONETにも対応できるモデルが多く、SDH/SONETアナライザと称した。2000年頃まではキーサイト・テクノロジー、Wandel&Goltermann(ワンデル・ゴルターマン)、テクトロニクスなどの海外計測器メーカもつくっていたが、現在はほぼ生産中止。HPの37718A OmniBER コミュニケーション・パフォーマンス・アナライザは可搬型の1筐体で2.5Gbps (OC-48/STM-16) まで対応していた。 SDH/SONETはデジタル信号を多重するための国際標準で、各国が共通規格になることで、海外との通信を効率化した。SONET で使用するフレーム形式STS(Synchronous Transport Signal、同期転送信号)は、STS-1(51.84 Mbps、OC-1)をベース信号としている。SDHのフレーム形式STM(Synchronous Transport Module、同期転送モジュール)はSTM-1(155.52Mbps、OC-3)がベース。OC-n(Optical Carrier)はANSI(米国規格協会)が標準化したデジタルハイアラーキ(SONET)の伝送レートで、51.84MbpsをOC-1と呼び、そのn倍をOC-nと表記。 1990年にNECや富士通などがNTTにSDH装置を納品する際、限られた試験期間に複数台のSDHアナライザを使用するには(計測器は高額だったので)レンタルしかなかった。計測器レンタル各社にNECなどからほぼ同時期に複数台のレンタル依頼があり、各社は大口引合に右往左往した。億円単位の投資をしたレンタル会社は、その後SDHアナライザの不良資産(一度だけ貸し出したが、その後倉庫に鎮座し不稼働品となり、投資額を回収せず売却や廃棄など、未回収で終わる)を抱えることとなった。レンタル会社の購買部門が目利きを誤り、赤字商材を買ってしまった例である。 計測器情報:SDHアナライザの製品例

NTN(えぬてぃーえぬ)

(Non-Terrestrial Network)日本語では「非地上系ネットワーク」。地上、海、空にある移動体を多層的につなげる通信ネットワークシステムのこと。次世代の移動通信システムのBeyond 5G や6Gでは、地上通信システムと衛星通信システムを連携させ、「地上から宇宙までが一体となって接続されるネットワーク」の実現を構想している。地上の基地局からの電波が届かない海底など、インフラが整っていないエリアに対してインターネット接続を提供しようとする試みもある。総務省のHPにはNTNについて解説がある。NICTはNTNを実現する基盤技術の一つとして、衛星との高速・大容量通信を可能にする小型の平面アンテナを開発している。 ある通信計測器メーカの資料には「次世代の超高速通信(Beyond 5G/6G)で実現するNTNでは、100GHz以上のミリ波の評価が重要で、当社の○○アナライザを使えば・・・」という記述があった。

FTTH(えふてぃーてぃーえっち)

(Fiber To The Home)2000年代にCATVやADSLが普及し始めると、従来からアクセス網の光ファイバ化を構想していたNTTが「家まで光ファイバを引き込む」をスローガンに(コアネットワークだけでなく)アクセス系の通信網も光通信にすることで高速・大容量化を進展させようとした。家だけでなく事業所も含めてFTTP(Fiber To The Premises、敷地までファイバを)と呼ぶときもあった。アクセス系光通信網を完成することによって、広範囲にわたるユーザに高品質の通信を提供することを目指した。具体的な方式としてPON(Passive Optical Network)などが導入された。2022年現在はあまりFTTHということばは聞かなくなったので、ISDNと同じように、通信用語としては過去のもの(死語)になりかけている。

MTDM(えむてぃーでぃーえむ)

(Multimedia Time Division Multiplexer)マルチメディア時分割多重化装置。TDMは1本の回線で複数のデータを送るために開発された通信手法。デジタルデータやデジタル化された音声などを1つの伝送路を時間ごとに割り振って伝送する。1990年代に基幹通信網の使用料金がまだ高額だった頃、MTDMの導入によって企業の通信料金を安価にできる、とNEC、富士通、日立製作所、沖電気、大井電気などなどの通信装置各社が発売した。安藤電気にはAP-9216 MTDMアナライザという可搬型の計測器があった。新しい通信装置ができるとそれを試験する計測器が開発・発売された。だいたいは電電ファミリー(NTTの旧社名である日本電信電話公社の研究開発を製品化する、NTTの出入りメーカ、お抱え企業、下請けメーカ、をNTTのファミリー企業という意味でこう呼んだ)の大手通信計測器メーカであるアンリツと安藤電気が対応する計測器を開発した。

MTDMアナライザ(えむでぃーでぃーえむあならいざ)

MTDM(Multimedia Time Division Multiplexer、マルチメディア時分割多重化装置)の評価をする測定器。有線通信の大手計測器メーカ、安藤電気の形名AP-9216の品名(現在は生産中止)。1980年代に通信回線の有効利用ができるTDM装置が各通信機器メーカから発売され、ユーザ(企業)の多くが導入した。当時の高速デジタル伝送サービスのI/Yインタフェースなどに対応し、TDMの単体試験や開通(対向)試験ができた。DPBX(デジタル構内交換機)と合わせて、装置の開発メーカから設置工事会社まで、広く使用された。筐体は約6.5kgのポータブルタイプ(同社のプロトコルアナライザの名機、AE-5104/AE-5105 データコニュニケーションアナライザと同じ筐体)で、現場作業では重宝された。AP-9216の前身にはAP-9215というモデルもあった。AP-9216の競合品はアンリツにあったが、モデル名は不明。現在はPBXやTDM装置が新設される状況ではなくなったので、MTDMアナライザの需要はほとんどないと推定される。

ONU(おーえぬゆー)

(Optical Nertwork Unit)光回線の終端装置。NTTの光通信サービスであるフレッツ光などに契約すると、家にONUが必要になる。従来の電話電(銅線の加入者線)を使ったアナログ通信ではモデムが使われたので、ONUのことを光モデムと呼称しているケースが散見されるが、それは正しい表現ではないと筆者は考える。一方で「変復調はしているが、デジタルとアナログの変換をする装置がモデム」だから、「ONUは技術的にはモデムである」という主張もある。この説は間違いではないが、大変乱暴な主張と思える。モデムとは変復調装置である。ONUは変復調装置ではない、またモデムは電気で、通常は光ではない(余談だが、一部のメーカの商品に光モデムなるものがあり、定義を混乱させるので私は困ったネーミングだと思っているが、他社の商品名に文句はつけられない)。ONUとモデムについてはネットのQ&Aでも「両者は違う」という見解が多いが、上記のように「ONUはモデムである。違うというのは素人の間違った回答」という自信に満ちた書き込みもある。 2000年頃にFTTHを推進する方式として考案されたPON(Passive Optical Network)で加入者宅(契約をしているユーザ)側の装置としてOMUということばが使われるようになった。

OFC(おーえふしー)

(Optical Fiber Communication Conference & Exhibition)世界的な光通信の会議&展示会。毎年、3月下旬に米国カリフォルニア州(サンフランシスコやサンディエゴなど)で開催される。OFCの公式サイトには「光通信およびネットワーキングの専門家向けの最大のグローバル会議および展示会。テレコムおよびデータセンターオプティクスのプレミアイベント」とある。世界中の通信機器メーカが最新の商品を出展する。2021年には光伝送装置の最新のモデルであるOpen ROADMが出展されている。