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- RF(あーるえふ)
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(Radio Frequency) 別名:無線周波数。和訳すると「ラジオ周波数」。無線通信に使われる周波数のこと。「高周波」と表現されることもある。正確に何Hzの周波数範囲を指すかは文献によってさまざまで、定義は難しい。無線通信が始まったとき、無線機(ラジオ)で通信できるキャリア(搬送波)の周波数範囲をRFと呼称したと推測され、MHz~GHzの周波数を指している。 RFの計測器というと、スペクトラムアナライザ(スペアナ)を筆頭に信号発生器(SG)や高周波パワーメータ(低周波の「デジタルパワーメータ」ではなくRFパワーメータ)などの高周波の(無線の)基本測定器が相当する。高周波ということでネットワークアナライザ(ネットアナ)を含める場合もあるが、ネットアナは回路素子測定器(LCRメータなど)や材料測定器と同じ分類にされることも多い。 同じRFの周波数帯の測定器でも、携帯電話などの特定の通信方式に対応した測定器(ワンボックステスタ、無線機テスタ、シグナリングテスタなど)は(基本測定器ではなく)専用器なので当サイトでは「無線/移動体測定器」という別カテゴリーに分類している。ただし、無線測定器の主力(大きな売上)は携帯電話用途なので、「RF/マイクロ波」というカテゴリーで、上記のスペアナから無線機テスタや、電磁界強度計(メジャリングレシーバ)までを説明している文献(計測器の辞典)もある。 通信計測器には有線の測定器(光通信測定器や伝送交換の装置用測定器など)と無線の測定器があり、RFを含む無線測定器のメーカは、世界的にキーサイト・テクノロジー (米国)、ローデ・シュワルツ(ドイツ)、アンリツ(日本)の3社が有名で、多くのラインアップがある。特定分野の無線測定器ではリーダー電子(TV放送)、目黒電波測器(現計測技術研究所、GPS関連測定器)などがある。横河計測や菊水電子工業も特定モデルをラインアップしていたが、ほとんど生産中止になっている(横河計測は低周波の電力計、パワーアナライザなど、菊水電子工業は直流電源などの安定化電源が高シェアで、いずれも低周波の基本測定器が主力のメーカといえる。菊水電子工業はEMC関連計測器もある)。テクトロニクスはリアルタイムスペクトラムアナライザでRFの基本測定器であるスペアナに参入したが、上記の無線3メーカに伍するまでにはなっていない。 無線のほぼ専業だったローデ・シュワルツやアンリツは無線以外のカテゴリーの計測器(オシロスコープや温度・振動・ひずみなどの物理量測定器)にラインアップを広げている。キーサイト・テクノロジーは無線の専業ではなく、デジタルマルチメータなどの基本測定器からワンボックステスタなどの専用器まで直流から高周波を幅広くラインアップする総合計測器メーカだが、RF測定器の事業部門は老舗の名門で、同社を支える屋台骨である(オシロスコープの事業部門よりも歴史が古い)。 計測器情報:品名にRFが付く製品の例・・1000以上あり、大変多い。
- RFパワーアンプ(あーるえふぱわーあんぷ)
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(RF power amplifier) RF帯で使用される電力増幅器。RFとはRadio Frequencyの略で、無線通信などに使われる周波数のこと。「高周波」と表現されることもある。RFパワーアンプを翻訳すると「高周波電力増幅器」。EMCでは必須で使われる。また、SG(信号発生器)からDUTに高周波信号を入力してスペクトラムアナライザで評価する場合、複数のDUTを一度に評価するとき、DUTの前にPFパワーアンプと分配器を入れ、DUTの後に切替器(スイッチ)を入れると、効率の良い評価ができる。そのためRFパワーアンプは精度が求められる。「RFアンプ」というと計測器(機器)ではなく部品を指している場合が多い。 EMC用途では海外のAmplifier Research社(販売は日本オートマティック・コントロール株式会社)が有名。東陽テクニカも複数メーカを取り扱っている。国産では高周波機器のR&K(株式会社アールアンドケー)が計測器(RFパワーアンプ)と部品(RFアンプ)の両方をつくっている。高周波部品メーカのMini-Circuits(ミニサーキット)もRFパワーアンプのラインアップがある。 参考用語:EMS、イミュニティ 参考記事(会員専用):【展示会レポート】TECHNO-FRONTIER2021の3ページ・・Amplifier Research製品を取材。 計測器情報:RFパワーアンプの製品例
- IEICE EXPO(あいいーあいしーいーえきすぽ)
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一般社団法人 電子情報通信学会は英語表記「The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers」の頭文字をとったIEICEを略称にしている。その名の通り「電子、情報、通信」の3分野を扱う学術団体。1911年(明治44年)に逓信省に設置された研究会が元になったといわれている。電気学会(IEEJ)、情報処理学会、照明学会、応用物理学会(JSAP)、映像情報メディア学会を含めて、電気系6学会と呼ばれる。 IEICEは3月に発表・講演会である総会(General Conference)を行うが、これを「総合大会」と呼んでいる(※)。他の学会同様に学会に参加する先生たちの所属する大学で行われる(都心と地方の大学を毎年、交互に設定しているようである)。イベントとして展示会が併設され、10~20社程度の企業展示がある。これがIEICE EXPOと呼ばれるイベントである。IEICEのホームページでは、たとえば「IEICE EXPO 2025 東京(企業展示)」のタイトルで出展社を掲載している(2025年3月現在)。 IEICEが主催し、毎年11月末頃にパシフィコ横浜で開催されるMWE(Microwave Workshop&Exhibition、マイクロウェーブ・ワークショップ)にもマイクロウェーブ展があり(以下に参考記事あり)、IEICE EXPOはそのミニ版といえる。計測器メーカとしては通信御三家のキーサイト・テクノロジー、ローデ・シュワルツ、アンリツに加えて、キャンドックスシステムズやテクノプローブなどが常連の参加社である。各企業とも馴染みの先生方との長年のお付き合いがある。 IEICE EXPO 2025(3/24~27開催)は東京都世田谷区の東京都市大学(旧 武蔵工業大学、通称「ムサコウ」)で催され、主な参加社と展示は以下である(製品やサービスを展示した17社の中の11社を概説)。常連の出展社から筆者が聞いた話では、2025年の出展社は通年よりも多いらしい。IEICEはMWEという大きなイベント(講演会&展示会)があるので、IEICE EXPOは大学で開催するミニ展示会である。NWEのような学会主催の展示会は他にはなく、IEICE EXPOと同じ3月に開催される応用物理学会のJSAP EXPOには約150社、電気学会の「電気学会 全国大会 附設展示会」には約40団体が出展し、中~大規模の展示会となっている。 ・キーサイト・テクノロジー:USB計測器のVNA、FieldFox(フィールドフォックス)。 ・ローデ・シュワルツ:スペクトラムアナライザ、高分解能オシロスコープ(最新の8chモデル、いわゆる多チャンネルオシロスコープ) ・アンリツ:人材採用展示コーナで、製品展示はしていない。人事総務部 人財開発チームが説明。 ・(株)キャンドックスシステムズ:カプラやアンテナ。 ・(株)テクノプローブ:RFのプローバ関連製品(RF Probe Headなど)。 ・丸文(株) アントレプレナ事業本部 イーリスカンパニー 情報通信課:EXFOのOLTSと「ファイバー検査スコープ」(光コネクタなどの端面を検査できるハンディモデル) ・有限会社ハイテクアンドファシリティ:RFの計測器を展示。中古計測器の販売と、計測器の修理を業務とし、2001年に設立(本社:千葉県市原市)。 ・リゴル:オシロスコープ、AWG。前週の3/17まで開催されたJSAP EXPOと同じ展示品を「電気学会 全国大会 附設展示会」、IEICE EXPOに順番に持ってきている。 ・T&Mコーポレーション(株):Siglent Technologies(シグレント、新興の中華系オシロスコープのメーカ)のオシロスコープやスペアナほか。令和7年が初参加の輸入商社。 ・ハイソル(株):半導体製造の後工程の機器(JSAP EXPOに出展した中から、ごく一部を展示)。理化学機器や計測器の輸入商社。今回が初参加だが、展示品はJSAPほどフィットしなかった様子。 ・テガラ(株):科学技術計算用のHPC(High Performance Computing)製品。本社は静岡県浜松市。 Ansys(アンシス)のサイバネットシステム(株)やComsol(コムソル)の計測エンジニアリングシステム(株)などシミュレーションソフトの取り扱いメーカも出展しているが、今回の目玉はFlexcomputeである。最近開発されたGPUベースのシミュレーションで、従来のCPUベースより格段に高性能で、スーパーコンピュータよりも計算速度が速いらしい。米国のボストンにプラットフォームがあり、依頼すると有料で計算ができる。製品(シミュレーションソフトウェア)の販売はしていない(ソフトを動かすためのハードウェア構築には億円単位の投資が必要になるため)。会社はエヌビディアのチップを使っているが、単にGPUを使えばできるということではなく、アーキテクチャにノウハウがあり、容易には真似できないらしい。電磁界解析のTidy 3Dや流量解析モデルがある。昨年、韓国のサムスンは副社長が「すべてFleccomputeに変える」ように指示した。TSMAも導入した。「日本の大学へも今日のようにPRしているが、日本企業は判断が遅いので世界の流れに取り残されないか危惧している。従来のCPUベースのシミュレーション製品は遠からず淘汰されてなくなるだろう。」という、大変自信に満ちた説明だった。 (※) 学会によって発表・講演会の名称は異なる。IEICEは「総合大会」だが、電気学会は「全国大会」、JSAP(応用物理学会)は「学術講演会」である。名称に規定はないので、各学会は自由に(先生方は好き勝手に)名称を決めている。また電気学会の全国大会には併設展示会(電気学会 全国大会 附設展示会)があり、JSAPの学術講演会にはJSAP EXPOが開催される。IEICE EXPO、附設展示会など、展示会名称も様々である。
- アイソレーション誤差(あいそれーしょんごさ)
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(Isolation error) ネットワークアナライザによる測定において生じる測定誤差の1つで、「クロストーク誤差」とも呼ばれる。伝送測定においてDUTを通過した伝送信号以外の信号が受信側ポートに漏れることによって生じる誤差。送信側ポートおよび受信側ポートを終端した状態で一旦測定することにより補正できる。
- アイソレータ(あいそれーた)
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(isolator) いくつかの意味がある。2つ紹介する。 1.高周波電力を1方向にだけ通す電子部品。サーキュレータに終端抵抗を接続したもの。 2.アイソレーション(isolation、絶縁)するものがアイソレータなので、絶縁する機器に「アイソレータ」と命名していることがある。たとえばUSB接続をしているケーブルの間に入れて「USBポートを絶縁することでノイズ対策し、信頼性を向上させる、小型、高耐圧絶縁」とうたう「USB2.0アイソレータ」なる製品がある。
- アッテネータ(あってねーた)
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(Attenuator) 歪みを発生させることなく、電圧信号を減衰させる機器。和訳は「減衰器」だが、もはや「アッテネータ」は日本語として頻繁に使われている。スペクトラムアナライザ(スペアナ)の用語としては、スペアナがひずみの生じにくい最適な入力レベルで信号観測するために、スペアナ内部の入力ミキサ回路前にある減衰器のことをいう。
- アッテネータパッド(あってねーたぱっど)
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(attenuator pad) インピーダンス不整合を改善する目的で使用される減衰量が固定の高周波アッテネータを「アッテネータパッド」と呼ぶ。6dB, 10dB等のアッテネータが使用されることが多い。ネットワークアナライザによる測定の基礎知識で、「負荷のVSWRが悪化しているときは、整合改善用の減衰器(attenuation pad、またはPad)を直列に挿入してVSWRを小さくする」という解説があった。Padは「肩パッド」のように「形を整える」の意味と思われるが、明確に説明している資料は無いので推測である。 参考用語:パッド
- アドミッタンス(あどみったんす)
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(admittance) 【電子工学で使われる電気に関する量】 電流の流れやすさを表し、インピーダンスの逆数として示される基本量。単位は[S](ジーメンス)。アドミッタンス(y)は下式のように複素数の形で表される。 ここで、g: コンダクタンス, b: サセプタンス と呼ばれる。 「アドミタンス」という表記もある。
- アパーチャ(あぱーちゃ)
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(Aperture) “Aperture”とは、「すき間、窓」という意味。ネットワークアナライザで群遅延を測定する時に設定される「周波数間隔」を「アパーチャ」という。単位は[Hz]である。群遅延は、位相を周波数で微分することにより求めわれるために、このアパーチャの設定値が測定結果に大きく影響される。
- アンプ(あんぷ)
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小さい電圧信号を大きく(増幅)する機器。和訳は「増幅器」だが、「アンプ」はもはや日本語で広い分野で頻繁に使われている。計測器としては高電圧対応の電力増幅器(パワーアンプ)や高周波対応のプリアンプなどがある。増幅する目的に応じて、それぞれ電圧アンプ・電流アンプ・電力アンプと呼ばれることもある。電力増幅器(パワーアンプ)はバイポーラ電源や交流電源などの電源の1種に分類しているメーカもある。プリアンプはRF測定器の代表であるスペクトラムアナライザの周辺機器(アクサセリ)の1つである。アイソレーションアンプは絶縁を主目的としている。
- ENA/PNA(いーえぬえーぴーえぬえー)
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キーサイト・テクノロジーのネットワークアナライザ(ネットアナ)の愛称(通称)。同社のRF製品群は性能によって下からC、E、M、P、U、Vなどの通称(愛称)があり、モデル番号(形名)より通称で呼ばれることが多い。ネットアナはENAとPNAの2シリーズだが、SGは下からEXG、MXG、UXG、VXG、スペクトラムアナライザはCXA、EXA、MXA、PXA、UXAがある(2020/6月現在)。
- ECal(いーきゃる)
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(Electronic Calibration) ネットワークアナライザ(ネットアナ)の使用前に校正を行うアクセサリ。日本語では「電子校正」だが、イ―キャル(表記はECalやE-Cal、E-calなど)と呼称されている。外観は2つ(または4つ)のコネクタがある小箱で、ネットアナの入力端子、出力端子とケーブルで接続して使用する。対応する周波数(RFやマイクロ波)やコネクタ(3.5mmオス、1.85mmメスなど)によって種類があり、多くの形名がある。 ネットアナの世界的なトップブランドであるキーサイト・テクノロジーには、8753、ENA(E50xxY)などのネットアナ用に8509xYやN755xYなどの形名のECalがある(xは数字で1~9、Yは英字の大文字でA・B・C・・)。たとえばN4691B-OP00Fは300k~26.5GHzに対応し、2ポートのマイクロ波ネットアナ用で、コネクタはAPC3.5mm(f)が2つある(f:female、メスの略記。m:maleはオスの略記)。品名は「ECalモジュール(3.5mm)」。 同社には形名8505xYなどの機械校正(Mechanical Calibration)と、電子校正(E-Cal)がある。E-Calの製品カタログには「E-Calはメカニカル校正キットの半分以下の時間と接続回数で校正を実行でき、校正確度もメカニカル手法と遜色ない。従来のメカニカル校正では、操作に習熟する必要があったが、E-Calの場合はE-Calモジュールをネットアナに接続するだけで、後はすべてソフトウェアによって校正が実行されるので、使用者は間違うことがない。」旨の解説がある。従来は使用者が手動でネットアナを操作して行っていた機械校正(メカニカル校正)に対して、測定器が自動的に校正を行うECalが登場した。キーサイト・テクノロジーのECalはECalモジュールが正式名称である。「ECal校正キット」として木箱に一式が揃った製品もある。 高周波部品を取り扱うタキテック株式会社には電子校正モジュール(E-Cal)があり、キーサイト・テクノロジー、ローデ・シュワルツ、アンリツなどのネットアナと併用できる。科学分析機器をラインアップする島津製作所は、材料試験の電気式試験力校正(EZ-Test)を「E-CAL」と表記しているが、電気計測器の分野ではイ―キャルといえばネットアナの校正モジュールのことである。
- eVNA(いーぶいえぬえー)
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高周波(RF、マイクロ波、ミリ波)部品メーカとして50年の歴史があるMini-Circuits(ミニサーキット)社が、その経験を活かし2022年に発売したPC制御のVNA(ベクトルネットワークアナライザ)。モデル名は「eVNA-63+」。300kHz~6GHz、2ポート(N型コネクタ)で、サイズ254x197x42mm、質量4.5kgと小型・軽量。PCとの接続はUSBなので、最近流行りのUSB計測器の1種。オフライン解析もできるソフトウェアや校正キットも用意されている。 日本の代理店であるミニサーキット横浜株式会社は、趣味の電子工作の月刊誌「トランジスタ技術」に2022年~2023年にかけて広告掲載をしていた。高額な測定器だったネットワークアナライザが個人で購入できる価格になったので、アマチュア無線愛好家や電子工作マニアにPRしている。
- 位相変調(いそうへんちょう)
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(Phase Modulation) 変調方式の一つ。搬送波に対して変調信号の変化に合わせて位相(θ)の大きさを変化させる。位相変調(Phase Modulation) の頭文字をとって "PM"と略表記される。また位相を”φ”と表記することがあり、位相変調を”φM”と表記することもある。
- インステック ジャパン(いんすてっくじゃぱん)
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(Instek Japan) 2006年~2014年に存在した、台湾のGOODWILL INSTRUMENT CO.,LTD.(通称Goodwill、グッドウィル)が設立した日本法人(販売会社)。計測器のブランドはGW Instekである。正式会社名は「株式会社インステック ジャパン」。 GW Instek製品は日本に輸入されると、秋葉原の計測器ショップに陳列され、激安のオシロスコープは、アナログオシロスコープ時代からの老舗、日立電子(日立国際電気)や松下通信工業(パナソニックモバイルコミュニケーションズ)が計測器から撤退する遠因になった。それまで国内市場のミドルクラスのモデル(周波数帯域150MHz~500MHz)として売れていた、横河電機(現横河計測)のDLシリーズ(DL1600、DL1700など)も売上を落とした。GW InstekやRIGOL(リゴル)という中華系オシロスコープの上陸による価格破壊は、国産計測器メーカの退場にとどまらず、テクトロニクスやキーサイト・テクノロジーなどのオシロスコープのトップベンダーが安価なモデルをラインアップする契機となった。 インステック ジャパンは2007年に東京で開催された計測器の展示会、計測展に出展している。営業部にパワーサプライグループがあり、当時からオシロスコープだけでなく直流電源にも注力していたことが伺える。翌2008年の「計測展 2008 OSAKA」では日本電計ブースに出展している。当時の代表取締役 専務は鄧 宗輝氏(Tsung-Huei Teng)だが、社長は日立電子の出身だった。「周波数帯域25MHz~100MHzのモデルが全オシロスコープの販売台数の50%と推定している」(電子計測グループのマネージャー談)と、展示会場で筆者は聞いた。つまりオシロスコープのヴォリュームゾーンは350MHzや500MHzなどではなく100MHz以下であり、GW Instek製品はその周波数帯域でリーズナブルな価格のモデルを揃えている、ということであった。ちなみに当時の横河電機(現横河計測)の主力モデルはDL1600シリーズ(200MHz)、DL1700シリーズ(500MHz)で、1GHz帯域のDL9000シリーズが新製品だった。 2014年1月1日に(Goodwillの資本が入り傘下となった)テクシオ・テクノロジーがインステック ジャパンを吸収し、以降は日本での「GW Instekブランドのオシロスコープ、スペクトラムアナライザ、直流電源、マルチメータなどの販売・修理・校正の事業」はテクシオ・テクノロジーが継続した(同社ホームページより)。
- インピーダンス(いんぴーだんす)
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(impedance) 【電子工学で使われる電気に関する量】 直流におけるオームの法則の「抵抗 」の概念を交流(あるいは高周波)領域に適用し、電圧と電流の比として表現される基本量である。単位としてはオーム[Ω]が用いられる。インピーダンス(z)は下式のように複素数の形で表され、周波数に依存しない抵抗成分を実数(r: 抵抗分と呼ぶ)で、周波数に依存する成分を虚数(x: リアクタンス分と呼ぶ)で表し、その両者の和の形で表される。 通常、数学では複素数の虚数(imaginary number)は記号「i」(アルファベットの小文字のi)で表記されるが、電気工学ではiは電流の略記に使われるため、混同を避ける理由で、「j」(アルファベットの小文字のj)を使用する。 英語のimpedeは「妨げる」の意味で、「電流を妨げる」→「電流の流れにくさ」をimpedandeと呼称した。 インピーダンスは周波数に依存する(f特がある)オームで示される値のため、交流信号を扱う電気の基本用語の1つである。周波数の変化によるインピーダンスの変化をスミスチャートで示すのがネットワークアナライザである。一般的な電子部品(コイルやコンデンサなどの受動部品)のインピーダンスは、LCRメータやインピーダンスアナライザで、等価回路で測定する。
- インピーダンス整合(いんぴーだんすせいごう)
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(Impedance matching) 回路要素(回路素子あるいは測定機器)から伝送線路(例えば同軸ケーブル)へ、あるいは伝送線路から回路要素へ、あるいは特性インピーダンスが異なる伝送線路へ電気信号を伝達する場合、それぞれの特性インピーダンスが異なるとエネルギーの一部が反射して、電気信号を効率良く伝達できない。そのため境界部に整合回路を挿入してそれぞれの特性インピーダンスを合わせることをインピーダンス整合という。特に高周波回路においてはあらゆる伝送線路やコネクタについて特性インピーダンスを指定して電気信号の反射による効率低下を防ぐようにしている。
- ATT(えーてぃーてぃー)
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Attenuator の略。この表記(略記)で読み方は「アッテネータ」の場合も多い。(=減衰器)
- SWR(えすだぶりゅあーる)
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(Standing Wave Ratio) 定在波比の略記。文献などでは定在波比よりもSWRと記載されることが多い。RFなどの高周波ではSWRは多くの指標として使われる。 電圧や電力などの物理量よりもSWRを測定する方が容易なため、アマチュア無線の愛好家は、アンテナと無線機の調整にSWR計(SWRメータ)やアンテナチューナを使う。SWR計はメーカ品でも2万円程度で、愛好家は自作する場合もある。趣味の電子工作で使われる、安価な無線機器の範疇の計測器といえる。
- Sパラメータ(えすぱらめーた)
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(Scattering parameter) 高周波回路では、低周波回路のように電圧や電流を測定することはほとんど不可能であるために、電圧や電流に代わる別な量として電力を取り扱う。そこで回路に入って行く電力と、回路から出てくる電力を関係付けることができれば、高周波でも回路網をブラックボックス(暗箱)として取り扱うことができる。回路網の各端子対(ポート)に対する入力電力および出力電力に関する、波の大きさと位相によって、回路の特性を規定したものがSマトリクス(散乱行列,Scattering matrix)で、Sマトリクスの各要素をSパラメータと呼ぶ。 ネットワークアナライザ(ネットアナ)の測定原理の基本である。ネットアナにはSパラメータテストセットなどのアクセサリがある。