計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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RLC負荷(あーるえるしーふか)

抵抗負荷(R)、誘導負荷(L)、容量負荷(C)を選択できる負荷装置(電子負荷装置の1種)。メーカによっては「RCL負荷」という名称もある。 発電機の評価・検査ではRLC負荷が一般的に使われることが、電子負荷装置のトップブランド、計測技術研究所(パワエレ事業)のホームページに紹介されている。 系統連系試験用の負荷装置として、JETの認証試験(系統連系保護装置等の試験方法通則)やJIS C 8963「系統連系形太陽光発電システム用パワーコンディショナの単独運転検出機能の試験方法」の負荷条件に準拠した製品が各メーカ(電源関連のメーカ)から発売されている。 抵抗(R)やコイル(インダクタンス、L)、コンデンサ(キャパシタンス、C)などの電子部品の値(インピーダンス)を測定するLCRメータは名称がL、C、Rの順である。電気の物理量としては、R、L(またはC)、C(またはL)というRLCかRCLが説明する順番であることが多い。そのためRLC負荷やRCL負荷は大変に納得できる素直な品名である。反対にLCRメータがなぜRCLメータ(またはRLCメータ)と呼称されないのか不可解である。交流インピーダンス測定ではRよりもリアクタンス成分であるLとCが重要なために、LCR(またはCLR)メータという順番になったのかもしれない(あくまで筆者の推測)。

アイソレーショントランス(あいそれーしょんとらんす)

入力と出力が分離しており電気的に絶縁状態にある変圧器。 (=絶縁トランス)

アクティブフィルタ(あくてぃぶふぃるた)

スイッチング電源機器では、入力電流波形を改善し力率を良くするためのチョッパ回路を、アクティブフィルタと呼ぶことが多い。一般には、トランジスタやICなどの能動素子を使用し、特定の周波数のみを通過させることを目的とした回路網や装置のこと。(菊水電子工業の製品総合カタログ・用語集より)

安定化電源(あんていかでんげん)

商用電源を、必要な安定した電圧・電流に変換する装置。交流安定化電源と直流安定化電源に大別される。電源には出力を安定化させる機構を持っていないものもあるが、計測器としての電源は任意に設定した値で安定に出力することが必須なため、安定化電源と呼ばれる。計測器(計測用電源)の場合は略して「電源」と表記されることが多い。

ES-2000Eシリーズ(いーえすにせんいーしりーず)

(ES-2000E series) エヌエフ回路設計ブロックの交流安定化電源で、リニアアンプ方式(リニア電源)のESシリーズの内、2kVAベースでシステムアップできるコンポーネントスタイルの機種群のこと。「プログラマブル交流電源ES-E」、「リニアパワーES-E」という表現(表記)もされている。 単相マスタES2000ES、ブースタES2000EB、単相3線マスタES2000ED、三相マスタES2000ET、スレーブES2000EPを組合わせて、顧客の仕様にあった容量(kVA)の電源環境シミュレータを実現できる。同業の菊水電子工業のPCRシリーズ(リニアアンプ方式のPCR-LE)は容量によってモデルが1つ決まり、増設(追加購入)によって容量を増やすことは難しい。 2010年頃にFIT導入で普及が加速したPV(太陽光発電)のインバータ(パワーコンディショナ)の開発では多くのメーカがES-2000Eを使って試験を行った。最小限の設備品とレンタル調達品を上手に組み合わせて使えることも大きなメリットだった。 計測器情報:ES-2000シリーズの製品例

EV充電器(いーぶいじゅうでんき)

電気自動車(EV)を充電する装置のこと。ガソリン車のガソリンスタンドに相当するため充電スタンドともよばれる。普通充電器や急速充電器などがあり、充電時間や装置のサイズなど、まだまだ進化の途中にある。ノルウェーを筆頭に整備はEUが先行していて、日本はまだ普及率が低い。自動車の電動化の普及のための重要なインフラだが、世界的に規格が複数あることや、日本では今までEVよりハイブリッドなどに力を入れてきたことなど、普及が遅れている理由はいくつかある。ただし菅(すが)政権になって温暖化ガス削減の政策推進のために、2020年度には普及策が検討されている。メーカはGSユアサ、東光高岳、NECなど多彩な業種である。計測用電源のメーカである高砂製作所や菊水電子工業も参入している。装置の寿命は約8年で、集中設置された2万基が2021年度から順次、更新期に入るという課題がある。電気自動車や充電スタンドの開発・試験には多くの計測器が使われている。

移動体通信用電源(いどうたいつうしんようでんげん)

携帯電話の生産ラインで検査用に使われた計測用電源の総称。1995年にNTTドコモから4種類の形状の携帯電話が発売され(mova、ムーバ)、端末のレンタル制から買い取り制への移行、3G(デジタル方式の無線)の導入、と日本の電機メーカ各社はこぞって携帯電話の端末に参入した。NEC、富士通からソニー、パナソニック、デンソー、日本無線など、最盛期には10社以上があった。携帯電話の生産ラインにはGP-IB機能の無い菊水電子工業やケンウッド(現テクシオ・テクノロジー)の15~18V/3~5AのDC電源とは別に、GP-IB機能がある電源が使われた。キーサイト・テクノロジーの663xxシリーズやケースレーの2303-PJなどである。従来日本の計測用電源メーカのDC電源はGP-IB対応の物がほとんどなく、電源専業ではない海外の計測器メーカがGP-IB機能のある電源をラインアップしていた。それら、携帯電話製造ラインで使われるGP-IB機能のあるDC電源を「移動体通信用電源」と呼称した。これらモデルの品名にはそのような名称は全くないが、アプリケーションとして自動計測をする製造ラインでの使用があり、当時、製造ラインで大量にそのような電源を使うのは携帯電話が突出していたので、このような呼び方がされたと推測される。 携帯電話の生産ラインの計測器は各メーカがレンタルをフル活用したため、計測器レンタル会社は通信(無線)の計測器だけでなく、移動体通信用電源を大量に在庫して運用した。2010年代に日本には携帯電話を設計・製造するメーカはほぼ無くなったので、計測器レンタル会社の移動体通信用電源の在庫もほぼ無くなった。

INTERMEASURE(いんたーめじゃー)

「計量計測展」、「インターメジャー」と呼称され、隔年秋に開催される、計量法に関係する展示会。日本メーカだけでなく世界の計量メーカが出展しいている。総合検査機器展(JIMA)、センサエキスポジャパン(SENSOR EXPO JAPAN)との併設で開催。センサエキスポジャパンは毎年開催で、INTERMEASUREと測定計測展(Measuring Technology Expo)が交互に開催される。 国内の計量法に関連するイベントでは、日本NCSLI技術フォーラムが、毎年秋に開催されている。こちらは日本の計量関連企業の総会といえる。

インバータ(いんばーた)

(inverter) 直流を交流に変換する装置。交流モータの速度を連続的に、かつ広範囲に制御するもので、エアコン、ポンプ、ブロアなどの可変速駆動に使われている。商用電源をいったん直流に変換しフィルタを通し、サイリスタインバータやトランジスタインバータに入力し異なった周波数に変換する装置。(共立電気計器株式会社の用語集より) 交流 (AC)を直流 (DC)に変換する機器をコンバータ(converter)という(可搬型のパソコンにコンセントから電源を供給したり、スマホに充電するACアダプタはコンバータである)。逆にDCからACに変換する機器をコンバータの反対という意味のin-converterを略してinverter(インバータ)という。ACをDCに変換するコンバータを順変換装置、逆にDCを任意周波数のACに変換するインバータを逆変換装置と呼んでいる文献もある。インバータは広義には計測器ではないが、電源関連の機器メーカ(計測用の安定化電源メーカや、ノイズカットトランスで有名な電研精機研究所など)がつくっているので、カテゴリー「電源装置」に分類している。 太陽光パネルはDC出力する電池なので、PV(太陽光発電)用のインバータであるパワーコンディショナで適切なACに変換されて、家庭の電気機器や電力系統に供給される。太陽光発電の発電効率はインバータの性能が大きな要因の1つである。 EV(電気自動車)はバッテリの電力(DC出力)を効率よくモータ(ACを供給して動く)に伝えるために、自動車用インバータの性能アップが各メーカで研究開発されている。日本のエアコンはほとんどがインバータを採用していて、省エネを実現している。このように私たちの生活のいたるところにインバータは使われ、また性能向上が日々進んでいる。 インバータを構成するパワー半導体として従来の元素であるSi(シリコン)に代わりSiC(シリコンカーバイド)やGaN(ガン)などの、小型で電力変換効率が優れた素子を使ったデバイスが開発され、そのような半導体を使い、従来より小型で性能が良いインバータ製品が日進月歩で製品化されている。 半導体デバイスの主要メーカ(世界のキープレーヤ)は欧米や台湾・韓国で日本メーカではないが、パワー半導体では日本メーカは世界的に最先端である。パワー半導体の世界トップ3のデバイスメーカはインフォニオンテクノロジーズ(ドイツ)、オンセミコンダクター(米国)、STマイクロエレクトロニクス(スイス)だが(2021年統計)、それに続くのは日本の三菱電機や富士電機、東芝などである。SiCの商用化ではロームが早かった。ルネサスエレクトロニクスも注力をしている。これらの半導体を使い、各メーカがインバータをつくっている。インバータは広範な分野に製品があるため、代表的なメーカを述べるのが難しい。

AC-DCコンバータ(えーしーでぃーしーこんばーた)

(AC-DC converter) 交流(AC)を直流(DC)に変換する機器。測定器としての直流電源 も広義にはこの機能を有する。一般にACをDCに変換する機器をコンバータ(converter)、反対にDCをACに変える機器をインバータ(IN-conVERTERの略)という。ほとんどの電子機器は直流電源で駆動するため、商用電源(交流)のコンセントから電子機器に電源供給する時はコンバータが必要になる。 通信機器はDC48V駆動が多く、NTTの局舎にある装置にはACからDC48Vをつくるコンバータが備わっている。据置型(ベンチトップ、デスクトップ)の機器は内部に電源回路がありACからDCをつくるが、可搬型(ハンドヘルド、ハンディ)の携帯機器(ノートPCや携帯端末など)はコンバータであるACアダプタを使ってコンセントから給電する。同義語:ACアダプタ。反対語:DC-ACインバータ。コンバータやインバータは電源の1種に分類されることもある機器である。 コンバータの反対の機能があるインバータはモータを効率よく回転(制御)するのに使われる。EVなどの自動車の電動化では、インバータはバッテリ(電池)とともにキーの部位である。また

AC電源(えーしーでんげん)

交流(AC)の電圧・電流を発生する測定器。(=交流電源)

APL2(えーぴーえるつー)

Mywayプラス社のバッテリ評価用の回生直流電源の通称(すでに生産中止)。同社は電子負荷の機能を内蔵した直流電源である回生電源の老舗メーカ。このモデルの他にpCUBEがある。カテゴリは直流電源か電子負荷か迷うところだが、特殊な直流電源という分類が妥当である。同社がAPL2を発売していた2010年頃は、まだ回生電源がほとんどなく、直流電子負荷装置に分類されることもあったが、その後のPV(太陽光発電システム)や電気自動車(xEV)の普及によって、回生電源は直流電源の1ジャンルとして確立した。 2010年代は海外製の回生電源が主流だったが、徐々に高砂製作所や菊水電子工業などの国産の計測用電源メーカもラインアップするようになった。2020年にはベンチャー企業が参入している(参考記事のTECHNO-FRONTIER2021で取材)。2022年には(計測器メーカではない)大型の電源(装置)メーカが展示会に回生電源を出展している。 APL2は太陽光発電が普及する以前のインバータ(パワーコンディショナなど)の研究開発フェーズで使われた、国産回生電源の走りである。

AVR(えーぶいあーる)

(Automatic Voltage Regulator) 直訳すると「自動電圧調整器」。2つの意味がある。 1.交流発電機の電圧を一定に保つ装置。重電機器(電力関連機器)の1つで、発電所に設備され、負荷(工場や家庭が使う電気量)が変動しても発電所の出力電圧が下がらないようにしている。電力のネットワークである電力系統の交流電圧を安定に保つために不可欠な装置。 2.電源のことをAVRと呼んでいることがある。たとえば電源と安定化電源の違いは「電源内部の出力側にAVRが備わっているのが安定化電源」と説明される。電源にはAVR付きとそうでないものがある。AVRは発電機だけでなく電源(広義に電力を出力するもの)の出力を安定にする装置(機構)のことである。計測用電源は出力の精度が良いが、そうではなくて「だいたい何V出力」という電源は実は世の中にはたくさんある。そのため、電源ではなく「安定化電源」ということばがある。 計測用電源の交流電源は商用電源(ACコンセント)を入力として、安定した交流出力を出すので、高砂製作所や計測技術研究所などの計測器メーカは自社の交流電源のことをAVRと呼称している。

MPPT(えむぴーぴーてぃー)

(Maximum Power Point Tracking) 日本語では「最大電力点(追従)制御」。太陽電池が発電する時に出力を最大化できる最適な電流と電圧の値(最大電力点、あるいは最適動作点)を自動で求める制御のこと。PV(太陽光発電システム)は気象条件などの変化で常に変動する最適動作点に追従しながら動作している。MPPTは効率良く電力を取り出す仕組みである。MPPT機能はパワーコンディショナ(太陽光発電のインバータ)に搭載されている。そのためパワコン評価用の試験機器(電源など)にはMPPT機能があるモデルがある。また、PV用のI-VチェッカにもMPPT機能のあるモデルがある。

LLC共振(えるえるしーきょうしん)

2つのL(インダクタンス、コイル)と1つのC(キャパシタんす、静電容量)という3つのリアクタンスを使った共振回路。LLC共振コンバータは電源に使われる。STマイクロエレクトロニクスなどのデバイスメーカやスイッチング電源メーカがLLC共振を使った製品をつくっている。

OCP(おーしーぴー)

(Over Current Protection)過電流保護回路。出力が何らかの原因で短絡した時などに負荷を想定以上の電流から保護するための機能。使用する負荷の必要容量よりもはるかに電流容量の大きい電源を使用する際などに重宝する。定電流設定(CC)機能がある電源では、定電流設定(CC)値の誤設定時の最終保護としても使用できる。常にOCP>CCの関係になるように設定する。別名カレントリミッタともいう。過電流保護が動作した場合はほとんどの電源が出力を停止する。その場合、電源再投入で復帰する。(株式会社高砂製作所の用語集より)

オートマチックVCリミッター(おーとまちっくぶいしーりみったー)

電源メーカの老舗、高砂製作所の電源の機能。同社の用語集には次の解説がある。当社は定電圧動作と定電流動作を電子的に負荷抵抗の値によって自動的に、しかもシャープに切り換わる、定電圧/定電流直流電源をいち早く開発した。定電圧電源として使用する場合は、0~最大定格出力電流まで任意に可変できる電流リミッターとして動作し、定電流電源として使用する場合は、0~最大定格出力電圧まで任意に可変できる電圧リミッターとして動作する。定電圧/定電流オートマチック・クロスオーバー方式ともいう。

OVP(おーぶいぴー)

(Over Voltage Protection)過電圧保護回路。出力電圧が何らかの原因で負荷の耐圧を超えないように保護する機能。使用する負荷の必要電圧よりもはるかに高い電圧を出力可能な電源を使う場合に有効。CV(定電圧設定)機能のある電源では、CV値の誤設定時の最終保護としても使用できる。常にOVP>CVの関係になるように設定する。過電圧保護が動作した場合は、ほとんどの電源が出力を停止する。その場合、電源再投入で復帰する。(株式会社高砂製作所の用語集より)

回生電流(かいせいでんりゅう)

回生機能付き直流電源や回生機能付き電子負荷などで、電子負荷として電力を吸収してACラインに回生しているときの電流や状態(シンク電流/シンク状態)。(株式会社高砂製作所の用語集より)

活線挿抜(かっせんそうばつ)

(hot swap) 装置の電源を入れたまま、その装置を脱着することのできる方式。通信機器やサーバ、ルータの電源などで電源装置を2重化(冗長構成)して、もし故障した場合は、運用中(通電中)のまま故障した電源装置を交換できる方式のこと。(株式会社高砂製作所の用語集より) IT(コンピュータ)用語で、ホットスワップとは、機器の電源を落とさずにメモリなどの内部機器を交換(抜き差し)できることをいう。活線とは「電流が流れている電線など」のことだが、「活線挿抜」は「機器が通電状態である」ことの意味で活線ということばが使われている。