計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
フリーワード検索をはじめ、カテゴリー、索引から簡単にお調べいただけます。

フリーワード検索

検索用語一覧

146

各用語の詳細ページでは関連用語などを確認することができます。
このアイコンが表示されている用語には、詳細ページに図解や数式での説明があります。

アーステスタ(あーすてすた)

接地された導体と大地間の電気抵抗を接地抵抗という。接地(アース)抵抗を測定する機器がアーステスタ。別名:接地抵抗計 。 機器の(人が接触可能な)金属部が接地されているか確認する計測器に「アース導通試験器」がある(菊水電子工業などが安全規格の機種群としてつくっている)が、アーステスタ(接地抵抗計)とは異なる。 計測器情報:品名に「アーステスタ」が付く製品の例

RF I-V法(あーるえふあいぶいほう)

交流インピーダンス測定の手法の1つ。インピーダンスアナライザで測定周波数100MHz~3GHzあたりのモデルに採用されている方式。100MHz以下のLCRメータなどには自動平衡ブリッジ法が採用されている。参考記事:LCRメータの基礎と概要 (第1回)・・LCRメータの構造や測定原理、各社LCRメータの紹介など。

IRメータ(あいあーるめーた)

絶縁抵抗計、エレクトロメータの別名。IR(Insulation Resistance、絶縁抵抗)を測定するメータ。能動部品の生産現場でこの呼び方がされる。2019年1月にエーディーシーから「4000/IRメータ(形名/品名)」が発売された。IRメータという名称は、計測器の品名ではエーディーシーが初めて使用した。同社がエレクトロメータの老舗で、電子部品メーカに強いことを伺わせる。日置電機の絶縁抵抗計の現役モデルはIR4054など、形名の頭2文字はIRである。同社の形名は以前は数字4桁だったが、ある時期から新製品は、頭にアルファベット2文字をつけ機種群の区分を整備するようになった。以前の製品は「3355 Iorリークハイテスタ」などだが、最近は「IR3455 高電圧絶縁抵抗計」というような形名である。屋外で使用する可搬型のメガーなど、現場測定器のラインアップが多い日置電機(や共立電気計器)の品名は「絶縁抵抗計」で、SMUをラインアップして半導体デバイス顧客に強いエーデイーシー(やケースレー、キーサイト・テクノロジー)は「エレクトロメータ」である。両者は市場やアプリが違い、品名も異なるが、日置電機もエーデイーシーもIRは使っている。

ICT(あいしーてぃー)

2つの意味がある。1は計測器、2は通信の用語。 1 (In Circuit Test) 日本語で「インサーキット・テスト」と表記されることも多い。ICTという略記や記述も多い。電子部品が実装されたプリント基板で、電子部品(抵抗やコンデンサ)の定数、ダイオード特性などを測定して、電子部品と基板との接続信頼性を検査する。つまり多ピンのマルチメータ/LCRメータで、プリント基板の中の回路に入って行って(In-Circuit)、測定をする。 日本電気計測器工業会(JEMIMA)の技術解説では、「電気測定器/半導体・IC測定器・ボードテスタ&試験システム/ボードテスタ」の項目の冒頭に「1.インサーキットテスタ In-Circuit Tester」が解説されている(次は「2. ベアボードテスタ Bare Board Tester」で、「4.その他のテスタ」に「4.2 バウンダリスキャンテスト」がある)。つまり、インサーキットテスタとボードテスタはほぼ同義である。 ICTのメーカである協立テストシステムのホームページでは「インサーキットテスター」のことをICTと表記しているが、キーサイト・テクノロジーのホームページでは「インサーキット・テスト」のことをICTと略記している。つまり、ICTはテストとテスタの両方の略記である。また、「インサーキットテスタ」、「インサーキット・テスタ」、「インサーキット・テスター」など表記は統一されていない。 2 (Information and Communication Technology) 「情報通信技術」と訳される。ITとほぼ同じ意味だが、IT(Information Technology、情報技術)にCommunicationが入っている点が新しい。政府は2000年に「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」(通称「IT基本法」)を成立させた。ここからITという用語が広まったが、2004年頃からICTという表現に変えている(国際的にはICTが一般的なのでそれに合わせたと思われる)。そのため、2000年中期以降に各所でICTという表現が使われ始めた。現在ではITとICTの両方が場面によって使い分けられている。コンピュータや情報通信関連の機器を一般的にはIT機器、それらの業界をIT産業やIT市場と表現していて、ICTよりITのほうが散見される。もっとより広く情報通信の分野のことをいいたいときに(最先端であることをイメージさせる、今風のいいかたとして)ICTといっているようである。たとえば企業のビジョンやPRの表現に2000年代後半から使われている例がある。もっと時間が経過したらITにとってかわり、市民権を得た一般的な用語になるかもしれない。逆に、現在のJRの電車のことを一時期「E電」と呼んでいたが、今は誰も呼ばない死語になったように、ICTも消えて、別の用語が台頭するかもしれない。

I-V法(あいぶいほう)

交流インピーダンス測定の手法の1つ。ロックインアンプ、周波数特性分析器(FRA)、電力計などを使用して、発振器の電圧と負荷に流れる電流の測定を、位相差を含めた正確な測定を行う。I-V法はLCRメータでは測定しにくい大型のリアクトル(コイル)のインダクタンス測定に使われたり、負荷装置などと組み合わせて測定する電気化学分野で使われている。参考記事:LCRメータの基礎と概要 (第1回)の2ページ目・・I-V法による燃料電池のインピーダンス測定が紹介されている。交流インピーダンス測定の各手法を概説。

アデックス(あでっくす)

1980~2010年頃にあった回路素子測定器メーカ。正式名称はアデックス株式会社、本社は京都市伏見区。略記:ADEX。インピーダンス測定器の世界的なデファクト、ヒューレット・パッカード(当時は日本ではYHP。現キーサイト・テクノロジー)などの海外メーカから遅れて、1970年代に国産計測器メーカはLCRメータをつくり始めた。カーブトレーサなどの電子部品測定器の國洋電機工業、FRA(周波数特性分析器)で電子部品評価の要素技術があるエヌエフ回路設計ブロック(エヌエフ)、tanδ(タンデルタ、誘電体損測定器)などで材料・回路素子の評価をしてきた安藤電気などである。 アデックスはこれら計測器メーカよりも安価なLCRメータをつくり、1980年代の月刊トランジスタ技術に頻繁に広告掲載していた。高周波の製品は無く、2005年頃のラインアップはLCRメータ(1kHz)、Cメータ(静電容量計、キャパシタンスチェッカ)、抵抗計、ミリオームメータ、ハンディDMMなど。現在は「アデックスエール」社がベンチトップの製品群(LCRメータやCメータ、抵抗計など)約45機種をHPに掲載している(2022年4月現在)。 アデックスの計測器はアデックスエールで現在も現役だが、國洋電機工業や安藤電気は会社自体がもうない。エヌエフは、英国のLCRメータ老舗Wayne Kerr Electronics(ウエインカー)社と提携してLCRメータを継続しているが、自社製品ではFRA関連製品を充実している(最大15MHzで測定ができるZGA5920インピーダンス/ゲイン・フェーズ アナライザなど)。日置電機は生産ライン用LCRメータで多くの電子部品メーカに採用され、2000年にはZハイテスタなどをラインアップし、MHz帯域モデルも揃えで国産LCRメータのトップブランドになった。LCRメータ/インピーダンスアナライザは、日置とキーサイトが現在の2強。そんな中、アデックスエールは周波数1kHz固定のLCRメータ2機種を販売している。ローデ&シュワルツは2010年に汎用オシロスコープ(500M~2GHz)に参入するなど、無線通信以外の機種群にラインアップを広げていて、2022年3月にはLCXシリーズLCRメータ「クラス最高確度で、最高10MHzをカバー」を発売し、高周波LCRメータをラインアップした。同社のコンペチタはキーサイト・テクノロジーや日置電機で、アデックスエールでないことはいうまでもない。

アドミッタンス(あどみったんす)

(admittance) 【電子工学で使われる電気に関する量】 電流の流れやすさを表し、インピーダンスの逆数として示される基本量。単位は[S](ジーメンス)。アドミッタンス(y)は下式のように複素数の形で表される。 ここで、g: コンダクタンス, b: サセプタンス と呼ばれる。 「アドミタンス」という表記もある。

アノード(あのーど)

(anode)電子部品で、外部回路から電流が流れ込む電極のこと。反対の電極をカソードという。電池や真空管、ダイオードなどにはアノードとカソードがある。電圧の高低に着目して、アノードとカソードを陽極と陰極といったり、正極・負極といったりする。アノードは、真空管では正極、電池では負極。ダイオードに2つある端子はアノードからカソードに電流が流れる。電力用のスイッチに使われる半導体素子のサイリスタにもアノードとカソードがある。

安藤電気(あんどうでんき)

(Ando Electric Co., Ltd.) 1933年~2004年に存在した老舗計測器メーカ。正式名称:安藤電気株式会社。東京証券取引所第二部に上場。通信計測器や半導体テスタをつくっていた。大株主はNECで、アンリツ同様にNEC系の計測器メーカだが、安藤電気はNECの持ち株比率が高く、NEC出身者が複数人、社長になっている。有線通信の計測器ではYHP(現キーサイト・テクノロジー)やアンリツと競っていた。 1933年に安藤氏が創業。電電公社(現NTT)から通信計測器の開発を任された電電ファミリーの1社。光通信測定器はアンリツと安藤電気の2社がNTTに納めた。1980~2000年頃につくっていたのは基幹通信網の伝送装置向けの測定器である、SDH/SONETアナライザ、 MTDMアナライザ、モデムテスタなど。有線通信には強かったが無線ではアンリツに遠く及ばなかった(ラインアップには無線機テスタはあるが、SGやスペクトラムアナライザはない)。NTTなどに最先端の計測器を納入した。単発の波形しか捉えられないが、パルススコープとでもいうオシロスコープの原子版のような測定器をつくったという話がある。インピーダンス測定も早くから行い、「ブリッジなどの回路素子測定器をつくっていた横河電機の製品より高精度な測定結果」と評価した大学教授もいた。 1980年代の通信測定器以外のラインアップは、ICE、ROMライタ、LCRメータ、tanδ測定器など。ICEはインテル80386などの最先端のCPUに果敢に挑戦したが、特定顧客にしか販路が広がらなかった。ROMライタはNECから情報を得るなど、幅広いチップに対応したが、協力関係にあった浜松東亜電機(現東亜エレクトロニクス のフラッシュサポートグループ)に技術移管し、製品は現在も続いている。LCRメータはシリーズ化でシェアを伸ばしたが、業界標準のHP(現キーサイト・テクノロジー)のような高周波モデルが開発できず撤退した。 2000年の光海底ケーブルバブルで屋台骨の光計測器が落ち込むと経営が傾いた。大株主のNECが半導体ビジネスから撤退するのに伴い、子会社にATE製品(半導体検査装置)は不要となり、NECに変わる株主が必要となった。横河電機が資本参加し、安藤電気の全事業を受け入れた(2001年にNEC保有株式が横河電機に売却された)。2002年に安藤電気は横河電機の100%出資子会社になり、2004年には事業再編で解体している。 プロトコルアナライザや光通信測定器では当時世界No.1のHPと競い、モデルによってはHPより売れた製品もあった。光通信測定器は現在の横河計測株式会社に引き継がれ、光スペクトラムアナライザは世界No.1である(2022年現在)。 前述のようにNECが半導体デバイスビジネスをするために、グループ内の計測器メーカに半導体テスタをつくらせた。そのため安藤電気の半導体テスタは同業のアドバンテスト(旧タケダ理研工業)などに比べるとNEC以外にはあまり売れなかった。1970年代から2000年頃の半導体テスタは最先端の検査機器(花形製品)として、複数の計測器メーカがつくっていた。安藤電気は半導体テスタ事業が赤字でも、通信計測器(プロトコルアナライザや光計測器など)が補填した。ところが光計測器が赤字になったときに半導体テスタはそれを補填することはなく、会社は立ち行かなくなった。 軽率なことはいえないが、安藤電気がもし半導体テスタをやっていなかったら、光通信などの有線通信計測器の世界トップメーカとして存続していたかもしれない。2002年の社長である本橋氏は同社の計測器事業部出身の技術者で、何代も続いたNECからの天下りではなく生え抜きだった。キーサイト・テクノロジー(当時はアジレント・テクノロジー)が光測定器を縮小したので、安藤電気は光測定器で世界No.1になる目前だった。計測出身のプロパー社長のもとで躍進することなく、横河電機に身売りすることになったのは残念である。 参考用語:YEW、Acterna、ミナトレクトロニクス 計測器情報:安藤電気の光測定器

EDLC(いーでぃーえるしー)

(Electrical Double Layer Capacitor) 日本語では「電気二重層キャパシタ」。通常のコンデンサより充電時間が短く、大きな電気を蓄えられる特徴があるコンデンサ(電解コンデンサに対して容量が千~1万倍大きい)。コンデンサの「蓄えた電気を放出する」機能は、バッテリ(二次電池)も同じである。ただし放電(電気を供給し続ける)時間が全く異なる(コンデンサは短時間で放電して終わる)。EDLCは通常のコンデンサをバッテリに近づけた特殊なコンデンサで、コンデンサとバッテリ中間に位置する。通常、日本語ではコンデンサというが、EDLCはキャパシタと表記している。コンデンサとキャパシタはほぼ同義だが、EDLCのキャパシタはコンデンサとバッテリの中間にあるという意味で使われているように思われる。 バッテリが数時間かかる充電をEDLCは数秒で行える。また、充電回数がバッテリは有限だが、EDLCは原理的に限界がない。二次電池と比較すると、エネルギー密度(単位重量または容積あたりに蓄えられるエネルギーの量)では劣るが、出力密度(単位重量または容積あたりで瞬間的に取り出すことができる電力の大きさ)では優れていて、大電流での充放電の繰り返しによる性能劣化が少なく、寿命が長い。そのため、近年のインバータやEVなどを使ったパワエレ機器にも採用が広がっている。 電気二重層の原理は19世紀にドイツの物理学者が発見したが、日本の電気部品メーカは1970年代にEDLCを商品化している。アルミ電解コンデンサ(ケミコン)を国産初でつくった日本ケミコン株式会社や、MLCCなどの電子部品が得意なTDK、などがつくっている。

インサーキットテスタ(いんさーきっとてすた)

(In Circuit Tester) 電子部品が実装されたプリント基板に多ピンの治具(コンタクト、フィクスチャ)で接続して、電子部品とプリント基板の接続状態を評価する試験器。別名:ボードテスタ。略記のICTも、表記として良く使われる。 国産メーカでは日置電機や協立テストシステム、海外ではキーサイト・テクノロジーやTERADYNE(テラダイン)などがある。キーサイト・テクノロジーは半導体テスタは別会社に売却したが、インサーキットテタはラインアップに残っている(計測器という位置づけ)。テラダインは1970年代に世界初の半導体テスタをつくったが、ラインアップにはインサーキットテスタもある。

インダクタ(いんだくた)

(inductor) 電磁エネルギーを蓄える受動素子。電子部品としては「コイル」がある。別名、インダクタンス (inductance)、単位:H(ヘンリー)、回路記号は「L」。 回路上のふるまいは、直流は通すが交流は通しにくい。また、電流の位相は電圧に対して90°遅れる。この性質はC(静電容量、キャパシタ)と全く反対である。 単位の由来は、電磁誘導を発見した米国の物理学者ジョセフ・ヘンリーによる。

インダクタンス(いんだくたんす)

(inductance) 【電子工学で使われる電気に関する量】 コイルに流れる電流の大きさが変化すると誘導起電力が発生する電磁気現象のこと。別名、インダクタ(inductor)。量記号は「L」。単位は[H](ヘンリー)。たとえば「トロイダルコイル(200μH)」のようにコイル部品の値を示すのにH(ヘンリー)は使われている。 米国の物理学者ジョセフ・ヘンリーは英国のマイケル・ファラデーとほぼ同時期に(別々に)電磁誘導を発見した。ヘンリーはコイルの単位に、ファラデーはコンデンサの単位「F:farad、ファラッド」になり名を残した。電荷の単位が以前は(ファラデー由来の)「Fd:faraday、ファラデー」だったが、SI単位ではC(クーロン)になった。

インピーダンス(いんぴーだんす)

(impedance) 【電子工学で使われる電気に関する量】 直流におけるオームの法則の「抵抗 」の概念を交流(あるいは高周波)領域に適用し、電圧と電流の比として表現される基本量である。単位としてはオーム[Ω]が用いられる。インピーダンス(z)は下式のように複素数の形で表され、周波数に依存しない抵抗成分を実数(r: 抵抗分と呼ぶ)で、周波数に依存する成分を虚数(x: リアクタンス分と呼ぶ)で表し、その両者の和の形で表される。 通常、数学では複素数の虚数(imaginary number)は記号「i」(アルファベットの小文字のi)で表記されるが、電気工学ではiは電流の略記に使われるため、混同を避ける理由で、「j」(アルファベットの小文字のj)を使用する。 英語のimpedeは「妨げる」の意味で、「電流を妨げる」→「電流の流れにくさ」をimpedandeと呼称した。 インピーダンスは周波数に依存する(f特がある)オームで示される値のため、交流信号を扱う電気の基本用語の1つである。周波数の変化によるインピーダンスの変化をスミスチャートで示すのがネットワークアナライザである。一般的な電子部品(コイルやコンデンサなどの受動部品)のインピーダンスは、LCRメータやインピーダンスアナライザで、等価回路で測定する。

インピーダンスアナライザ(いんぴーだんすあならいざ)

回路部品のインダクタンス・静電容量・抵抗などのインピーダンス等を測定する機器。周波数を変えて測定できる。直流成分の重畳機能もある。等価回路によるインピーダンス成分の測定が可能。インピーダンス計測はキーサイト・テクノロジーが高シェアで、世界的に業界標準(低周波~高周波まであり、ネットワークアナライザはほぼ独占状態)。測定周波数がKHz帯域のものはLCRメータと呼ばれることが多い。MHz帯域を境に品名がインピーダンスアナライザになる(メーカによって不統一)。

インピーダンス測定器(いんぴーだんすそくていき)

(impedance measuring instrument) 交流インピーダンスの測定器を指していることが多い。 1. 回路素子測定器 1)LCRメータ、ブリッジ、Qメータ、Cメータなど。この内、現在はLCRメータが元も使われている。L(コイル)、C(コンデンサ)、R(抵抗器)という素子(電子部品)の値を測定する。メーカはキーサイト・テクノロジーと日置電機のラインアップが豊富。形状はベンチトップ(またはポータブル)が多く、周波数が固定のものと可変のモデルがある(100Hz~1MHz)。ハンドヘルドのモデルもある(三和電気計器、LCR700など)。 2)インピーダンスアナライザ。周波数を掃引(スイープ)して、L、C、Rの値を求め、グラフ表示する機能がある。周波数が高いモデルを中心にキーサイト・テクノロジーが世界的なデファクトだったが、最近は日置電機が日本ではシェアを伸ばしている。同社の3570インピーダンスアナライザなどは2つのモード(LCR/ANALYZER)があり、LCRメータにもなる。LCRメータとインピーダンスアナライザは似た製品なので、日置が両者を1台にしたのはリーズナブルである。 2.回路素子測定器でない物の代表例 1)FRA(周波数応答アナライザ)。電池、生体、腐食などの電気化学の分野で周波数特性を測定する。基本的にはインピーダンスアナライザと同等の機能がある。FRAはエヌエフ回路設計ブロックが有名でラインアップが多い。そのため同社は古くからLCRメータも(モデルは少ないが)継続してラインアップしている。最近はFRAのシリーズでインピーダンスアナライザを品名にするモデルもある(ZA57630、ZGA5920など)。 電気化学の測定には交流インピーダンス法が良く使われる。電気化学測定に必要な測定器として、ガルバノスタット/ポテンショスタットと、FRAが紹介されている(東陽テクニカの物性/エネルギーの製品ページ)。 2)ロックインアンプ。ゲイン(利得)と位相から物性などのインピーダンスを求める。 3)各種の抵抗測定器はインピーダンスの実数部(抵抗成分)を求めることができる。ミリオームメータ、接地抵抗計、ガウスメータ、ひずみ計測器、一部の温度計などである。テスタ(回路計)の付加機能でも交流インピーダンスを測定できる場合がある。

Wayne Kerr(うえいんかー)

英国で1946年創業の計測器メーカWayne Kerr Electronicsは、LCRメータやインピーダンスアナライザの老舗で、現在でもラインアンプしている。日本ではこの分野の機種群は圧倒的にhp(現キーサイト・テクノロジー)のシェアが高く、高精度の機種は今でもデファクトである。また近年は電子部品メーカの生産ラインを中心にシェアを伸ばした日置電機が、高い周波数のインピーダンスアナライザまで製品化し、今の日本市場はキーサイト(主に高周波・高性能なフラグシップモデル)と日置(生産ライン用~高周波モデルまで)の2社が主になった。 Wayne Kerr製品は東陽テクニカの理化学計測部(※)が長年取り扱ってきたが、2020年3月に代理店業務を桑木エレクトロニクス(Wayne Kerrとエヌエフ回路設計ブロックが2014年に設立したジョイントカンパニー)に移管した。エヌエフ回路設計ブロック(エヌエフ)はFRAが有名で、その関連でインピーダンス計測器のラインアップを増やしている。またLCRメータも継続してつくり続け、大手計測器メーカがあまり対応しない測定治具(テストフィクスチャなど)の相談に答えているため、定期開催の「インピーダンス計測」セミナーは活況である。桑木エレクトロニクスは同社のインピーダンス計測の戦略の1つである。余談だがWayne Kerrの企業ロゴはWEを図案化している。エヌエフの企業ロゴもNFを図案化したものである(2022年現在)。 Wayne KerrやGenRad(米国GenRad,Inc.同じくLCRメータのメーカ、現在はIET Labs,Inc.)から遅れて1970年代に国産計測器メーカはLCRメータに参入した。カーブトレーサなどの電子部品測定器の國洋電機工業(会社は現存しない)、エヌエフ、tanδ(タンデルタ、誘電体損測定器)やブリッジなどで材料・回路素子の評価をしてきた安藤電気(会社は2000年頃に横河電機に吸収されている)、安価なテスタをラインアップする京都のアデックスなどである。1980年頃に安藤電気がリリースしたLCRメータ初号器AG-4301Bは、当時のGenRad製品によく似ている。 キーサイト・テクノロジー、アンリツと並ぶ世界3大無線測定器メーカであるローデ・シュワルツは、2010年にミドルクラスのオシロスコープに参入し、いまでは広帯域オシロスコープもラインアップしているが(2023年現在)、(無線ではない低周波の)基本測定器にも注力していて、2021年にSMUを、2022年にLCRメータ(DC,4Hz~10mMHz)をリリースしている。またスイスのZurich Instruments AG(チューリッヒ・インスツルメンツ)は2020年頃から国内の展示会にLCRメータなどのインピーダンス測定器を出品しているが、日本の事務所はローデ・シュワルツ本社内にある(2023年3月、同社ホームぺージより)。 (※)次の3つの計測分野を担当している部署。エレクトロメータなどの材料物性を評価する物理計測、電圧電流発生器やFRAなどを組み合わせて材料物性を評価する化学計測、PV用のパワーコンディショナやEV充電器などを評価する電源計測。LCRメータやインピーダンスアナライザなどのインピーダンス計測を担当している。2022年にはナノテクノロジー部門を吸収して、自動車や情報通信と並ぶ、同社の大きな計測部の1つである。

SMD(えすえむでぃー)

(Surface Mount Device)日本語では「表面実装部品」。DIPやSOPのように端子がピンのパッケージ形状ではなく、端子面を直に基板に実装するタイプの部品のこと。一般の電子部品は基板に空いた穴に部品の端子(ピン)を入れてはんだ付けするが、SMDはピンの端子が無い。チップ部品を指していることが多い。

エナメル線(えなめるせん)

金属導体の上にワニス(絶縁皮膜)を焼き付けた線材。電気・電子部品等に使用される。半田付けが可能。主に磁力を発生させる目的で鉄芯に巻いて電磁石にする。コイルやトランスにもなるため、インダクタともいえる。

MLCC(えむえるしーしー)

(Multi Layered Ceramic Capacitor)積層セラミックコンデンサ。誘電体と電極を多層にして小型化している。高周波での特性が良いので、近年多くの電子回路に使われる。電動化が進む電動車(EVやHEVなど)にも導入が進む。特性改善や小型化が今後も期待される。村田製作所や太陽誘電などの電子部品メーカがつくっている。