計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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BER(ばー)

(Bit Error Rate) 日本語では「ビット誤り率」、「符号誤り率」、「ビットエラーレート」などの表記がされる。デジタルデータを送るときに、送信装置から伝送路、受信装置を含めた、データ伝送の品質評価で、最も使われる指標。受信側が受け取った全データに対する誤ったデータの比率(誤ったビット数を受信した総ビット数で割った%)。送信時は1だったのに受信時は0になった(またはその反対)という現象が、何らかの原因(外来ノイズの影響や、装置の誤動作など)で起こる。具体的な数値としては10-9乗(10億ビットあたり1ビット)のように、非常に小さな値。デジタルデータは1ビットでも違うと正確に送受信ができないので、このBERを指標にして、誤り修正の対策を行い、間違いのない正確なデータを伝送するようにしている。ビット誤りはゼロにできないので、BERの評価は重要である。 BERはデジタル伝送の指標だが、ジッタは、デジタルに限らずアナログも含めた信号の品質評価に使われる。発音が似た用語のMER(マー)はテレビ・オーディオ測定器の測定項目だが、BERは多くの通信計測器に使われていて、頻繁に現れることばである。通信計測器の基礎用語といえる。

バーコードリーダ(ばーこーどりーだ)

縞模様状の線の太さによって数値や文字を表すバーコードを、読み取る機器。バーコードスキャナとも呼ばれる。レーザー光やLEDをバーコードに当てて走査し、認識する。読み取り器であり、計測器ではない。

バースト信号(ばーすとしんごう)

(burst signal) ある間隔を置いて送出される信号のこと。信号が存在する領域と存在しない領域が時間領域で繰り返される信号を指す。時間領域のごく一部にのみに正弦波、方形波、三角波などの信号が存在し、それ以外の領域には信号が存在しない場合もバースト信号と呼ばれる。 テレビ放送で、映像信号からカラー信号を正しく復調し再現するための基準となる信号として使われている。カラーバースト信号(色同期信号)の周波数は、アナログ放送では3.58MHzである。 burstには「張り裂ける、切れる、沸き起こる、爆発する」などの意味がある。時間領域の一部にのみ信号のエネルギーが集中している → 爆発している、という表現である。バースト信号とは反対に連続している信号をCW(連続波)と呼ぶ。時間領域の波形観測が主眼であるオシロスコープの説明書には「バースト信号の測定は・・」や「パルスバースト(時間が空いて出現したパルス列)」というような表現(解説)がでてくる。 IEC61000-4-4のイミュニティ試験で使われるバーストノイズシミュレータ(障害試験器)は、バーストノイズを発生する。一番上の値が最も時間が短いインパルス状の波形を、短い時間(たとえば1msの間)に100回だしたら、何も波形がない時間を挟んで、繰り返し(たとえば300ms周期で)バースト波形の列を発生させる、これをバーストノイズと呼ぶ。信号がある時とない時があるのでバーストである。バースト信号をノイズとしてEMC(電磁感受性/電磁妨害耐量)の試験をしている例である。メーカは国産のノイズ研究所が有名。

バーストノイズシミュレータ(ばーすとのいずしみゅれーた)

電機製品にバーストノイズを与えて耐性を試験する機器。代表的なEMI試験器の1種。ノイズ研究所がラインアップが多い(というかほぼ唯一の国産計測器メーカ)。

バースト発振(ばーすとはっしん)

連続しているのではなく、ある間隔をおいて送出される信号をバースト信号という。ファンクションジェネレータ(FG)にはバースト信号の発振機能がある。バースト発振にはオートバースト、トリガバースト、ゲート、トリガゲートなどの種類がある。 バーストの計測器というと、各種の高周波ノイズを発生するEMI試験器の代表であるバーストノイズシミュレータがある。計測器の品名にバーストが出てくるモデルが多くある。

%IACS(ぱーせんとあいあっくす)

IACS(International Annealed Copper Standard)は国際的に採用された焼鈍標準軟銅(電気抵抗(電気伝導度)の基準)。軟銅の導電率(5.8×10^7S/m)を100%IACSとして試験体の導電率を百分率で表現したのが%IACS。(フィッシャー・インストルメンツの膜厚測定、素材分析、材料試験、表面特性解析に関する用語集より)

BER測(ばーそく)

「BER(Bit Error Rate、バー)の測定器」(または「BER測定」)の略称。BERはデジタル伝送の重要な評価項目のため、このような呼称をする技術者がいた。別称:「ビット誤り率測定器」、「誤り率測定器」、「ビットエラーレート測定器」、「エラーレート測定器」。BERTS(バーツ)は最もよく使われたBER側である。

BERTS(ばーつ)

(Bit Error Rate Test Set) BERT(BER測定)を、PPG(パルス・パターンジェネレータ)とED(Error Detector、エラー検出器)の組み合わせで行う測定器。ビット誤り率測定器の1種だが、1980年代には送信部と受信部がセットになったベンチトップのモデルがアンリツ、安藤電気、キーサイト・テクノロジーなどの伝送・交換装置用測定器のメーカから発売され、通信速度(bps)が高速の製品は1千万円の高額製品だった。通信計測器の中で、1製品で1カテゴリー(機種群)になっていた。アンリツのMP1761(PPG)とMP1762(ED)などがあった。 技術革新によって小型化され、現在では1筐体、ポータブルになっているので、あまりBERTSという表現はされなくなった。 計測器情報:アンリツMP17xxの製品例

パーツ・パー・トリリオン(ぱーつぱーとりりおん)

1,000,000,000,000分(一兆分)の1を1とする単位。単位の略記は「ppt」。(フィッシャー・インストルメンツの膜厚測定、素材分析、材料試験、表面特性解析に関する用語集より)

パーツ・パー・ビリオン(ぱーつぱーびりおん)

1,000,000,000分(十億分)の1を1とする単位。単位の略記は「ppb」。(フィッシャー・インストルメンツの膜厚測定、素材分析、材料試験、表面特性解析に関する用語集より)

パーツ・パー・ミリオン(ぱーつぱーみりおん)

1,000,000分(百万分)の1を1とする単位。単位の略記は「ppm」。(フィッシャー・インストルメンツの膜厚測定、素材分析、材料試験、表面特性解析に関する用語集より)

パーティクルカウンタ(ぱーてぃくるかうんた)

クリーンルーム内の微粒子の濃度を測定する機器。(=微粒子濃度計)

バーティポート(ばーてぃぽーと)

(vertiport)垂直離着陸できる航空機が離着陸する飛行場のこと。vertical(垂直)とairport(空港)を合成したことば。日本語では「垂直離着陸用飛行場」。vertiportの頭文字をとってVポートとも呼ばれる。 eVTOL(電動垂直離着陸機、イーヴイトール)や空飛ぶクルマが流行りなので、従来はヘリコプターなどの離着陸に使われてきたバーティポートも話題になることが多くなった。

HART(はーと)

(Highway Addressable Remote Transducer ) フィールド機器などのプロセス産業に採用されているデジタルデータ伝送の世界規格。4-20mAのアナログカレントループを利用するため、既存のアナログ設備を流用してデジタル化でき、普及した。HART協会(HCF:HART Communication Foundation)がプロトコルを規定。フィールドバスの1種。計装の世界で普及しているアナログ通信手法である4-20mAは直流のため、これに交流のデジタル信号を重畳することで、デジタル伝送を実現する。デジタル信号には温度などの検出器の測定値だけでなく、シリアル番号などの機器情報も伝送されている。このような「4-20mA信号にデジタル信号を重畳して、多数の信号を伝送する手法」が、各計装メーカで始まった(スマート通信と呼ばれた)。各社が独自の方式を導入したので、業界標準が提唱されHARTができた。たとえば横河電機は自社製品の専用通信プロトコルBRAIN (ブレイン)を1970年代から導入している(たとえばBRAINターミナルなど)。ただし最近はHARTやPROFIBUS(プロフィバス)などの標準フィールドバスにも対応している。

BERT(ばーと)

(Bit Error Rate Test) BERの測定。誤り率試験のこと。日本語では「誤り率測定」、「ビット誤り率測定」、「エラーレート測定」などだが、BERT(バート)という表現も大変よく使われる。BERT(BER測定)に使われる代表的な測定器がBERTS(Bit Error Rate Test Set、バーツ)、誤り率測定器(ビットエラー測定器)である。ただし、最近はBERTSとはいわなくなった。2000年頃までNのBER測定は信号発生器(PPG:Pulse Pattern Generator)と検出器(デテクタ)の2台構成だったのでBERTS(BERTのSet)だったが、現在は1筐体にPPGとデテクタが収まっている。そのため「BERTはBit Error Rate Testerの略で、BER測定器のこと」、という説明になった。BER測定を略したBER測も2000年以前には見かけたが、最近は聞かなくなった。計測器の呼称(略称)は日進月歩である。 BERやBERTは通信計測器では大変よく使われることばで、たとえばキーサイト・テクノロジーの81250A/ParBERT(パラバート)、N4962A/シリアルBERT、テクトロニクスのBSX320/BERTScope(バートスコープ)、(形名/品名)などがある。 BERTの世界的なトップベンダーは日本のアンリツである。高周波の老舗キーサイト・テクノロジーも最先端モデルを発売し続けていて、この2社が世界的なブランドとなっている。

バートウェーブ(ばーとうぇーぶ)

(BERTWave) アンリツのMP2100シリーズ、MP2110シリーズの品名。BERT(バート)にオシロスコープ機能を盛り込んだ製品で、アイパターンとBERの両方の測定が1台でできる。 デジタル伝送の品質評価は、オシロスコープで時間波形を表示してアイパターンを確認することと、BERT(パルス・パターン・ジェネレータと検出器の組み合わせによるビット誤り率測定)の2つで行われる。PCI Express (PCIe)のような高速データ通信ではオシロスコープ(アイパターン測定)とBERT(BER測)が規格試験(コンプライアンステスト)で規定されている(以下のテクトロニクス記事に例がある)。アンリツはBERTの世界No.1ベンダである。 BERTのトップメーカである同社が、「BERTでアイパターン測定もできたら1台で済む」、と開発したのが「オシロ機能のあるBERT」のBERTWave(バートウェーブ)である。初号器のMP2100Aは大画面にアイパターンを表示して、製品の外観は最近主流の大画面オシロスコープのよう(オシロスコープのように操作部はなく、コネクタと表示部しかない)。MP2100シリーズは、MP2100B、MP2101AバートウェーブPE、MP2102AバートウェーブSSなどがあったが、2017年に後継のMP2110Aが発売された。MP2100よりも小型で、外部のモニタに表示させるため、本体に表示部はない(外観はコネクタが並ぶ箱)。2019年3月には「4チャンネルのサンプリングオシロスコープを搭載できるオプション」を発売、2021年7月にはサンプリングオシロスコープの機能を強化し、PAM4の評価に必要な機能を追加するシグナルプロセッシングソフトウェア(オプション098)を開発した。業界ニュースとして「MP2110AサンプリングオシロスコープのPAM4評価機能を強化」と報じたメディアもあった(MP2110AをBERTではなくオシロ、と表現している!)。 BERTは1990年代まではPPGとED(Error Detector、エラー検出器)の2筐体で、サイズも大きなベンチトップで、もっぱらBERTS(バーツ、Bit Error Rate Test Sets)と呼ばれたが、技術革新によってPPGとEDは小型になり、モジュール化され1筐体で可搬型になった。当時のアイパターン測定はリアルタイムオシロスコープよりも帯域が広いサンプリングオシロスコープで行われた(キーサイト・テクノロジーのDCAなど)。ところが2000年代後半からリアルタイムオシロスコープの周波数帯域が広くなり、2010年代には数10GHzモデルが登場する(広帯域オシロスコープと呼称)。アイパターン測定はGHz帯域のリアルタイムオシロスコープで行われるようになり、サンプリングオシロの需要は減少した。 キーサイト・テクノロジーは2018年に周波数帯域110GHzの世界最速のオシロスコープを発表する(以下のキーサイト・ワールド 2018が詳しい)。同社はアンリツに次ぐBERTメーカである。2023年の自社イベントでは「64Gbaud(ボー)を超えるPAM4信号のBER測定は、同社の広帯域オシロスコープを使い、取得した波形から誤り率を算出する方法で120Gbaudまで対応できる」と提案した。送受信で64Gbaud超のPAM4をリアルタイムに評価できるBERTはまだ存在しない(アンリツも実現できていない)ので、オシロスコープがBERTの代わりになる(以下のKeysight World 2023年の記事が詳しい)。アンリツのBERTWaveと全く逆のアプローチである。 2000年代以降に広帯域なリアルタイムオシロスコープが登場し、BERTもラインアップするキーサイト・テクノロジーはオシロスコープでBER測定するソリューションを提案した。BERTメーカのアンリツはBERTにサンプリングオシロスコープ機能を搭載して、BERTでアイパターン測定ができるモデルBERTWaveを開発した。いまやBERTとオシロスコープが競合する時代となった。 広帯域オシロスコープでキーサイトと競っているテクトロニクスはBERTをラインアップしていない。2023年のテクトロニクス・イノベーション・フォーラムでは、BERTやオシロスコープとは全く違う手法によるPCIeの評価手法を提案している。リンク・トレーニングによるマージン・テスタTMT4である(以下の記事が詳しい)。高速デジタル通信の品質評価のアプローチは、3社ともに特長がでている。

HARTコミュニケータ(はーとこみゅにけーた)

(HART Communicator) フィールド機器とHART通信をして、さまざまな情報のやりとりをする携帯型の通信ターミナルのこと。計装の世界で良く使われている。計装の代表的メーカである横河電機は、独自の伝送方式であるBRAINの設定用にBRAINターミナルがある。 参照用語:HART

バードン電圧(ばーどんでんあつ)

(Burden Voltage) 電流を測定する時、入力端子間に現れる電圧降下。下図のようにシャント抵抗、ヒューズ抵抗、接触抵抗などによって発生する。

パーミル(ぱーみる)

(per mille)1000分の1を1とする単位。千分率。単位の略記は「‰」(フィッシャー・インストルメンツの膜厚測定、素材分析、材料試験、表面特性解析に関する用語集より)。各単語の意味は、per:〜につき、mil:千。 鉄道の勾配の単位に使われている(40パーミル:水平距離1000mに対し40mの高さがある勾配)。

パームトップ(ぱーむとっぷ)

(palmtop)手のひらの上で操作できる小型のコンピュータのこと。据え置き型のパソコンはデスクトップ(机上)である。以前はノートパソコンのことをラップトップ(ひざ上)と呼んでいた。計測器は、持ち運べる可搬型をハンドヘルド(ハンディ)やポータブル、実験室などの机に置く据え置き型をベンチトップと呼んでいる。