計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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NICT(えぬあいしーてぃー)

(National Institute of Information and Communications Technology) 「国立研究開発法人 情報通信研究機構」。情報通信分野を専門とする日本で唯一の公的研究機関。JAXA(宇宙航空研究開発機構、ジャクサ)と同じく総務省が所管する、「研究開発の最大限の成果の確保」を目的とする「国立研究開発法人」である。 総務省が2020年から推進しているBeyond 5G(5Gの次、つまり6Gのこと)の研究などを行っているが、味覚センサ(バイオセンサ)の研究などもしている。 本部は東京都小金井市(JR中央線の武蔵小金井駅と国分寺駅の中間で線路より北側)だが、複数の事業所がある。たとえばワイヤレスネットワーク研究センターはNTT DoCoMoの研究部門がある横須賀リサーチパーク(YRP)内にあり、HAPS(携帯電話の基地局を高高度を飛ぶ無人飛行機に搭載し、従来より広範な移動体通信をする仕組み)などを研究している。 略語であるNICTの正式な読み方は「エヌ・アイ・シー・ティー」だが、世間では「ニクト」や「情報通信機構」と呼称されることも多い。

NI Days(えぬあいでい)

日本ナショナルインスツルメンツ株式会社(NI、エヌアイ)が年1回開催するNI製品のテクニカルイベント。

NA(えぬえー)

高周波回路網(ネットワーク)の伝送特性(通過や反射など)を測定する計測器であるネットワークアナライザ(Network Analyzer)の略記。DUTを「入出力を持つブラックボックス」として、入出力の関係(Sパラメータ)によって、DUTの特性を評価する。キーサイト・テクノロジーが世界的に高シェア。同業の無線通信(高周波、RF)計測器メーカであるローデ&シュワルツとアンリツもラインアップしている。最近はUSBタイプのNAも出現し、テクトロニクスもラインアップがある。

NAB(えぬえーびー)

(The National Association of Broadcasters) 全米放送事業者協会。毎年4月にNAB総会とNAB Show(世界最大の放送機器展)が開催される。NAB Show(展示会)のことをNABと呼んでいることも多い。 NAB Showには映像関係の計測器も出展される。プログラマブルビデオ信号発生器などの映像信号発生器をつくる国産の計測器メーカ、アストロデザインは毎年出展している。2023年4月16日(日)~ 19日(水)に米国(ラスベガス)で開催されるNAB SHOW 2023には、同社は「Connecting and Extending」 映像機器のIP化や映像表現の拡張、を提案する。

NXPセミコンダクターズ(えぬえっくすぴぃーせみこんだくたーず)

(NXP Semiconductors) [半導体デバイスメーカ] オランダの総合家電メーカ、Philips(フィリップス)の半導体部門が2006年に独立した半導体デバイスメーカ。フィリップスは日本では電動カミソリ(シェーバ)や電動歯ブラシが有名だが、現在のフィリップスはヘルスケアにも注力している(日本の松下電器が半導体部門を売却して、医療関連を強化しているのと同じである)。 NXPのNはNext、XPはeXPerience。ソリューションはモビリティ(自動車)、モバイル(携帯電話など)、有線通信など。NXPセミコンダクターの強みは「有線ネットワーク向けのデバイス」ともいわれる。ARMコアの車載マイコンS32シリーズのS32M2はブラシレスDCモータやPMSMなどの、自動車で使われる中小モータの制御向けとして2023年に発売されている。同社が自動車市場にデバイスを提供するメーカであることがわかる。また、ARMがモータ制御の分野にも使われるようになった事例といえる。

NF(えぬえふ)

1.負帰還(Negative feedback)の略記。増幅器の出力の一部をフィードバック素子を経由して反転(マイナスに)して入力端子に戻すこと。増幅率(利得)は下がるが、発信回路が安定し、利得以外の性能が改善する。負帰還はオペアンプのような増幅器や微分・積分器など、幅広く応用されている。大手計測器メーカのエヌエフ回路設計ブロックは「高精度なネガティブフィードバック制御技術をもとに、世の中に求められる新しい製品を創る」ことを趣旨に1959年に設立している。現在の企業ロゴは「nf」をデザインしている。2.雑音指数(Noise Figure)の略記。キーサイト・テクノロジーには雑音指数アナライザ(NFA)という測定器がある。ローデ&シュワルツなどもラインアップがあり、伝送特性関連の測定器といえる。当サイトではネットワークアナライザのカテゴリに分類している。

NFOH(えぬえふおーえっち)

NTTに交換機を納品する大手通信機メーカ4社を呼称する略記。電電ファミリーを象徴することば。固定電話が通信手段の主力だった時代は、交換機が電話網の中枢を担っていた。固定電話の加入者が減り、ルータやサーバが交換機の代わりになるIP網の普及によって、現在のNFOHはNTTに交換機を新規に納入していない。 N(日本電気、NEC)、F(富士通)、O(沖電気工業、OKI)、H(日立製作所)。会社名の順番には意味があり、NとFが一番目、Oが三番目でHが最後。これは電電公社(現NTT)の発注規模の順番といわれている。基幹通信網は伝送交換と呼ばれ、交換機と並ぶ伝送装置はNEC、富士通、日立製作所が筆頭で、OKIはつくっていないが、交換機ではN、Fに次ぐ順位である。NTTは1993年に千葉市幕張新都心にNTT幕張ビルを竣工し、交換機の開発部門が入居した。京葉線海浜幕張駅の駅前に1990年に竣工した幕張テクノガーデンは23階建ての2棟のオフィスビルで、B棟23階はOKIの交換機開発部門が入居した。OKIは東京 芝浦の本社以外に、蕨(わらび)、本庄、高崎などの主に北関東に工場があり、技術者が勤務していたが、交換機の技術者は幕張の賃貸ビルで開発を行っていた。NTTからの交換機の新規発注がなくなり、現在の同社は交換機をつくっていない。NECは1980年初頭に、千葉県我孫子市(茨城県との境)に我孫子事業場を建設し、本社がある港区 三田地区から、交換機技術者を異動した(伝送の玉川事業場と交換の我孫子事業場の体制になった)。富士通は本社がある川崎市 中原区に、本社敷地とは別にある中原ビルに交換機の開発部門があった(開発技術者の規模はNECの方が圧倒的に多かった印象が筆者はある)。富士通は北米での伝送装置の販売が多く、どちらかというと交換より伝送の開発部門が活況だった、というのが1990年代の筆者の感想である。日立製作所は家電やコンピュータなどの情報機器をつくる横浜事業所(神奈川県横浜市戸塚区)に、交換機の技術部門があった。 交換機は多くのマイクロプロセッサを搭載し、ハードウェアと同じくらいソフトウェアの比重が高く、開発にはICE(アイス)やロジックアナライザ(ロジアナ)などの組込みシステム用の開発ツール(計測器)が大変多く使用された。キーサイト・テクノロジーのロジアナ 16500シリーズのトップ顧客はNEC我孫子事業場といわれている。NECに比べると他3社のロジアナ使用台数は少なく、NECの開発陣容の大きさを伺わせる。2004年10月1日、日立製作所と日本電気の合弁によりアラクサラネットワークス株式会社(※)が設立する。NEC我孫子の交換機技術者の多くが日立 横浜事業所に移動した。つまり2000年代になるとNTT向けの交換機ビジネスは終息したといえる。 (※) アラクサラネットワークスは日立51%、NEC49%の資本比率で基幹系ルータ/スイッチ製品をラインアップしてきたが、2021年にネットワークセキュリティソリューション大手のフォーティネット(Fortinet, Inc.)が株主に加わった。「今後はFortinet, Inc.とNECが株主として事業を推進していく」旨がHPに掲載されている。フォーティネットは米国シリコンバレーのファイアーウォールの会社で、国内シェアは50%といわれる。フォーティネットジャパン合同会社は2024年の「CATVショー」(2024年7月18日、有楽町 東京国際フォーラム)に出展し、ブースにはFORTINETとAlaxalaの2つのロゴが掲載された。アラクサラネットワークスはネットワークのセキュリティ会社を株主にして、ネットワーク関連メーカとして生き残ろうとしていると思われる。

NFP(えぬえふぴー)

(Near Field Pattern)半導体レーザーの出力光はビーム断面が楕円錐状に拡がっていく。ビーム形状は出力端近傍と数cm離れた場所で異なり、近傍をNFP、離れた場所をFFP(Far Field Pattern)と呼ぶ。

N型コネクタ(えぬがたこねくた)

無線通信で標準的に使用される同軸コネクタ。軍事目的で開発されたといわれる。名前の由来はTYPE-NAVYコネクタ、または開発エンジニアの一人であるベル研究所のPaul Neillのイニシャルから、など諸説ある。適用周波数は(製品により異なるが)DC~18GHz。標準信号発生器やスペクトラムアナライザなどRFの計測器の入出力はN型が標準である。同じく通信でも有線通信ではSMAや3.5ミリNなどのコネクタが標準で、Nではない。光通信はまた別にFC、SCなどのコネクタがある。

NCSLI(えぬしーえすえるあい)

(National Conference of Standards Laboratories International) 直訳すると国際国立標準研究所会議。 計量・計測標準や計測器校正分野の国際団体。日本NCSLIが毎年秋に開催する総会は、日本の計量・校正の大会で、東京・蒲田の大田区産業プラザで行なわれている(新型コロナウイルスの感染対策で2020年のNCSLI技術フォーラムは中止になった)。 日本NCSLI(National Conference of Standards Laboratories International - Japan)は、計量・計測標準、計測器校正、試験・計測分野の技術と管理を進歩させることを目的に、会員のボランティアにより技術フォーラムの開催を中心に活動を行っている団体である。 計量法に関係する国内のイベントは、隔年秋に開催されるINTERMEASURE (計量計測展、インターメジャー)がある。

NWC(えぬだぶりゅしー)

(Mobile World Congress) 日本語では「モバイル世界会議」だが、業界内(たとえば無線通信の計測器メーカなど)ではMWCと表記されている。MWCは、世界の移動体通信関連企業が出展する、世界最大規模の移動体通信イベント(携帯電話業界の見本市)。スペインのバルセロナで毎年開催されるため、「MWC Barcelona(バルセロナ)」とも呼称される。 2024年3月1日にローデ・シュワルツは「MWC2024でメディアテック(MediaTek※)社と5G NTN-NRリリース17対応の接続デモンストレーションを行う」と日本で発表(配信)した(MWC2024はバルセロナ時間の2/26~2/29に開催された)。メディアテック社のNTN-NRデバイスをDUTとして、ローデ・シュワルツのR&S CMX500ワンボックス・シグナリング・テスタで、最新の3GPPリリース17仕様に基づく5G非地上系ネットワーク(NTN)NR接続を実証する。このようにMWCは移動体通信の計測器メーカの発表の場でもある。 ※ MediaTek Inc.は台湾の半導体メーカ(1997年設立のファブレス)。5G リリース17が策定された2022年に、キーサイト・テクノロジーとメディアテックは、「世界初でRedCapの接続に成功した」とプレス発表している。上記のローデ・シュワルツと同じく、移動体通信の計測器メーカがメディアテックと共同で接続(実証実験)を行った事例である。海外メーカはこのようなデモンストレーション(宣伝)が得意である。

NDI(えぬでぃーあい)

(Non Destructive Inspection) 非破壊検査、または非破壊検査協会をさす。 協会は、正式には一般社団法人日本非破壊検査協会(JSNDI:The Japanese Society for Non Destructive Inspection)。隔年秋に、非破壊検査機器の展示会である、総合検査機器展を主催している。

NDIコネクタ(えぬでぃーあいこねくた)

NDIコネクタはひずみ測定で良く使われる、丸形の多ピンコネクタで、NDISコネクタとも呼ばれる。NDIとは非破壊検査(Non-Destructive Inspection)のこと。日本アビオニクスの「赤外線や工業計測器に関する用語」では「NDIS(日本非破壊検査協会JSNDIが定めた非破壊検査基準)のNDIS4101-72項で定められた電気抵抗ひずみ測定器入力コネクタ」と解説されている。コネクタメーカの多治見(たじみ)無線電機がつくっているので、ひずみ測定業界では多治見コネクタと呼ぶこともある。 ひずみ測定に関する規格を、(電気計測器ではなく)非破壊検査の業界団体が策定していることからも、ひずみ測定器は電気計測器の範疇には収まらない機器といえる。

NTN(えぬてぃーえぬ)

(Non-Terrestrial Network)日本語では「非地上系ネットワーク」。地上、海、空にある移動体を多層的につなげる通信ネットワークシステムのこと。次世代の移動通信システムのBeyond 5G や6Gでは、地上通信システムと衛星通信システムを連携させ、「地上から宇宙までが一体となって接続されるネットワーク」の実現を構想している。地上の基地局からの電波が届かない海底など、インフラが整っていないエリアに対してインターネット接続を提供しようとする試みもある。総務省のHPにはNTNについて解説がある。NICTはNTNを実現する基盤技術の一つとして、衛星との高速・大容量通信を可能にする小型の平面アンテナを開発している。 ある通信計測器メーカの資料には「次世代の超高速通信(Beyond 5G/6G)で実現するNTNでは、100GHz以上のミリ波の評価が重要で、当社の○○アナライザを使えば・・・」という記述がある。2020年頃から使われるようになったと筆者は記憶しているが、今後インフラ構築が進むと別のことばになり使われなくなるかもしれない。つまり通信の(流行りの)ことばである。

NBW(えぬびーだぶりゅ)

(Noise Band Width)「ノイズ帯域幅」の略記。(2009年9月発行のテクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて」より)

nite(ないと)

(National Institute of Technology and Evaluation)製品評価技術基盤機構の略称。同機構のロゴがNITEではなくniteなのでタイトルを小文字にした。正式名称ではなくniteやナイトと呼称されることが多い。日本電気計測器工業会が通常は略称のJEMIMA(ジェミマ)と呼ばれることが多いのと同じ。正式名称よりも略称を(業界)関係者は使いたがる。

NACK(なっく)

(Negative ACKnowledgement) データ通信の制御手法で、「否定応答」のこと。受信側から送信側へ送られる否定的な返事。データを正常に受信できなかったときに、そのことを送信側に知らせるために送られる符号(受信確認の機能)。正常にデータを受け取ったときにはACK(ACKnowledgement:肯定応答)の信号が送信される。受信側からNACKが返ると送信側はデータの再送を行う。「ACKが送られてこなければ失敗」、「NACKが送られてこなければ成功」のようにACKかNACKのどちらか1つで運用しているシステムも多い。 高速度カメラの国産メーカ、ナックイメージテクノロジー(Nac Image Technology)は「nac(ナック)」と呼称されることが多い。英語のknack(意味:技巧、無い物をうまくまとめる)から頭と終わりのkを除いたnacを会社名にしている。また、埼玉のFMラジオ放送局(周波数:79.5MHz)にNACK5(ナックファイブ)がある。さいたま市大宮公園のサッカー場は、NACK5スタジアム大宮という。洋楽バンドのザ・ナックが1979年に発売したデビュー・シングル「マイ・シャローナ」(My Sharona)はビルボード(米国のヒットチャート)の1位になり、日本でもスマッシュ・ヒットしている。このように「ナック」は多くの意味がある。電気通信のNACKよりもこれらのほうがメジャーである。

ns(なのせっく)

(nano second) 時間の単位「ナノ秒」の表記。n(ナノ)は10のマイナス9乗の接頭辞。0.000000001 秒に相当。秒は「セック」と発音(呼称)することが多い。オシロスコープや信号発生器などの計測器で設定や表示に良く出てくる。 参考用語:ms(ミリセック)、μs(マイクロセック)

nano tech(なのてく)

展示会の「国際ナノテクノロジー総合展・技術会議(International Nanotechnology Exhibition & Conference)」をnano techと呼称している。ナノテクノロジーの研究機関や企業がnano tech実行委員会をつくり、毎年1月に開催している。技術会議(技術発表や講演、シンポジウムなど)と機器の展示会で構成される。併設展示会として、SURTECH(表面技術要素展)、ASTEC(Advanced Surface TEChnology、先端表面技術展・会議)などがあり、科学分析機器が多く展示される。他に科学分析機の展示会にJASISがある。 2024年のnano techは14の展示会が併設され、第1回WELL-BEING TECHNOLOGY(ウェルビーイング展)が開催された。同時期に東京ビッグサイトではIIFES(アイアイフェス)やHVAC(ヒーバック)&R(冷凍・空調・暖房展)も開催され、多くの計測器が展示された(以下の参考記事が詳しい)。

nanoVNA(なのぶいえぬえー)

2020年頃からECサイトなどで販売され始めた小型RF測定器の1種(tinySAやnanoVNAなど)。マイクロコンピュータやFPGAなどで内部のアナログ回路を簡素化し、低価格(約1万円)で小型(ポケットサイズ)ながら高い性能を実現したネットワークアナライザ。表示画面2.8インチのエントリーモデル(最高周波数1.5GHz)から、最高周波数6.3GHzモデルまである(2023年6月現在)。メーカは従来のRF計測器メーカ(キーサイト・テクノロジーやローデ・シュワルツなど)ではなく、開発者も日本ではなく中国が多い。nano(10憶分の1の単位、非常に小さいことをあらわす表現)VNA(Vector Network Analyzer)というネーミング。つまり「大変小さなサイズのVNA」ということ。 nanoVNAの説明は「超小型のネットワークアナライザ」、「コンパクトでハンドヘルドなベクトルネットワークアナライザ」、「個人で入手可能になった低価格ネットワークアナライザ」などで、明確な(定量的な)定義は難しい。「nanoVNA系格安ネットアナの操作方法(コマンド体系)」などの表記が雑誌やネットに見られる。モデルや仕様、使い方などは解説があるが、そもそもnanoVNAとは何か、は(毎年のように進化しているので)解説が困難である。 nanoVNAは日本人の高橋知宏氏が始めたプロジェクトである。オープンソースのため海外に広がり、複数メーカが製品をリリースするようになった。高橋氏は2016年頃にオリジナルを発表したが、回路図やファームウェアを公開していたので、中国のハッカーが改良し製品化したといわれる。2019年には中国の通販サイトに登場している。現在はnanoVNA-H、nanoVNA-H4、LiteVNA、LibreVNAなどのモデルが日本で購入できるが(2023年6月現在)、各モデルは開発者が異なる(tinySAの設計者である中国のHugen氏も開発者の1人である)。 日本では2022年頃から趣味のアマチュア電子工作の月刊誌、トランジスタ技術(CQ出版社)にnanoVNAの記事が掲載されるようになった。高額な計測器だったネットワークアナライザが激安価格になったので、電子工作マニア、アマチュア無線愛好家などが購入して使うようになり、トランジスタ技術 2023年8月号ではnanoVNAだけで約26ページの特集が組まれている(マニアがnanoVNAで測定した評価結果のグラフや操作方法が掲載されている)。 5万円以下の格安オシロスコープ(ポケットサイズからポータブルまで)がリゴルやOWON(オウオン)などの中華系オシロスコープメーカがつくっているように、nanoVNA、tinySAなどの小型/格安RF測定器も中国を抜きには語れない。中国発の計測器は2000年以降に数が増え、5~10年位かけて製品の品質を安定させ、従来の計測器メーカと遜色ないラインアップに成長しつつある。Siglent Technologies(シグレント)は2023年7月のTECHNO-FRONTIERに、日本で初めて出展した。テクトロニクスやキーサイト・テクノロジーのミドルクラスのベンチトップモデルと遜色ない仕様の製品を、上記2社よりも安価でリリースしている。Good Will Instrument (GW Instek)(日本での販売はテクシオ・テクノロジー)やリゴルに次いで、OWONやSiglent Technologiesなどの中華系格安計測器の露出が2023年から加速している。 エントリーからミドルクラスのオシロスコープのように、今後は(個人ユースではなく企業で技術者が使う)格安RF測定器(当然、中華系)が発売される時代が近づいているかもしれない。ハンドヘルド・スペアナは中華系格安メーカが主流で、キーサイト・テクノロジーやローデ・シュワルツ、アンリツは上位の高額モデル(ベンチトップ)にラインアップをシフトする、という図式である。計測器メーカはハンドヘルドでも高性能(安価ではない)モデルをラインアップしているので(Streamlineなど)、現在は中華系計測器メーカの参入はあまりないが、Good WillがEMCに特化したスペアナ(GSP-9330など)でシェアを伸ばすなど、今後のRF測定器メーカの展開(勢力図)はわからない。