計測関連用語集

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ETAC(えたっく)

添加剤を作っている塗料メーカの楠本化成株式会社のエタック事業部は環境試験器(恒温槽)を設計・製造している。製品のブランド名がETAC。語源は「環境・(信頼性)試験・装置・会社」(Environmental Testing Apparatus Company)の頭文字から作った造語。 同業の国産メーカはエスペック、ヤマト科学などがある。

環境試験器(かんきょうしけんき)

(environmental tester) 別名:環境試験機、環境試験装置。「一般社団法人 日本試験機工業会」は環境試験装置を以下の分類で説明している。温度・湿度・圧力・関係試験機、耐候性・腐食試験装置、温度衝撃試験装置、振動試験機(電動・機械・油圧)、落下/衝撃試験装置、複合環境試験装置。 計測器としては温度や湿度を変化させて試験対象物の性能を評価する恒温槽が代表(恒温恒湿器とも呼ばれる)。環境試験器のシェアで日本60%、世界30%を標榜するエスペックは「環境試験器」と呼んでいる(表記している)が、インターネットで検索すると「環境試験機」のほうが多く表示される。その他の恒温槽の国産メーカは楠本化成(ETAC、エタック)やヤマト科学、株式会社カトー、平山製作所などがある。 恒温槽に次いで多く行われる振動試験は、大きな振動台の上に試験対象物を載せて振動加振器で振動を与えて評価する(国産メーカはIMVやエミックがある)。機器をある高さから床に落として耐久性を確認するためにハイスピードカメラ(高速度カメラ)が使われる。また、自動車に各種のセンサを付けたダミー人形を載せで壁に衝突させて衝撃の度合いや破損状況を確認している。 信頼性試験(reliability test)という分野もあり、環境試験と似た範疇のことばとして使われている。環境試験というと温度・湿度・振動などの物理量の試験、信頼性試験は耐久性・安全性・故障率などの評価を指している。以下記事のクオルテックのパワーサイクル試験は、メーカは信頼性試験と呼んでいるが、環境試験ともいえる(環境試験と信頼性試験の違いは難しい)。

恒温水槽(こうおんすいそう)

水槽内の液体を保安かつ循環させる機器。

恒温槽(こうおんそう)

(constant temperature bath、thermostatic chamber) 電子機械部品の温度・湿度環境による耐力を試験する機器。環境試験装置の1種だが、計測器にも分類されている。恒温槽は「温度が一定な(恒温)、大きな容器(おけ)」という英語を翻訳した熟語である。温度と湿度は密接な関係があり、湿度も調節できる製品が多いため、別名「恒温恒湿器」とも呼ばれる。製品の試作から完成品の最終試験まで、メーカでは必ず恒温槽による評価を行う。恒温槽は記録計(レコーダ)を併用することも多い。 恒温槽ということばが示す範疇は広範で、温湿度の耐圧を試験する機器全般を指すが、恒温恒湿器と呼ばれる製品を限定して言っている場合もある。メーカによっては冷熱衝撃試験器(冷熱衝撃装置)などの品名のモデルもあり、定義には曖昧さがある。inTEST Thermal Solutions社のサーモストリームのように熱風や冷風を試験対象物(EUT)に当てて急速に熱したり冷やしたりする温度耐圧の試験装置もあるが、この方式は恒温槽とは呼ばれない。 恒温槽メーカは国産ではエスペック、ETAC(楠本化成株式会社エタック事業部)、ヤマト科学、ナガノサイエンスなどがある。海外のDESPATCH(デスパッチ)社は国内での販売実績があるが、現在は国内に販売店が無く、使用しているユーザからの問い合わせが困難である(2022年現在)。環境試験で温湿度に並ぶのは振動試験で、国産のIMVやエミックが振動試験器(加振器など)をつくっている。

サーモストリーム(さーもすとりーむ)

(ThermoStream)電子機器・材料の熱試験、温度特性を測定する、環境試験器の1種。inTEST Thermal Solutions(インテストサーマルソリューション、旧Temptronic、テンプトロニック)社の品名。設定した温度の圧縮空気をノズルから噴射し、数秒で温度試験に必要な環境を作り出す。 従来の方法と比較し短時間で温度試験を行える装置。日本の代理店である伯東のHPには「超高速温度環境試験機。-90℃~300℃のジェットエアーを噴射し、局所的に・素早く温度環境を作成。エアーの温度遷移にかかる時間は-55℃→+125℃の範囲で15秒以下。従来の恒温槽などでの試験に比べ、大幅に試験時間を短縮可能。」とある(2022年5月)。製品詳細:inTEST Thermal Solutions

振動試験(しんどうしけん)

(vibration test) 製品に振動を与えて、耐久性や性能を評価すること。大きな振動台の上に試験対象物を載せて、加振器で振動を与える。試験方法によって各種の試験器のモデルがある(たとえば振動の与え方には正弦波、ランダム振動、短時間に大きな加速度が加えられる衝撃振動などがある)。環境試験器の1種。信頼性試験や振動・衝撃試験などに区分されることもある。「振動耐久試験」ということばもある。世の中の多くの物が何らかの振動の影響を受けるため、振動試験は重要である。恒温槽を使った「温度・湿度変化に対する評価」と同様に、広く行われている試験である。 国産メーカはIMV、エミック、東洋電装などがある。各メーカは受託試験の業務もしている。各県の工業技術総合センタでも試験をすることができる。振動計(振動の大きさを測定する)はリオン、アコーなど全く別のメーカがあり、カテゴリーも異なる。当サイトのカテゴリーでは振動計は物理量測定器(温度計、騒音計など)に、振動試験器は環境試験器に分類している。 振動試験の規格にはJIS(日本産業規格)、IEC(国際電気標準会議)、ASTM(米国材料試験協会)、MIL(アメリカ国防総省が制定した物資調達規格、ミルと呼称)などがある。

総合試験機器展(そうごうしけんききてん)

一般社団法人日本試験機工業会が隔年秋に開催している、「材料試験、環境試験と計測、評価に関する」国内唯一の総合展。名称は「TEST/総合試験機器展」。展示会事務局はエスペック(環境試験)、IMV(振動試験)、ミツトヨ(寸法計測)、神栄テクノロジー(湿度・露点、鉄道車両の計測)などで構成されている。測定計測展とセンサエキスポジャパンが併設で開催される。センサエキスポジャパンは毎年開催で、総合試験機器展が開催されない年には総合検査機器展(非破壊検査機器の展示会、JIMA)が併設展となる。

タバイ(たばい)

環境試験器(恒温槽)の国内トップベンダー、エスペック株式会社の旧呼称。1954年から2002年まで「田葉井/タバイ」が会社名になっていた。現在のエスペック株式会社は長らく「タバイ」と呼称されてきた。大阪で創業した会社なので特に関西人は、エスペックが社名になってからも「タバイ」という人が多かったが、最近はさすがに少なくなった。 沿革の概要は以下の通り。 1947年、田葉井五郎が科学機器の製造を目的に大阪で創業。 1954年、株式会社田葉井製作所(理化学機器製造販売業)に改組。 1960年、国産初の環境試験器の開発に着手。 1983年、タバイエスペック株式会社に社名変更。 2002年、エスペック株式会社に社名変更し、現在に至る。 環境試験器のレンタルをする子会社が1990年代から2010年頃にあったが、現在はエスペックのレンタル・リセールグループになっている(2023年5月現在)。 現在のエスペックの売上は82%が装置事業で、主力の環境試験器以外にエナジーデバイス装置(二次電池関連機器)、半導体関連装置などがある(2021年売上、同社ホームページより)。半導体検査装置もつくっている。

チャンバ(ちゃんば)

(chamber) 小さな部屋、空間のこと。たとえば環境試験器では試験槽をチャンバということがある。「環境試験チャンバ」という呼称もされている。チャンバは広い業界で使われる。たとえば半導体製造装置でも使われている。CVD装置などでは「化学反応、物理反応を起こさせるための密封された容器」をチャンバと呼称している。 thermostatic chamberを日本語にすると「温度が静的なチャンバ」で、恒温槽のことである。この場合、チャンバは「大きな容器」、「おけ」という意味で使われている。 文化庁による「外来語(カタカナ)表記ガイドライン 第3版(「平成3年6月28日 内閣告示第二号『外来語の表記』」)では、「英語の語尾の-er、-or、-arなどは、原則として長音とし長音符号「ー」を用いる」とある。それに従えば「チャンバー」だが、技術用語を規定しているJISでは、2文字までは末尾を伸ばすが(たとえば自動車の「カー」)、3文字からは伸ばさない(モータ、センサ、など)とある。巷では「チャンバー」が多いが、本稿ではJISに従い「チャンバ」にしている。 計測器の名称も「マルチメータ―」ではなく「マルチメータ」が、技術用語としては適切な表記といえるが、メーカー、エネルギーなど統一されてはいない。レーザーは、業界団体(社団法人や学会など)が「レーザー」と「レーザ」の両方を使っていてまったく統一されていない。光ファイバも「ファイバー」という表記が大変多い。

デバイス温度試験装置(でばいすおんどしけんそうち)

デバイスの温度試験には、恒温槽を使うやり方以外に、デバイスにエアーを吹きかけて高速に設定温度にするサーモストリームのような方式がある。イスラエルのMechanical Devicesの製品は、デスクトップ型温度制御装置で、IC に直接押し当てて温度を制御するダイレクトコンタクトと呼ばれる方式。2006年に販売を開始し、世界中で1000台以上を販売したといわれる。

冷熱衝撃装置(れいねつしょうげきそうち)

環境試験器(恒温槽)の1種。電子機器の耐熱衝撃を試験する機器。

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