計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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ORP計(おーあーるぴーけい)

ORP:Oxidation-Reduction Potential。ORPとは酸化(Oxidation)と還元(Reduction)が起こるとき、電子の移動で電位(Potential)が生じること。日本語では酸化還元電位。ORP計の別名は「酸化還元電位差計」。ORPを測定するのがORP計。単位は[mV]。酸化還元反応はメッキの排水処理などプロセスの工程で起きる化学反応の1種。そのため、プロセスオートメーション(計装)の会社である横河電機にはORP計がある。電気化学センサのpHセンサを使ったpH計をつくっている東亜ディーケーケー株式会社は、ORPセンサが使える水質計もつくっている。同社の水質計(ORPセンサ付き)はORP計ともいえる。 参考記事(会員専用):【展示会レポート】IIFES(アイアイフェス)2022の3ページ目・・東亜ディーケーケーの水質計を取材。 計測器情報:ORPが名前に付く製品の例、東亜ディーケーケーの水質計

O&M(おーあんどえむ)

(Operation&Maintenance)発電所などの保守・運用のこと。2010年頃から普及が加速したPV(太陽光発電)では建設から、保守、運用を行うO&M事業者が多数生まれた。毎年春に開催される大きな展示会(PV EXPO 太陽光発電展)には数多くのO&M事業者が出展している。

OEM(おーいーえむ)

(Original Equipment Manufacturer) 自動車業界では一般的に完成車メーカをOEMと表現(表記)する。通常はOEMとは、他社ブランド品を製造する委託業者や委託生産のことだが、自動車業界では完成車メーカのことを意味する。 Tier1(ティアワン)はOEMに直接納品するメーカ、Tier2はTier1に納品するメーカを指す。TierXは本来、流通の用語だが、自動車業界で良く使われるため、「トヨタに納品するデンソー」のように、車体メーカと直接の取引ができる「車載部品のメガサプライヤー」を指すことばと認識されている。Tier1の下には次々と下請け企業があり、自動車産業の大きなピラミッド構造を象徴する用語である。Tier1には日立Astemo株式会社(日立オートモティブシステムズ株式会社、株式会社ケーヒン、株式会社ショーワ、日信工業株式会社が2021年1月に経営統合。読み方:ヒタチアステモ)などがある。 自動車業界のOEMも通常のOEMと同じOriginal Equipment Manufacturerの略記である。Original Equipment Manufacturerを直訳すると「独自・装備(or装置)・製造者(orメーカ)」である。巨大産業である自動車業界には独特の用語が多くあるが、最近の世界的な急速な電動化(EV化)によって、日立Astemoのようにピラミッド構造の企業群に変化が起こっている。

O/Eコンバータ(おーいーこんばーた)

光信号(Optical signal)を電気信号(Electrical signal)に変換する機器。別名:O/E変換器。光ファイバ通信システムは電気信号を光信号に変換して光ファイバを伝送する。信号の送信部はO/Eコンバータといえる。計測器としてのO/Eコンバータは、アンリツや安藤電気がつくっていた。光信号をオシロスコープで観測するための光プローブもO/Eコンバータの1種といえる。

O/E変換器(おーいーへんかんき)

(Optical signal / Electrical signal converter) 光信号を電気信号に変換する機器。別名:O/Eコンバータ。光ファイバ通信 システムは電気信号を光信号に変換して光ファイバを伝送する。信号の送信部はO/Eコンバータといえる。逆の変換をするのがE/O変換器である。計測器としてのO/E変換器やE/O変換器は、アンリツや安藤電気がつくった。光信号をオシロスコープで観測するための光プローブもO/E変換器といえる。 1970~1980年代に電電公社(現NTT)が日本の基幹通信網に光通信を導入する際、電電ファミリーのアンリツと安藤電気は多くの光通信用の計測器を開発した。O/EとE/Oもラインアップしたが、通信網が完備された2000年代以降は2社とも従来のO/EやE/Oは生産終了している。 アンリツは光電融合デバイスをネットワークアナライザで評価するソリューション(Opto-Electric Netwerk Analyzer ME7848A)を提案している。MN4775A(110G E/O)とMN4765B(110G O/E)を使い、光信号を電気に変換してME7838AX(VNA)で測定を行う。そのために高速のO/EとE/Oをラインアップしている(2023年11月のマイクロウェーブ展に出展)。 同じ光電融合の評価でもキーサイト・テクノロジーは偏波シンセサイザなどの光測定器で偏波依存性損失(PDL)を測定して評価するので、O/EやE/Oは使わない。このように、電気の測定器で光信号を評価する際に、併用計測器としてO/EやE/Oが使用される。

OSI参照モデル(おーえすあいさんしょうもでる)

OSIはOpen Systems Interconnectionの略記。通信機能を階層別に分類して規定したもので、通信規格を説明する際に使われる共通の表現。7階層(レイヤ)で規定される。コンピュータ同士などが通信を行うには、まず性能を満足するケーブルでつながっている必要がある。これを一番下の第1階層(レイヤ1、物理層)という。この階層の上に、送信先のアドレスを表現/制御するプロトコル(通信規約)が規定され、最終的にアプリケーションが運用される第7階層(アプリケーション層)がある。すべての通信規格はOSI階層モデルによってその機能を規定(表現)されている。プロトコルアナライザは第2階層(データリンク層)/第3階層(ネットワーク層)に対応している計測器である。ケーブルテスタは第1階層の測定器なので「レイヤ1(ワン)テスタ」と呼称されることもある。

OSC(おーえすしー)

発振器の略号。Oscillator(オシレータ)の略。通常は構成図などで発振器にOSCと略記する。何の文脈も無くOSCと記載されても発振器とはわからないので、そのような使い方はされない。発振器と似た単語に発生器(Generator)があり、両者の違いは難しい。

ONU(おーえぬゆー)

(Optical Nertwork Unit)光回線の終端装置。NTTの光通信サービスであるフレッツ光などに契約すると、家にONUが必要になる。従来の電話電(銅線の加入者線)を使ったアナログ通信ではモデムが使われたので、ONUのことを光モデムと呼称しているケースが散見されるが、それは正しい表現ではないと筆者は考える。一方で「変復調はしているが、デジタルとアナログの変換をする装置がモデム」だから、「ONUは技術的にはモデムである」という主張もある。この説は間違いではないが、大変乱暴な主張と思える。モデムとは変復調装置である。ONUは変復調装置ではない、またモデムは電気で、通常は光ではない(余談だが、一部のメーカの商品に光モデムなるものがあり、定義を混乱させるので私は困ったネーミングだと思っているが、他社の商品名に文句はつけられない)。ONUとモデムについてはネットのQ&Aでも「両者は違う」という見解が多いが、上記のように「ONUはモデムである。違うというのは素人の間違った回答」という自信に満ちた書き込みもある。 2000年頃にFTTHを推進する方式として考案されたPON(Passive Optical Network)で加入者宅(契約をしているユーザ)側の装置としてOMUということばが使われるようになった。

OFC(おーえふしー)

(Optical Fiber Communication Conference & Exhibition)世界的な光通信の会議&展示会。毎年、3月下旬に米国カリフォルニア州(サンフランシスコやサンディエゴなど)で開催される。OFCの公式サイトには「光通信およびネットワーキングの専門家向けの最大のグローバル会議および展示会。テレコムおよびデータセンターオプティクスのプレミアイベント」とある。世界中の通信機器メーカが最新の商品を出展する。2021年には光伝送装置の最新のモデルであるOpen ROADMが出展されている。

OFDM(おーえふでぃーえむ)

(Orthogonal Frequency Division Multiplexing) 直交周波数分割多重。無線通信で使われるデジタル変調の技術の1つ。Wi-Fi、無線LANなど、近年導入が進んでいるはやりの無線通信方式で使われている。デジタル変調の解析ができるスペクトラムアナライザ(シグナルアナライザ)で測定を行う。

OLED(おーえるいーでぃー)

(Organic Light Emitting Diode) 読み方:オーエルイーディまたはオーレッド。発光材料に有機物質(Organic)を使った LED。有機EL(Electro Luminescence)の1種で、ディスプレイとして商品化されている。 参考用語:マイクロLED 計測器情報:品名にOLEDが付いている製品の例

OLTS(おーえるてぃーえす)

(Optical Loss Test Sets)光ロステストセット、光ロステスタのこと。光源と光パワーメータが一体となり、光ファイバの損失測定が1台で可能な光通信測定器。国内光通信測定器メーカの安藤電気(現横河計測)、アンリツは以前は「光ロステスタ」や「光ロステストセット」を品名にしていたが、現在の現役モデルは2社ともOLTSという表記がされている。つまりOLTSは光計測器業界の最近の流行りの表現といえる。ただし、同様に光ファイバの工事で使うOTDRほど認知された用語とは思えない。通信・IT用語のOLT(Optical Line Terminal、光回線終端装置 )のほうが知名度が高く、グーグル検索ではこちらのほうが上位に表示されている(2021年9月現在)。

OCXO(おーしーえっくすおー)

(Oven Controlled Xtal Oscillator)温度制御型水晶発振器。外気温にまったく関係なく水晶の温度を一定にするオーブンが内蔵されている。 TCXOの温度特性を更に改善したもの。

OCC(おーしーしー)

(Ocean Cable&Communications) 株式会社OCC。日本唯一の海底通信ケーブル専業メーカ。ケーブルの製造から敷設までを行う。OCCと呼称される。株主:日本電気株式会社、住友電気工業株式会社。日本の大手電線3社(住友電工、古河電工、フジクラ)が設立したが、2000年以降にNECが資本参加し、子会社にした。光海底ケーブル敷設の世界3社のうちの1社はNECだが、それはOCCが子会社だからである。光海底ケーブルの敷設には多くの光通信測定器が使われる。 2000年初頭の光海底ケーブルバブル以降、新設は減少していたが、2010年代後半から増え始めている。インターネットの普及・拡大で、通信される情報量は増大し(ビッグデータ)、データセンターが増設された。携帯電話やSNS、ネット通販などが増加し、GAFA(ガーファ、Google、Apple、Facebook、Amazon)が台頭した。世界第2位の経済大国になった中国やGAFAは(既存のキャリアを抜きに、国なども無関係に)自前で光海底ケーブルを敷設して、世界中の情報通信を手中にしようとしている、といわれている。OCCは海外資本に買収されるような、価値のある企業である。

OCCR(おーしーしーあーる)

(Optical Component Coherence Reflectometer)光コネクタなどの光部品の断線を検出する試験器。原理はTDRなので、光ファイバのは断点検出をするOTDRが数km先を測定するのに対して、mm単位という近端の測定を行う測定器。株式会社オプトゲートの製品はTD-OCT(Time Domain Optical Coherence Tomography)の光干渉技術を応用して、測定レンジ:20mm、最短測定時間:2.2秒。反射レベル:-85dBを実現している。HP(現キーサイト・テクノロジー)も光部品用測定器に力を入れていて、モデル8504Aプレシジョン・リフレクトメータ(精密反射計)のカタログには「75dBのダイナミックレンジと25ミクロンの2イベント分解能で、測定スパンは40cmから1mmまで変化し、1300または1550nmのシングルモードファイバで測定される」とあるが、すでに生産中止である。TDRやOTDRは認知された用語だが、OCCRはオプトゲート社の製品名称(いわゆる方言で、まだ共通の用語ではない)ともいえる。

OCP(おーしーぴー)

(Over Current Protection)過電流保護回路。出力が何らかの原因で短絡した時などに負荷を想定以上の電流から保護するための機能。使用する負荷の必要容量よりもはるかに電流容量の大きい電源を使用する際などに重宝する。定電流設定(CC)機能がある電源では、定電流設定(CC)値の誤設定時の最終保護としても使用できる。常にOCP>CCの関係になるように設定する。別名カレントリミッタともいう。過電流保護が動作した場合はほとんどの電源が出力を停止する。その場合、電源再投入で復帰する。(株式会社高砂製作所の用語集より)

O2計(おーつーけい)

大気中に含まれる酸素(O2)の濃度を測定する機器。(=酸素濃度計)

OTA(おーてぃーえー)

(Over The Air)従来の有線による機器を経由するのではなく、無線通信による手段のこと。SOTA(Software update Over The Air)やFOTA(Firmware update Over The Air)などがある。自動車のソフトウェアのアップデートや、次世代無線通信規格の5Gなどで話題になる用語。

OTN(おーてぃーえぬ)

(Optical Transport Network)日本語では「光伝達網」。国際標準化機関ITU-Tで規定される通信規格。長距離(国内/国際:数百~数千km)にわたって大容量の情報を伝達する光伝送装置で運用されている。 従来は世界中の通信規格は地域(国)別のPDH(Plesiochronous Digital Hierarchy、非同期多重化階梯)だったが、技術革新で光増幅器などが生まれて1990年代にSDH(Synchronous Digital Hierarchy、同期多重化階梯)が導入された。日本でも新同期網と呼ばれ、SDH/SONETアナライザなどの測定器が活躍した。2000年以降になるとWDMの技術を使い、SDH/SONETやイーサネットなどはOTNに収容されて、高信頼な広域転送を実現した。OTNは「現在のコアネットワークを構築している技術」、とも説明できる。 通信計測器の雄、アンリツには2000年頃にMP1570A SONET/SDH/PDH/ATMアナライザがあったが、2022年の同社HPには「OTN/SDH/SONET関連測定器」のタイトルページに MT1040A ネットワークマスタ プロなどが掲載されている。2000年頃の通信の規格はPDHやATMなどがまだ残っていたが、2022年にはPDHやATMという表記は無くなり、HPのタイトルにはOTNが真っ先に記述されている。通信の規格は10年単位で様変わりしていることがわかる。なので、通信の規格に対応した測定器は寿命が短い専用器であり、基本測定器(汎用器)とは別のものである。

OTDR(おーてぃーでぃーあーる)

(Optical Time Domain Reflectometer) 光通信測定器の1つ。光ファイバの破断点(何km先が不具合か)を検出する。光ファイバケーブルの敷設、保守には必須で使われるハンドヘルド(可搬型)の測定器。光パルスを入射して、光ファイバの各位置から反射するわずかな光が入射口に戻る時間とパワーから、距離に対するロス(パワー)のグラフを画面に表示する。つまり測定原理はTDRである。OTDRを翻訳すると「光・時間領域・反射計」である。TDRは電気の測定器なので、「光通信のTDR」という説明もできる。使用される光通信の波長(850nmや1,310nmなど)によって光源がユニット化され、本体(メインフレーム)と組合せるモデルが多い。 測定原理から「光パルス試験器」とも呼ばれる。横河計測(旧安藤電気)の品名は「光ファイバアナライザ」、アンリツの品名は光パルス試験器だが、両者はまったく同じ測定器(品名からは同じOTDRであることを想像するのが困難。計測器の名称はメーカが自由につけるという格好の例である。)。現在の横河計測の現役モデルは「OTDR(光パルス試験器)」、「マルチフィールドテスタ」などの名称で、光ファイバアナライザという品名のモデルは無くなった。 日本では電電公社(現NTT)が1970年代から光ファイバを基幹通信網に導入を始め、アンリツと安藤電気の2社(電電ファミリー)にOTDRをつくらせた。そのため、国内のOTDRは2社が強く、EXFOなどの海外メーカはシェアが低い。光ファイバの敷設や保守では、「光ロステスタ(OLTS)」や「光ファイバ心線対照器(IDテスタ)」も使われる。 本稿ではOTDRは計測器の名称として説明したが、Optical Time Domain Reflectometry(光のTDR測定手法)の略記という解説もできる。