計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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みえちゃん(みえちゃん)

1971年に設立したソフトウェア受託開発の株式会社ビッツが提供するオンラインモニタの愛称(名称)。シリアル通信(RS-232CやRS-485など)やフィールドバス(CC-Link Ver2.0)の通信内容を簡便にモニタできるツールとして好評だったが、現在は販売・保守ともに終了している。ハンドヘルドのオンラインモニタの草分けといえる。 参考用語:ラインモニタ、キャロちゃん、CC-Link協会

味覚センサ(みかくせんさ)

(taste sensor)人が食べる食品の味には5つの基本味がある。それらの強さを測定するのが味覚センサ。食品に含まれるイオンや分子などを測定するため、味覚センサを使った計測器は、カテゴリー(機種分類)「科学分析機器」である。基本味は酸味、塩味、甘味、苦味、旨味の5つ。人間の舌にはナトリウムイオンや水素イオン、グルタミン酸などを感じる受容体があり、味を感じている。同様のイオンや分子で味覚センサの電極電位を変化させ、物質量を計測する(これをポテンショメトリーという)。5つの基本味に対応した電極(味覚センサ)が開発されている。味覚センサによる味覚測定器(分析器)は、食感を数値化するテクスチャーアナライザ(物性試験機)などと共に、食料品関連の測定器といえる。参考記事(会員専用):【展示会レポート】JASIS(Japan Analytical & Scientific Instruments Show)2019・・食感を数値化する物性試験機(テクスチャーアナライザ)を取材。 計測器情報:品名に「テクスチャ」が付く製品の例、食品の柔らかさを測定できるYawasaの製品例

ミキサ(みきさ)

(mixer) 入力された2つの電気信号を混合する回路素子あるいは電子機器。混合器あるいは周波数変換器ともいう。ダイオード等のもつ非直線性を利用して、2つの電気信号(周波数を f1 と f2 とする。ただしf2 > f1 とする)からそれらの”和( f1 + f2)”や”差(f2 - f1)”の信号を作り出す。実際には必要な片方の一つの信号(一般に受信機等では上記の差信号)を取り出す場合が多い。この差信号を中間周波数(IF: Intermediate Frequency)ということがある。またこの周波数変換するために加える一方の信号を局部周波数、その発振器を局部発振器という。 スペクトラムアナライザ内部にも使われている。

三田無線研究所(みたむせんけんきゅうしょ)

(mita musen kenkyusyo) 茨木悟氏が1924年(大正14年)に設立した計測器メーカ(現在は無い)。デジタルICテスターLI-255、オペアンプテスター360、トランジスタテスター105、真空管試験器3001Dなどの品名・形名の計測器をつくっていた。同社HPには「茨木悟(J1FQ/J21H 1900-1994)が続けた電子機器製造業を終了した」旨の表示のみがあり、会社概要などは一切書かれていないので、いつ会社が無くなったかは不明。 1923年にラジオを中心とした電子機器製造業として茨木悟研究所を創立したのが始まり。DELICA(デリカ)の名称で親しまれた。住所が東京都港区の(麻布から白金にかけての)三田台地だったことが社名に関係すると推測される。有栖川宮記念公園に続く仙台坂にあった会社の住所をWeb地図で検索すると「デリカビル」と表示される(2022年12月)。「DELICAというのはDelicacyとかDelicateという言葉の頭6字だけを使った」と「電波科学」(1958年3月号)に載っている。トラ技の創刊号(1964年9月)に同社のトランジスタ試験器の広告が掲載されている。中古品Webサイトには「三田無線研究所(アマチュア無線関連)」などの表記で出品がある。同社の製品は、当時の最先端(ハイテク)電子機器として人気があったと思われる。 茨木悟氏は明治33年生まれで、米国の大学で研究していたが、日本でラジオ放送が始まる1941年頃に帰国し、三田無線研究所の所長を務めた。前述の会社HPにある「J1FQ/J21H」はアマチュア無線局のコールサイン(call sign、呼出符号。無線局の名称。つまり茨木悟の認識番号)である。「アマチュア無線家なら誰でも憧れた三田無線」といわれ、三田無線研究所について熱く語るコミュニティサイトが存在している。 昭和初期に真空管で始まったラジオ放送が半導体に置き換わる時代に、最先端の電子機器の1つが三田無線研究所の電気計測器だったといえる。ICを使った機器の研究、整備・調整、教育用として、ICを一個ずつ装着して手動で操作する計測器が使われた。FETなどのトランジスタや、ダイオードの諸定数を測定したり、真空管の各電極に任意のバイアス電圧を与えて各電極電流を測定し、Gm(相互コンダクタンス)を演算してデジタル表示する計測器は、真空管や半導体という電子部品を使って電子機器を設計する技術者に重宝された。 同社製品の銘板には会社名が「K.K.MITA MUSEN KENKYUSHO TOKYO JAPAN」と印字されているので、会社名の読みは「けんきゅうじょ」ではなく「けんきゅうしょ」である。 同社HPには「(株)三田無線研究所 DRRICA」の後に「ELECTRONIC MEASURING INSTRUMENTS」(つまり"電子測定器")とある(2024年12月現在)。会社名は「無線」だが、「電気計測器」メーカである、という意思表示である。

ミックスドシグナルオシロスコープ(みっくすどしぐなるおしろすこーぷ)

(Mixed Signal Oscilloscope) 略称「MSO」。ロジックアナライザの機能を持つデジタルオシロスコープのこと。マイクロプロセッサ(CPU)の普及によってロジック信号(電圧の高い・低いを、閾値を設定して1か0に相当させた信号)が増えたため、低速のシリアル通信(I2Cなど)の信号もオシロで同時に観測できると便利である。オシロスコープ(オシロ)はアナログの信号波形を表示するものだが、最近のデジタルオシロはロジック入力の機能を装備し、アナログとデジタルの両方の信号を観測して表示できる機種が増えた。それらをMSOと呼んでいる。世界中のオシロメーカがMSOを発売し、形名にも使われている。現在の汎用オシロ(帯域がGHz位以下のいわゆる一般的なオシロ)の主力モデルはMSOになりつつある。日本の代表的オシロメーカである横河計測の最新現役モデル(DLM3000シリーズ)の品名は「ミックスドシグナルオシロスコープ」である。 「ミックスドシグナル」という概念はHP(ヒューレット・パッカード。現キーサイト・テクノロジー)の造語である。CPUの台頭に伴い、開発支援装置やロジックアナライザという新しいカテゴリーの測定器を世に送り出してきたNo1計測器メーカのHPは、従来のアナログ信号だけでなく、ロジック信号が含まれた混合信号(ミックスドシグナル)の波形表示や解析がこれからは重要であると考えた。オシロの新しい概念(機能)として「ミックスドシグナル」が登場する。1996年に54645Aミックスド・シグナル・オシロスコープが発売されている。1997年4月のHPジャーナル(HPの技報)には「オシロスコープとロジック・アナライザの要素を組み合わせた完全に新しい製品カテゴリー。しかし今までの組み合わせとは異なり、オシロスコープを優先し、ロジック・アナライザはそれを補完するもの」と紹介されている(キーサイトエンジニアブログ、2017年09月20日「MSOの始まり」より)。「ミックスドシグナル」を考案したのはHPだが、形名にMSOを使い「ミックスドシグナルオシロスコープ」を普及させたのはテクトロニクスである。それ以降、各オシロメーカが形名にMSOを使い、MSOはHPのユニークなモデルではなく、今やすっかり業界標準となった。

ミックスド信号発生器(みっくすどしんごうはっせいき)

任意波形ジェネレータ、任意波形/ファンクション・ジェネレータなどの信号発生器の一種で、アナログ波形とデジタル・パターンの両方を出力する(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)。つまり、従来のアナログ信号(正弦波や三角波など)だけでなく、PPG(パルスパターンジェネレータ)のようにデジタルのパターン波形が出力できる。そのため、オシロのミクスドシグナル(アナログとデジタルが混合した信号)のように「ミックスド」と言っている。ただし同社のHPでこの名称を検索してもヒットしない(2022年3月現在)。あくまで、最近のFG(ファンクションジェネレータ)やAWG(任意波形発生器)の流行りとして、概念を説明しているだけで、「ミックスド信号発生器」という品名のモデルは無い。また、他社の製品でもみあたらない。

ミックスドドメインオシロスコープ(みっくすどどめいんおしろすこーぷ)

(Mixed Domain Oscilloscope) 略称「MDO」。スペクトラムアナライザ(スペアナ)機能があるオシロスコープのこと。MSO(ミックスドシグナルオシロスコープ)に倣って、時間軸と周波数軸の両方が波形表示できるという、テクトロニクスが作った造語。発売当時は同社のオンリーワン製品だったが、現在は外資のRIGOL(リゴル:中国の計測器メーカ)やテクシオ・テクノロジー(※)が、テクトロニクス同様にMDO形名の同等機種を発売している。オシロメーカであるテクトロニクスがRF分野のスペアナに参入したとき、時間軸でも表示できるリアルタイム・スペアナを発売した。周波数スペクトラムが時間的に変化する様子がカラー画面に表示される様は、視覚的にもインパクトがあった。いわゆるスぺアナにオシロ機能を付けたわけで、MDOはその逆をしたといえる。余談だが、周波数軸と時間軸をもつ測定器として、すでにHP(ヒューレット・パッカード。現キーサイト・テクノロジー)にはVSA(ベクトル・シグナル・アナライザ)というユニークな製品があり、2軸表示の解析器(アナライザ)は同社の独壇場だったので、時間軸表示できるスペアナの出現にHPはまったく動じなかったと思われる。実際、テクトロニクスの現在の主力スペアナはUSBタイプで、キーサイト・テクノロジーのシェアに変化はないと推察される。MDOは複数の海外メーカが発売しているが、MSOのようにオシロの1ジャンルとして認知されているとは思えない。RF分野の雄、ローデ&シュワルツはオシロ参入時にスペアナ機能を付加した製品を発売したが、MDOなる表現はみられない。(※)台湾の計測器メーカGoodwill Instrument Co.,Ltd.(グッドウイル、ブランド名GwINSTEK)は旧ケンウッドの計測器事業が分離したテクシオ・テクノロジー(ブランド名TEXIO)に資本参加し、2014年1月に親会社となった。文教分野の顧客に安価な電源とオシロスコープを提供してきた老舗計測器メーカのテクシオ・テクノロジーはグッドウイルに吸収された。現在のテクシオ・テクノロジーはグッドウイルの日本での販社(代理店)であり、開発部門は無い。つまり、家電業界でシャープが台湾資本になったように、計測器業界でも中華資本の参入が起きた。

MIDI(みでぃ)

(Musical Instruments Digital Interface) 1981年につくられた電子楽器同士を接続するための世界共通規格。YAMAHA(ヤマハ)、KAWAI(カワイ)、Roland(ローランド)、KOLG(コルグ)の日本メーカ4社(※)と米国メーカ2社(計6社)の合意で策定された。現在ではこの規格名はあまり聞かないが、MIDI書式のファイルやMIDIシーケンサは現在も使われている。現在の電子楽器のインタフェースの基礎になっている規格。 計測器で良く出てくる似た名前の規格にMIPI(Mobile Industry Processor Interface、ミピー)がある。こちらはカメラやディスプレイなどのモバイル機器とそれにつながる機器に採用されている。最近のオシロスコープはシリアル通信の解析機能(オプションソフトウェア)が充実していて、MIPIに対応しているモデルもある。 (※)いずれもミュージシャンなら知っている楽器の世界的なメーカ。ヤマハ株式会社(1887年に山葉氏が創業)、株式会社河合楽器製作所(1927年、河合氏が創設)はピアノを代表とする楽器メーカ。ローランド株式会社(1972年設立)は世界中の音楽家が愛用する電子楽器メーカ。1980年発売のリズムマシンTR-808はラップミュージックをつくったといわれ、生産終了している現在でも、世界中の音楽家が愛用している(日本では通称「やおや」と呼ばれ、2023年にはNHKの音楽番組で著名な音楽家が取り上げている)。株式会社コルグ(1963年創業)はシンセサイザー、チューナー、DJ/ダンス関連製品、エフェクターなど、演奏をするミュージシャンが使う電子機器を幅広くラインアップしている。楽器メーカは世界に知れた日本メーカが複数ある。ヤマハ、カワイ、ローランドの3社が静岡県浜松市に本社があるので、浜松は楽器の町である。

ミナトエレクトロニクス(みなとえれくとろにくす)

1972年から2015年に存在した、ROMライタ(計測器)やメモリテスタ(半導体テスタ)のメーカ。 1973年に国産初のデバイスプログラマ「ROMプログラマ1800型」を開発している。アバールデータ(PECKER)やタケダ理研工業(現アドバンテスト)、安藤電気などが1980年頃にROMライタに参入する以前の草分けである。当時は東陽テクニカが海外のデータI/O(Data I/O Corporation)製品を取り扱っていて、ミナトエレクトロニクスとの2社が老舗だった。 1980年頃にはICの量産時の検査に使うメモリテストシステム(半導体テスタ)を開発している。ミナトレクトロニクスは日本電気(NEC)の資本が入っている。NECの子会社である安藤電気もロジックテスタを主力に半導体テスタをつくっていたので、NEC傘下に半導体テスタメーカが2社あったことになる(NECが半導体デバイスから2000年頃に撤退し、ミナトエレクトロニクスも半導体テスタを販売終了している)。 簡単に沿革を書くと、1956年に東京都港区に港通信機製作所を設立し、電子計測器の設計製造を開始。2018年に持株会社体制に移行し、技術製造子会社のミナト・アドバンスト・テクノロジーズ株式会社がROMプログラマを継続。初号器の1800型に近い型名の「ユニバーサルプログラマModel1883」が現役であるが、次の1900シリーズは販売終了している。MODEL500シリーズなどのギャングプログラマをラインアップしている(2023年2月現在)。 東陽テクニカは2020年にデータI/Oの取り扱いを正式にやめている。マイコンの普及とともに活用されたインサーキットエミュレータやロジックアナライザと同じくROMライタの市場も減少した。安藤電気のROMライタを技術移管して継続しているフラッシュサポートグループ(東亜エレクトロニクス)とミナト・アドバンスト・テクノロジーズが現存する2社のROMライタメーカである。advice(ICE)で一世を風靡したDTSインサイトはフラッシュマイコンのオンボードブログラマに参入し、デバイス書きではない車載部品用に高シェアである(以下の記事に詳しい)。

MIPI(みぴー)

(Mobile Industry Processor Interface) モバイルデバイス(やモバイル機器)向けのインタフェース規格。カメラやディスプレイに採用されている。日本語に訳すと「モバイル業界のプロセッサのインタフェース」。つまり、「モバイル機器に内蔵されるプロセッサのインタフェースを規定した規格」である。ただし2020年にA-PHY(後述)を発表したことで当初の家電・コンピュータ製品の範疇を越える規格にMIPIはなった。 Intel(インテル)、Motorola(モトローラ)、Nokia(ノキア)、Samsung(サムスン)、TI(テキサス・インスツルメンツ)、ST(STマイクロエレクトロニクス)などのモバイル業界のリーディングカンパニーによって2003年にMIPI Allianceが設立され、2008年に規格が策定された。規格化によって設計を簡素化し、普及を促進することを目的にしている。USBやLVDS(エルブィディーエス)、SATA(サタ)などの、他の高速なシリアル通信の規格に比べて知名度は低い(機器内部のデータ転送規格のためと思われる)。 通信方式は平衡(差動)。物理層(レイヤ1)に複数の規格があり、PHY(ファイ)シリーズと呼ばれている。たとえばD-PHY(ディーファイ、最大1.0Gbps/1レーン)、M-PHY(エムファイ、最大6Gbps/1レーン)。PHYはphysical layer(物理層)の略記で、頭のアルファベット1文字で種類を区分。当初はアルファベットの後の方が高性能な規格になっていたようである。シリアルI/Fの1種だが、HDMIやDisplayPortと同類の映像規格ともいえる。読み方は「ミッピー」と表記している例をみかけるが、会話では「ミピー」と発音されている(聞こえる)。 MIPI用の計測器としてはバスアナライザなどのプロトコルアナライザがあるが、オシロスコープのオプションで解析ソフトウエアがあるモデルもある。キーサイト・テクノロジーは2010年頃にはロジックアナライザでMIPI信号の解析をしていたので、広義にはロジックアナライザの用語でもある。 2024年現在は以下の4つの物理層の規格がある。 ・M-PHY:高性能カメラやメモリ、チップ間アプリケーションの、性能重視の双方向パケット通信やネットワークで使われる。 ・D-PHY:カメラやディスプレイ側に適用され、低速の単方向ストリーミングに使われる(2008年当初はそうだったが、後にアップグレードしている、後述のC-PHYを参照)。 ・C-PHY:D-PHYと同様にカメラやディスプレイ側に適用されるが、クロック方式や送信振幅がD-PHYと異なる。D-PHYは当初の1Gbpsから4.5Gbpsにアップグレードされ(Ver2.0)、C-PHYと似た仕様になっていて、用途の使い分けがはっきりしない。2024年現在、イメージセンサ(CMOS)のトップベンダであるSONYが両方を採用しているため、C-PHYとD-PHYが併存している。 ・A-PHY(エーファイ):ADAS(エーダス、先進運転支援システム)やADS(自動運転システム)、カーナビ、カメラなど、幅広い自動車アプリケーションへの適用が期待される規格(範囲は車載には限らない)。高速単方向データや埋め込み双方向制御データなど、電力供給を1本のケーブルで提供できる。他のMIPI規格に比べて最近(2020年9月)、規格ができた。MIPIはA-PHYによって、モバイルではなく自動車に用途が広がった。スマートフォン搭載カメラの高解像度要求に応えてきたMIPIは、高解像度対応センサの種類が豊富である。近年、モバイル用途以外の組み込みカメラシステムでも高解像度化要求が高まってきたことで、MIPIは車載を主要な用途としてA-PHYを策定した。ただし車載の映像I/FにはGMSLやGVIFなど先行する規格があり、A-PHYがどれだけ普及するかはこれから(未知数)である。 MIPIは2008年にM-PHY(最高伝送速度6Gbps)とD-PHY(1Gbps)を発表したが、デバイスの進歩にD-PHYの性能が劣るようになり、後にC-PHY(6Gbps)を発表する。しかし、D-PHYもアップグレードされD-PHY ver3.0(9Gbps)になった。当初の発番法則はD、Mとアルファベットが後になるほど高性能だった。規格の名称は後ろのアルファベットから発番していて、A-PHYが2020年に作成され、モバイルから自動車まで対応する規格になった。Aを使ってしまったので、今後の新規格の名称が何になるかわからない。 小さな数字ほど性能が高く、大きな数字の製品から発売開始したのがNECのコンピュータである。PC9800シリーズは1980年代から国内トップシェアだったパソコン(Windows以前のMS-DOS時代まで)だが、1990年頃にはEWS4800シリーズ(エンジニアリング・ワークステーション)が発売される。また1990年代にExpressサーバ5800シリ―ズ(PCサーバ)が発売される。PC、サーバ、ワークステーションの順番に高性能で、名称の番号は9800、5800、4800と小さな数字になっている。性能(コンピュータ製品の中での位置づけ、ポートフォリオ)と通称の数字の順番(大きさ)に法則性があり、統一感のある美しい発番である。PC9800とEWS4800の後にExpress5800が発売されたときに、メーカ側から何の説明を受けなくても「Expressサーバ5800はPCよりも高性能だがワークステーションほどの性能は無い」、というポートフォリオがその番号から瞬時に理解できる。筆者はこのような発番体系を美しいと感じる。MIPI A-PHYの次の規格が大変気になるところである。

μR(みゅーあーる)

マイクロプロセッサを搭載した横河電機のペン/打点式のチャートレコーダの通称(※)。μR10000やμR20000などがある。正式な形名は4361xxや4371xx(xxはペン/打点のチャンネル数による)。 同社HPの製品ページでは、データアクイジション/チャートレコーダ(記録計)/工業用チャートレコーダμR10000/μR20000という階層で掲載されている(2022年6月現在)。 (※)横河電機の製品にはまるで形名のような通称があり、形名と混同しやすい。μR1000はまるで形名のようで紛らわしいネーミングである。製品カタログやHPにはこの通称(μR〇〇)が目立つように大きく記載されているが、いざ注文するときは「100mm、4ペンだと、形名436104」となる。μRは仕様を特定できない文字列なので形名ではなく通称(愛称)である(通称ならばもっと通称らしい命名が望ましい)。形名と紛らわしい通称については当用語集の「通称」や「形名」の解説を参照されたい。 参考記事:記録計・データロガーの基礎と概要 (第2回)・・μR10000の内部構造を解説。 計測器情報:μRの製品例

ミリオームハイテスタ(みりおーむはいてすた)

日置電機のミリオームメータの品名。

ミリオームメータ(みりおーむめーた)

ミリオーム(mΩ)程度の低い抵抗を測定する機器。交流ミリオームメータと直流ミリオームメータに大別される。

ms(みりせっく)

(milli second) 時間の単位「ミリ秒」の表記。m(ミリ)は10のマイナス3乗の接頭辞(以下の参考記事が詳しい)。0.001 秒に相当。秒は「セック」と発音(呼称)することが多い。「ミリセコンド」という表記もある。記録計(レコーダやデータロガーなど)、オシロスコープ、信号発生器などの計測器で、設定や表示に良く出てくる。レコーダの記録時間のレンジ設定などにmsがある。 時間の逆数は周波数で、1ms(1ミリ秒)は1kHz(1キロヘルツ)に相当する。人は1kHzの音を聞くことができる(可聴周波数は20Hz~20kHz)。人が聞いている音の波形をオシロスコープで観測するとms(ミリ秒)の単位になっている。商用電源は50Hz/60Hzだが、無線通信にはより高周波のMHz(メガヘルツ、kHzの1000倍)が使われる。FM放送の東京FMの周波数は80MHzである。この周波数の信号を周波数帯域(測定できる周波数の値の目安) 500MHzのオシロスコープで観測すると、横軸のレンジはμs(マイクロ秒、msの1000分の一)である。 携帯電話などの移動体通信には、さらに高周波のGHz(ギガヘルツ、MHzの1000倍)の信号が使われ、RF(Radio Frequency、無線周波数)と呼ばれる。GHzの波形をオシロスコープで測定すると波形の変化する時間はns(ナノ秒、μsの1000分の一)である。このような速い信号は周波数帯域が数十GHzの高速オシロスコープ(広帯域オシロスコープ)でないと観測できない。GHzの信号の周波数ごとの(周波数軸での)パワーを測定するのがスペクトラムアナライザになる。つまり、msよりも速い(時間が短い)nsはRFなどの無線(高周波)の計測器で出てくる単位になる。 msは低周波や可聴周波数などが相当する時間の単位といえる。

ミリ波(みりは)

(Millimeter wave) 現在の携帯電話やテレビ放送で使われるマイクロ波より高い周波数の30GHz〜300GHz(波長1cm〜1mm)の電磁波。波長がミリメートルであることが語源。5G(第5世代移動通信システム)で使われるFR2という帯域はミリ波である。総務省HPの「周波数帯ごとの主な電波の用途と特徴」では、EHF(Extra High Frequency)と略記されている。

ミリ波ソースモジュール(みりはそーすもじゅーる)

キーサイト・テクノロジーの掃引信号発生器の品名。

ミリバル(みりばる)

電圧計の1種。アナログ式の指針型の交流電圧計を指していることが多い。ACミリボルトメータの略称ともいえる。株式会社エヌエフ回路設計ブロックには指針型の交流電圧計Mシリーズ(M217xA)があるが、ぞの説明には「おもにミリボルトオーダの低周波信号を測定することから、ミリバルとも呼ばれる交流電圧計」と書かれている。交流電圧測定器である真空管電圧計(valve voltmeter)を「バルボル」と呼称していたため、ミリボルトの微少電圧測定器を「ミリバル」と呼んだ。

MIL(みる)

(united states military standard) 米国 国防総省(ペンタゴン)が定める軍事規格(military standard)にMIL規格がある。軍事装備品、部品、システムなどの設計、製造、試験、運用に関する標準規格で、MIL-SPEC(ミルスペック)やMIL-STD(ミルスタンダード)とも呼ばれる。過酷な環境での耐久性(耐水性、防塵性など)を示す品質基準のため、一般の工業製品や家電品にも適用されている。恒温槽などの環境試験器の仕様にも「MIL対応」がある(つまり、計測器に使われる規格といえる)。MIL-STD-810は温度、湿度、高度、振動、衝撃、耐水などを実験室で試験する内容を規定している。MILはMilitary(軍事、軍隊、戦争)の略である。

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