計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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コアネットワーク(こあねっとわーく)

(core network) 通信回線の中で、基幹通信網のことを指す。通信網の中枢で大容量の回線の部分のこと。背骨の意味でbackbone(バックボーン)とも呼ばれる。コアネットワークは光ファイバや光伝送装置によって運用されている。通信容量(トラフィック)を増加させるときにコアネットワークの仕様が話題になる。コアネットワークの先につながる各ユーザに近い回線網をアクセス網や、足回りと呼ぶ。アクセス網を光ファイバにして高速にしたのがPON(Passive Optical Network、ポンと呼称)である。 この用語は、2010年以降に使われるようになったと記憶している。それ以前は基幹通信網とか、基幹回線などの表現がされていた。通信網の一番最速で通信容量が大きい箇所(通信網の最大速度など、仕様を決定している回線)のことである。2000年以降にWDMなどの光伝送技術が導入されて、現在のコアネットワークは光ファイバと光伝送装置によるOTNになっている。

コイル(こいる)

(coil) 電線の素線や針金などの、紐状の導体を螺旋状にした電気部品(素子)。別名:インダクタ。受動素子の3大要素はR(抵抗)、C(キャパシタ)とL(インダクタ)だが、日本ではCをキャパシタではなくコンデンサ、Lをコイルと呼ぶ習慣がある。明治から昭和にかけてはコイルでなく「線輪」と呼んでいた。インダクタである電子部品をいうときは「コイル」で、物理量としてのLは「インダクタ」と呼ばれている。計測器の名前ではコイルテスタ、コイル試験器、巻線試験器など、コイルが多く、インダクタはない(反対にCはキャパシタンスメータや容量計で、コンデンサは計測器の名前にはない)。コイルとインダクタの使い分けは説明が難しい。

コイル試験器(こいるしけんき)

(coil tester) コイルの巻線の電気的特性を試験する機器。別名: コイルテスタ、巻線試験器。 日置電機は「モーター巻線の検査が変わる新提案」と題して、インパルス巻線試験器ST4030Aを2019年12月に発売した。インパルス電圧を印加した際に得られる応答波形を数値化 (LC・RC値)し、良否判定する。L(インダクタ)を測定することが主眼ではないのでインダクタンスメータではないが「試験可能インダクタンス範囲:10 µH〜100 mH」である。 ユニークな海外計測器を取り扱っているウェーブクレスト株式会社にはインパルス巻線試験機IWT-5000Aがある。

コイルテスタ(こいるてすた)

(coil tester) コイル(巻線)の性能を測定してGO/NOGO(Pass/Fale)試験などができる計測器。別名: コイル試験器、巻線試験器。國洋電機工業が作っていたコイルテスタKL-900シリーズは光洋電子工業株式会社(※)に移管された。KL-900はコイルの巻数、レアショート、断線、コア材の違いを、標準コイルと被試験コイルと比較して波形表示できる。また、高インパルス電圧を加えて、絶縁不良をコロナ放電により検出できる。計測商社のウェーブクレスト株式会社はインパルス巻線試験機IWT-5000Aを販売している。 (※)光洋電子工業は2022年10月1日に株式会社ジェイテクトエレクトロニクスに社名を変更。

高圧水素対応シース熱電対(こうあつすいそたいおうしーすねつでんつい)

ゼロエミッションにより、社会インフラとしての水素の活用が広がり、水素自動車のための水素ステーションが整備されようとしている。水素を供給するディスペンサーの流量は温度に関連するため、温度管理が重要になる。そこで、高圧水素対応シース熱電対が使われる。産業向けの熱電対メーカの山里産業株式会社では高圧水素タイプを2017年頃から開発を始めている。顧客と仕様打合せを行うオーダーメイド製品のため、たとえば船で水素を運ぶのか、自動車(タンクローリー)なのかによって、センサ形状や取り付け方が違う。前述のディスペンサーの温度管理など、様々なアプリケーションにカスタマイズで対応している。シース熱電対の中で高圧水素モデルの同社の売上比率はまだ5~10%程度(2022年初)だが、今後は、年々この比率が高まると見込んでいる。

恒温水槽(こうおんすいそう)

水槽内の液体を保安かつ循環させる機器。

恒温槽(こうおんそう)

(constant temperature bath、thermostatic chamber) 電子機械部品の温度・湿度環境による耐力を試験する機器。環境試験装置の1種だが、計測器にも分類されている。恒温槽は「温度が一定な(恒温)、大きな容器(おけ)」という英語を翻訳した熟語である。温度と湿度は密接な関係があり、湿度も調節できる製品が多いため、別名「恒温恒湿器」とも呼ばれる。製品の試作から完成品の最終試験まで、メーカでは必ず恒温槽による評価を行う。恒温槽は記録計(レコーダ)を併用することも多い。 恒温槽ということばが示す範疇は広範で、温湿度の耐圧を試験する機器全般を指すが、恒温恒湿器と呼ばれる製品を限定して言っている場合もある。メーカによっては冷熱衝撃試験器(冷熱衝撃装置)などの品名のモデルもあり、定義には曖昧さがある。inTEST Thermal Solutions社のサーモストリームのように熱風や冷風を試験対象物(EUT)に当てて急速に熱したり冷やしたりする温度耐圧の試験装置もあるが、この方式は恒温槽とは呼ばれない。 恒温槽メーカは国産ではエスペック、ETAC(楠本化成株式会社エタック事業部)、ヤマト科学、ナガノサイエンスなどがある。海外のDESPATCH(デスパッチ)社は国内での販売実績があるが、現在は国内に販売店が無く、使用しているユーザからの問い合わせが困難である(2022年現在)。環境試験で温湿度に並ぶのは振動試験で、国産のIMVやエミックが振動試験器(加振器など)をつくっている。

光学顕微鏡(こうがくけんびきょう)

可視光線を利用した顕微鏡。ふつう透過顕微鏡を指すが、特殊なものに金属顕微鏡・偏光顕微鏡・限外顕微鏡・位相差顕微鏡などがある。

広角レンズ(こうかくれんず)

非接触温度計(サーモグラフィカメラ、サーモトレーサ、熱画像計測装置)の用語。走査角を広げるため検出部に装着されるオプションレンズ。関連用語:近接拡大レンズ。(日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」より)

交換(こうかん)

電話をつなぐ仕組みや装置のこと。主にNTTが設備している固定電話機をつなぐ仕組みのこと。中心の装置である交換機を指していることもある。

高機能モデル電力計(こうきのうもんでるでんりょくけい)

電力計の中で、計測器の主流であるデジタルパワーメータやパワーアナライザの老舗である横河電機(現横河計測)は、自社の電力計のラインアップの中で、1976年発売の形名2504(アナログ式)以降のWT1800/Eまでを、自らの製品開発の歴史の中で「高機能モデル」と呼称している。参考記事:電力計の基礎と概要 (第3回)の3ページ目 【インタビュー】横河計測の電力計事業への取り組み・・横河計測が今までに開発した電子式ベンチトップ型電力計の図がある。 計測器情報:WT1800の製品情報

工業計器(こうぎょうけいき)

(industrial instruments) 工場の生産過程で計測に使われる機器の総称。自動制御にかかわる高精度の計器類のこと。その機器・計器が工業計器か否かは、製品名から正確に判断することは難しい。たとえば、流量計、圧力計、ガス成分計、粘度計、厚さ計、重量計など、各種工業量を検出する目的で使用されれば工業計器と呼称される。計測器としての機種群(カテゴリー)では、流量計や圧力計、重量計は物理量測定器に、ガス成分計や粘度計、厚さ計は分析計に分類されるが、用途によっては上記のように工業計器に分類される。 石油化学、鉄鋼、紙パルプなどの工場のPA(プロセスオートメーション)に使われるレベルセンサ(静電容量式レベル計など)、温度計、荷重・回転・トルク計などや、付随するセンサ類を工業計器と呼んでいる。つまりPA/IA(インダストリーオートメーション)/ FAなどの計装の機器と工業計器はほぼ同義である。伝送器(でんそうき)や温調計、信号変換器、電力変換器、PLC、(計測器の)キャリブレータなども工業計器(計装)に分類される機器である。 日本の老舗計測器メーカで最大手だったYEW(横河電機製作所、現横河電機)は、1970年代にDCSを開発しFA/IA/PA(工業計器、計装)事業に集中していった(2000年代に通信計測器や半導体テスタ、フォトニクス事業の光デバイスなどに参入したが2010年代までにすべて撤退している)。高度経済成長を支えたハイテク機器である横河電機の電子計測器は、現在は子会社の横河計測が担い、横河電機の事業の根幹は工業計器である。同業の工業計器の会社である株式会社チノーは、「温度のチノー」と自称し、制御機器(工業計器)の温調計から、計測器の温度計まで幅広くラインアップし、温度計測・温度制御が得意である。工場では温度の管理が重要であることが同社をそうさせたと想像できる。このように計測器と工業計器(計装)は大変に関係が深い。 似た言葉に工業計測(industrial instrumentation、industrial measurement)がある。こちらは「工業の生産過程で行われる工業量の計測」と説明されるが、工業計器や計装とほぼ同義である。

工業用内視鏡(こうぎょうようないしきょう)

(industrial endoscope) 製品の深部や内部の画像をモニタに写し出す機器。別名:ファイバースコープ。内視鏡は細い管の中を調べる検査機器で、配管などの内部劣化を検査する保守用の測定器である。医療用内視鏡は「胃カメラ」と呼ばれる。日本のオリンパスは医療用、工業用ともに内視鏡の世界的なトップメーカ(※)。工業用内視鏡はファイバースコープの名称で、フィルム式のカメラで撮影していたが、CCDなどの画像素子や撮影技術の進歩によって、現在は静止画だけでなく動画撮影や、3次元計測などもできるビデオスコープになっている。そのためファイバースコープとは現在はいわないが、今でも死語にならず工業用内視鏡のことを「ファイバースコープ」と呼称することが多い。モニタに表示するのでモニタースコープという品名の製品もあるが、一般にモニタースコープというとマイクロスコープ(電子顕微鏡)のことである。 (※)治療機器事業と内視鏡事業をしているオリンパスは、「医療分野と科学分野のそれぞれの事業特性に合った経営体制を確立する」、として工業用内視鏡を含む科学事業を2022年4月に分社化して株式会社エビデントを設立、さらに同年8月にはBain Capital Private Equity(ベインキャピタル)にエビデントを譲渡する契約を締結したと発表。名門オリンパスは工業用内視鏡だけでなく非破壊検査機器から撤退することになった。なので、現在の国内最大手の工業用内視鏡メーカはエビデント。海外ではGE系列だったWaygate Technologiesなどがある。 計測器情報:工業用内視鏡の製品例

光源(こうげん)

(light source) 光を発生するもの。光通信測定器としては安定化光源と波長可変光源がある。光・色の測定器では白色光源、ハロゲンランプなどがある。 光通信測定器と光・色の測定器を合わせて光測定器と呼称する。ただし光通信測定器メーカは自社製品を「光測定器」と呼んでいることが多い。そのため当サイトのカテゴリーでは光通信測定器を光測定器と表記している。 参考記事:光スペクトラムアナライザの基礎と概要 (第3回)・・光通信用の光源を中心に一覧にしている(図39)。

工作機械(こうさくきかい)

電子機器や自動車など、あらゆる工業・産業製品をつくるための設備の総称。売上世界ランキングには日本企業が並ぶ(DMG森精機 、ヤマザキマザック、オークマ、牧野フライス製作所、アマダなど)。黄色いカラーが印象的なファナックや、安川電機なども工場の生産設備では有名(ロボットメーカと重複する)。業界団体である一般社団法人 日本工作機械工業会が毎年開催する展示会の名称は「JIMTOF(日本国際工作機械見本市)」と、「国際」を名乗っている。世界の工作機械メーカが出展する展示会を日本で開催している、という意図が伺えるネーミングである。

高周波アッテネータ(こうしゅうはあってねーた)

(RF Attenuator) 高周波信号レベルを適切なレベルまで減衰させるコンポーネントあるいは電子機器。高周波(Radio Frequency)、アッテネータ(Attenuator)から "RF ATT"と略表記されることもある。 この信号レベルを減衰させる量を「減衰量」と呼び、通常デシベル(dB)という単位を用いて表す。例えば 10 dBのアッテネータは、信号レベルを10分の1に減衰させる。アッテネータは、通常通過する信号の周波数に影響されない無誘導抵抗体で構成されていて、抵抗減衰器とも呼ばれる。

高周波除去(こうしゅうはじょきょ)

(high frequency rejection) 高周波除去はノイズ対策に使われる手法の1つ。 無線通信の電波や、電子機器のデジタル回路の信号は、使用している周波数(キャリアや動作クロック)よりも高い周波数成分を含んでいる。無線通信で受信する電波は受信機器(アンテナなど)の仕様によって周波数範囲を絞ることもできるが、それでも意図しない不要な高周波が混在する。それら高周波は不要なノイズである。電子機器の組込みシステムはマイクロプロセッサを高い周波数(クロック)で動作させ、CPU周辺のデバイスも高速でON/OFFを繰り返し、スイッチングノイズを発生する。このように不要な高周波を除去することが電気の世界では重要で、ノイズ除去の意味で「高周波除去」というワードが良く使われ、その意味する範囲も広範である。 高周波除去に使われる電子部品には、コンデンサやフェライトコア、フェライトビーズ、ノイズカットトランスなどがある。高周波除去は低い周波数だけ通過させるので、フィルタの1種であるLPF(Low Psaa Filter)ともいえる。 オシロスコープのトリガ機能の1つにHF除去がある。トリガカップリングのHF Reject(オシロの表記はHF-REJなどもある)をONにすると高周波がカットされて、波形表示が安定する場合がある。

高周波電圧計(こうしゅうはでんあつけい)

高周波の電圧を測定する機器。(=電子電圧計)

高周波電力計(こうしゅうはでんりょくけい)

高周波信号の電力を測定する機器。別名:高周波パワーメータ、RFパワーメータ。計測器で電力を測定する機種群には3つある。1.デジタルパワーメータは商用周波数(50/60Hz)から100kHz程度の低周波の電力をデジタル表示する。代表機種である横河計測のWT5000は0.1Hz~1MHzに対応。センサ直結型とクランプ入力型の2種類があり、従来は前者は横河計測、後者は日置電機がラインアップが多かった。2.高周波(RF)に対応した高周波電力計。スタンドアロン型でデジタル表示のモデルが主流。アンリツやキーサイト・テクノロジーがモデルが多い。センサが複数あり、用途によって使い分けられる。技術はほぼ確立しているため大きな機種更新はない。3.指針型のアナログ表示のモデルを「電力計」と呼ぶ。ただし1のデジタルパワーメータを単に「電力計」と記載している資料もあるので注意。

高周波パワーメータ(こうしゅうはぱわーめーた)

高周波信号の電力を測定する機器。別名:RFパワーメータ、高周波電力計。通信計測器メーカのアンリツやローデ・シュワルツ、キーサイト・テクノロジーなどがラインアップしている。パワーメータには低周波の機種群もあり、これはアプリケーションが違う全く別のカテゴリーだが、アンリツやキーサイト・テクノロジーは高周波パワーメータしかつくっていないが品名は「パワーメータ」で、わざわざ「高周波パワーメータ」とはいっていない。アンリツは無線通信測定器のほぼ専業メーカなので高周波のパワーメータであることは推測できるが、低周波から高周波までほぼ全製品をラインアップするキーサイト・テクノロジーが低周波のパワーメータはつくっていないことを知っていないと、キーサイトの「パワーメータ」が高周波パワーメータであることを瞬時に理解することは難しい。低周波のパワーメータもメーカによって表記が異なる。横河計測の品名は「デジタルパワーメータ」、日置電機は「パワーメータ」。品名からは高周波パワーメータかどうかはまったく判別ができない。光通信に使われるパワーメータは通常「光パワーメータ」や「OPM(Optical Power Meter)」と記載されるので間違うことはない。