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- 呼(こ)
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(call) 電話での通信を「呼」と称している。電話回線を使って電話をかけたり、受けたりすることを「呼」という呼称で様々な単語にしている。コールセンタなどでは「電話がつながってから切れるまでの1回の通話」を意味している。電話は2台の電話機の通信手段のため、発信と着信があるが、発呼(電話をかけること、呼び出すこと、通信回線を通じて相手の電話機に接続すること)や着呼(電話を受けること、呼び出されること、通信回線を通じて相手からの接続要求を受けること)という用語がある。 呼の代表的な計測器は疑似呼(ぎじこ)である(別名:コールシミュレータ、call simulator)。たくさんの電話機がネットワークに一度に発呼したときの状態をつくりだすシミュレータが疑似呼で(※)、国産ではアンリツが唯一のメーカだった(交換機を中心とした公衆交換電話網はインターネットの普及によってIP化され、ルータやサーバが呼接続の機能を担うようになり、擬似呼は過去の測定器となった)。疑似呼は交換機に呼のトラフィック(負荷)をかける、負荷発生器でもある(call simulatorではなくtraffic generatorと表現されている文献もある)。現在のIP網(インターネットのネットワーク)のルータやサーバなどに負荷をかける負荷試験機は米国スパイレント(SPIRENT Communications Inc、製品名称はネットワークパフォーマンステスタ。販売は東陽テクニカ)とキーサイト・テクノロジー(2018年に買収した旧IXIA社)の2社が提供している。 (※) 疑似呼は電話機の代わりで、交換機の試験・評価に使う。疑似交換機は交換機の機能を模擬する測定器で、電話機などの端末の試験・評価に使う。電話機よりも交換機の方が高機能なので、素人には疑似呼よりも疑似交換機をつくる方が難しいように思えるが、実は反対である。疑似交換機はベンチャー企業や岩崎通信機、安藤電気など電話関連の計測器メーカが発売したが、疑似呼は国産ではアンリツしかつくっていない。1台、2台の電話機ではなく、非常に多くの呼を一度に発生させる測定器は、電話機をつくりNTTに納めていた電電ファミリーの中でも、岩崎通信機ではなくアンリツしかつくっていない。安藤電気は電話機をつくらなかったが、電話機を評価する測定器を多く発売した。ただし、擬似呼はつくれなかった。 call controlは日本語で「呼制御」だが、シグナリング(signaling)と呼ばれることが多い。現在、最も普及している電話機であるスマートフォンなどの移動体通信の機器の開発・試験ではシグナリングテスタと呼ばれる基地局シミュレータ(疑似基地局)が活躍している。これも「呼」の代表的な測定器である。 固定電話網の時代のコールシミュレータ(電話の負荷発生器)はIP網(光通信などの有線)の負荷試験機と、移動体通信(無線)のシグナリングテスタに引き継がれたともいえる。基地局シミュレータ(無線機テスタ)をラインアップしているキーサイト・テクノロジーとローデ・シュワルツも、疑似呼はつくっていない(つくらなかったのか、つくれなかったのかはわからない)。疑似呼はアンリツの特異な技術力を象徴する測定器だと筆者は思う。 英語のcallは一般には「呼ぶ」、「呼びかける」、「呼び出す」こと。電話の英語であるphoneと同じ意味で使われ、「電話の呼び出し」や「通話」を指していることもある。「電話などで相手を呼び出す」や「電話をかける」など、広範な意味を持っている。コールセンタ(call center)は電話で問い合わせができるセンタである。
- コアネットワーク(こあねっとわーく)
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(core network) 通信回線の中で、基幹通信網のことを指す。通信網の中枢で大容量の回線の部分のこと。背骨の意味でbackbone(バックボーン)とも呼ばれる。コアネットワークは光ファイバや光伝送装置によって運用されている。通信容量(トラフィック)を増加させるときにコアネットワークの仕様が話題になる。コアネットワークの先につながる各ユーザに近い回線網をアクセス網や、足回りと呼ぶ。アクセス網を光ファイバにして高速にしたのがPON(Passive Optical Network、ポンと呼称)である。 この用語は、2010年以降に使われるようになったと記憶している。それ以前は基幹通信網とか、基幹回線などの表現がされていた。通信網の一番最速で通信容量が大きい箇所(通信網の最大速度など、仕様を決定している回線)のことである。2000年以降にWDMなどの光伝送技術が導入されて、現在のコアネットワークは光ファイバと光伝送装置によるOTNになっている。
- コイル(こいる)
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(coil) 電線の素線や針金などの、紐状の導体を螺旋状にした電気部品(素子)。別名:インダクタ。受動素子の3大要素はR(抵抗)、C(キャパシタ)とL(インダクタ)だが、日本ではCをキャパシタではなくコンデンサ、Lをコイルと呼ぶ習慣がある。明治から昭和にかけてはコイルでなく「線輪」と呼んでいた。インダクタである電子部品をいうときは「コイル」で、物理量としてのLは「インダクタ」と呼ばれている。計測器の名前ではコイルテスタ、コイル試験器、巻線試験器など、コイルが多く、インダクタはない(反対にCはキャパシタンスメータや容量計で、コンデンサは計測器の名前にはない)。コイルとインダクタの使い分けは説明が難しい。
- コイル試験器(こいるしけんき)
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(coil tester) コイルの巻線の電気的特性を試験する機器。別名: コイルテスタ、巻線試験器。 日置電機は「モーター巻線の検査が変わる新提案」と題して、インパルス巻線試験器ST4030Aを2019年12月に発売した。インパルス電圧を印加した際に得られる応答波形を数値化 (LC・RC値)し、良否判定する。L(インダクタ)を測定することが主眼ではないのでインダクタンスメータではないが「試験可能インダクタンス範囲:10 µH〜100 mH」である。 ユニークな海外計測器を取り扱っているウェーブクレスト株式会社にはインパルス巻線試験機IWT-5000Aがある。
- コイルテスタ(こいるてすた)
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(coil tester) コイル(巻線)の性能を測定してGO/NOGO(Pass/Fale)試験などができる計測器。別名: コイル試験器、巻線試験器。國洋電機工業が作っていたコイルテスタKL-900シリーズは光洋電子工業株式会社(※)に移管された。KL-900はコイルの巻数、レアショート、断線、コア材の違いを、標準コイルと被試験コイルと比較して波形表示できる。また、高インパルス電圧を加えて、絶縁不良をコロナ放電により検出できる。計測商社のウェーブクレスト株式会社はインパルス巻線試験機IWT-5000Aを販売している。 (※)光洋電子工業は2022年10月1日に株式会社ジェイテクトエレクトロニクスに社名を変更。
- 高圧水素対応シース熱電対(こうあつすいそたいおうしーすねつでんつい)
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ゼロエミッションにより、社会インフラとしての水素の活用が広がり、水素自動車のための水素ステーションが整備されようとしている。水素を供給するディスペンサーの流量は温度に関連するため、温度管理が重要になる。そこで、高圧水素対応シース熱電対が使われる。産業向けの熱電対メーカの山里産業株式会社では高圧水素タイプを2017年頃から開発を始めている。顧客と仕様打合せを行うオーダーメイド製品のため、たとえば船で水素を運ぶのか、自動車(タンクローリー)なのかによって、センサ形状や取り付け方が違う。前述のディスペンサーの温度管理など、様々なアプリケーションにカスタマイズで対応している。シース熱電対の中で高圧水素モデルの同社の売上比率はまだ5~10%程度(2022年初)だが、今後は、年々この比率が高まると見込んでいる。
- 高温高湿試験(こうおんこうしつしけん)
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(high temperature and humidity test) 電気機器や、機器に使われる材料の高温高湿環境での耐久性(劣化の度合い)を評価する試験。特に電子機器や電気部品は熱と湿気が製品性能に影響を与えるので、基本的な環境試験として高温・高湿での試験を行う。具体的には恒温槽内で、一定の温度と湿度(たとえば85℃、85%RH)の状態で長時間(たとえば1000時間)置いておく。実際に使用する温度よりも高温で、かつ湿度が高いので劣化が進みやすい過酷な環境下で1000時間(約42日、1か月以上)さらして、どんな変化があるか、性能が変わらないかを試験することで、商品の品質を確認する。温度、湿度、時間などの条件はJISやISOなどの規格で標準的な規定があるが、製品メーカが自分で独自に条件は設定している。 高温高湿試験のことを高温高湿放置試験や高温高湿保存試験と呼んでいる場合もある。また高温高湿試験の1種に、高温高湿バイアス試験(THB)がある。高温保存試験や低温保存試験は湿度を制御しないので、高温高湿試験とは別に分類される。また、温湿度サイクル試験(温度や湿度を一定ではなく周期的に変化させる試験)や温度サイクル試験は、高温高湿試験とは別の試験(サイクル試験)として位置づけられている。高温高湿試験と温湿度サイクル試験、HASTなどを耐湿性試験(温度だけでなく湿度も制御する試験)と呼んでいる。
- 高温高湿バイアス試験(こうおんこうしつばいあすしけん)
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(high temperature & humidity bias test) 高温高湿試験で、試験対象に電圧を印加することで電気的ストレスを与える試験。主に半導体デバイスなどの電子部品で行う。金属部位の腐食反応が促進されるため、短期的で長期的な使用環境をつくる。耐性(劣化の度合い)を実環境よりも短時間に評価できる。電子部品に通電することをバイアスと呼んでいる。つまり、高温・高湿(耐湿性試験)プラス電圧印加(通電)の環境試験である。英語の頭文字から3文字を使い、THB(Temperature Humidity Bias)と呼称されることも多い。 高温高湿試験の1種である高加速寿命試験でも、試料に電圧を印加して通電状態にする場合もあるが、特別に「高加速寿命バイアス試験」とは呼ばない(以下の参考記事が詳しい)。
- 恒温水槽(こうおんすいそう)
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水槽内の液体を保安かつ循環させる機器。
- 恒温槽(こうおんそう)
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(constant temperature bath、thermostatic chamber) 電子機械部品の温度・湿度環境による耐力を試験する機器。環境試験装置の1種だが、計測器にも分類されている。恒温槽は「温度が一定な(恒温)、槽(箱型の容器)」という英語を翻訳した熟語である。温度と湿度は密接な関係があり、湿度も調節できる製品が多いため、別名「恒温恒湿槽」や「恒温恒湿器」とも呼ばれる。製品の試作から完成品の最終試験まで、メーカでは必ず恒温槽による評価を行う。 温度や湿度を制御した試験容器の中に一定時間置くことで、試料(測定対象)の変化(劣化)を確認し、品質を評価する目的で使用される。試験方法は複数あり、温湿度を一定に保つのではなく、低温から高温に時間的に変化させる評価手法もある(温度サイクル試験)。恒温槽は記録計(レコーダ)を併用することも多い。試験容器内に温度センサを入れ、外部の記録計に接続する。接続のために試験容器から外部に通じる小穴があるモデル(や小穴のオプション)がある。 恒温槽ということばが示す範疇は広範で、温湿度の耐圧を試験する機器全般を指すが、恒温恒湿器と呼ばれる製品を限定していっている場合もある。メーカによっては冷熱衝撃試験器(冷熱衝撃装置)などの品名のモデルもあり、定義には曖昧さがある。inTEST Thermal Solutions社のサーモストリームのように熱風や冷風を試験対象物(EUT)に当てて急速に熱したり冷やしたりする温度耐圧の試験装置もあるが、この方式は恒温槽とは呼ばれない。 恒温槽メーカは国産ではエスペック、ETAC(楠本化成株式会社エタック事業部)、ヤマト科学、ナガノサイエンスなどがある。海外のDESPATCH(デスパッチ)社は国内での販売実績があるが、現在は国内に販売店が無く、使用しているユーザからの問い合わせが困難である(2022年現在)。 環境試験で温湿度と同じく代表的なのが振動試験で、国産のIMVやエミックが振動試験器(加振器など)をつくっている。振動試験器は測定対象(試料)に振動を与えて、振動耐性を評価する。振動の値を測定する振動計とは製品もメーカも異なる。振動計は物理量測定器の1種だが、振動試験器は環境試験器に分類される。 恒温槽や熱衝撃試験、サーモストリームなどを耐候性試験、振動試験や衝撃試験(障害物にぶつけて衝撃を与える試験)などを機械的試験と呼んでいる文献もある(環境試験の種類の分類の1例)。
- 恒温恒湿槽(こうおんそうしつそう)
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(temperature and humidity chamber、constant temperature&humidity bath) 恒温とは「一定の温度」のこと。「温度が一定である」ことや「一定の温度に保たれている」ことを意味する。同様に恒湿は「一定の湿度」。槽は「容器やおけ」のことで、チャンバやバス(※)とも呼ばれる。恒温恒湿槽は、恒温や恒湿の容器がある試験装置のこと。温度や湿度を制御(一定温湿度を長時間保つ、または温湿度を周期的に上げ下げする)して、試験容器内の試料にストレスを与え、劣化させて信頼性を評価する。 代表的な環境試験器なので、環境試験器のことを恒温恒湿槽といったり、略して恒温槽ということも多い。 (※) (bath) 温度校正に使う校正槽を温度バスと呼んでいる(例:Aditelの温度校正器)。浴槽はbathtab(バスタブ)で、バスタブ曲線は故障率をあらわす。コンピュータの信号線路を意味するbus(バス)と日本語は同じだが、前後の文脈から間違われることは少ない。
- 光学顕微鏡(こうがくけんびきょう)
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可視光線を利用した顕微鏡。ふつう透過顕微鏡を指すが、特殊なものに金属顕微鏡・偏光顕微鏡・限外顕微鏡・位相差顕微鏡などがある。
- 広角レンズ(こうかくれんず)
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非接触温度計(サーモグラフィカメラ、サーモトレーサ、熱画像計測装置)の用語。走査角を広げるため検出部に装着されるオプションレンズ。関連用語:近接拡大レンズ。(日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」より)
- 高加速寿命試験(こうかそくじゅみょうしけん)
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(high accelerated stress test、highly accelerated temperature and humidity stress test) 耐湿性試験の1種。プリント配線板や電子部品、材料などの信頼性評価は、恒温槽で温度や湿度を制御して行うのが一般的だが、試験槽を圧力容器にして温湿度に加えて圧力によって劣化を加速させる試験。HAST(highly accelerated stress test)と呼称されている(正確にはPCT:Pressure Cooker Test、プレッシャークッカー試験も含まれる)。「圧力(stress)で高加速させる(high accelerated)」試験だが、加速されるのは圧力ではなく寿命なので、「高加速圧力試験」ではなく「高加速寿命試験」と呼んでいる(なので、英語はhighly accelerated life testではない)。英語は圧力だが、日本語では寿命と表現している。英語のHASTは「高加速の圧力試験」だが、日本語は「高加速の寿命試験」である。オシロスコープのhigh definition(高精細、高解像度)が日本語では「高分解能」(英訳したらhigh resolution)と呼ばれるように(高分解能オシロスコープ)、英語の翻訳は意味(内容)によって日本語(熟語)がつくられる好例といえる。つまり、寿命の実体(圧力をかけること)を理解していないと高加速寿命試験が何なのかはわからない。 電子部品の高温高湿試験は40℃、90~95%RHで行われていたが(米国 MIL-STD-202など)、より高温の60~80℃にして湿度による劣化を加速させる試験が、1960年代中頃から実施されるようになり、1970年代になると結露が起こらない95%RH以下が提唱され、圧力容器での試験も行われるようになった。現在のHASTは130℃、85%RHの設定が多い(以下の参考記事が詳しい)。 メーカは平山製作所が老舗だが、環境試験器のトップベンダ、エスペックの商品名称は「高度加速寿命試験装置(HAST CHAMBER) EHSシリーズ」である。エスペックの品名は「高度加速」で、環境試験の試験場(受託試験ビジネスの会社)では「高速加速寿命試験」と記載しているケースもある。「高速加速」「高度加速」などの表記もあるが、「高加速」が一番多く使われる、一般表記である。
- 交換(こうかん)
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電話をつなぐ仕組みや装置のこと。主にNTTが設備している固定電話機をつなぐ仕組みのこと。中心の装置である交換機を指していることもある。
- 高機能モデル電力計(こうきのうもんでるでんりょくけい)
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電力計の中で、計測器の主流であるデジタルパワーメータやパワーアナライザの老舗である横河電機(現横河計測)は、自社の電力計のラインアップの中で、1976年発売の形名2504(アナログ式)以降のWT1800/Eまでを、自らの製品開発の歴史の中で「高機能モデル」と呼称している。参考記事:電力計の基礎と概要 (第3回)の3ページ目 【インタビュー】横河計測の電力計事業への取り組み・・横河計測が今までに開発した電子式ベンチトップ型電力計の図がある。 計測器情報:WT1800の製品情報
- 工業計器(こうぎょうけいき)
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(industrial instruments) 工場の生産過程で計測に使われる機器の総称。自動制御にかかわる高精度の計器類のこと。その機器・計器が工業計器か否かは、製品名から正確に判断することは難しい。たとえば、流量計、圧力計、ガス成分計、粘度計、厚さ計、重量計など、各種工業量を検出する目的で使用されれば工業計器と呼称される。計測器としての機種群(カテゴリー)では、流量計や圧力計、重量計は物理量測定器に、ガス成分計や粘度計、厚さ計は分析計に分類されるが、用途によっては上記のように工業計器に分類される。 石油化学、鉄鋼、紙パルプなどの工場のPA(プロセスオートメーション)に使われるレベルセンサ(静電容量式レベル計など)、温度計、荷重・回転・トルク計などや、付随するセンサ類を工業計器と呼んでいる。つまりPA/IA(インダストリーオートメーション)/ FAなどの計装の機器と工業計器はほぼ同義である。伝送器(でんそうき)や温調計、信号変換器、電力変換器、PLC、(計測器の)キャリブレータなども工業計器(計装)に分類される機器である。 日本の老舗計測器メーカで最大手だったYEW(横河電機製作所、現横河電機)は、1970年代にDCSを開発しFA/IA/PA(工業計器、計装)事業に集中していった(2000年代に通信計測器や半導体テスタ、フォトニクス事業の光デバイスなどに参入したが2010年代までにすべて撤退している)。高度経済成長を支えたハイテク機器である横河電機の電子計測器は、現在は子会社の横河計測が担い、横河電機の事業の根幹は工業計器である。同業の工業計器の会社である株式会社チノーは、「温度のチノー」と自称し、制御機器(工業計器)の温調計から、計測器の温度計まで幅広くラインアップし、温度計測・温度制御が得意である。工場では温度の管理が重要であることが同社をそうさせたと想像できる。このように計測器と工業計器(計装)は大変に関係が深い。 似た言葉に工業計測(industrial instrumentation、industrial measurement)がある。こちらは「工業の生産過程で行われる工業量の計測」と説明されるが、工業計器や計装とほぼ同義である。
- 工業用内視鏡(こうぎょうようないしきょう)
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(industrial endoscope) 製品の深部や内部の画像をモニタに写し出す機器。別名:ファイバースコープ。内視鏡は細い管の中を調べる検査機器で、配管などの内部劣化を検査する保守用の測定器である。医療用内視鏡は「胃カメラ」と呼ばれる。日本のオリンパスは医療用、工業用ともに内視鏡の世界的なトップメーカ(※)。工業用内視鏡はファイバースコープの名称で、フィルム式のカメラで撮影していたが、CCDなどの画像素子や撮影技術の進歩によって、現在は静止画だけでなく動画撮影や、3次元計測などもできるビデオスコープになっている。そのためファイバースコープとは現在はいわないが、今でも死語にならず工業用内視鏡のことを「ファイバースコープ」と呼称することが多い。モニタに表示するのでモニタースコープという品名の製品もあるが、一般にモニタースコープというとマイクロスコープ(電子顕微鏡)のことである。 (※)治療機器事業と内視鏡事業をしているオリンパスは、「医療分野と科学分野のそれぞれの事業特性に合った経営体制を確立する」、として工業用内視鏡を含む科学事業を2022年4月に分社化して株式会社エビデントを設立、さらに同年8月にはBain Capital Private Equity(ベインキャピタル)にエビデントを譲渡する契約を締結したと発表。名門オリンパスは工業用内視鏡だけでなく非破壊検査機器から撤退することになった。なので、現在の国内最大手の工業用内視鏡メーカはエビデント。海外ではGE系列だったWaygate Technologiesなどがある。 計測器情報:工業用内視鏡の製品例
- 光源(こうげん)
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(light source) 光を発生するもの。光通信測定器としては安定化光源と波長可変光源がある。光・色の測定器では白色光源、ハロゲンランプなどがある。 光通信測定器と光・色の測定器を合わせて光測定器と呼称する。ただし光通信測定器メーカは自社製品を「光測定器」と呼んでいることが多い。そのため当サイトのカテゴリーでは光通信測定器を光測定器と表記している。 参考記事:光スペクトラムアナライザの基礎と概要 (第3回)・・光通信用の光源を中心に一覧にしている(図39)。
- 工作機械(こうさくきかい)
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電子機器や自動車など、あらゆる工業・産業製品をつくるための設備の総称。売上世界ランキングには日本企業が並ぶ(DMG森精機 、ヤマザキマザック、オークマ、牧野フライス製作所、アマダなど)。黄色いカラーが印象的なファナックや、安川電機なども工場の生産設備では有名(ロボットメーカと重複する)。業界団体である一般社団法人 日本工作機械工業会が毎年開催する展示会の名称は「JIMTOF(日本国際工作機械見本市)」と、「国際」を名乗っている。世界の工作機械メーカが出展する展示会を日本で開催している、という意図が伺えるネーミングである。