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- 立ち上がりエッジ(たちあがりえっじ)
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(rising edge、leading edge) デジタル信号の電位がLowレベルからHighレベルへ遷移することを言う。反対の用語としては立ち下がりエッジがある。(株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集より) 現在の電子回路はデジタル信号が多く使われている。0と1(HIGHとLOW)のパルス列(方形波)では、信号の立ち上がりや立ち下がりを捉えて処理を行うことは基本である。パルスの値が遷移する時間は短く、パルス波形の端(はじ)やふちなのでedge(エッジ)と呼ばれる。立ち上がりエッジや立ち下がりエッジは、電子機器が動作を行うときの電子回路の合図に使われる。
- 立ち下がりエッジ(たちさがりえっじ)
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(falling edge、trailing edge) デジタル信号の電位がHighレベルからLowレベルへ遷移することをいう。反対の用語としては立ち上がりエッジがある。(株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集より) 現在の電子回路はデジタル信号が多く使われている。0と1(HIGHとLOW)のパルス列(方形波)では、信号の立ち上がりや立ち下がりを捉えて処理を行うことが多い。エッジはパルスの値が遷移する、波形の端(はじ)を意味している。
- パターンジェネレータ(ぱたーんじぇねれーた)
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(pattern generator) パルス波形とパルスパターン波形を作成して出力できる信号発生器。一般にパルスジェネレータは単純なパルス列(方形波)を1~2ch出力するが、より複雑なロジック・パターン(パルスパターン)を出力する特殊なパルス発生器をパターンジェネレータと呼ぶ。代表例はBERT(ビットエラーレート試験)に使う信号発生器であるPPG(パルスパターンジェネレータ)がある。テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説では「パターンジェネレータ:ロジック信号発生器の一種で、多数のチャンネルのデジタル・パターンを生成する」とある。ロジックアナライザ(ロジアナ)の機能(オプション)にはパターンジェネレータ(任意のロジック・パターンを多chで出力する)があり、ロジック回路の論理機能試験に使われる。 このようにロジアナ(テクトロニクスやキーサイト・テクノロジー)や、伝送路の品質評価に使うPPGなどの通信の測定器(アンリツやキーサイト・テクノロジーなど)にパターンジェネレータは使われている。パターンジェネレータをデータジェネレータと呼ぶメーカもある。また前述のテクトロニクスの用語解説でわかるように、同社はロジック信号発生器という呼称を好んで使っているが、キーサイト・テクノロジーやアンリツはパターンジェネレータやパルスパターン発生器のような表現が多い(「ロジック信号発生器」なる表現はしていない)。 また上記のテクトロニクスの説明では「パターンジェネレータは多ch」といっているが、通常、パターンジェネレータは1ch(または2ch)で、多チャンネルの場合はparBERT(パラバート、キーサイト・テクノロジーの多chのBERT、パラレルバート)などの製品になる。テクトロニクスの解説はロジアナについての解説で、一般的なパターンジェネレータは、アンリツやキーサイト・テクノロジーなど、BERTをラインアップするメーカのモデルを指していることが多い。メーカによって解説が異なる好例といえる。 TV信号には国別に違う方式があり(NTSCやPAL、ISDB-Tなどの規格)、それらのパターンの発生器をパターンジェネレータと呼称している。このようにロジアナや通信計測器、テレビ・映像測定器で使われる用語だが、それ以外の測定器にも使われているケースもある。
- パルスパターン(ぱるすぱたーん)
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(pulse pattern) デジタル信号はhigh/low(1/0)の組み合わせの特殊な方形波で、意味のあるデータを2進数にして伝送する。1と0がランダムに続く信号をパルス列やパルスパターンと呼ぶ。デジタル伝送の送信機器~伝送路~受信機器までのシステム全体の品質評価をする指標にBER(ビット誤り率)がある。この測定は任意のパルス列(パルスパターン)を出力できる特殊なパルス発生器であるPPG(パルスパターンジェネレータ)と、ED(エラーでテクタ)の組み合わせで行う(現在はPPGとEDが1筐体に収まった製品が多い)。
- PC接続型簡易測定器(ぴーしーせつぞくがたかんいそくていき)
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スタンドアロンではなくPCにつないで操作するタイプの測定器(PC制御型)は以前からあった。外観は箱で、表示部や操作部はほとんどない。小型のものはPCのI/Fコネクタに直接、箱(計測器本体)を接続してまるで計測器の一部のような製品もあった。特にオンラインモニタ(プロトコルアナライザ)はデジタル通信をするコンピュータとの親和性が高いので、PCにつなぐ小型の簡易製品があった。日本データシステムはポケオシ、ポケロジの名称でオシロスコープやロジックアナライザ製品を販売した(現在はハギワラソリューションズが事業を継承)。ロジアナが時代を感じさせるが、以前はPCのI/Fの性能もあり、これらのPC接続型小型計測器は本格的な計測器とは認知されていなかった。海外では英国のPico Technology(ピコテクノロジー)が1991年設立のPC型オシロスコープメーカとして老舗。 USBが広く普及したことによって、現在はUSBインタフェースを使ったPC接続型のモデルが大手計測器メーカからも発売されている。そのため、従来の(I/FがUSB以前の)PC接続型簡易測定器はほとんど見かけなくなった。現在はUSB接続型PC制御測定器が計測器の1カテゴリーとして確立しつつある。
- MIPI(みぴー)
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(Mobile Industry Processor Interface) モバイルデバイス(やモバイル機器)向けのインタフェース規格。カメラやディスプレイに採用されている。日本語に訳すと「モバイル業界のプロセッサ(MPU)のインタフェース」。つまり、「モバイル機器に内蔵されるプロセッサのインタフェースを規定した規格」である。具体的には「モバイル機器内部のMPU(SoCなど)とカメラ、またはMPUとディスプレイ間の画像伝送の規格」である。当初は「モバイルと画像」が範疇だったが、2020年に車載を意識したA-PHY(後述)を発表したことで家電・コンピュータ製品の範疇を越えて自動車も含む規格になった。モバイル機器向けに策定して普及した画像伝送用のMIPI規格が、需要が高まった車載カメラの高画質画像伝送に応用したと考えられる。対象はモバイル機器ではなくなったが、画像というキーワードは継続している。ただしMIPIの語源であるモバイルには限定されなくなった。 Intel(インテル)、Motorola(モトローラ)、Nokia(ノキア)、Samsung(サムスン)、TI(テキサス・インスツルメンツ)、ST(STマイクロエレクトロニクス)などのモバイル業界のリーディングカンパニーによって2003年にMIPI Allianceが設立され、2008年に規格が策定された。規格化によって設計を簡素化し、普及を促進することを目的にしている。USBやLVDS(エルブィディーエス)、SATA(サタ)などの、他の高速なシリアル通信の規格に比べて知名度は低い(機器内部のデータ転送規格のためと思われる)。 通信方式は平衡(差動)。物理層(レイヤ1)に複数の規格があり、PHY(ファイ)シリーズと呼ばれている。規格名称はM-PHY(エムファイ、最大6Gbps/1レーン)、D-PHY(ディーファイ、発表時は最大1.0Gbpsを9.0Gbps/1レーンに拡張)などがある。PHYはphysical layer(物理層)の略記で、頭のアルファベット1文字で種類を区分。当初はアルファベットの後の方が高性能な規格になっていた。シリアルI/Fの1種だが、HDMIやDisplayPortと同類の映像規格ともいえる。読み方は「ミッピー」と表記している例をみかけるが、会話では「ミピー」と発音されている(聞こえる)。 MIPI用の計測器としてはバスアナライザなどのプロトコルアナライザがあるが、オシロスコープのオプションで解析ソフトウェアがあるモデルもある。キーサイト・テクノロジーは2010年頃にはロジックアナライザでMIPI信号の解析をしていたので、広義にはロジックアナライザの用語でもある。 2024年現在は以下の4つの物理層の規格がある。 ・M-PHY:高性能カメラやメモリ、チップ間アプリケーションの、性能重視の双方向パケット通信やネットワークで使われる。 ・D-PHY:カメラやディスプレイ側に適用され、低速の単方向ストリーミングに使われる(2008年当初はそうだったが、後にアップグレードしている、後述のC-PHYを参照)。 ・C-PHY:D-PHYと同様にカメラやディスプレイ側に適用されるが、クロック方式や送信振幅がD-PHYと異なる。D-PHYは当初の1Gbpsから4.5Gbpsにアップグレードされ(Ver2.0)、C-PHYと似た仕様になっていて、用途の使い分けがはっきりしない。2024年現在、イメージセンサ(CMOS)のトップベンダであるSONYが両方を採用しているため、C-PHYとD-PHYが併存している。 ・A-PHY(エーファイ):ADAS(エーダス、先進運転支援システム)やADS(自動運転システム)、カーナビ、カメラなど、幅広い自動車アプリケーションへの適用が期待される規格(範囲は車載には限らない)。高速単方向データや埋め込み双方向制御データなど、電力供給を1本のケーブルで提供できる。他のMIPI規格に比べて最近(2020年9月)、規格ができた。MIPIはA-PHYによって、モバイルではなく自動車に用途が広がった。スマートフォン搭載カメラの高解像度要求に応えてきたMIPIは、高解像度対応センサの種類が豊富である。近年、モバイル用途以外の組込みカメラシステムでも高解像度化要求が高まってきたことで、MIPIは車載を1番の用途としてA-PHYを策定した。ただし車載の映像I/FにはGMSLやGVIFなど先行する規格があり、A-PHYがどれだけ普及するかは未知数である。 MIPIは2008年にD-PHY(最高伝送速度1Gbps)を、2011年にM-PHY(6Gbps)を発表したが、デバイスの進歩にD-PHYの性能が劣るようになり、2014年にC-PHY(6Gbps)を発表する。しかしD-PHYもアップグレードされ、2021年にはD-PHY ver3.0(9Gbps)になった。当初の規格名の命名法則はD、Mとアルファベットが後になるほど高性能だったが、A-PHYが発表されで今後の新規格名がどうなるのかわからなくなった。実はCやDのアルファベットは性能順ではなくCamera、Displryの略という説もある。それが命名法則とすればAはAutomotiveかもしれない(Mは不明)。 余談だが、モデル番号の命名法則の例を述べる。小さな数字ほど性能が高く、大きな数字の製品から発売開始したのがNECのコンピュータである。PC9800シリーズは1980年代から国内トップシェアだったパソコン(Windows以前のMS-DOS時代まで)だが、1990年頃にはEWS4800シリーズ(エンジニアリング・ワークステーション)が発売される。また1990年代にExpressサーバ5800シリ―ズ(PCサーバ)が発売される。PC、サーバ、ワークステーションの順番に高性能で、名称の番号は9800、5800、4800と小さな数字になっている。性能(コンピュータ製品の中での位置づけ、ポートフォリオ)と通称の数字の順番(大きさ)に法則性があり、統一感のある美しい発番である。PC9800とEWS4800の後にExpress5800が発売されたときに、メーカ側から何の説明を受けなくても「Expressサーバ5800はPCよりも高性能だがワークステーションほどの性能は無い」、というポートフォリオがその番号から瞬時に理解できる。筆者はこのような発番体系を美しいと感じる。 MIPI PHY規格の命名法則をご存じの方はご教授ください。
- ラリアント(らりあんと)
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(Ralliant Corporation) フォーティブ(Fortive)の精密技術部門が、2025年6月30日に独立(スピンオフ)した企業体の名称。 オシロスコープの世界的ベンダであるテクトロニクスはラリアントに含まれる。 フォーティブ傘下の計測器メーカであるテクトロニクスとフルークはラリアント設立によって親会社が別になった。計測器はprecision(プレシジョン、「精密」、「精度」)と呼称されることが多い。フォーティブ経営陣は「テクトロニクスはプレシジョン(精密機器)」で、「フルークはオペレーティング(運用、操作)」とした。つまりフルークの現場測定器(マルチメータやクランプなど)は工場やビルなどの電気設備の運用(保守・点検)のための機材(パーツ)と認識されたので、フルークはラリアントではなく新生フォーティブに留まることになった。フォーティブ経営陣にとってフルーク製品は計測器ではなく「運用のための機器(重要なパーツ、ハードウェア)」である。 日本ではテクトロニクスとフルークは1つの持ち株会社の下の組織(社内カンパニー)になっている。会社名は株式会社テクトロニクス&フルークである。株式会社テクトロニクス&フルーク フルーク社にはフルーク、フルーク・キャリブレーション、フルーク・ネットワークスなどの4社の日本組織(営業部)があるが、2025年4月1日から「フルーク・ジャパン」に社名変更し、4社は各営業部門となった(株式会社テクトロニクス&フルークではなくなった)。米国のフルーク本社はフォーティブのインテリジェント・オペレーティング・ソリューションに所属している。TechEyesOnlineの記事「ハンドヘルド・デジタル・マルチメータの基礎と概要 (第3回)」(2025年12月公開)の巻末で、フルーク・ジャパン社長が今後の戦略について語っている。 ラリアント傘下のテクトロニクスはパワーエレクトロニクスに注力すると発表している(米国 ラリアントのプレスリリース)。TechEyesOnlineの【イベントレポート】テクトロニクス イノベーション カンファレンス(TIC) 2025(2025年8月公開)ではパワエレ関連製品が紹介されている。また、同社は2025年9月に新しい広帯域オシロスコープ 7シリーズDPOを発表し、従来のソリューション(高速デジタルなど)も強化している。 ラリアントはテクトロニクスを中心とした「プレシジョン(計測器)の会社」と説明されているが、実態や戦略はまだ不透明である(筆者の感想)。2024年にフォーティブ傘下になった直流電源のEAエレクトロニクス社(EA-Elektro-Automatik)はテクトロニクスのファミリー企業で、主力製品に回生電源があるので「テクトロはパワエレのラインアップが充実した」といわれている(回生電源はインバータやバッテリなどの評価に使われる)。ただし回生電源は競合が多くレッドオーシャンである。以前からDC電源をラインアップするキーサイト・テクノロジーでも回生電源の販売には苦戦している。パワー半導体の評価に使う光絶縁プローブはテクトロニクスの顔であるオシロスコープとの相乗効果があるが、回生電源はそうではない。ラリアントになったテクトロニクスはフォーティブの縛りから放たれ、発展が期待される。 ダナハーはフルーク買収後に、2007年にテクトロニクスを、2010年にケースレー・インスツルメンツを傘下に収めた。Keithley(ケースレー)はブランドとしては残っているが会社はなくなりテクトロニクスに吸収された。2016年にこれら3社を含む産業計測機器部門は分離されフォーティブができた。テクトロニクスとフルークは製品群がほとんど重複しないので「株式会社テクトロニクス&フルーク」は広いラインアップのある強力な計測器メーカになった。これは第2のキーサイトのような総合電気計測器メーカを彷彿させた(筆者の感想)。日本ではテクトロニクスの本社(品川インターシティ)の同じフロア(6階)にフルークは転居し、総務部門などのスタッフ系インフラは2社で共有された(着々と確実な統合が進んだ)。ただし、2社の新製品開発や販売戦略は融合することはなかった。フルークの現場測定器(ハンドヘルドのデジタルマルチメータなど)とテクトロニクスのオシロスコープや高周波の製品は顧客や販売方法が違うので、融合する素地はなかったらしい。テクトロニクスの技術マネージャが「フルークの校正機器はテクトロと合体してほしかった」とこぼしたのを筆者は耳にした(2025年5月)。つまり現場測定器はいらないが、高額な標準器はほしい。その心は「キーサイト・テクノロジーの高周波製品と競いたいから」と筆者は推測する。 フォーティブには従来、3つの戦略的セグメント「インテリジェント・オペレーティング・ソリューション」「精密技術」「先進ヘルスケア・ソリューション」があった。2024年9月に精密技術部門を分離・独立し、新会社「ラリアント」の設立を発表。2025年6月末に分離が完了し、ニューヨーク証券取引所でシンボル「RAL」で取引を開始。 ラリアントは、試験・測定機器、センサ、安全システムなどの精密技術製品を事業とする。他方の新生フォーティブは、インテリジェント・オペレーティング・ソリューションと先進ヘルスケア・ソリューションの2つのセグメントに注力する。フルークはオペレーティング・ソリューションを受注する際の重要な部材(現場測定器というハードウェア)に位置付けられている。 ただし筆者には疑問がある。フルークには現場測定器ではない研究開発向けのモデルもある。フルーク・ネットワークスの製品群はケーブルテスタのような現場作業用途が多く、研究開発用のモデルが少ないと筆者は感じるが、校正室で使われるフルーク・キャリブレーションの標準器は世界トップブランドである。校正室や実験室で使われるフルーク製品を、フォーティブ経営陣はどう認識しているのだろうか。「良くわからない製品群」と思っているならば、テクトロニクスのビデオ事業部を「コア事業ではない(良くわからない)」と、いとも簡単に売却したように、フルーク・キャリブレーションも売られてしまうかもしれない。そんなことはない、運用のための重要パーツであるDMMを管理するための機材(校正用の標準器)も重要である、ということかもしれない。
- ロジアナ(ろじあな)
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ロジックアナライザ(logic analyzer)の略称。ロジアナはマイクロプロセッサ(マイコン、MPU、CPU)の普及により、多チャンネルの信号のロジック(0か1)を波形表示して、ハードウェア・ソフトウェア開発やデバッグに使われた。多チャンネルの電圧測定器だが、表示は0か1の2値表示で電圧値は表示しないので、プロトコルアナライザ同様に校正対象外の計測器である。タイミング表示やステート表示など、プログラム(ソフトウェア)表示もできる。多くの信号線のタイミング(波形のON/OFFのタイミングなど)を1台で検証できる計測器として登場した。チャンネル数は128や256だった。1980年代には国産計測器メーカだけでなくIT関連の異業種もロジアナを発売していたが、ICEの縮小とともにほとんど撤退した。キーサイト・テクノロジーとテクトロニクスが高シェアで最後まで製品を作っていた。ロジアナの技術は、ミックスドシグナルオシロスコープ(MSO)に継承されている。計測器のガイドブックの中には、ロジアナを「オシロスコープ/ロジックアナライザ/マイクロプロセッサ開発関連機器」という項目に分類している例もある。
- ロジックアナライザ(ろじっくあならいざ)
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(logic analyzer)デジタル回路の動作を調べる測定器。基本性能は多チャンネルの電圧計。電圧を検出するが、アナログの値ではなく1か0のデジタル値でしか認識しない。また表示はソフトウェアコードや言語で電圧値ではない。各チャンネルの1/0(high/low)の時間推移(タイミング)を表示する機能は現在のミックスドシグナルオシロスコープのロジック入力機能の元となった。 マイクロプロセッサ (MPU、CPU、マイコン)が普及した1970年代後半に出現し、組込みシステムの開発・デバッグに威力を発揮した。2000年代以降はICEのJTAG化と歩調を同じくしてその役割をほぼ終えた。バスアナライザ(プロトコルアナライザの1種)として延命している機種もある。略称: ロジアナ。マイコン黎明〜普及期には、岩崎通信機、タケダ理研工業(現アドバンテスト)、安藤電気、松下通信工業(パナソニックモバイルコミュニケーションズ)などの大手計測器メーカがこぞって参入したが、すべて撤退した(海外メーカに駆逐された)。HP(現キーサイト・テクノロジー)とテクトロニクスの2社が最後に残った。ロジアナといえばHPというくらい、ラインアップが多く、2023年現在も、1650シリーズや16500シリーズから継承する16800、16850、16900シリーズなどが健在。テクトロニクスはTLAシリーズがあったが、生産中止(2023年現在、同社ホームページには製品の資料はまだ掲載されている)。 4ビットから始まったCPUチップが16ビット、32ビットと進化すると、バスも増え、処理速度も高速化した。キーサイト・テクノロジーはロジアナ内部に高速処理をするFPGAなどを搭載して、モデルを増やした(国産計測器メーカはこのような対応ができなかった)。テクトロニクスのモデルもファンがいた。テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)では「ロジック・アナライザ:多数のデジタル信号の論理ステートを時間軸に対する変化で表示する機器。デジタル・データを解析し、リアルタイムなソフトウェア実行、データ・フロー、ステート・シーケンスなどが表示できる」とある。 余談だが、ある大手通信機器メーカは交換機の開発などで高額なロジアナを3桁の台数で使用した。ロジアナは電圧測定器だから、このメーカは校正の対象にしていた。これは大きな間違いである。ロジアナは電圧を測定しても1か0の表示しかしない。アナログの電圧計ではなく、プロトコルアナライザのようなデジタル測定器である。精度がはずれてきて1を0に表示したら故障(修理)で、校正ではない。ただし社内規定で校正対象だから、校正周期(通常1年)ごとに校正を実施し、校正証明書などの必要書類を更新しないといけない(そのようにISOに準拠した社内規定を制定している)。レンタルで運用している機材は、毎月のように校正の対応が発生し、現場は大いに無駄な作業を続け、無用な経費を出費した、という笑えない話である。マイクロプロセッサの普及によって登場した新しい測定器であるロジアナを正しく理解できる人材が、大手でも校正部門にはいなかった、というお寒い話である(メーカは優秀な人材は開発や企画、営業部門に配置するが、校正などの品質管理には回らないという実例かもしれない)。
- ロジック信号発生器(ろじっくしんごうはっせいき)
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パルスジェネレータ(PG)のような単純なパルス列ではなく、より複雑なロジック・パターン(パルス・パターン)を多chで出力する信号発生器。デジタル・パターンを出力して、ロジックアナライザ(ロジアナ)と併用してロジック回路の論理機能試験に使われる。そのため(ロジアナをラインアップしている)テクトロニクスはロジック信号発生器と呼称しているが、同じくロジアナのメーカであるキーサイト・テクノロジーの品名は「パターンジェネレータ」である。一般にはパターンジェネレータと呼ばれることが多い。 「ロジック信号発生器:テクトロニクスのパターンジェネレータ(ロジアナと併用する多チャンネルのタイプ)の名称」と解説することもできる(つまり、ロジック信号発生器、なる呼称は同社以外ではほとんどされていない)。
- ロジックプローブ(ろじっくぷろーぶ)
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(logic probe) デジタル信号の論理状態(ロジック・ステート)を解析するためのプローブ。オシロスコープのMSOモデルで使用するモデルが代表的。電圧を測定するが、設定したしきい値(スレッショルド)で0(low)か1(high)を判断するために使用される。通常のパッシブプローブのように信号の電圧をアナログで測定するのではないので、(電圧を測定するプローブではあるが)電圧プローブとは別に分類されている。別名、デジタルプローブ。プローブの先端は8本になっていて、8つのクリップが付いた、8ピンタイプが一般的(16ピンのモデルもある)。8か所のロジック・ステートを1本のロジックプローブで測定できる(つまり8ch)。アナログ信号を測定するプローブではないので、オシロスコープ側のコネクタは多ピンで、各社統一されていない。 マイクロプロセッサが普及した1980年頃に、128chや256chのロジック・ステートを1台で観測できるロジックアナライザ(ロジアナ)が開発され、組込みシステムのデバッグ用途でICE(アイス)と共に活躍した。ロジックプローブはロジアナのプローブである。2000年代以降、32ch程度までのロジアナ機能を持つミックスド・シグナル・オシロスコープが普及し、8chや16chのロジックプローブがアクセサリとして用意された(ロジアナのプローブはもっと多chだった)。 MSOを1990年代に開発したキーサイト・テクノロジーは54621D/54622D ミックスド・シグナル・オシロスコープに10089A ロジック・プローブ(8ch×2セット = 16ch、フライング・リード付き)を付属していた(オシロスコープ、プローブ共に生産中止※)。テクトロニクスの4/5/6シリーズMSOにはTLP058 ロジック・プローブが使える。横河計測は701988(PBL100)、701989(PBL250)ロジックプローブや700987 絶縁ロジックプローブ(スコープコーダ用)など、数種類のモデルをラインアップしている。日置電機にはメモリハイコーダ用のMR9321-01 ロジックプローブがある。つまり、デジタルオシロスコープ同様に電圧波形を観測できるメモリレコーダ(メモリオシログラフ)にもアクセサリとしてロジックプローブがある。なので、ロジックプローブはオシロスコープやメモリレコーダ、ロジックアナライザ用アクセサリといえる。メーカによってロジックプローブとロジック・プローブの2つの表記がある(以下の計測器情報を参照)。 MSOは電気・電子系エンジニアがハードウェア回路設計の検証やデバッグに使用するだけではなく、ソフトウェア技術者も大いに使用するようになった。もちろんロジックプローブはソフトウェアやファームウェアの検証に大活躍している。 余談だが、メーカによって表記は「ロジック・プローブ」もあり、「ロジックプローブ」で文字検索してもすべてがヒットしない。 ※ キーサイト・テクノロジーはInfinniVisionシリーズ オシロスコープ用ロジックプローブとして、MSOモデルには「N2756A 16チャネルMSOケーブル・キット」を付属している。品名はロジックプローブではない。同社にはオシロスコープのアクセサリに、ロジックプローブという名称の現役モデルは見当たらない(2024年10月現在、同社HPにて)。
- YHP(わいえっちぴー)
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(Yokogawa Hewlett Packard) hp(ヒューレット・パッカード)が日本につくった合弁会社(1963年~1998年)。YHP設立以前は、高周波機器を取り扱う商社のセキテクノトロン株式会社(旧関商事株式会社)がhp製品を輸入販売していた。 1939年に、ウィリアム・ヒューレットとデビッド・パッカードは米国カリフォルニア州でhp(Hewlett-Packard Company、エイチピーと呼称)を創業し、世界No.1の電子計測器メーカとなった。日本のYEW(横河電機製作所)は1963年にhpと合弁でYHP(横河ヒューレット・パッカード)を設立した。YEWは国産初の電磁オシログラフをつくるなど、日本を代表する老舗計測器メーカだった。高周波(RF)測定器はYHPがつくり、YEWはDC~低周波の記録計などをつくるという棲み分けをした(競合しないように機種群の分担を決めた)。当時のYEWはブリッジをラインアップし、回路素子測定器の要素技術を持っていたが、それらはすべて技術者とともにYHPに移ったと推測される。YHPはhpの日本法人(販売会社)でhp製品を販売したが、国内に開発拠点を持ちYHPとして計測器の開発も行った。回路素子・材料の測定器(LCRメータやネットワークアナライザなど)の開発拠点が神戸にあったと筆者は記憶している。1980年代に筆者は国内大手計測器メーカの技術部門にいたが、各計測器メーカの特許出願情報が回覧された。そこには「横河HP」という会社名でインピーダンス測定の多くの特許が掲載されていた。YEWのブリッジは生産終了し、後継機種となるLCRメータなどはつくられていない。インピーダンス計測器は、YEWではなくYHPが開発を行った。 高周波計測器を手掛けるYHPと、「レコーダ、低周波の電力計(デジタルパワーメータ)、ミドルクラスのオシロスコープ」をつくる横河電機(1986年に社名変更)との差は30年間で大きく開いた(YHPは計測器のトップメーカになっていた)。1995年に横河電機はYHPへの出資比率を下げ、高周波測定器の開発に着手した。時は携帯電話の3Gが商用開始する前夜で、1998年にはYHPから完全に資本を引き揚げ、携帯電話評価用の信号発生器を中心に、次々と通信計測器を発表した。 YHPは会社名を日本HPに変更していたが、2000年にhpがIT機器以外の事業(計測器と科学分析機器、ライフサイエンス事業)を分社し、Agilent Technologiesを設立したので、日本HPもアジレント・テクノロジーとなる。さらに2014年にはAgilent Technologiesは科学分析機器のみとなり、計測器はKeysight Technologies(キーサイト・テクノロジー)となり、現在に至る。 世界No.1の総合計測器メーカhpは日本では、高度経済成長期に設立したYHPに始まり、1998年以降に日本ヒューレット・パッカード、アジレント・テクノロジー、キーサイト・テクノロジーと社名が変わった。横河電機は2002年に幸運にも通信計測器大手の安藤電気を吸収し、安藤電気がアジレント・テクノロジーとシェアを競った光通信測定器をラインアップに加え、高周波測定器を強化した。ただし、2000年代後半には光通信以外の通信計測器はすべて中止し、2010年には横河メータ&インスツルメンツ(現横河計測)に計測器部門を移管した。これによって横河電機は(計測器をつくらない)計装(工業計器)のメーカに名実ともになり、(メモリレコーダなどの計測器ではない)計装ユースのDAQ(データロガーなど)をラインアップしている(計測器の記録計か、計装の記録計かは素人には判断が難しい)。 マイクロウェーブ展2022(2022年11/30~12/2、パシフィコ横浜)に、キーサイト・テクノロジーはPXIネットワークアナライザM983xA(新製品)を出展した。「Keysight TechnologiesのR&D拠点の1つであるキーサイトの事業所(兵庫・神戸市)で開発した製品である」ことが、展示会を取材した日経誌で報じられている。
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