計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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ERSP CAL(いーあーるえすぴーきゃる)

(External ReSPonsive Calibration)非接触温度計(サーモグラフィ、放射温度計)関連の用語。外部黒体もしくはヒータ(100℃以上)と基準室温黒体によって行うセンサの感度補正で、環境温度が上下限(40℃、0℃)付近の場合に行う。ほかに内部基準黒体などを使うIRSP CAL (Internal ReSPonsive Calibration)がある。関連用語:REF CAL。(日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」より)

EIA(いーあいえー)

(Electronic Industries Alliance)米国電子工業会。主に電子機器や通信に関する標準化、規格化、電子産業の調査を行っている。EIAが策定した規格をEIA規格と呼ぶ。シリアル通信のRS-232C(Recommended Standard 232 version C)などはEIA規格。 米国政府のエネルギーに関する公的統計を発表する機関である、エネルギー省/エネルギー情報局もEIA(Energy Information Administration)と呼称している。

eAxle(いーあくする)

電動車(EV)に不可欠なモータ、インバータ、減速機が一体になった駆動ユニット。 欧州や中国に比べて日本はeAxle化が遅れているといわれる。トヨタ系サプライヤのBluE Nexus(ブルーイーネクサス)とアイシン、デンソーの3社は、eAxleの共同開発を行うと2022年4月に発表している。 eAxleのメーカとして以下の7社がネット上で検索される(2023年8月)。株式会社アイシン、ジヤトコ株式会社、ニデック株式会社(旧日本電産)、日立Astemo株式会社(日立オートモティブシステムズ、ケーヒン、ショーワ、日信工業が2021年1月に統合)、三菱電機株式会社、武蔵精密工業株式会社、株式会社明電舎。

ESS(いーえすえす)

(Energy Storage System)電力系統につながった、蓄エネルギーシステムのこと。電力貯蔵システムとも呼ばれ、パワーコンディショナのメーカはPV(太陽光発電)だけでなく、蓄電池システムもパワーコンディショナ経由で系統連系することでESSを構築することを提案している。

ESG(いーえすじー)

計測器としては、キーサイト・テクノロジーのRF信号発生器の形名、シリーズ名。EシリーズのSG(Signal Generator)という命名。従来の同社の形名は数字4桁(または5桁)で、83で始まるのが標準信号発生器や掃引信号発生器(スイーパ)だった(83xxや83xxx)。1990年代後半に、新しく形名の頭にアルファベット大文字1文字をつけ、その後は数字4桁(または5桁)の形名が現れた。同社の形名の新しい時代(形名の法則性はわからなくなり、形名から機種群が推定できない、というファンにとっては残念な時代の始まり)となった。数字だけではもう番号が枯渇したのか、新しくM&Aで機種群を増やすのでやはり数字が足りなくなったのか、RF測定器(SGやスペクトラムアナライザ)でE4xxxという形名の新製品が発売された。当時は基幹通信網が無線の3G(デジタル通信)が始まろうという世界的な夜明けで、デジタル信号発生器E44XXシリーズはESGの愛称(通称)で親しまれた。現在はESGはすべて生産中止している。 計測器とは無関係だが、一般にESGというとEnvironmental(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス、企業統治)の頭文字からつくった言葉。環境、社会、企業統治に関して積極的な取り組みをする企業に投資することを「ESG投資」と呼び、ESGというとそのことを指すことが多い。SDGs(国連で採択された、持続可能な開発目標。えすでぃーじーず)とともに使われる、同じ分野の用語。企業経営(企業のポリシー)や投資家向けのキーワードとして、特に2020年頃から盛んに話題になっている。海外(特にEU)では温暖化防止のため、「CO2排出ゼロのために環境に配慮した企業(CO2排出に関係しない企業)」の評価を高くするという報道がされている(逆にいえば、CO2排出に関係している、削減に積極的でない企業は評価が下がる、と解釈できる)。たとえば火力発電所の設計・販売に関与している日本企業は、今後は海外での企業価値は低くされる懸念がありえる。 計測器情報:キーサイト・テクノロジーの信号発生器で形名の頭がE4の製品例

ESD(いーえすでぃー)

(Electro-Static Discharge) 翻訳すると「静電放電」。静電気を放電すること。「ESD対策(静電気対策)」などのことばがある。 身近な例では、乾燥した冬にドアノブなどの金属を触ると人体に蓄積された静電気がドア側に放電されてバチッとする。衝撃の割にはエネルギーが大きくないため事故になることはほとんどないが、半導体デバイスや電子回路を破壊するには十分な威力がある。電子機器は静電マットの上に置き、操作する人はリストバンドを装着し、人体から発生する静電気が機器に悪影響が無いようにすることが望ましい。電子部品メーカの作業工程では、静電気の帯電レベルを管理している。特にESD対策をされた区域をEPA(静電気放電保護区域)と呼ぶ。 ESD関連の計測器メーカでは春日電機があり、静電気測定器や静電気除去装置(イオナイザ)をつくっている。

ES-2000Eシリーズ(いーえすにせんいーしりーず)

(ES-2000E series) エヌエフ回路設計ブロックの交流安定化電源で、リニアアンプ方式(リニア電源)のESシリーズの内、2kVAベースでシステムアップできるコンポーネントスタイルの機種群のこと。「プログラマブル交流電源ES-E」、「リニアパワーES-E」という表現(表記)もされている。 単相マスタES2000ES、ブースタES2000EB、単相3線マスタES2000ED、三相マスタES2000ET、スレーブES2000EPを組合わせて、顧客の仕様にあった容量(kVA)の電源環境シミュレータを実現できる。同業の菊水電子工業のPCRシリーズ(リニアアンプ方式のPCR-LE)は容量によってモデルが1つ決まり、増設(追加購入)によって容量を増やすことは難しい。 2010年頃にFIT導入で普及が加速したPV(太陽光発電)のインバータ(パワーコンディショナ)の開発では多くのメーカがES-2000Eを使って試験を行った。最小限の設備品とレンタル調達品を上手に組み合わせて使えることも大きなメリットだった。 計測器情報:ES-2000シリーズの製品例

EN(いーえぬ)

(European Norm)EUの統一規格(normは規範、標準の意味)。3つの組織がEN規格を策定している。電気工学の分野は欧州電気標準化委員会(CENELEC)、電気通信全般は欧州電気通信標準化委員会(ETSI)、それ以外の分野は欧州標準化委員会(CEN)。「European Standards」とも呼ばれる。EUに電気製品などを輸出するにはEN規格に準拠しないといけない。EN規格に準じた製品をつくったメーカはメーカ自身で「CEマーク」を表示することができる。マークは認証機関での取得もできるが、マーク自体に安全認証や品質証明の役割は無い。EN規格への適合証明の責任はメーカが負う。

ENA/PNA(いーえぬえーぴーえぬえー)

キーサイト・テクノロジーのネットワークアナライザ(ネットアナ)の愛称(通称)。同社のRF製品群は性能によって下からC、E、M、P、U、Vなどの通称(愛称)があり、モデル番号(形名)より通称で呼ばれることが多い。ネットアナはENAとPNAの2シリーズだが、SGは下からEXG、MXG、UXG、VXG、スペクトラムアナライザはCXA、EXA、MXA、PXA、UXAがある(2020/6月現在)。

ENOB(いーえぬおーびー)

(Effective Number Of Bits) ADコンバータの有効ビット数のこと。ADコンバータの性能は分解能(ビット数)だが、もう1つの指標にENOBがある。分解能のビット数とENOBは異なる。ENOBは実測したSN比から計算式によって算出される。ADC(AD変換器)はノイズやひずみを含むため、ENOBが実質的な分解能を示しているといわれる。 2018年頃からオシロスコープ各社が高分解能モデルを発売し始めた。従来、オシロスコープのADコンバータは8ビットだったが、テレダイン・レクロイが2012年に10ビットモデルを発売し、2018年以降に同業2社が追随した(2021年5月現在の8chモデルを比較すると、8ビット以上が主流になっている。以下の参考記事「大手5社の8chモデル紹介」が詳しい。※)。オシロスコープの最も大事な性能は周波数帯域で、時間軸の分解能にあたるのがサンプリングレート(S/s、単位:時間)である。つまりオシロスコープは時間(周波数)の波形測定器(時間波形の観測器)で、2005年から2018年にかけて周波数帯域を上に伸ばし、広帯域オシロスコープが盛んに開発された。広帯域の高額なモデルもAD変換器は8ビットと決まっていて、縦軸(電圧)は安価なDMMよりも精度が劣るので、テスタ(計測器)というより観測器(スコープ)だった。高分解能モデルの出現で、オシロスコープ(観測器)はやっと計測器(オシロテスタ)になったといえる。 キーサイト・テクノロジーは高分解能オシロスコープの仕様にENOBを積極的に明記し、「分解能では不十分で、ENOBが重要である」という見解である。他社はあまりPRしていない(現状はあまり重要視していないように筆者は感じる)。「ENOBはメーカにとっては大切だが、ユーザは気にする必要はない」という見解もある。ADCの代表的なデバイスメーカであるアナログ・デバイセズ(Analog Devices)には「これほど年月を経てもENOBと分解能の関係は不透明」という技術資料がある。 キーサイト・テクノロジーは2024年9月に、InfiniiVision 3000G Xシリーズ(8ビット、ハイレゾ設定で12ビット)の上位モデル、InfiniiVision HD3シリーズ(14ビット)を発売した。2018年に発売した周波数帯域110GHzの世界最高速の広帯域オシロスコープ、UXRシリーズ(以下の参考記事、「キーサイト・ワールド」で世界初公開を取材)の技術を取り入れ、ノイズフロアを低減したといわれている(高周波が売りの同社ならではの改良である)。当然、ENOBがどれだけ向上したかを、他のモデルと比較してPRしている。 ※ 横河計測は2023年6月にDLM5000シリーズを12ビットのDLM5000HDシリーズに更新。2023年11月にはローデ・シュワルツも12ビットの8chモデル、MXO5シリーズを発売し、主要なオシロスコープメーカは高分解能モデルが主流の時代になった。中華系オシロスコープメーカ(リゴルやSIGLENT)は安価な12ビットモデルを2023年頃から積極的にラインアップしている。

EMI(いーえむあい)

(Electro Magnetic Interference)直訳すると「電磁妨害」。EMCの中の1つで、電子機器が外部に不要な電磁ノイズを放出していること。EMI試験のことをエミッション(emisson)という。代表的な測定器にEMIレシーバがある。

EMIアンテナ(いーえむあいあんてな)

EMI測定で使用するアンテナ。EMI(Electro Magnetic Interference)とはエミッション試験のことで、電子機器が外にどれだけの電磁波を放出しているか(電波ノイズの発生源になっていないか)を測定するもの。電波を測定するスペクトラムアナライザ、EMIレシーバの入力端子にアンテナで受信した電波が入力される。

EMIクランプ(いーえむあいくらんぷ)

EMI測定にて、試供体に妨害信号を注入したり、妨害信号を検出したりするクランプセンサ。

EMI試験器(いーえむあいしけんき)

機器から発生する電磁的エネルギーがどの程度の妨害(エミッション)を与えるかを試験する機器。EMIはElectro Magnetic Interference の略で、電磁妨害放射のこと。

EMIプローブ(いーえむあいぷろーぶ)

スペクトラムアナライザや妨害波測定器と一緒に使用する、磁界を検出するセンサー。(=近磁界プローブ)

EMIレシーバ(いーえむあいれしーば)

EMI測定(エミッション試験)で使われる、電波測定用のスペクトラムアナライザ。計測器メーカはドイツのローデ&シュワルツが業界標準で、EMIレシーバはローデ&シュワルツの製品名ともいえる。

EMS(いーえむえす)

3つの意味がある。 1.Electro Magnetic Susceptibility の略。電磁感受性(電磁妨害耐量)のこと。日本語では「電磁気妨害感受」だが、EMSと呼称されることが多い。別名:イミュニティ(immunity) 。外からの電磁気に対する耐性のこと。EMC分野の用語。 2.Electronics Manufacturing Serviceの略。電子機器の受託生産を行う企業を指す。パソコンやスマートフォン、半導体チップなどの製造で良く使われる。半導体受託生産では台湾のTSMC が世界No1シェア(推定50%以上)といわれる。半導体の設計や開発は行わず、生産に特化するメーカーのことを「ファウンドリ」と呼ぶ。逆に生産を外部委託して開発・設計に特化するメーカを「ファブレス」という。半導体の製造には最先端の機器が必要になり、多額の資金が必要なため、R&Dと生産・製造を分離した分業が進んでいる。 3.Energy Management Systemの略。工場やビルなどの、施設のエネルギー使用状況を把握し、最適なエネルギー利用になるように支援するシステム。「電力監視」や「エネルギーの見える化」とも呼ばれる。最近の温暖化対策(ゼロエミッション)やエネルギー需要の激変(2022年、ロシアのウクライナ侵攻)によって、各工場ではエネルギー・マネージメント・システムの導入が広がっている。

EMS試験器(いーえむえすしけんき)

他の機器から発生される電磁的エネルギーにどの程度の耐性(イミュニティ )があるかを試験する機器。

eMMC(いーえむえむしー)

(embedded Multi Media Card)Flashメモリを利用した組込み機器向けのメモリカード規格の一つ。従来のマルチメディアカード(MMC)の外側のパッケージをなくし、NAND Flashとコントローラが1チップに封入されている。eMMCはマルチメディアカード(MMC)と同様のインタフェースで外部と接続するが、カードタイプではなく、153FBGA、169FBGAなど表面実装可能なパッケージ形状で、低消費電力である。基板に実装し使用することで、大容量ストレージ対応、かつ機器の小型化が実現できるため、スマートフォン、タブレット、パソコン、カーナビ、監視カメラ等で採用され、バージョンが上がるごとに転送速度も向上している。eMMC 5.0では最大400MB/秒のHS400モード対応となっている。(東亜エレクトロニクス株式会社 フラッシュサポートグループカンパニーの「書込みやプログラマに関する用語集」より)

EMC(いーえむしー)

(Electro Magnetic Compatibility)日本語では「電磁両立性」または「電磁適合性」といわれている。EMCの試験にはEMI(エミッション)とEMS(イミュニティ)がある。