計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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Termoview(さーもびゅー)

チノーのサーモグラフィ(熱画像計測装置)で、体表面温度測定モデルの通称。同社はサーモグラフィCPA-L4シリーズをベースにした体表面温度測定に特化した専用機種Thermoview CPA-L25TVを、新型コロナウイルスが蔓延する2020年4月に発売した。カタカナ表記は「サーモヴュー」である。「Thermo Viewer( さーもびゅあ)」だと、一般的にサーモグラフィ(2次元の温度分布を色で表示する、非接触の温度測定器)の別称である。

tinySA(たいにーえすえー)

2020年頃からネット通販などで流行の小型RF測定器の1種(tinySAやnanoVNAなど)。tinySAは手のひらサイズで価格1万円程度という、超小型・激安スペクトラムアナライザ。モデルにも寄るがおおよその仕様は、測定周波数範囲100k~960MHz、分解能帯域幅3k~600kHz、サイズは約6×10cm、厚み約20mmでバッテリ駆動する。tiny(とても小さい、smallよりもさらに小さい)SA(Spectrum Analyzer)というネーミング。 tinySAは「オランダの技術者Erik Kaashoek氏が設計し、中国のHugen氏が製造した小型の簡易スペアナ」といわれ、ネット上にはtinySA Basic(画面サイズ2.8インチ)やtinySA Ultra(画面サイズ4インチ)などの製品が紹介されている。購入経路によっては純正でない粗悪品もあるらしい(ECサイトでの購入が主流のため仕方がない)。nanoVNAと比べると種類(モデル数)は少ない(2023年6月現在)。 アマチュア無線の専門誌を発行するなど、趣味の電子工作ユーザに人気のCQ出版社は、2021年1月発売の「RFワールド No.53」や2023年7月発売の「トランジスタ技術 8月号」などに、マニアがtinySAを性能評価した記事を掲載している。 2010年代後半にキーサイト・テクノロジーやテクトロニクスなどが従来のベンチトップのRF測定器ではなくUSBタイプの小型モデルの発売を始めた(キーサイトのStreamlineなどのUSB計測器)。電子部品の小型化、性能向上、コストダウン、USB規格の普及など、技術の進歩によっていまやUSB計測器は1つのジャンル(カテゴリー)になろうとしている。手のひらサイズのポケット計測器もその流れの中で、アマチュア電子工作ユーザに広がっている。オシロスコープはポケットサイズなら約5000円、ハンディ(テスタ・サイズ)は1万円以内、タブレット型(2ch)は2万円以内で数社が販売している(いずれも従来の計測器メーカではない)。ベンチトップでもリゴルやOWON(オウオン)などの中華系オシロスコープメーカは50M~100MHz、4chで5万円以内のモデルをつくっている。前述のトランジスタ技術(2023年8月号)のタイトルは「研究!1万円級ポケット測定器」である。 個人でオシロスコープを持っている(家にオシロを保有する)技術者はまれではないが、スペクトラムアナライザまで持っているとなると数が限られる(ネットワークアナライザはほとんどいない)。tinySAはアマチュア電子工作を趣味にするマニアの夢だった「家でスペアナ」を実現した。nanoVNAは「家でネットアナ」を可能にした。

Typhoon HIL(たいふーんひる)

パワーエレクトロニクス関連の大手メーカであるMywayプラスが販売しているHILS。汎用HILSは多くのメーカがつくっているが、パワエレに特化した(パワエレ技術者向けの)HILS(たとえば自動車向けのHILSはエー・アンド・デイやdSPACEがつくっている)。 Typhoon HILは米国のHILS専業メーカの会社名だが、Mywayプラスは製品名にしている。2017年頃に日本の販売店を探していたTyphoon HIL社は、東京都立大学の清水先生の紹介でMywayプラスと契約した。同社がパワエレ用の回路シミュレータ PSIM(ピーシム)で大きな実績があったことが紹介の背景にあると推測される。同社が取り扱いを開始した2017年と、数年の販売実績を経た2つの展示会取材(以下)を比較すると面白い。 Mywayプラスの事業は大きく3つあり、開発ツール(PSIMや、モデルベース開発のツールであるTyphoon HILなど)、試験用電源・バッテリ充放電試験システム(電力回生型双方向電源のAPL2やpCUBEなど)、モータやインバータの評価システム(インバータエミュレータ pMOTION、リアクトル評価装置、モータエミュレータ)である。

tanδ(たんでるた)

誘電体内の電気エネルギー損失の度合いを表す値。一般には電子部品のコンデンサの損失を表している。コンデンサ内部で消費されるエネルギーを示す特性の一つで、ある周波数の正弦波電圧で生じる電力損失を無効電力で割り、計算する。そのため誘電損失とも呼ばれ、コンデンサの性能を表す重要な指標である。 定義(数学的な計算)がタンジェント・デルタのため“タンデルタ”と呼称される。正式には誘電正接/誘電体損(DissipationFactor/LossTangent)。 誘電体損の測定器をtanδやタンデルタの略称で呼んでいることもある。誘電正接試験器やタンジェントデルタ試験器という表現も見かける。ブリッジなどの回路素子測定器や、材料測定器を1980年代まで注力していた安藤電気はtanδの測定器をつくっていた。

True RMS(つるーあーるえむえす)

「真の実効値」の略記。RMS(Root Mean Square)は実効値。デジタルマルチメータ(DMM)などで電圧測定する際に、交流信号の実効値を算出する方式には2つある。「平均値整流方式(MEAN)」は信号を正弦波として計算する。計測器に特に記載がない場合は、この方式。「真の実効値方式(True RMS)」は高速でデジタルサンプリングされたデータから理論的な数値計算をする。信号が綺麗な正弦波でないときや、ノイズがのっているときは後者の方式が適している。インバータなどの普及によってTrue RMS方式の計測器が増えたが、平均値整流方式のモデルよりも高額になる傾向がある。また、モデルによって性能が違うためどれだけ正確に測定できるかは注意がいる。 計測器情報: 品名に「真の実効値」が付く製品の例 電圧・電流測定器で品名にtrueが付く製品の例

Trueform(つるーふぉーむ)

キーサイト・テクノロジーのベンチトップのFG/AWG(Function Generator/Arbitrary Waveform Generator)のシリーズ名(通称)。同社はベンチトップDMMにTruevolt(ツルーボルト)というシリーズがある(True RMS、「真の実効値」が語源と推定)。waveform(波形)から一部をとり波形発生器をTrueformと命名したと思われる。形名は335xxA/B、336xxAで、33509A~33522B、33611A~33622Aの12モデルがある(2023年11月同社ホームページより)。発振周波数や出力チャンネル数、機能によってモデルが異なる。品名はすべて「波形発生器」である。 現在のFGはAWG機能を備え、メーカ各社の品名もファンクション/任意発生器のようなものが増えたが、両者がはっきり分かれていた時代から説明する。2004年のFGの代表モデルとしては、アジレント・テクノロジー(現キーサイト・テクノロジー)の33120A、33250A、エヌエフ回路設計ブロック(NF回路)のWF194xAシリーズなどがあった。キーサイト・テクノロジーは世界的にトップシェアだが、日本では(自動車市場など、電気よりも機械系を中心に)NF回路のシェアが高い。テクトロニクスは(AWGのラインアップは豊富だが)、FGはAFG310/AFG320任意波形ファンクション・ゼネレータだけだった。当時のFGやDMMの表示部は7セグメントLEDが並んだ数値だけの表示だった。 2005年7月にテクトロニクスはAFG3000シリーズを発表した。この製品は従来とは違い表示パネルが大きい多機能表示で、発振波形などを表示した。当時、テクトロニクスのFGの事業部は日本テクトロニクス(東京の品川)にあり、日本で開発を行っていた。それまでは発振周波数を数字で表示するだけだったFGが、オシロスコープのように波形表示した。NF回路の従来品、WF194xAは黒色でサイズ(高さ):約133mm、質量:約2.6kgだが、新製品WF197xAシリーズ(白と青色、高さ:約88mm、質量:約2.1kg)が2007年2月に発売された。WF197xAは従来品より小型・軽量で、もちろんディスプレイには(AFG3000同様に)波形表示をした。キーサイト・テクノロジーも大きな画面に波形表示する新製品FGを発売し(現在のTrueformにつながる初号器)、ベンチトップFGはディスプレイに波形表示が当たり前になった。テクトロニクスはAFG3000以降にラインアップを増やし、現在はAFG31000Aシリーズが現役モデルである(2023年11月)。2000年代後半にFGは表示部を中心に世代交代し、現在に続いている。AFG3000に始まった表示の仕方は他の機種群にも広がり、現在のベンチトップDMMは数字だけでなく多彩な表示をするようになった。 現在のキーサイト・テクノロジーの形名は頭が英字の大文字1字で、その後に数字4(または5)文字が多いが(以下の形名の記事が詳しい)、FGは33120Aの時代から33xxxAを踏襲して、新製品を発売している。同社の2010年代以降の新製品はN5166BやP9370Aなど原則、形名は英文字で始まるのに、FGは従来の数字5文字の形名が踏襲されている(その理由は不明だが、33xxxAはxxxの数字にまだ十分に余裕があるのかもしれない)。 計測器情報:キーサイト・テクノロジーのFGの製品例

Truevolt(つるーぼると)

キーサイト・テクノロジーのベンチトップのデジタルマルチメータ(DMM)の最近のシリーズ名。34460A以降のモデルが相当する。34460A、36641A、34468A、34470AがTruvoltシリーズ。上記の4モデルは汎用タイプ(5.5桁と6.5桁)で、上に8.5桁の高精度DMM3458Aがあり、下には5.5桁の安価モデル34450A(OLEDディスプレイ)などがある。またその他に34420Aナノボルト/マイクロ・オーム・メータがある。(2022年5月現在のラインアップ) Truevoltとは、「True RMS(真の実効値)に対応している」、ということと思われるが、メーカの命名する通称やシリーズ名の由来は公開されないので、語源は定かではない。 同社の34401Aは長らくベンチトップのDMMの代名詞で、後継の34461Aに引き継がれている。高精度(8桁表示)から汎用機種までキーサイト・テクノロジーはベンチトップDMMのトップベンダーである。校正用の標準器で有名なフルークは、ハンドヘルドのDMMではトップメーカだが、最近のキーサイト・テクノロジーは安価な製品にも注力していいて、ハンドヘルドDMMもラインアップを増やしている。逆にフルーク(フルーク・キャリブレーション)は高精度DMMのモデルを更新してキーサイト・テクノロジーに対抗している。 計測器情報:キーサイト・テクノロジーのDMMの製品例

Tier1(てぃあわん)

メーカに直接納入する1次サプライヤのこと。Tier1に納品するメーカをTier2と呼ぶ。多くの部品を使う業界のサプライチェーンを示す用語だが、自動車産業で使われることが多い。

TIA方式(てぃーあいえーほうしき)

電流を電圧に変換する方式の1つ。Trance Impedance Amplifier(変換・抵抗・アンプ)の略記。入力電流を抵抗(インピーダンス)倍の電圧に変換する増幅器。O/E変換器に使われるPD(フォトダイオード)は電流出力型の光センサである。その出力を取り出すのにTIA回路が最も良く使用される。電流-電圧変換方式としては、デジタルマルチメータなどに使われている抵抗方式が一般的である。 参考用語:シャント抵抗、バードン電圧

T&M(てぃーあんどえむ)

Test&Measurementの略。欧米で計測器を表現するときに使われる。国内計測器メーカはあまり使わない。 欧米では計測器のことをtester(テスタ)やtest&measurementといっている。1990年代に世界的な総合計測器メーカのHP(Hewlett-Packard、ヒューレット パッカード、現キーサイト・テクノロジー)は計測器事業部門をTMO(Test&Measurement Organization)と呼称していた。日本の大手計測器メーカである横河電機も計測器部門(現横河計測)をT&M事業部といっていた時代があるが、現在はT&Mという表現はしていない(※)。この横河電機の例以外には、当時の国内計測器メーカはT&Mという用語は使っていない。 HPのTMOや横河電機のT&Mに触発されて、「計測はもう古い、T&Mが最先端だ」と解釈したあるレンタル会社上層部は、自社の計測器部門の組織名称を計測からT&Mに変更した。長年、計測畑にいた人はそんな部署名は恥ずかしいので、顔をしかめて「計測」が良い、と反論したが、新しもの好きの担当役員は譲らなかった。地味でニッチな計測に、ハイカラな部署名をつけて少しでも活性化しようという役員の配慮だったかもしれないが、実務者の心配は的中した。T&M部門の実務者は国内の各計測器メーカと名刺交換すると、かならず新しい部署名の由来を問われた。「T&Mとは何ですか? P&Gと近いですか?コンシューマ製品を扱い始めたのですか?」と聞かれて大変閉口した。それくらい当時の国内計測器メーカには「T&M」は奇異な、馴染みのないことばだった(P&Gとは、洗剤などの家庭の消耗品のブランドの、あのP&Gのことである)。 30年前に海外の大手計測器メーカが使い、それと近い関係にあった国内大手計測器メーカが後で使ったが、この2社以外にこの表現は国内では普及しなかった。計測器の総合展示会にT&Mなる名称は無い。Measureは計測の意味で使われているが(INTERMEASURE:計量計測展など)、隔年に大阪で開催される電気計測器の展示会は「計測展」である。つまり国内では「計測」をT&Mと表現することはほぼ無い。国内の計測畑の人々は「自分たちは計測だ」と思っていて、T&Mなどどいう変な略称は使わない。現在では一部の国内計測器メーカが使っている例が少なからずあるが、日本の計測器業界で通用する(認知された)用語とは思えない。ただし、現在でも海外メーカでは普通に「Test&Measurement」は通用する単語であるため、まちがいなく計測関連の用語である。 そういう事情なので、日本の会社でも社名にT&M(またはTM)とあったら、ほぼ外資系だと思った方が無難である。日本の計測器関係者が会社名で好むのは「計測」や「技術」というワードである。海外計測器メーカがtechnologyを社名に付けるのと同じく、日本でも「技術」は良く使われる。ただしT&Mはほぼ使わない。 移動体通信関連の用語でTM(Transpositional Modulation、移調変調)という技術がある。T&MではなくTMである。 (※)横河電機の電気計測器を継承した横河計測株式会社のホームページでは、一部の製品ページに「Test&Measurement」の表示がある。

TSMC(てぃーえすえむしー)

Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.の略称。世界最大の半導体受託製造企業(ファウンドリ)。1987年に設立された世界初の半導体専業ファウンドリ。単なる半導体メーカの下請けではなく、最先端の製造技術を持ち、半導体メーカが設計した最先端のデバイスを製造できる世界No.1企業。インテルなどの世界の名だたるデバイスメーカが製造を委託している。アメリカのバイデン政権は半導体サプライチェーン構築のため、米国アリゾナ州フェニックスにTSMCの工場(12インチウェーハ)を建設することを2020年に発表した。日本でも九州(熊本県)への誘致に成功し、2024年には工場が稼働予定。

Tx(てぃーえっくす)

有線・無線通信で送信データのこと。 Transmission dataの略記。送信機はtransmitter(トランスミッタ)と呼ばれ、小文字のxはデータの意味。送信機自体をTxと表記している例もある。

ToF(てぃーおーえふ)

(Time of Flight) time of flightとは「飛行時間」。レーザーやLED(発光ダイオード)から対象物に光を当て、反射光を測定して対象物との距離を計算すること。このToFの原理を使ったセンサは生産ラインなどに導入されている。そのためToFセンサ(ToF測距センサ)と呼ばれる。ToFセンサを内蔵したカメラは被写体の奥行情報があるので、顔認証システムに応用されている。 ToFセンサの例(電子部品)としては、STマイクロエレクトロニクスのVL53L3CXは寸法が約4x2x1mmと小型のため、カメラやラズパイと組み合わせてドローンやロボットなどに搭載可能である。 面で発行するレーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser、垂直共振器型面発光レーザー)で対象物を照らすことで、距離情報を得るカメラをToFカメラと呼ぶ。ToFカメラの出現によって、従来のカメラはRGBカメラ(太陽光などが対象物に当たった光がイメージセンサに入り、RGBの色情報に変換される)と呼ばれるようになっている。

TC(てぃーしー)

(Thermo Couple) 直訳すると「温度の対」だが、日本語では「熱電対」と呼ばれている。温度センサの代表である。通常は「熱電対」と表すが、略記としてTCは良く表記される。構造は、2種類の金属を使い閉回路をつくる(2本の金属の線を2か所でつないでループにする)。つないだ箇所(接点)どうしに温度差があると電流が流れる(熱起電力が発生する)。電圧を測定すると温度を知ることができるため、温度センサとして利用される。TCを熱電対、RTDを測温抵抗体という日本語にしたのにはセンスが感じられる(単純に直訳しないで意味が伝わる熟語になっている)。

TCXO(てぃーしーえっくすおー)

(Temperature Compensated Xtal Oscillator)温度補償型水晶発振器。外気温を自分でセンシングして、温度によって周波数を調整して出力する。

TCP/IP(てぃーしーぴーあいぴー)

(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)インターネットで使われる、TCPとIPの2つで構成される通信プロトコル。TCPは伝送制御プロトコルで送ったデータが相手に届いたか、都度確認しながら行う(HTTPのリクエストとレスポンス)、IPはネットワークのプロトコルでIPアドレスにデータを運ぶ。OSI参照モデルの4階層(アプリケーション層、トランスポート層、ネットワーク層、リンク層)で仕様を規定している。

TDR(てぃーでぃーあーる)

(Time Domain Reflectometer、Time Domain Reflectometry) 測定対象(DUT)の片端からパルス信号を入力し、DUTの各場所(位置)からの微弱な反射信号を時間軸で測定する手法。手法として「TDR法」などの表現があるが、TDR手法を利用した一連の測定器を指すことばでもある。和訳:時間領域反射率測定、時間軸反射法。 横軸を時間、縦軸を反射信号のパワーにすると、横軸は距離となり、入射端からのDUTの位置の状態を波形(グラフ)で観測できる。 OTDR(光ファイバアナライザや光パルス試験器)が有名だが、アプリケーションによって以下の2種類がある。 応用1. ケーブルの破断点やコネクタなどの接合状態の確認をする。光ファイバの時はOTDR(Optical TDR)という。TDRは電気の場合の名称で、「フォールトロケーター(Fault Locator:欠陥の位置(fault location)を特定するもの)」や「ロケーター」、 「ケーブル障害位置測定器」などの品名がある。 応用2. サンプリングオシロスコープの測定ユニット。伝送路の特性インピーダンスの測定・評価には主にネットワークアナライザが使われるが、オシロスコープとTDRユニットの組み合わせで、時間領域から測定する手法がある。 計測器情報:品名にTDRが付く製品の例

TDSシリーズ(てぃーでぃーえすしりーず)

(TDS series) 電気計測器の世界でTDSといえばTektronix(テクトロニクス)社のデジタルオシロスコープ(オシロ)で、世界市場でシェアNo.1だった機種群のこと。1999年に発売されたTDS3000シリーズは、国産計測器メーカとして後発でオシロ市場に参入した横河電機(現横河計測 )のDLシリーズ(DL1500/1600/1700など)と国内市場を二分した。TDSシリーズとDLシリーズは設計思想がまったく違い、両社にそれぞれファンがいた。TDS3000は電気・電子技術者に幅広く受け入れられた汎用オシロ(MHz帯域)の王道の標準器(スタンダード)だが、メモリは多くなく、増やせないことが欠点だった。国内シェアはTDSシリーズがNo.1、DLシリーズがそれを猛追するNo.2と推定される(横河レンタ・リースの計測器有料トレーニングは実機としてTDS(MSO)シリーズとDL(DLM)シリーズを選択できるが、その比率からの推定)。 TDS3000シリーズはTDS3000B、TDS3000Cとエンハンスド(モデルチェンジ)してメモリも増えて、DSOやMSOが主流になった時代も延命し、2019年に3シリーズMDOが発売されるまで販売された。TDS3000より安価なローエンドモデルは現在はTBS1000/2000などがあり、TDSシリーズは終焉した。 2000年頃に同社はTDS7000シリーズ(周波数帯域4GHz)、TDS6000シリーズ(周波数帯域6GHz)のラインアップがあった。2005年にキーサイト・テクノロジーが54855A(周波数帯域6GHz)を発売し、高速オシロスコープという機種群を開発すると、テクトロニクスはすぐに同等製品を発表した。周波数帯域を伸ばす競争が始まり、TDS7704B(7GHz)やTDS6154C(15GHz)が発表された。2006年にはDPO72004シリーズ(20GHz)がリリースされ、広帯域オシロスコープのTDSシリーズはTDS3000シリーズよりも早く終焉した。 テクトロニクスのTDSの語源はTektronix Digital Scopeの略という説があるが定かではない。 計測の世界では、他にTDSというと次の2つがある。1)ひずみ測定メーカの株式会社東京測器研究所のデータロガーの形名(TDS-150/540など)。2)東京電力系のインフラ設備・エンジニアリング企業の東京電設サービス株式会社の略記は「TDS」である。

TTL(てぃーてぃーえる)

(Transistor-Transistor Logic)電子回路によるディジタル論理回路の方式の1つで、通常は0Vを0、5Vを1に対応させている。電子機器の省エネ化や伝送速度の高速化によって、より電圧は低くなり、1990年代から2000年頃までは主流だったが、現在の最先端機器ではあまり使用されていない。低速で、電圧幅を5V確保するような場合(たとえばノイズなどが多い環境)では使用される。コンピュータや通信の分野では「Time to live」の略をTTLと略記する場合がある。

TP-BUS(てぃーぴーばす)

(TwistPair BUS)菊水電子工業の独自インタフェースの略称。国内計測器メーカの安定化電源は制御用のインタフェースを持たない製品が主流だった。これは、計測用電源のアプリケーションは圧倒的にスタンドアロンが多く、自動計測をするユーザが(全体の販売台数から見れば)少ないこと、インタフェースを標準装備すると価格が高くなることなどの理由による。ただし、自動制御したいユーザに応えるために、電源にオプションボードを装着することで対応しようと、菊水電子工業は考えた。パワーサプライコントローラという製品を作り、電源とこの製品の間は独自規格のTP-BUSで繋ぎ、パワーサプライコントローラとPCは標準規格であるGPIBやRS232、USBで接続する。単体の安価な電源を多種類のインタフェースに対応させるために、この仕組み(パワーサプライコントローラとTP-BUS)を考案した。ただし最近の同社の電源は安価なモデルでもインタフェースを標準装備しているものが主流となり、パワーサプライコントローラは旧モデルを使用しているユーザ向けとして販売を継続している。