計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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洋上風力発電(ようじょうふうりょくはつでん)

海の上に建設された風力発電設備のこと。風力発電は欧米で導入が進んでいる。特にEUはクリーンエネルギーとして普及が進んだ。日本は(風が定常的にあるなど)設置に向いた場所が少ない事や、太陽光発電の普及を優先したことなどから、建設例は少ない。ただし、2020年発足の菅(すが)政権は普及を推進する方針である。日本では風力発電を洋上に建設する案が有力。日本メーカでは三菱重工(長崎)や日立製作所(茨城県山手工場)という発電所メーカが風力発電ビジネスに参画していたが、日本で需要が拡大しない、先行するメーカですでに世界的に寡占状態、などの理由からすでにほとんど撤退してしまった。洋上風力発電機の世界シェアはシーメンスガメサ・リニューアブル・エナジー(スペイン)、ベスタス(デンマーク)の2社で50%といわれる。水力発電の水車を製造している東芝(横浜市京浜事業所)は、洋上風力発電機で日本市場に参入したいGE(ゼネラル・エレクトリック)と提携し、この分野に参入する(2021年5月発表)。発電所の建設、保守には計測器は必須である。風力発電も例外ではない。振動や歪の計測、電力量の計測、機器の絶縁試験などが行われる。

揚水発電(ようすいはつでん)

電力を位置エネルギーとして蓄えた、蓄電施設兼水力発電所。夜間や休日の昼間などに電力が余っている場合、その電気でポンプを駆動し、下の水を上の貯水地に上げる。昼間に電力需要が足りないときは、水を下に流して水力発電を行い、電力需要をカバーする。電力を位置エネルギーに変換して蓄えているといえる。揚水発電は100年前からあるが、応答時間や発電効率を改善して、太陽光発電などの再生可能エネルギーの出力変動を補えるようになってきた。そのような施設を従来の揚水発電とは区別して「重力発電」とよび、欧州で導入が進んでいる。発電所は建設や保守に計測器が使われ、現場用の可搬型モデルを中心に計測器の使用例の1つとなっている。特に原子力発電所は法定点検の期間が短いこともあり、使用頻度が高い。

溶存酸素計(ようぞんさんそけい)

液体中の酸素(O2)の量を測定する機器。 (=DO計)

容量(ようりょう)

(Capacity)電気の世界で容量というと、メモリの記憶容量や、電子部品のコンデンサ(静電容量)など、その物が電気的に許容できる大きさを指す。株式会社東京測器研究所の「びずみ測定用の変換器の用語」には「容量:変換器がその仕様を保って測定し得る最大負荷」と説明されている。

横河メータ&インスツルメンツ(よこがわめーたあんどいんすつるめんつ)

(Yokogwa Meter&Instruments) 2005年から2017年に存在した、横河電機の計測機器関連の子会社。横河電機はグループ会社を英字の3文字(大文字)で略記する慣習があり、グループ内ではその略記が流通している(あくまで社内用語)。横河メータ&インスツルメンツはYMIと呼称されていた。余談だが、北辰電機を吸収する以前の横河電機は横河電機製作所でYEW(Yokogawa Electric Works)と製品に印字していたが、横河電機になってからはYHQ(Yokogawa Head Quarters、横河ヘッドクオータ)と呼ばれた。現在でもYJP(横河ソリューションサービス株式会社)、YRL(横河レンタ・リース株式会社)などの略記がある。 横河電機は計測と制御の会社で、電気計測器以外に工業計器(計装の機器)を数多くつくっている(横河には工業計器の記録計としてのデータロガーと、電気計測器の記録計であるメモリレコーダの2種類があり、前者は横河電機が、後者は子会社の横河計測がつくっている)。それらの機器のおおまかな変遷を述べる。 電気工事、保守点検で使う絶縁抵抗計(メガー)などのハンドヘルドのモデルや、PA(プロセスオートメーション)、FA(ファクトリーオートメーション)などの計装用途のプロセスキャリブレータなどを、横河電機では現場測定器という。現場測定器と指示計器(アナログのメータ式の電圧計、電流計、電力計など)は1995年に子会社の横河インスツルメンツ株式会社(1988年設立)に移管された。1996年には、横河エレクトロニクス株式会社から信号変換器(JUXTA)が移管され、横河インスツルメンツは横河エムアンドシー株式会社(YMC)に会社名を変更。1997年には横河電機から温調計などの制御機器が移管される。1990年代は、横河ブランドの計測・制御関連機器の会社は横河電機のT&M事業部(オシロスコープやデジタルパワーメータなどの電気計測器)と横河エムアンドシー(現場測定器)、横河エレクトロニクスの3社だった。 2001年に指示計器をYMCから横河電機に移管、2004年に信号変換器や温調計などの制御機器も横河電機に移管(指示計器と制御機器を親会社に戻した)。ところが、2005年に横河電機からYMCに指示計器がまた移管され、会社名を横河メータ&インスツルメンツ(YMI)に変更(社名のメータとは指示計器のことである)。 2010年に横河電機は電気計測器の事業をYMIに移管。波形測定器(オシロスコープ)、電力測定器(パワーアナライザなど)、圧力測定器(マノメータ)、光測定器(旧安藤電気)などがYMIに統合され、横河ブランドの計測器は1社体制が確立した(ただし前述のように、計装のデータレコーダは、横河電機が温調計や信号変換器などといっしょにつくっているので、「横河のDAQ」は横河電機と子会社の2社がつくる全く異なる設計思想の2系統の製品群があり、両者はユーザ層が異なる)。 2017年にYMIは横河計測株式会社に社名変更し、親会社との間で移管し合ったメータ事業(携帯用指示計器)を2020年に生産中止している。つまりYMIの社名の元になった「メータ」事業をやめ、社名からメータを取り除き、「唯一の横河の計測器の会社である」と表明する会社名となった。 1980年代から2010年代にかけて複数の国内大手計測器メーカは、子会社化と親会社への吸収を行っている(岩通計測など)。他社への売却(他社からの買収)や2社の合併も行われた(安藤電気や目黒電波測器など)。国産計測器メーカのM&Aは海外に比べると少なく、同じような製品群をつくる中堅企業が多く残る。1970年代までの高度経済成長期に、産業のマザーツールとして最先端だった電気計測器は、今世紀には最先端ではなくなった感がある。計測器は必ず必要で無くなることは無いが、ハードウェアとしての計測器の国内の販売額は減っている。EVなど、電動化で活況な自動車市場向けでも、計測器メーカのハードウェア製品の売上は伸びていない。今後計測器メーカの淘汰がさらに進むかは不透明である。 2021年7月にアンリツは高砂製作所を子会社化すると発表した。高砂製作所はNECが大株主の計測用電源メーカで、1950年設立の老舗である。自動車会社などに電池の評価システムを納品している実績がある。アンリツは中期経営計画「GLP2023」で「EVおよび電池測定」を重点開拓分野の一つに掲げた。2022年1月には、NECが保有する高砂製作所の株の取得を完了している。アンリツと高砂製作所の製品カテゴリ―はほぼ重複しないので、この子会社化は横河電機が安藤電気を吸収したケースに似ている。

横感度(よこかんど)

(transverse sensitivity)ひずみゲージは軸方向以外の直角方向にも若干の感度を持っている。ゲージ軸と直角方向の一軸ひずみεtとそれによって生じた抵抗変化(R:ゲージ抵抗、⊿R:抵抗変化量)とで次式で示される量を横感度Kt(%)という。Kt=((⊿R/R)/εt)x100。(株式会社東京測器研究所の「ひずみゲージの基礎知識」より)

横感度比(よこかんどひ)

(transverse sensitivity ratio)ひずみゲージの横感度Ktと縦感度Klとの比(Kt/Kl)。ここで横感度とはゲージのゲージ軸と直角方向に加えた一軸ひずみεt(イプシロン・ティー)によって生じた抵抗変化率(⊿Rt/R)とεtとの比((⊿Rt/R)/εt)。縦感度とはゲージのケージ方向に加えられた一軸ひずみεl(イプシロン・エル)によって生じた抵抗変化率(⊿Rt/R)とεlとの比((⊿Rt/R)/εl)。(日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」より)

横浜画像通信テクノステーション(よこはまがぞうつうしんてくのすてーしょん)

正式な会社名は「株式会社横浜画像通信テクノステーション」(略記:YTSC)。住所は神奈川県横浜市神奈川区新浦島町1-1-32 ニューステージ横浜1階。品質マネジメントシステムISO 9002の認証をJSA(日本規格協会)で取得していた(2001年現在)。「高度画像通信の研究開発を支援する」として1994年頃に設立した。 計測器レンタルとして通信計測器に特化した品ぞろえを行った(アンリツからの出向者など、人的な支援があった)。1990年頃に普及したISDNに対応したアドバンテストのD5111R、D5112AなどのISDNプロトコルアナライザなども揃えていた。1990年代から2000年代にかけては携帯電話のデジタル化や光海底ケーブルの新設など、通信インフラの拡充があり、高額な通信計測器のレンタルは大きな売上が見込めるビジネスだった。 会社は2006年9月30日に解散した様子で、いまとなっては概要不明である。毎年、総務省が発行する通信白書(「情報通信に関する現状報告」、略記:情報通信白書)の平成8年版には「通信・放送機構の出資により設立された(株)横浜画像通信テクノステーションは、NHKと共同で平成7年にMPEG-2確認実験を行い、MPEG国際標準化会合へ寄与文書を提出した」旨の記述がある(平成6年版の通信白書にも横浜画像通信テクノステーションのMPEGに関する記述がある)。また、NICT(国立研究開発法人 情報通信研究機構)の決算書類には「平成17年度までは横浜画像通信テクノステーションを連結対象としていた」旨の記述がある。同社は単に「アンリツがつくった計測器レンタル会社」という訳ではないようである。 同社の設立背景がどうだったかはさておき、1995年頃の同社は「アンリツからの人的支援があり、アンリツを中心とした通信計測器をラインアップする」、「通信計測器に特化したレンタル会社」だったのは事実である。約10年間、通信計測器専用レンタル会社として存在し、消えた、(いまとなっては)幻の計測器レンタル会社である。

4K(よんけー)

映像における画面解像度(細かい部分まで精細に表示できる度合)で、4Kテレビの画面は横に3840画素、縦に2160画素あり、従来のテレビより高精細である(4Kはフルハイビジョンの4倍の画素数)。4Kを正確に記載すれば「3840x2160」だが、横の画素数が約4000であることから4Kと呼称される(4Kの出現によってフルハイビジョンは2Kと呼ばれるようになった)。2021年の東京オリンピックを契機に4Kテレビ導入が促進された。4Kの次世代といわれるのが8Kで、4Kのさらに4倍、2Kの16倍の画素を持つ、8000×4000=3200万画素級の超高精細映像である。 参考記事:~8Kで目覚める、新しい世界~映像機器の開発を支えるアストロデザインのビデオ信号発生器 参考記事(会員専用):市場動向レポート「テレビ放送の最前線と計測器」2014年9月号 TechEyes Vol.07

48V電源(よんじゅうはちぼるとでんげん)

48Vの直流(DC)電源のこと。一般に電子機器はDC駆動だが、商用電源(コンセントの電気)は交流(AC)のため、電子機器は内部の電源回路でACからDCを作るか、PCのACアダプタのようにACをDCに変換するコンバータが外部に必要となる。通信機器の多くはDC48V駆動が多く、NTT局舎も装置には48Vを供給する電源装置や配線がある。計測用電源の大手メーカ、高砂製作所HPには「通信機器駆動用」というタイトルで「-48V直流電源」が掲載されている。自動車の電動化で、従来の鉛蓄電池(12V)を高圧化するのに、日本メーカは数百Vにしているが、ドイツを中止にEUでは48V(LV14規格)の採用が進んでいる。IoTで流行りのビックデータを扱うデータセンターでは近年、直流給電で電力ロスを減らす方策が報じられている(サーバもAC駆動でなく、DC駆動の製品が増えるかもしれない)。

4出力電源(よんしゅつりょくでんげん)

1台で出力数4chの多出力直流電源。

4端子対法(よんたんしついほう)

(4-terminal pair method)LCRメータなどの交流インピーダンス測定では試料(DUT)との接続方法は4端子法(ケルビン接続)が一般的である。4端子法の配線にシールドを加えてシールド導体はガード端子に接続し、4端子法では測定できない高インピーダンス(10kΩ~10MΩ)に対応したのが5端子法だが、シールドケーブルのシールド側を利用して電流の往路と復路を重ねたのが4端子対法である。4端子対法は磁束の発生を抑えて電磁誘導による影響をなくす効果がある。 参考記事: LCRメータの基礎と概要 (第2回)の2ページ目・・試料との接続方法を図解。

4端子法(よんたんしほう)

(four-terminal method) 一般にテスタなどで抵抗を測定する場合は2本の線でDUTに接続する(2端子法と呼ぶ)。ただし、抵抗値が小さい場合は接続ケーブルの抵抗分などが測定値に影響して大きな誤差になるため、4本の線で接続する。これを4端子法(または4端子測定法、4端子接続、4線接続)と呼ぶ。別名:ケルビン接続。電圧測定線(2本)と電流測定線(2本)を用意して4本の接続線で測定を行う。LCRメータなどのインピーダンス測定器は4端子法を採用している。 信号をDUT(試料)に印加するケーブルと測定するケーブルを別にすることによって、ケーブルによる電圧降下や接触抵抗の影響を除き、低インピーダンスの測定を1Ω程度まで可能にしている。しかしケーブル間の浮遊容量の影響は残るため10kΩ以上の高インピーダンスの測定は不向きである(5端子法により高インピーダンス測定が可能になる)。 参考記事: LCRメータの基礎と概要 (第2回)の2ページ目・・試料との接続方法を図解。

4-20mA(よんにじゅうみりあんぺあ)

アナログ出力の規格で、電流出力の範囲が4mA~20mAの範囲で出力される方式こと。計装用機器の標準アナログ出力として採用されている。計測器のアナログ出力は4-20mAになっているモデルが多い。計測器のアナログ出力を記録計(ペンレコーダなど)に入力して、紙に印字する場合、計測器のレンジのフルスケールに対応して4~20mAが流れる。そこで記録計の設定を4~20mAにしておくと、適切な大きさで描画することができる。 現在の計測器はデジタル全盛の時代であるが、計装など、プラントの現場では、アナログ値を紙に印刷して確認することが多い。たとえば新幹線の開通の為の試運転・試験では、振動や騒音などの計測データを記録計に入力して、試験中に紙に印刷し続け、検査員は気になる箇所に印をつけて試験が行われた。現在はだいぶ電子化され、デジタルデータをメモリに蓄積するメモリレコーダ が主流になったが、紙に印刷されていく波形を検査員が目視で確認する手法は、一番合理的で間違いのない確かな試験方法と考えられている。 印刷できることを最大の特徴とするエー・アンド・デイ(旧三栄測器、日本アビオニクス)の記録計、オムニエースは、現在でもメモリレコーダとしてシェアを確保している。工業計器メーカの雄、横河電機の記録計がペーパーレス(印刷機能が無い)で、通信機能によって記録計からデータを収集することを大きな特徴にしていることとは正反対である。計測器はアプリケーションによって同じカテゴリでも(たとえば同じ記録計といっても)、機能が大きく異なることがある例といえる。 参考用語:0-10mV 参考記事(会員専用):【展示会レポート】スマートエネルギーWeek春展(FC EXPO/二次電池展/スマートグリッドEXPO)の3ページ目・・従来はアナログ出力しかなかったのに出力方式を増やした例。

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