計測関連用語集

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アイソレーション(あいそれーしょん)

(Isolation)電気信号を絶縁することをアイソレーションといい、信号源のコモンがグランドの電位と異なる場合の測定に必要。信号コモンとグランド電位の差(同相電圧)が小さい場合は差動入力でも測定可能だが、電位差が100 V以上ある時には過大入力になるので測定できない。この場合アイソレーションアンプなどを用いるが、FFTアナライザはアンプ、アンチエリアシングフィルタ、AD変換器までのアナログ入力部を各チャンネル毎にフォトカップラでシャーシグランドからアイソレートさせて対応させている。このためデジタル回路とアナログ回路が絶縁されているので、グランドループの除去または信号源のコモンとの接続を排除したい場合にも有利である。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より)

位相スペクトル(いそうすぺくとる)

(Phase Spectrum)周波数の関数としての位相表示には主として、1チャンネルの位相スペクトル、2チャンネル間の位相差の2種類がある。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より。詳しい数式は小野測器のHP参照。)

インパルス応答(いんぱるすおうとう)

(Impulse Response)FFT解析関連で使われる用語。線形系に単位インパルスδ(t) を加えたときの系の応答h(t)をインパルスレス応答という。インパルス応答は系の特性を時間領域で表現したもので、これに対し、周波数領域で表現したものが 周波数応答関数であるといえる。系のインパルス応答がわかっていれば、その系にx(t)が入力されたときの出力y(t)は、畳み込みの演算によって求めることができる。小野測器のFFTアナライザでは、周波数応答関数を逆フーリエ変換してインパルス応答を求めている。別名:インパルスレスポンス。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より)

ウィグナー分布(うぃぐなーぶんぷ)

(Wigner Distribution)FFT解析関連で使われる用語。量子力学の分野において、E. Wigner により提唱されたもので、非定常信号に対して拡張されたパワースペクトルというような性質をもつもの。従来のFFTでは時間分解能―周波数分解能が相補的な性質(周波数分解能を上がるとサンプル時間が長くなる。)を有しているため、非定常的な信号の瞬時的なスペクトルを良好な分解能で求めることは困難だったが、これに対しウィグナー分布では時間分解能―周波数分解能の相補的な制約を直接受けないため、周波数―時間平面上でパワースペクトルの良好な時間―周波数分解能を得ることができる。しかしながら、計算点数がFFTと比較して非常に多いことから、実用的ではなかった。小野測器のOscope 時系列データ解析ツール(ソフトウェア)のオプション OS-0263 時間-周波数解析ソフトを使用するとウィグナー分布の解析ができる。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より)

ウインドウ(ういんどう)

(Window)小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」には次のようにある。別名:時間窓 (Time Window)。FFT処理は、サンプリングされた数値データ系列のうち、ある区間(例えば1024点とか2048点)のデータについて行われるが、このように波形の一部を切取ることをウィンドウ(時間窓)で波形を切取る、またはウィンドウをかけるという。フーリエ変換は無限長のデータを処理することで定義されている。離散的フーリエ変換(DFT)においてもこれは変わらず、FFTアナライザでは、ウィンドウで波形を切取ると、その区間の波形が無限に繰返されるという仮定で信号解析を行う。このとき解析データ長(ウィンドウの長さ)がそれぞれの周波数の周期の整数倍になっていれば、FFTアナライザで仮定された波形は実際の入力波形と一致し、単一のラインスペクトルが得られる。ところが解析データ長が周期の整数倍と一致していない場合(周波数分解能にあてはまらない場合で、始端と終端がつながらない)は、ひずんだ波形を処理することになり、そのスペクトルはパワーが集中しないで、左右に広がり(サイドロープ)が生じてしまう。このパワーの漏れをリーケージ誤差と呼んでいる。そこでこのリーケージ誤差を防ぐのが、ウィンドウ処理になる。フレームの両端がゼロとなるような山型の関数をフレームに掛合せれば、始端と終端がつながり誤差が少なくなる。このような関数をウィンドウ関数と呼び、ウィンドウ関数により解析信号を同期させる処理のことをウィンドウ処理という。その結果、スペクトルの形はラインスペクトルに近づいている。ウィンドウとして代表的なものがハニングウィンドウだが、その他解析信号に応じてそれぞれ適したウィンドウを使用する。

エネルギースペクトル密度(えねるぎーすぺくとるみつど)

(Energy Spectral Density)打撃法などによるインパルス状の有限なエネルギーに対し、これをエネルギーで規格化して表示したもの。 エネルギースペクトル密度はパワースペクトル密度に取り込み時間(ウィンドウ長、T=1/⊿f)をかけることにより求められる。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より)

FFT(えふえふてぃー)

Fast Fourier Transform の略 (=高速フーリエ変換)。

FFTアナライザ(えふえふてぃーあならいざ)

信号波形を高速フーリエ変換(FFT)し、横軸を周波数、縦軸をレベルとして表示する測定器。主に音響・振動などの低周波数信号の解析に使用される。周波数成分ごとのパワーを測定する測定器だが、スペクトラムアナライザとは原理も用途も異なる。FFTアナライザはDC~100kHz程度の周波数解析が得意。スペアナはDCから測定可能な機種はほとんど無く低周波は苦手、RF帯域の周波数測定に使われる。

オーバーオール(おーばーおーる)

(Overall Value)小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」には次のようにある。分析周波数レンジまでのパワーの総和のこと。オーバーオール値の算出は測定器の機種によって2つある(詳細は小野測器HPを参照)。1. 片振幅値(Peak 値)を基準としている場合(同社モデル:CF-350/360*、CF-900 シリーズ*、CF-880* 等)。2. 実効値を基準としている場合(同社モデル:CF-5000 シリーズ*、CF-3000 シリーズ*、DS-2000 シリーズ* DS-3000シリーズ)(*:販売終了)

オーバーラップ処理(おーばーらっぷしょり)

(Overlap Processing)小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」には次のようにある。リアルタイム解析周波数以下の場合ウィンドウをオーバーラップして、FFT 解析を実行できる。例えば1024点ごとのデータをFFT 処理するが、このとき新しくサンプリングされたデータと以前のデータと重ねて(オーバーラップして)FFT 解析を 実行する。オーバーラップ量が大きいということは、それだけ信号時間の変化をより細かく計測できることになる。

オービット(おーびっと)

(Orbit)2つの信号を直交するx軸・y軸上で合成した図形をオービットまたはリサジューといい、2信号の振幅、周波数比、位相差の組合せによって視覚的な特長を示す。周波数比が整数のときには描かれる図形の軌跡は一定の周期で元に戻る。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より)

オクターブ分析(おくたーぶぶんせき)

(Octave Analysis)パワースペクトルが分析周波数を一定の幅に分割して(定幅型)各帯域毎のパワーを表すのに対し、音響分野での周波数分析器では周波数軸を対数スケールにとり、対数スケール上で等分に分割する定比幅の帯域フィルタを通過させることにより、周波数分析を 行う場合が多くある。帯域幅は1オクターブ幅および1/3オクターブ幅が一般的で、このような分析をオクターブ分析という。IEC 61260(JIS C 1514)の規格では、オクターブバンドの中心周波数、およびフィルタ特性が定められていて、アナログまたはディジタルのオクターブ分析器はこれに統一されている。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より。詳しい数式は小野測器HPを参照。)

音響インテンシティ(おんきょういんてんしてぃ)

SI(Sound intensity)または AI(Acoustic intensity)のこと。音場のある点を含む単位断面積を単位時間内に通過する音のエネルギーで、その点の音圧(時間の関数) と粒子速度 の積の時間平均で定義されるベクトル量。SI測定法の応用例をいくつかあげる。(1) 音源のパワーレベル測定:音源を中心とする半球面で、球面と直交する方向にて、分割された面積における音響インテンシティの測定から、音響パワーが算出される。(2) 遮音測定:SI法によって部位ごとに透過パワーを測定することにより、複数の部位からなる壁の遮音性能や隙間からの漏音の程度を定量的に測定できるので、現場での遮音測定に有効である。(3) 音場解析:SI値はベクトル量であるから、音の伝播方向と大きさを2次元、もしくは3次元表示することにより、音のエネルギー流を視覚化して捉えることができる。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より。詳しい数式は小野測器HPを参照)

カーブ・フィッティング(かーぶふぃってぃんぐ)

(Curve Fitting)機械などの構造物の動的特性の測定では、通常、構造物にハンマーでインパルスを加えて得られるインパルス応答を、FFTで処理して系の伝達関数を求めている。しかし、FFTを用いた伝達関数は、有限の等間隔周波数分解能をもつ離散値データであるため、振幅曲線が急激に変化する固有振動数付近では測定点が非常に少ない。そのため、これから求めたナイキスト線図は理想的な円軌跡とはならないので、正しいピーク値、固有振動数などのモーダル・パラメータを得るためには、この等間隔データ間を補間しながら計算する、曲線あてはめ(カーブ・フィット)が必要である。カーブ・フィッティングと呼ばれる手法は、伝達関数の解析式を想定し、この式中の固有振動数、減衰比、振動モードなどのモーダル・パラメータを適当な値にすることにより、実測された伝達関数とモデルの伝達関数をできるだけ近似させるようにするものである。これは、モーダル解析において、構造物の動的応答を理論的に決定づけるものである。実際のカーブ・フィッティングでは、まず測定して得られた離散系の複素伝達関数の実数部と虚数部を用いて、複数個の点をナイキスト線上にプロットする。次に、これらの点との誤差が最小になるような、理論上のナイキスト線図を算出し、このナイキスト線図から改めて伝達関数を計算して求め、測定した伝達関数にこれをフィットする。測定された伝達関数のカーブ・フィッティングには、主として2つの方法が用いられる。各振動モードのピークが離れていて、相互に影響を及ぼさない場合には、1自由度系のカーブ・フィット(SDOF:Single-Degree-of-Freedom curve fit)が使われる。一方、隣接する振動モードの特性が互いに重なり合った場合には、多数の振動モードの影響を考慮する必要があり、伝達関数を解析的に表現している多数のモーダル・パラメータを、測定された伝達関数に同時に適合させる計算アルゴリズムが要求される。この方法は、多自由度系カーブ・フィット(MDOF:Multi-Degree-of-Freedom curve fit)と呼ばれている。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より)

回転次数比分析(かいてんじすうひぶんせき)

(Rotational Order Ratio Analysis)小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」には次のようにある。回転次数比分析とは、回転機械の振動や騒音の周波数分析を行う場合、回転体に取付けたパルス発生器のパルスを外部サンプリングクロックとして、信号のサンプリングを行う方法である。周波数分析で、1 Hzは1秒間に1周期を完了する成分だが、これに対して回転次数比分析で回転1次とは、基準とする回転体の1回転について1周期を完了する成分をいう。回転2次は1回転について2周期を完了する成分で、回転1次の2倍となる。このように1回転当りの変動を基準とする分析を行うためには、回転数に同期したサンプリングを行う必要がある。内部サンプリングクロックそのままでは、回転速度が変化すれば1回転当りのサンプリング点数は変わってしまうが、回転パルスに同期したクロックをサンプリングクロックとした場合には、1回転当りのサンプリング点数は常に一定となる。例えば、600 r/minで回転している回転体ならば、回転1次は(600 r/min)/60 =10 Hz、回転2次は20 Hzとなる。回転速度が上昇して700 r/minになると、回転1次は11.7 Hz、回転2次は23.3 Hzに上がる。このように周波数は回転速度の変化に伴って変動してしまうが、次数として正規化すれば、回転変動による影響を受けず、ある成分に着目することも容易となる。

回転トラッキング分析(かいてんとらっきんぐぶんせき)

(Rotational Tracking Analysis)回転次数比分析の応用として、回転トラッキング分析がある。回転トラッキング分析は、ある次数成分の振幅の変化を回転速度を横軸のパラメータとしてトレースすることによって、ある回転速度に対して、回転機器のどのコンポーネントが共振しているのか、あるいは回転速度の何倍(何次)の成分が共振しているのかを見極めるもの。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より)

開ループ・閉ループ演算(かいるーぷへいるーぷえんざん)

(Open-Loop/Closed-Loop Operation)測定した開ループおよび閉ループ伝達関数はそれぞれ演算により閉ループ、開ループ伝達関数にすることができる。フィードバック要素がない場合、得られた開ループ伝達関数をG0とすると閉ループ伝達関数GCは、GC=G0/(1+G0)。得られた閉ループ伝達関数をGCとすると開ループ伝達関数G0は、G0=GC/(1-GC)となる。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より)

逆フーリエ変換(ぎゃくふーりえへんかん)

(Inverse Fourier Transform)時間軸信号(時間関数)をフーリエ変換するとフーリエスペクトル(周波数関数)になる。反対にフーリエスペクトルを時間軸信号にすることを逆フーリエ変換という。時間軸信号の相関である自己相関関数と、フーリエスペクトルの自乗であるパワースペクトルの間も、同様にフーリエ変換と逆フーリエ変換の関係になっている。さらに、クロススペクトルの逆フーリエ変換は相互相関関数、周波数応答関数の逆フーリエ変換はインパルス応答となる。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より)

クロススペクトル(くろすすぺくとる)

(Cross Spectrum)クロススペクトルは2つの信号のスペクトルの、ある周波数成分どうしを掛合わせたうえで平均したもの。クロススペクトルが、ある周波数で大きな値を示しているということは、その周波数においては2信号の周波数成分どうしの相関が大きい上に、両者の成分の大きさも大きいということを意味している。クロススペクトルは、相互相関関数、伝達関数、コヒーレンス関数の計算に用いられる。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より。数式は小野測器HPを参照。)

ケプストラム(けぷすとらむ)

(Cepstrum)フーリエ変換によって求められたパワースペクトルの対数値をさらにフーリエ変換したもの。ケプストラムの横軸はケフレンシーと呼ばれる時間の次元の値をとる。ある系に入力される信号が周期性を持ち、その周期が長いとき、その周期が長ケフレンシー部の線ケプストラムになって現れ、基本周期として抽出することができる。また短ケフレンシー部には系の伝達特性を表す情報が集中し、この部分を逆フーリエ変換することにより、対数パワースペクトルのエンベロープ(包絡線)が求まる(リフタードエンベロープ)。このエンベロープは系特有のもので入力信号のスペクトルには依存しない。応用として、音声波、生体波などからの基本周波数およびスペクトルエンベロープの抽出などがある。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より)