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計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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IR(あいあーる)

赤外線の略記。赤外線の英語、InfraRed(赤の下)の略記。 IRメータだと、Insulation Resistance(絶縁抵抗)の測定器、つまり絶縁抵抗計のことだが、一般にIRは赤外線の略記のほうが有名。 計測器以外ではIRといえば、Investor Relations(インベスター・リレーションズ):企業が株主や投資家向けに経営状態や財務状況、業績の実績、今後の見通しなどを広報するための活動。Integrated Resort(統合型リゾート):国際会議場や劇場、展示場、ホテル、ショッピングモールなどの複合施設(ただし2020年現在、「カジノ」がニュースなどで話題になっている)。

IRSP CAL(あいあーるえすぴーきゃる)

(Internal ReSPonsive Calibration)非接触温度計(サーモグラフィ、放射温度計)関連の用語。内部基準黒体と基準室温黒体によって行うセンサの感度補正。ほかに外部黒体などを使うERSP CAL (External ReSPonsive Calibration)がある。関連用語:REF CAL 。(日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」より)

IRメータ(あいあーるめーた)

絶縁抵抗計、エレクトロメータの別名。IR(Insulation Resistance、絶縁抵抗)を測定するメータ。能動部品の生産現場でこの呼び方がされる。2019年1月にエーディーシーから「4000/IRメータ(形名/品名)」が発売された。IRメータという名称は、計測器の品名ではエーディーシーが初めて使用した。同社がエレクトロメータの老舗で、電子部品メーカに強いことを伺わせる。日置電機の絶縁抵抗計の現役モデルはIR4054など、形名の頭2文字はIRである。同社の形名は以前は数字4桁だったが、ある時期から新製品は、頭にアルファベット2文字をつけ機種群の区分を整備するようになった。以前の製品は「3355 Iorリークハイテスタ」などだが、最近は「IR3455 高電圧絶縁抵抗計」というような形名である。屋外で使用する可搬型のメガーなど、現場測定器のラインアップが多い日置電機(や共立電気計器)の品名は「絶縁抵抗計」で、SMUをラインアップして半導体デバイス顧客に強いエーデイーシー(やケースレー、キーサイト・テクノロジー)は「エレクトロメータ」である。両者は市場やアプリが違い、品名も異なるが、日置電機もエーデイーシーもIRは使っている。

IIFES(あいあいふぇす)

一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)や一般社団法人 日本電気制御技術工業会(NECA)、日本電気計測器工業会(JEMIMA)が主催し、「計装寄りの計測器」が出展される展示会。国内外の電気計測器メーカが出展する場として、長らく東京と大阪で隔年の秋に開催されてきた歴史ある「計測展」が、東京の展示会名を2019年からIIFES(※)に変更した。大阪での名称は「計測展OSAKA」である。2020年は新型コロナウイルスの感染拡大で中止になり、2022年1月に再開された。2023年は大阪でも開催せず、2024年1月に東京ビッグサイトでIIFESは開催された。次の東京開催は2026年ではなく2025年11月になった(2019年までの11月開催に戻った)。 キーサイト・テクノロジー、テクトロニクス、アンリツなどの大手電気計測器メーカはだいぶ以前から不参加だが、2025年の計測器は以下の安立計器~横河計測までの19社である(会社名の順に記載。筆者の見落としがあればご容赦いただきたい)。今回はPico TechnologyがUSBオシロスコープ、日置電機がパワーアナライザ(新製品)を展示したので、計測器に着目しているTechEyesOnlineは2社を取材し、その他の11社を写真で紹介した。 IIFESは汎用オシロスコープ(スタンドアロン)が1台も出展されない展示会になった(以前の「計測展」の見る影は無い)。サブタイトルは「オートメーションと計測の展示会」で、オートメーション(工業計器)が主、計測は計装分野のメーカが(温度測定などで)かろうじて参加している。そのため冒頭の説明で「計装寄りの計測器」と書いた。2025年を見る限り、デジタルマルチメータやスペクトラムアナライザ、電源などの電気計測器の主力製品はまったく出展されていない。 安立計器(温度計、温度ロガー) エーアンドデイ(水分計など) 岡崎製作所(温度センサ) 小野測器(振動計、厚さ計) クローネ(SIKAの温度校正器) 新コスモス電気(ガス検知器) チノー(サーモグラフィほか) 東亜ディーケーケー(水質計など、プラントの監視向け分析計) 鶴賀電機(耐圧試験機、メガーなど) ハイクマイクロ(中国、サーモグラフィほか) Pico Technology(英国、USBオシロスコープ) 日置電機(モータの評価器機:パワーアナライザ、メモリーハイコーダ、部分放電検出器など) 富士工業(超音波粘度計など、超音波を使った測定器) ベーカーヒューズ(Druckの圧力測定器、Panametricsの流量計、水分計) 理化工業(無線温度センサ、温調計) 理研計器(ガス検知器) 八洲貿易(AMETEKの温度校正器) 山里産業(温度センサ) 横河計測(YOKOGAWAグループのブース内でプロセスキャリブレータ他を展示。オシロスコープやデジタルパワーメータではない) エムジー(工業計器:PLCやテレメータなど) 東邦電子(工業計器:温調計など) (※)IIFESホームページには以下の記述がある。 展示会の正式名称IIFES(アイアイフェス)は、「Innovative Industry Fair for E x E Solutions(イノベーティブ インダストリー フェア フォー イー バイ イー ソリューションズ)」の略です。「Innovative Industry Fair」は先進性や創造性に富んだ産業展示会であること、「E x E Solutions」のEはElectrical、Electronic、Engineeringといった電機・計測、工業を連想する言葉を、xはEで表される関連分野の技術がシナジー効果を起こす姿を表し、新たな価値づくりにつながる策(Solutions)が得られることを表現しています。 【編集後記】展示会取材の裏側(3)・・IIFES2022の取材裏話。

IACS(あいあっくす)

International Annealed Copper Standardの略。電気抵抗(電気伝導度)の基準となる国際的な焼鈍標準軟銅。百分率の%IACSが単位として良く使われる。

IEICE EXPO(あいいーあいしーいーえきすぽ)

一般社団法人 電子情報通信学会は英語表記「The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers」の頭文字をとったIEICEを略称にしている。その名の通り「電子、情報、通信」の3分野を扱う学術団体。1911年(明治44年)に逓信省に設置された研究会が元になったといわれている。電気学会(IEEJ)、情報処理学会、照明学会、応用物理学会(JSAP)、映像情報メディア学会を含めて、電気系6学会と呼ばれる。 IEICEは3月に発表・講演会である総会(General Conference)を行うが、これを「総合大会」と呼んでいる(※)。他の学会同様に学会に参加する先生たちの所属する大学で行われる(都心と地方の大学を順番に回っているようである)。イベントとして展示会が併設され、10~20社程度の企業展示がある。これがIEICE EXPOと呼ばれるイベントである。IEICEのホームページでは、たとえば「IEICE EXPO 2025 東京(企業展示)」のタイトルで出展社を掲載している(2025年3月現在)。 IEICEが主催し、毎年11月末頃にパシフィコ横浜で開催されるMWE(Microwave Workshop&Exhibition、マイクロウェーブ・ワークショップ)にもマイクロウェーブ展があり、IEICE EXPOはそのミニ版といえる。計測器メーカとしては通信御三家のキーサイト・テクノロジー、ローデ・シュワルツ、アンリツに加えて、キャンドックスシステムズやテクノプローブなどが常連の参加社である。各企業とも馴染みの先生方との長年のお付き合いがある。 IEICE EXPO 2025(3/24~27開催)は東京都世田谷区の東京都市大学(旧 武蔵工業大学、通称「ムサコウ」)で催され、主な参加社と展示は以下である(製品やサービスを展示した17社の中の11社を概説)。常連の出展社から筆者が聞いた話では、2025年の出展社は通年よりも多いらしい。IEICEはMWEという大きなイベント(講演会&展示会)があるので、IEICE EXPOは大学で開催するミニ展示会である。NWEのような学会主催の展示会は他にはなく、IEICE EXPOと同じ3月に開催される応用物理学会のJSAP EXPOには約150社、電気学会の「電気学会 全国大会 附設展示会」には約40団体が出展し、中~大規模の展示会となっている。 ・キーサイト・テクノロジー:USB計測器のVNA、FieldFox(フィールドフォックス)。 ・ローデ・シュワルツ:スペクトラムアナライザ、高分解能オシロスコープ(最新の8chモデル、いわゆる多チャンネルオシロスコープ) ・アンリツ:人材採用展示コーナで、製品展示はしていない。人事総務部 人財開発チームが説明。 ・(株)キャンドックスシステムズ:カプラやアンテナ。 ・(株)テクノプローブ:RFのプローバ関連製品(RF Probe Headなど)。 ・丸文(株) アントレプレナ事業本部 イーリスカンパニー 情報通信課:EXFOのOLTSと「ファイバー検査スコープ」(光コネクタなどの端面を検査できるハンディモデル) ・有限会社ハイテクアンドファシリティ:RFの計測器を展示。中古計測器の販売と、計測器の修理を業務とし、2001年に設立(本社:千葉県市原市)。 ・リゴル:オシロスコープ、AWG。前週の3/17まで開催されたJSAP EXPOと同じ展示品を「電気学会 全国大会 附設展示会」、IEICE EXPOに順番に持ってきている。 ・T&Mコーポレーション(株):Siglent Technologies(シグレント、新興の中華系オシロスコープのメーカ)のオシロスコープやスペアナほか。令和7年が初参加の輸入商社。 ・ハイソル(株):半導体製造の後工程の機器(JSAP EXPOに出展した中から、ごく一部を展示)。理化学機器や計測器の輸入商社。今回が初参加だが、展示品はJSAPほどフィットしなかった様子。 ・テガラ(株):科学技術計算用のHPC(High Performance Computing)製品。本社は静岡県浜松市。 Ansys(アンシス)のサイバネットシステム(株)やComsol(コムソル)の計測エンジニアリングシステム(株)などシミュレーションソフトの取り扱いメーカも出展しているが、今回の目玉はFlexcomputeである。最近開発されたGPUベースのシミュレーションで、従来のCPUベースより格段に高性能で、スーパーコンピュータよりも計算速度が速いらしい。米国のボストンにプラットフォームがあり、依頼すると有料で計算ができる。製品(シミュレーションソフトウェア)の販売はしていない(ソフトを動かすためのハードウェア構築には億円単位の投資が必要になるため)。会社はエヌビディアのチップを使っているが、単にGPUを使えばできるということではなく、アーキテクチャにノウハウがあり、容易には真似できないらしい。電磁界解析のTidy 3Dや流量解析モデルがある。昨年、韓国のサムスンは副社長が「すべてFlexcomputeに変える」ように指示した。TSMCも導入した。「日本の大学へも今日のようにPRしているが、日本企業は判断が遅いので世界の流れに取り残されないか危惧している。従来のCPUベースのシミュレーション製品は遠からず淘汰されてなくなるだろう。」という、大変自信に満ちた説明だった。 (※) 学会によって発表・講演会の名称は異なる。IEICEは「総合大会」だが、電気学会は「全国大会」、JSAP(応用物理学会)は「学術講演会」である。名称に規定はないので、各学会は自由に(先生方は好き勝手に)名称を決めている。また電気学会の全国大会には併設展示会(電気学会 全国大会 附設展示会)があり、JSAPの学術講演会にはJSAP EXPOが開催される。IEICE EXPO、附設展示会など、展示会名称も様々である。

IEC(あいいーしー)

(International Electrotechnical Commission) 日本語では「国際電気標準会議」。電気・電子工学の規格を策定している国際機関。 たとえば規格名称のIEC 60xxx(6万台の番号)はEMCなどの電磁関連。多くの計測器の仕様に「IEC 60xxx-x(20xx年改訂版)に対応」などの記述がある。あまりにも規格の種類が多いので、それらすべてに精通するのは困難である。

IEC 61850(あいいーしーろくいちはちごーまる)

IEC(国際電気標準会議)が規定した、変電所の高機能電子デバイスの通信プロトコルの規格。変電所の自動化システム、保護継電器システム、監視制御システム、給電・制御システムなどに適用される。保護制御や自動化システムでの通信を標準化しているため、電力システムのスマートグリッド化を促進し、変電所だけでなく発電所や配電系の自動化などにも導入される。 IEC 61850の規定によって、従来はアナログだった伝送方式がデジタル化される。日本では電力中央研究所が研究を行い、従来のアナログ機器を設計・製造してきた東北電力グループの通研電気工業(株)がデジタルの伝送装置(IEC 61850アダプタ)を製品化した。 IEC 61850は一般社団法人 電気学会(IEEJ)の第133回テーマとして論じられている(2022年4月)。2025年3月の電気学会 全国大会では3/20のシンポジウム講演で富士電機がIEC 61850について発表している。同社と(株)第一エレクトロニクス、不二電機工業(株)などは共同で通信インタフェースユニットやトランスデューサを製品化し、2025年の「電気学会 全国大会 附設展示会」に出展している。前述の通研電気工業も製品を展示している。これから全国の各電力会社に通研電気工業製品の導入が開始されることを見込んでいる。

IETF(あいいーてぃーえふ)

(Internet Engineering Task Force) インターネット技術の標準化を推進する任意団体(NPO法人)。ネットワークにつながる機器の相互接続のための技術仕様を議論するグループから発展したといわれる。企業ではなく個人で登録し、WG(ワーキンググループ)に参加して議論することができる。 インターネットの円滑な運営を支えるための組織である、一般社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンターのHPには「1992年に組織化された、インターネットガバナンスの頂点に立つ学会機関であるISOC(Interet SOCiety)の下にIETFが属している」旨が明記されている(2024年11月現在)。IETFがインターネットの技術的な側面の議論検討を行うのに対して、社会学的側面や経済的側面からインターネットに関する課題や問題の解決を行うためのISTF(Internet Societal Task Forse)という組織もISOCにはある。 VoIP(Voice over IP、インターネットを使った音声通信技術)で使われるシグナリングのSIP(Session Initiation Protocol)はIETFが標準化した。

IEPE(あいいーぴーいー)

(Integrated Electronics Piezo-Electric) 直訳すると「統合エレクトロニクス圧電」。振動センサの1種。振動計の中で最もよく使われる。圧電素子(ピエゾ素子)を使い、加速度を電圧で出力するセンサ。圧電式加速度ピックアップの内、アンプ内蔵型の物を指す。別名、ICPとも呼ばれる圧電センサ。加速度(振動)や圧力の測定に使われる。マイクロホンにも使われている。 振動計測の国内トップメーカ、リオンは、アンプ内蔵型と電荷出力型の2種類の加速度ピックアップをラインアップしている。一般的に電荷出力型センサはチャージアンプが必要だが、同社の振動計(UV-15やUV-16)はチャージアンプという品名でもIEPEの信号も受けることができる。 物理量計測センサの技術があり、「買ってすぐ使える」計測器がポリシーのイージーメジャー社にはユニークなデータロガー「マルチセンサ入力対応小型高速データロガCCM(Condition Catcher Multi)」がある。振動センサに対応した測定ユニットの形名はCCM-IEPE1で、カタログには「適合センサ:IEPE(ICP)」と書かれている。つまり、アンプ内蔵型加速度センサのことをIEPEと表記している。 リオンの加速度ピックアップPVシリーズのカタログには「アンプ内蔵」という表記はあるが、IEPEやICPなる表現は一切されていない。上記のイージーメジャー意外にもデータロガーメーカは測定モジュールにIEPEの名称がある。メーカによって用語が異なる例といえる。厳密にはアンプ内蔵型とIEPEやICPは違うのかもしれないが、もし違いがあるとしても定義は難しい(メーカは自社の事しか解説しないので、違いは不明である)。

IA(あいえー)

(Industrial Automation) 工場やプラントなどのIndustry(工業、産業)の自動化の総称。IAとは「計装の技術を活用して工場の省人化・省力化・自動化をすること」、「機械やプロセスなどの処理を効率化し、人員の労力を軽減するために、制御システムを導入すること」などと説明される。似たことばにFA(Factory Automation、工場の自動化)やPA(Process Automation、生産工程の自動化)がある。現在では、AI(人工知能)、IoT、DX(デジタルトランスフォーメーション)などの情報技術を活用して、「製造業の事業活動の全体最適を構築する」や、「スマート工場を実現する」、などの謳い文句がFA、PA、IAなどの計装(工業計器)業界で語られている。EMS(エネルギーマネージメントシステム)もIAの手段の1つといえる。 IAというとIndustrial Attachment(工業用添付ファイル)を指すという説明もある。本稿は計測関連の用語集なのでIAは「工業・産業の自動化」だが、一般には以下のような意味の方がメジャーである。 ・WEBサイトの設計やプログラムではInformation Architecture(インフォメーション・アーキテクチャ)やInformation Architect(インフォメーション・アーキテクト)の略記。 ・SAP(エスエーピー、「経営の効率化や意思決定の迅速化」のために企業で導入されるITソリューション)ではIntelligent Automation(インテリジェント・オートメーション)の略記。 DCSなどで、計装の国内最大手である横河電機は「製造業のIA:Industrial Autonomy、産業・工業の自律化。工場の設備や操作自体が学習し、適応する機能を持つようになること。」を提唱している。同社は2021年4月に「プラントの自律制御に向けた5Gを活用した実証実験」など、IA2IA(Industrial Automation to Industrial Autonomy、自動化から自立化へ)をNTTドコモと共同でプレス発表している。 つまり、IAは自動化というのはもう古くて、いまは自立化が最先端(はやり)の用語、ということだが、横河電機以外ではIA = Industrial Autonomyという解釈は見当たらないので、同社が他社と差別化を図るための用語(業界で認知された正式な用語ではなく、単なる方言)といえる。ともあれ、IA = Industrial Automationは、現在ではあまり使われない、過去の用語(古いことば)になったのかもしれない。

IATF 16949(あいえーてぃーえふいちろくきゅうよんきゅう)

IATF(International Automotive Task Force 国際自動車産業特別委員会)が作成した、自動車業界の品質マネジメント規格。審査によってこの規格に適合したサプライヤから各自動車メーカは部材を調達するのがIATF 16949認証制度。認証制度は欧米の自動車メーカ9社と自動車産業5団体で運営される。

ISMバンド(あいえすえむばんど)

(ISM band)RF、マイクロ波などの無線周波数の電波を通信以外の工業、医療などの分野で使うこと。ITU(国際電気通信連合)によって周波数帯が確保されているが、運用は国ごとに違っている。ISMはIndustrial,Scientific and Medicalの略。なので「ISMバンド」を直訳したら「産業・科学・医療用バンド」。代表例はマイクロ波による加熱(いわゆる電子レンジ)である。 日本での事例としては電子レンジ(2.4GHz)、ワイヤレス給電(6.8MHz、920MHz、2.4GHz、5.7GHzなど)など。 ISMは無線通信の周波数なので、計測器としては27MHz、2.4GHz、などの信号発生器や増幅器が、RF/マイクロ波の高周波計測のメーカから「ISM用途」、と銘打って発売されている。つまりISMバンドに関連する計測器のカテゴリーは無線通信である。

ISO(あいえすおー)

(International Organization for Standardization) 日本語では「国際標準化機構」。スイスのジュネーブにある非政府機関で、ISOが作成した規格のことを指していることもある(ISO規格とも呼称する)。規格は「ISO xxxx(xは数字)」のように表記され、ISOはすでに日本語といえる(国際標準化機構よりもISOという表現が大変よく使われる)。 ISOが策定した規格の代表例として、ISO 9000は品質マネジメントシステムとして多くの製造業の会社に導入されている。ISO 9000の認証を取得すると、海外への輸出などに有益である。ISO規格は翻訳されて、日本ではJIS 規格になっている。IEC (International Electrotechnical Commission、国際電気標準会議)の策定した規格と合わせてISO/IEC 9000と表記されることもある。 読み方は「いそ」や「あいそ」もある。英字のI(あい)S(えす)O(おー)を、その通りに発音した「あいえすおー」が無難であると筆者は思う。“普通は「いそ」か「あいそ」と発音し、「あいえすおー」とはいわない”という主張も見かけるが、「いそ」か「あいえすおー」という人が多いと感じる。「あいそ」というのは、わざわざIだけを「あい」、その後をローマ字読みのように「いそ」と読むのは理由があるのか、ISOなどの国際規格に精通している方に、凡人の筆者にご教授いただけると幸いである。 計測器の品質管理(技術的な基盤)である校正の規定はISO 9001(一般校正)が使われているが、最近はISO/IEC 17025による不確かさ付校正が普及した。「ISO 17025校正」と呼称され、エビデンスの校正証明書が重要である。 校正などの規格とは全く違うが、オシロスコープのプローブに光絶縁プローブがあり、主要メーカ(テクトロニクス、テレダイン・レクロイ、ローデ・シュワルツ)の形名には「ISO」が付いている。これは絶縁を意味するアイソレーション(isolation)に由来する。ISOSCOPE(イソスコープ)なる名称の膜厚計もあり、ISOは計測器に良く使われるワードである。

ISO/IEC 17025(あいえすおーあいいーしーいちななまるにーごー)

国際標準化機構(ISO)が作成した、校正機関・試験所に関する国際規格。校正作業を行っている機関(〇〇会社の××標準室など)の能力を認定する基準として使われる。認定マークは校正の品質が国際的に認められた証明となる。ISO/IEC17025の認定は校正機関が認定範囲を決めて監査をすることで取得できる。略して「ISO 17025」と呼ばれることも多い。 計測器の技術基盤である校正の規定について、ISO 9001が長らく使われてきたが、ISO/IEC 17025による不確かさ付校正が普及し(「ISO 17025校正」と呼称)、試験成績書、トレーサビリティ証明書(体系図)の情報が1種類の書類に集約され、それを校正証明書と呼称している。ISO 9001(ISO 17025と区別して「一般校正」と呼称)とISO 17025(不確かさ付校正)では書類が異なるので注意がいる。 ISO 17025の位置づけは「校正・試験を行う機関に要求される業務品質が確立し、技術能力(設備、環境、技術者等)があること」で、その観点で監査が行われる。 ISO(International Organization for Standardization。アイエスオー、イソ、アイソ)は各国の国家標準化団体が集まった組織。IECは国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)。

ISO 9001(あいえすおーきゅーせんいち)

ISO(国際標準化機構)が規定した、商品やサービスの品質向上を目的とした品質マネジメントシステムISO9000シリーズのなかで要求事項を規定しているのがISO 9001で、品質マネジメントシステム監査の基準となる。 計測器の品質管理(技術基盤)である校正についてISO 9001に規定があり、校正作業を行っている機関(〇〇会社の△△事業所、××標準室など)の能力を認定する基準として使われる。認定マークは校正の品質が国際的に認められた証明となる。ISO 9001の認定は、校正機関が認定範囲を決めて監査を行うことで取得できる。校正機関はそのメーカが「製品実現に関わる、品質維持・改善に必要な測定機器の管理の仕組みができていること」を監査する。 ISO 9001では以下の3つの書類がある。 ・試験成績書:校正結果の値(データ)と単位を記載したもの。通常は合否判定(良や不良)が記載される(記載は必須ではない)。別名:データシート。 ・校正証明書:校正結果が国家標準にトレーサブルであることを、校正した事業者(責任者)が宣言する文書。 ・トレーサビリティ証明書:校正された機器が国家標準/国際標準までトレース(追跡) できることを体系化/図式化したもの。別名:トレーサビリティ体系図。 IEO/IEC 17025による不確かさ付校正が普及し((ISO 17025校正と呼称)、ISO 9001は「一般校正」と呼ばれるようになった。ISO 17025校正では上記3種の書類の役割(情報)が1つに集約され、それを校正証明書と称している。ISO 9001(一般校正)とISO 17025(不確かさ付校正)では書類の種類や記載内容が異なるので注意がいる。 日本にあるISOの認定機関は、日本適合性認定協会(JAB:Japan Accreditation Board、ジャブと呼称)と情報マネジメントシステム認定センター(ISMS-AC)で、これらの機関からお墨付き(認定)を得た、一般財団法人日本品質保証機構(JQA:Japan Quality Assurance Organization)などの機関も認証を行うことができる。JABは認定機関、JQAは認証機関(審査機関)の1つである。ISOの認証を得る手段(どこの機関に依頼するかなど)は複数あり、ユーザが選択できる。通常はJQAなどの認証機関に依頼することが多い。JABは主にISO9001(品質)やISO14001(環境)、ISMS-ACはISO/IEC 20000(ITサービス)やISO/IEC 27001(情報セキュリティ)を扱い、専門分野が異なる。 前述の校正証明書などの書類が国際間取引において有効なものと認められるように、国際機関のILAC(アイラックと呼称)が相互承認を取り決めている。これをILAC MRA(MRA: Mutual Recognition Arrangement)と呼び、日本はJABが加盟しているので、JABのお墨付きがある認証機関で審査合格すると、「iRAC MRA」などのマークが印刷された認定証が授与される。 当サイトの運営会社(横河レンタ・リース株式会社)はISO 9001を取得している。その登録証・認定証は以下URLにある(認定マークなどの参考例)。 https://www.yrl.com/company/eco_zoom.html 横河レンタ・リース / 会社情報 / 品質保証

ISO 26262(あいえすおーにーろくにーろくに)

自動車の電気/電子に関する機能安全についての国際規格。IEC 61508(機能安全規格)を自動車分野に適合したもの。

ISDN(あいえすでぃーえぬ)

(Integrated Services Digital Network) 電話、FAX、データ通信を統合して扱うデジタル通信網で、NTTが1988年からサービスを開始した。日本語では「統合デジタル通信網」と呼ばれる。直訳すると「Integrated Services(統合サービス) Digital Network(デジタル通信網)」。音声(アナログ)とデータ(デジタル)をデジタル方式で伝送する通信技術。それまでのアナログ回線では、1本の電話線で1つの通話しかできなかったが、ISDNでは1本の電話線で複数の通話や高速なデータ通信を同時に行える。2つの形式(BRI:Basic Rate Interface、PRI:Primary Rate Interface)がある。ISDNはアナログ方式の固定電話網からデジタル方式への移行を促進するために開発されたといえる。 人の声を送る電話網から始まった通信回線は、データや画像なども扱うようになっていた。1980年代までは、音声は電話網、データ通信はデータ通信網で行われ、通信方式もアナログだった(コンピュータなどのデジタルデータはモデムによって変復調され、アナログで送られた)。デジタル技術の進歩で、デジタル化した音声・データ・画像を同一伝送路(アナログの電話回線である加入者線)で通信するISDNが実用化した。 1972年にISDNの基本概念がCCITT(国際電信電話諮問委員会。現ITU-T、電気通信標準化部門総会)で発表され、1977年からITU(国際電気通信連合)で検討され、1988年に本勧告が承認される。日本では日本電信電話公社(現NTT)が1970年代から独自の研究を行い、高度情報通信システム(INS:Information Network System)と呼んだ。1984年に東京都の三鷹市と武蔵野市で実用化試験を行い(Yインタフェース)、1988年4月に「INSネット64」(通信速度64kbpsで、当時の56kbpsモデムより高速)、「INSネット1500」(最大通信速度1.5Mbps)と呼ばれるISDNサービスが商用開始する(Iインタフェース)。商用開始に合わせIインタフェースを装備する擬似交換機やプロトコルアナライザなどの、ISDN端末を評価する計測器が登場する。 従来のアナログの電話機などをISDNで利用するための変換器(ターミナルアダプタ)が1996年には低価格になり、個人や中小企業のISDN加入が進み、2000年の年末に契約数は1,000万回線を超えた。ただし2021年度末には160万回線まで減少し、1999年のNTT再編で「INSネット」サービスを継承したNTT東日本・西日本は、2024年にはISDNを終了する予定(光回線やIP網への変更が提案されている)。

ISDN擬似交換機(あいえすでぃーえぬぎじこうかんき)

(ISDN network emulator、ISDN exchange simulator) 1988年に日本電信電話公社(現NTT)がサービスを開始したISDN(Integrated Services Digital Network、統合デジタル通信網)に対応した、有線通信計測器の1種である擬似交換機。 敷設済みのアナログの電話線を使用した、デジタル回線のインターネット通信技術であるISDNは、TA(ターミナルアダプタ)やDSU(Digital Service Unit)という機器を経由して従来のアナログ電話機がつながった。そのためISDNの運用が開始される際にはTA、DSUなどの機器の開発・試験用途でISDN擬似交換機が開発された。 ISDNはデータ用の「Bチャネル」(通信速度64kbps)と制御用の「Dチャネル」、アナログ電話用の銅線を利用するBRI(Basic Rate Interface、基本インタフェース、NTTのサービス名「ネット64」)と、光ファイバ回線を利用するPRI(Primary Rate Interface、1次群インタフェース、NTTのサービス名「ネット1500」、約1.5Mbps)がある。ISDN擬似交換機はBch、Dch、BRI、PRIなどに何チャンネル対応するかが一番の仕様。 ISDN擬似交換機の主なメーカはNTTアドンバンステクノロジ(NTT系のネットワーク構築、セキュリティなどを事業とする会社)、アドシステムズ(岩崎通信機の技術者がスピンアウトしたベンチャー計測器メーカ)、安藤電気(YHPよりもプロトコルアナライザの国内シェアが高いトップベンダ、有線通信測定器の雄)だった。現在ではISDNは過去のものとなりつつあり(固定電話網のIP網移行によりNTTはISDNサービスを2024年に終了する)、上記3社はすべて製造中止している。現在、擬似交換機をつくっているメーカは株式会社ニシヤマや甲賀電子株式会社、株式会社ハウなど(いわゆる大手計測器メーカではない)。 甲賀電子は有線通信機器メーカ。アナログ電話回線やISDN回線(BRI/PRI)、局内交換回線(ATM、SS No.7、STM-0、STM-1)などの装置を開発している。特にISDN関連製品が多く、ISDN擬似交換機ではBRI Network Simulatorがある。回線数などの仕様によって製品名(型番)はBNS-02P(KG-3006)からBNSⅡ-40P(KG-3022)の5モデルがある。ニシヤマには擬似交換機EXCEL-N000シリーズ(TEST EXCHANGER)があるが、これは電話回線(アナログ)用でISDN(デジタル)ではない。(2024年5月現在) 各社の計測器を時代順に概説する。 一番最初(1988年以前)のISDN擬似交換機はNTTアドバンステクノロジのINS-64モデル、2番目はアドシステムズ、と筆者は記憶している。NTTアドバンステクノロジのHPにはすでに未掲載なので計測器の詳細は不明。アドシステムズの品名はISDN回線シミュレーター、型番はi6492などのi64xx。i6442は疑似ISDN回線を2回線使ってパケット交換のシミュレーションが可能で、回線1側と回線2側にはそれぞれ4つのチャネルがあり、送信側のISDN端末は2つのチャネルを使用できる。同社はISDNではないアナログ回線のモデル、X4000シリーズ(X-4108、X-4008など)もラインアップしていた(同社はすでに会社が存在しない)。 続いて3番目に、ボタン電話機などの業務用電話機メーカの株式会社大興電機製作所(1938年創業、本社:東京都品川区、たいこうでんき)がiNet(アイネット)の愛称で1989年頃に発売。「Taiko iNet i64-4LINES」と表示されたモデルが、中古販売サイトに掲載されている(2024年5月)。1993年にフレームリレー対応ISDN通信シミュレータ(iNET-1000)をリリースしたが、擬似交換機はすべて生産終了(※)。 1990年代になると、大手計測器メーカの安藤電気と岩崎通信機も発売した。安藤電気はAE7300シリーズなど、形名が明確だが、岩通は形名不明(ホームページの中止品モデル一覧に未掲載)。キーサイト・テクノロジー(当時はhp、YHP)はE4210Bシリーズという、メインフレーム型のATMアナライザがあり、モジュールやソフトウェアの構成によって「B-ISDNテスタ」などになったが、擬似交換機の機能はなかった。往年のプロトコルアナライザ(プロアナ)4954Aで、ISDNに対応した4954Iを「ISDNシミュレータ」と称したが、安藤電気のAE-5105がIインタフェースオプションを使いモニタができた(AE-5105iなど)のと同じで、擬似交換機ではない。 擬似交換機の次はISDNプロトコルアナライザが登場する。アドバンテストとアンリツのリリースが早く、1988年~1989年に発売している(2社が競い、多くのユーザに採用された)。プロアナの老舗 安藤電気は2000年代にAE5131B(256kbps)、AE5135(2Mbps)を発表してISDNに対応したが、リリースが遅すぎた(同社の形名は1990年代後半にAX-YYYYからAXYYYYに、英字と数字の間のハイフン「-」がなくなった)。インターネットの登場・普及によってISDNは廃れ、ADSLや光、LANの時代になり、RS-232C以来のシリアル通信のプロアナの出番は減る(ハンディ型のラインモニタが普及)。1990年代にLANプロトコルアナライザで名を馳せるのは海外のsniffer(スニファー)で、hp(現キーサイト・テクノロジー)や安藤電気はプロアナのメインプレーヤではなくなっていく(プロアナは計測器メーカの主力製品ではなく、国内ベンチャーや海外IT関連メーカがつくるようになる)。 (※) 大興電機製作所は、同じく中堅の電話機メーカ 株式会社田村電機製作所(1946年設立、本社:東京都目黒区)と2004年に統合し、現在はサクサグループ(サクサホールディングス株式会社)として、ボタン電話装置や防犯設備機器をつくっている。2000年以前に企業内に数多くあった内線電話(有線の電話機)は、IP電話を経て現在ではほとんどが無線端末(携帯電話やPC)になった。2000年頃までは企業の設備として多くの台数があった電話機がインターネット普及によって減り、電話機メーカが淘汰されたことをサクサは象徴している。 1980年代にNTTの固定電話機がNTTからの黒電話の借用ではなく、電気メーカの電話機が使用できるようになり(レンタルだけでなく買い取り制がスタート)、多くの電機・通信機器メーカが電話機に参入した。従来のダイヤル式(番号の穴に指を入れてダイヤルを回転させる)ではなくボタン式で、留守電機能などが付いたデザインも多様な商品が、大手家電メーカ(シャープ、ソニーなど)や電話機メーカ(田村電機製作所など)から販売され、秋葉原の電気街に陳列した。1980時代後半に安藤電気はテレホンユニットテスタ AE-9302/9303やレベルテストセット AE-9310などの、電話機用測定器を発売している。つまり電話機は1980年代~1990年代には大きなビジネスだった(特定の通信ではなく、広く家電ビジネスになっていた)。安藤電気は2000年頃に横河電機の傘下になり、現在の会社名は横河計測である。

ISDN測定器(あいえすでぃーえぬそくていき)

(ISDN measuring instrument) 1988年にNTTがサービスを開始したISDN(Integrated Services Digital Network、統合デジタル通信網)に対応した、有線通信計測器には以下の種類がある。 1. 擬似交換機、2. ハンディテスタ(回線の開通工事など、屋外で使用する可搬型モデル)、3. レイヤ1テスタ(Iインタフェース試験器)、4. プロトコルアナライザ、5. コールシミュレータ(擬似呼)。 番号順に主なメーカとモデル名称(品名)、モデル番号(形名)を述べる。 1. ISDN擬似交換機 アドシステムズ:ISDN疑似交換機(PRI / BRI) J-9144A、J-9124Aなど。 安藤電気:AE-7300シリーズ(ISDNネットワークシミュレータ AE7311、ISDNシミュレーションBOX AE7303、各種モジュール AE79xx) NTTエレクトロニクス株式会社(1997年頃の会社名、現NTTイノベーティブデバイス株式会社):ネットワークエミュレータ NE3000AE 2. ハンドヘルドのテスタ(ISDN端末の接続試験など、ISDN回線の開通時に使用する現場測定器) 安藤電気:ISDNテスタ AE5301 アドバンテスト:ISDNバス配線チェッカー D5612 大井電気:ISDN回線試験器 DNT-302B アンリツ:ISDN擬似端末 EQ612A(端末ではなく交換機、の発着信試験を行う。障害発生時には障害解析に使用。) 3. レイヤ1テスタ(Iインタフェース試験器) 安藤電気:Iインタフェーステスタ AP-9503 アンリツ:ISDNベーシックインタフェース試験器 MP5201B アドバンテスト:ISDNテスタ D5312B 4. ISDNプロトコルアナライザ アンリツ:ISDNプロトコルアナライザ EF201/211 アドバンテスト:ISDNプロトコル・アナライザ D5110シリーズ 安藤電気:データコニュニケーションアナライザ AE-5105i(モニタのみ ※1) キーサイト・テクノロジー(当時はhpやYHP):Advisor(※2)用T1プライマリレートISDNモジュール J4649A、ISDN BRI S/TおよびUインターフェイスモジュール J2905B、プロトコルアナライザ 4954i(モニタのみ) 大井電気:ISDN多回線アナライザ TMP-9701(モニタのみ) 5. コールシミュレータ(疑似呼) アンリツ:ISDNコールシミュレータ EF202/203/204 ISDNに限らずコールシミュレータは国産ではアンリツ1社しかつくっていない(※3)。 (※1) 安藤電気には「ISDNプロアナ」と銘打ったモデルがない。2000年代にAE5131(256kbps)、AE5135(2Mbps)という、前身のAE-5105(72kbps)より高速のモデルを発売しISDNも対応したが、他社より発売がかなり遅く、ISDNの旬の時期を逃している。反対に独立系で通信系の資本(NTTや日本電気など)が入っていないアドバンテストが時代の要請にマッチするタイミングでISDNプロアナを開発したことは、同社のマーケテイングと要素技術の力を示している。2010年頃に同社はそれまでの計測器からすべて撤退したが、その後、持っている要素技術を使いテラヘルツ波などの新規計測器に参入している。アンリツのISDNプロアナは形名の頭がMでないことでわかる通り、電話機やコールシミュレータを開発した情報機器の事業部門の製品で、計測器事業部門はつくっていない。同社が、無線機や電話機をつくれる要素技術を持つ計測器メーカであることがわかる。アンリツは、高速通信の品質評価をするBERT(ビット誤り率測定器、バート)や移動体通信の呼制御を行う擬似基地局(基地局シミュレータ、シグナリングテスタ)では、キーサイト・テクノロジーと競っている世界トップベンダである。 (※2) Advisor(アドバイザー)とは、1990年代後半にJ2300などの形名でラップトップ型計測器が登場し、ATMやLAN、ISDNなどの各種インタフェースに対応した、2000年頃のキーサイト・テクノロジーのデータ通信計測器の通称(愛称)。本体とモジュールの構成によって名称が変わり、形名などの実態が良くわからない(現在はすべて生産終了し、断片的な資料しか残っていない)。形名が似ていてLAN AdvisorやInternet Advisorと称するモデルもあった。往年のプロアナ495xシリーズまでは従来の数字形名だが、4953A以降の1990年代の同社のデータ通信計測器はM&Aでラインアップが増え、シリーズや形名に継続性(一貫性やシリーズの明確さ)がなくなる。Jシリーズは4953A以降のプロアナの形名として登場し、2000年頃の同社のプロアナはネットワークアドバイザと称していた。2003年頃には Network Analyzer J6800シリーズというプロアナもあった(プロアナなのにネットワークアナライザ(NA)とは、NAの世界的なトップベンダの同社がこのような品名の製品を発売するとは、「にわかには信じられない、目と耳を疑う、驚きの命名」である。2000年頃の同社の「プロアナのラインアップの複雑さ」を象徴している)。 (※3) アンリツと並ぶ電電ファミリーで、多くの電話機用測定器をつくった安藤電気は擬似呼の製品化ができなかった、という話を筆者は1980年代に同社の古参営業マンから聞いた。安藤電気に擬似呼がないために伝送ネットワークの評価試験器の案件(引合い)が自社だけでクローズできず、どうしてもアンリツに知られてしまう。優秀な営業マンの彼は、海外のコールシミュレータで品質の良いモデルが取り扱えないか調べていたが、なかなか眼鏡にかなう物がなかった。国産でオンリーワン製品を開発したアンリツの技術力を物語るエピソードである。