計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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アイソレーションアンプ(あいそれーしょんあんぷ)

接続される2つの回路の間に、互いの回路が干渉し合わないようにするために挿入するアンプ。 別名、絶縁増幅器。

アクイジション(あくいじしょん)

(acquisition)acquisitionを和訳すると「取得、獲得」。計測器ではデータロガーやメモリレコーダなどで「データアクイジション(計測器へのデータの取り込み)」やオシロスコープの「アクイジション・モード」というように使われる用語である。 データ集録を示す「DAQ(ダック)」は「Data AcQuisition」の略記である。 テクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて(2009年9月発行)」ではスペクトラムアナライザの用語として「アクイジション:時間的に連続した整数個のサンプルあるいは信号の取込み」と解説されている。

アクイジション時間(あくいじしょんじかん)

アクイジション(Acquisition)はデータ集録機器(データロガーなど)やオシロスコープで使われる用語だが、テクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて(2009年9月発行)」ではスペクトラムアナライザの用語として「アクイジション時間:1つのアクイジションで表される時間の長さ」と解説されている。

AirLogger(えあーろがー)

アドバンテストのワイヤレスデータロガー(無線式ロガー)の商標。機種は、2015年1月発売のWM1000、2017年11月発売のWM2000の2シリーズがある(2020/10月現在)。 温度、電圧、ひずみを多チャンネルで測定できる。PCをホストとして動作する。PCのUSBポートに接続する通信ユニット(親機)に複数の各種測定ユニット(小型の子機)が無線で測定データを送るという、他社にないオンリーワンの製品群(※)。センサ(各測定ユニット)が小型なため、従来は装着できなかった回転体などの電圧・温度・ひずみが測定可能。アドバンテストの新企画商品開発室が企画・開発し、ほとんどの国内自動車メーカに採用されている。クラウドの活用など、アプリケーションを増やし、売上を伸ばしている。 (※)2021年10月に小野測器が発表した無線温度計測システムWC-1000/WT-1000シリーズは構成がWM2000とほぼ同じで、センサがより小型のため、「業界最小クラスのコンパクト&スリムなモジュール」とPRしている。自動車業界にデータ集録機器を販売してきた同社も、小型センサの無線式データロガーに参入したことで、このタイプのモデルが主流の1つになろうとしている。

塩素酸カリウム(えんそさんかりうむ)

塩素酸カリウムの中の原子の共鳴吸収周波数(NQR周波数)は温度に依存するため、極めて精密な温度センサになる。横河電機には1970年代にNQR標準温度計 2571という製品があった。参考記事:記録計・データロガーの基礎と概要 (第3回)・・・さまざまな温度センサを概説している。モデル2571の写真が載っている。

OBD(おーびーでぃー)

(On-board diagnostics)自動車の自己診断機能。自動車各部に取り付けられたECU(Electrical Control Unit)にプログラミングされている機能のひとつ。運転席ダッシュボードのコンソールの下にあるOBDコネクタに接続すると、OBD情報を収集することができる。ODBコネクタを使ったデータロガーやプロトコルアナライザなどの計測器が発売されている。

温度ロガー(おんどろがー)

温度計に記録機能(ロガー)が付いた測定器。メーカによっては品名は「温度記録計」である。部屋の温度を長時間にわたりロール紙に記録する、設置型の温度記録計は昔からあり、現在も標準室などの温度管理が必要な部屋で使われている。「温度記録計」というと、このタイプを指すことが多い。温度計にはアナログ出力などで測定データを外部機器(レコーダなど)に記録できるモデルが多いが、最近の温度計はデジタル式になり、メモリを内蔵して、測定器自身に記録機能がある。そのようなモデルは温度記録計(または温度ロガー)といえるので、温度計と温度記録計の堺は曖昧ともいえる。 温度測定器のトップメーカである安立計器には温度計、温度記録計など多くの温度測定の製品群がラインアップされている。1994年にティーアンドデイは小型の温度データロガー、品名「おんどとり」を発売した。今までにない斬新なコンセプト(小型・軽量・安価、校正対象外(当時))であった。工場などの多くの場所に設置して温度を記録し、温度測定のデータ収集を効率良く行えるため大変重宝で、1999年には無線で測定データを送るモデルも発売された。温泉の浴槽におんどとりが使われている例もある。現在、「温度ロガー」というとこのおんどとり(か他社同等製品)をまず指すようになった。最近では計測器大手の日置電機もおんどとりとほぼ同じコンセプトの温度ロガーを発売している。老舗の安立計器は2019年に多チャンネル温度ロガーのシリーズ(有線と無線の2方式)を発売している。 無線式の多チャンネル温度ロガーとしては、おんどとりとはコンセプトが違うモデルを、アドバンテストの新事業企画部門が2015年に発売した。PCのUSB端子に装着する通信ユニットと、目的に応じた測定ユニット(小型の箱)で構成され、同等品が無いユニークな製品である。2017年には温度以外に電圧、ひずみも測定できるモデルをラインアップに加え自動車市場などで無線式ロガーとしてシェアを伸ばしている(AirLogger WM1000/2000シリーズ)。自動車業界向けの計測器が多い小野測器は2022年に「無線温度計測システムWC-1000 / WT-1000シリーズ」を発売したが、製品構成はアドバンテストのAirLoggerとほぼ同じである(競合の登場によってAirLoggerはオンリーワンではなくなった)。

加速度(かそくど)

(acceleration) 物体が振動しているとき、1秒間に往復運動する回数を振動数(または周波数)という。振動の往復している距離(長さ)が変位で、変位の時間に対する変化率を速度という。速度の時間に対する変化率を加速度という。 通常、振動を表す物理量は加速度が使われる。そのため、振動と加速度はほぼ同じことばとして使用される。振動センサのことを加速度ピックアップや加速度トランスデューサと呼んでいる。

基準接点温度補償(きじゅんせってんおんどほしょう)

温度計などに使われる温度センサである熱電対は、測温接点と基準接点との温度差で熱起電力が決定される。そのため測温点の温度を知るためには基準接点の温度も測る必要がある。その温度に相当する電圧を熱電対の起電力に加算し補正すること。(日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」より)参考記事:記録計・データロガーの基礎と概要 (第2回)・・記録計/データロガーを利用する上での留意点として、基準接点補償について図解している。

CRONOS compact(くろのすこんぱくと)

CRONOSはドイツimc社のひずみデータロガーの名称。2002年発売で日本の鉄道車両(特に新幹線)の試験で使われたモデルCRONOS PLの、後継機種として2010年代に発売されたモデルがCRONOS compact。CRONOS PLは中止品で、CRONOS compactは現役(2022年12月現在)のため、鉄道車両の試験ではPLかcompactが使われる。ユーザはJR東海や鉄道車両メーカで、設備としての購入とレンタルが活用されている。 製品はメインフレームと測定モジュール(アンプ)で構成される。新幹線などの車両の試験には、32ch程度の入力ができる構成にしたCRONOSを1車両に1台乗せ、場合によっては数台をつないで同期させて試験を行う。32ch構成では概算価格は約1千万円になる、大変高額なデータロガーである。ユーザがレンタルを活用するのは、製品が高額でかつ、短期間に複数台が必要で、使用期間が事前にわかるので調達しやすいからである。携帯電話のメーカが日本に数多くあったガラケー時代に、無線機テスタやシグナリングテスタなどの数百万円~1千万円/台する高額な通信測定器が複数台、定期的に携帯電話メーカにレンタルされた。通信の専用器にはこのような事例があるが、データロガーは(一般的には)安価な低周波の基本測定器である。ところが運輸機器(特に飛行機、鉄道)向けの多チャンネルのひずみ測定には、高額な専用器であるひずみデータロガーが使われる(一般のデータロガーとは違うので筆者は特別に「ひずみデータロガー」と呼称している)。専用器というのは、ここで示した特別なアプリケーション以外には使わない、という意味である。たとえば1千万円のデータロガーで温度測定をすることはない。 CRONOSとよく似たひずみデータロガーにDEWETRON(デュートロン)やDEWEsoft(デューソフト)がある。JR東海がCRONOS PLを採用する以前に、新幹線車両を製造する日立製作所や日本車両などのメーカはCRONOSやDEWETRONを評価している。CRONOSよりDEWETRONが優れているという認識だった車両メーカもあったようだが、JRがCRONOSを設備導入後は、各車両メーカの試験機材はCRONOSに統一された。2000年代の早い時期に(JRより早く)CRONOS PLを使って実際の車両で試験をしたのは日立製作所といわれている。

CRONOS PL(くろのすぴーえる)

CRONOSはドイツimc社のひずみデータロガーの名称。CRONOS-PLは日本の鉄道車両の試験で使われているモデル。JRが新幹線の走行試験で多チャンネル(16~32ch)モデルを設備導入していて、民間の車両製造会社(川崎重工、日本車輌、日立製作所などの新幹線車両のメーカ)も同じ機材を試験で使用している(imc社の日本での販売は東陽テクニカ)。同様のひずみデータロガーとして自動車車体の試験にはDEWETRON(デユートロン)やDEWEsoft(デューソフト)が良く使われている。 CRONOS PLは2002年にリリースされ、2010年代に後継モデルCRONOS compact(コンパクト)が発売されている。メインフレームはPL-4、PL-8、PL-16がある(数字が大きいほどモジュール用のスロット数が多いので、測定できる入力chを多くできるが、寸法は大きくなる)。測定モジュール(アンプ)はSC2-32やBR-4などがある。たとえばバンドル形名CRONOS-PL-8(/BR-4x8/OFA/GPS/ONKL)は、アンプモジュールBR-4を8枚、メインフレームのPL-8に挿入し、OFAやGPS、ONKLというオプションが付いている(BR-4は入力2chなので、この構成は32ch入力になる)。SC2-32は32ch入力できるが、サイズが大きく4スロットを占有する。測定モジュールは仕様によって数種類あり、選択できる。 鉄道車両の試験ではPL-8にBR-4かSC2-32を装着して16~32chにする構成で使われた(概算価格で約1千万円程度になる、高額な多チャンネルデータロガーである)。ユーザは自社資産とレンタルを組合わせて上手に利用した。JR東海やJR東日本が新型の新幹線車両を継続して開発し、北陸新幹線などの整備新幹線が新設された2000年~2010年代に、JR及び各車両メーカはCRONOS PLで盛んに試験を行った。 imc(正式にはimc Test & Measurement GmbH)社はドイツのベルリンに本社がある、ひずみ計測を主体にしたメーカ。センサから計測器まで幅広いソリューションがあり、自動車の通信規格であるCANバスに対応したCANSAS(カンサス)などの製品もある。自動車は2~8ch程度のチャンネル数が少ないモデルも使われる(鉄道は16~32点/1車両で、数車両を測定するので、32chタイプのCRONOSを複数台同期させることもある)。 またimc社のデータ解析ソフトウェアFAMOSはバックエンドとしての波形解析に優れているので、ハードウェアとしてのデータロガーはCRONOS(つまりimc)を使わないが、解析用途ではFAMOS(つまりimc)を使っている技術者もいる。ひずみだけでなく振動などの物理量測定では、データ収集後の解析が重要で、DEWEsoftは元々、DEWETRONの解析ソフトウェアの名称である。ソフトウェアの世界では日本は弱く、欧米企業が世界標準になることはMicrosoftに限らず計測器業界も同じである。

ケースレーインスツルメンツ(けーすれーいんすつるめんつ)

(Keithley Instruments,KK) 1946~2010年に存在した計測器メーカ。1946年に米国オハイオ州クリーブランドで、Joseph F. Keithleyが計測器メーカKeithley Instrumentsを設立。1964年にオハイオ州ソロンに移転し、以降はこの地を拠点に活動。半導体パラメータアナライザやSMU、ピコアンメータなどの半導体測定器で有名。データ集録機器やDMMもラインアップ。2010年にダナハー(現フォーティブ)の傘下に入り、テクトロニクスと合併。日本法人がケースレーインスツルメンツ株式会社(設立年は不詳、2012年には日本のテクトロニクスと合弁)。 テクトロニクスの日本法人は、2012年頃から会社名を「テクトロニクス社/ケースレーインスツルメンツ社」に変更した(名刺がそうなった)。2021年には会社名を「株式会社テクトロニクス&フルーク」に変更(フルークもケースレー同様にダナハーの傘下)。旧ケースレーインスツルメンツの人員はテクトロニクスと組織が一体になっている(以下のイベントレポートを参照)。 すでにケースレーという会社は存続しないが、ブランドとしては健在(DruckやPanametricsと同じ)。製品はテクトロニクスのホームページでも1ページにまとめられ、ケースレーの従来の赤い企業ロゴもある(ただしA Textronix Campanyという注記がある)。URL:https://www.tek.com/ja/products/keithley(2023年11月現在) 2022年頃から定期イベントのKeithley Daysが開催されている。Keithley Days 2023(オンラインの無料Webセミナ)はタイトルが「革新を加速させる半導体デバイス最先端研究から、測定技術の入門基礎まで~Accelerating Innovations & Back to Basic~」で、2023/10/17(火)~18(水)に開催された。ケースレー製品の情報は、テクトロニクスのマーケティング・販売促進部署が「テクトロニクス/ケースレー」の名前でDM配信している(2023年10月現在)。 外資の計測器メーカの日本法人には他の計測器メーカからの転職者がいることが多い。特にケースレーインスツルメンツは半導体分野でキーサイト・テクノロジーと競合(同じような製品群をつくっていた)なので、2007年頃の社長は、キーサイト・テクノロジーの半導体テスタ部門の出身者だった。当時、元キーサイト・テクノロジーの営業マンが約10人いた。

サーミスタ(さーみすた)

(thermistor) 温度によって抵抗値が変化する半導体センサ。温度測定にはNTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスタが使われる。サーミスタは小型であるため、電子機器の温度監視や電子体温計などに使われる温度センサの1つである。

三栄測器(さんえいそっき)

1948年に創業し、1983年まであった老舗の計測器メーカ。正式な会社名は三栄測器株式会社。「レコーダのサンエイ」として有名で、東京都小平市(天神町など)に工場があった。計測器(記録計など)とME機器(医療機器)の事業をしていた。計測器はレコーダとアンプ(絶縁アンプやひずみアンプ、シグナルコンディショナ)があり、横河電機製作所(YEW)の計測器と似たラインアップである。計測器の代表的な機種群である記録計の主要なメーカは、1970年代までは横河電機、三栄測器、渡辺測器(現グラフテック)の3社である(日置電機がメモリハイコーダの初号器8801を発表したのは1983年)。3社のレコーダには各社特長があるが、3社ともに「レコーダの老舗で、わが社の歴史がレコーダの王道(当時としてはオシロスコープと並ぶ計測器の主要機種)」という自負が伺える。三栄測器のレコーダはオムニエースの通称(形名RT1000~RT3000、RA1000など)で普及した。鉄道関係に強く、たとえばひずみアンプAS1803Rは対ノイズ性能が高く、新幹線の応力測定で採用されている。 自動車メーカが多く採用していたDEWETRON(デュートロン)社のデータロガーの販売代理店を1990年代にしている。2007年頃に販売契約は無くなり、三栄測器(当時はNECが資本参加して社名は「NEC三栄」)はDEWETRONと競合するモデルを開発している。NEC三栄でDEWETRONを販売していた部署(特販部)は独立してデユートロン・ジャパンになった(現在はデュージャパン株式会社で、DEWETRONから分離したDEWEsoftを取り扱っている)。 NEC三栄は非接触温度計(サーモグラフィ)もラインアップしていた。同じくNEC系列でサーモグラフィをつくっているNECアビオニクスに、NEC三栄の計測器部門は吸収された(同社のME機器はNECの医療部門に統合吸収されている)。後にサーモグラフィ以外の計測器(レコーダやアンプ)は株式会社エー・アンド・デイ(秤などの計量器のメーカ)に譲渡された。結果だけ見れば、NECの事業再編によって、サーモグラフィをNECグループ内に強化し、それ以外の三栄測器の創業からの計測器は売却された。レコーダやアンプはエー・アンド・デイの工業計測機器として現在もラインアップが健在で、2020年3月にはデータアクイジション装置RA3100を発売している。 三栄測器の計測器は社名変更が多いので、以下に概要を述べる。1971年11月にNECが資本参加。1983年4月にNEC三栄株式会社に社名変更。2006年6月に日本アビオニクスがNEC三栄を子会社化。2008年4月に社名をNEC Avio赤外線テクノロジー株式会社に変更(計測の老舗である三栄の名前は消滅)。2012年10月に日本アビオニクスがNEC Avio赤外線テクノロジーを吸収合併。2013年4月に三栄インスツルメンツ株式会社設立(旧三栄測器の営業マンが日本アビオニクスから独立)。2015年7月に株式会社エー・アンド・デイに計測事業(レコーダやアンプ)を譲渡。2021年4月にエー・アンド・デイは三栄インスツルメンツを吸収合併。こうして、三栄測器の計測器はエー・アンド・デイの工業計測機器として存続している。 参考用語:動ひずみ測定器、 計測器情報:レコーダ(オムニエース)の製品例、ACストレインアンプASシリーズ、チャージアンプAG3103

CT(しーてぃー)

Current Transformer の略。大電流回路の電流計測を行う場合に、絶縁した電流を得るために使用する変流器。

GPSデータロガー(じーぴーえすでーたろがー)

(GPS data logger)人が携帯してGPSで位置情報を取得し、地図上に記録する(ログをとる)ことで、競技や登山で移動した軌跡を残す機器をGPSロガーやGPSデータロガーと呼ぶ。計測器のGPSデータロガーも機能は同じで、速度や距離などを計測する目的で使われる。 参考記事(会員専用):【展示会レポート】人とくるまのテクノロジー展 2022 横浜の3ページ目 ・・VBOX JAPAN株式会社ブースで、RACELOGIC社の最新GPSデータロガーを取材。 計測器情報: GPS Data Loggerの製品例

スイッチ/コントロールユニット(すいっちこんとろーるゆにっと)

信号を制御するためのスイッチ。データ収録(収集)のときに、切り替え器として使用する。メインフレームと(スイッチ機能がある)モジュールで構成される。コンピュータで計測器を制御する自動計測では必須の計測器で、校正をする標準室などに使われる。 キーサイト・テクノロジーのDAQ製品である3488Aなどの品名だった(今は生産中止)。「スイッチコントロールユニット」や「スイッチ・コントロールユニット」という表記もされた。筆者は初めてこの名称を聞いたとき、違和感があり良くわからなかった。メインフレームは「切替器」や「スイッチ」、モジュールは「スイッチモジュール」とでも命名してくれたら、すっきり理解できたことと思う(光通信測定器には光チャンネルセレクタというスイッチ製品がある)。メーカとしては単なるスイッチではなく、計測器をコントロール(制御)するときに使い、かつユニット(モジュール型)である、という意味を込めた品名だったのだろう、と推測される。現在の同社は「データ収集システム」やDAQという表記に力点を置いているが。 現在のキーサイト・テクノロジーの現役モデル34970Aは「データ収集コントロール・ユニット」、34980Aは「マルチファンクションスイッチ」、DAQ970Aは「データ収集システム」といい、「スイッチ/コントロールユニット」なる名称は無くなり(2022年現在)、他社でもこの呼称はほとんど聞かない。3488Aが現役だった2000年頃にはキーサイト・テクノロジー以外にもあった一般的な名称だった(たとえばケースレーなど)のかは、今となってはわからない。

スキャナ(すきゃな)

(scanner) 計測器でスキャナとは、切り替え器、マルチプレクサなどの製品群を指す。カテゴリーはデータ集録機器(データロガーなど)で、キーサイト・テクノロジーのスイッチ/コントロールユニットなどがある。エーディーシーも古くから(アドバンテストの時代から)、多チャンネル温度測定&記録の機種群でスキャナをラインアップしている。同様に多チャンネルの測定・記録をする測定器として、ひずみ測定器がある。東京測器研究所や共和電業にスキャナ製品がある。耐電圧試験でも高電圧スキャナや高圧スキャナという品名の製品がある。菊水電子工業の製品総合カタログ(安全機器に関する用語)には、「スキャナ:耐電圧試験器などで、複数点の測定を行えるように、測定点を切換できる機器。高圧リレーなどで構成される。たとえばTOS9220シリーズ。」とある。

スタック型計測器(すたっくがたけいそくき)

英語のstack(スタック)は、「物をまとめる」、「積み重なる」、「身動きが取れなくなる」ことを表現し、使われる業界によって様々な意味になる。計測器でスタックは「物をまとめる/積み重なる」から派生して、ユニット式の計測器を積み重なるように接続する構造を指す。DAQで、ユニット式の製品には、箱にユニットを納める(メインフレームにユニットを装着する)のではなく、ユニット同士をくっつけて接続し、積み重なるように拡張していくタイプがある。それを「スタックしていく」や「スタック型」と呼称する。 たとえば、グラフテックのDATA PLATFORM GL7000は本体の横に測定ユニットをつけて伸ばしていく構造をしている。横河電機のプロセス向けのデータ集録機器、SMARTDAC+™データアクイジション システム GMもスタック型である。これらはユーザが使いたい機能のユニットだけをスタック(積み重ねて接続)できるので、自分が必要な機能だけを最小限のサイズで実現できる。 リオンの多チャンネル型振動計(チャージアンプ)UV-15やUV-16もスタック型で、測定ユニットはこの2製品のみだが、スタックして入力チャンネル数を増やすことができる。1980年頃から2000年頃までICEのトップベンダーだったソフィアシステムズにはMultiSTAC(マルチスタック)などの製品があったが、英語の綴りがstackではないので、ここで説明したスタックと語源が同じかは不明である。 コンピュータ/ネットワーク分野の仮想化技術で、一台のスイッチを他のスイッチに接続して一つのユニットとして連携させることをスタックと呼び、信頼性向上、冗長性の確保、増設と交換の簡素化などを実現している。この例は計測器のスタックと意味が似ているが、冒頭で述べたようにスタックはそれ以外の色々な意味で使われている。 計測器情報: グラフテックのGL7000の製品例、 横河電機のGMの製品例、 リオンの多チャンネル式振動計の製品例

SMARTDAC+(すまーとだっくぷらす)

計装、IA(インダストリー・オートメーション)メーカである横河電機のデータロガーの通称(愛称)。モジュールを選択して組み合わせてチャンネル数や測定項目をユーザが選択できるデータロガー(表示画面が無く、PCで制御)や、パソコンがなくても設定や記録結果の表示ができるタッチパネル式など各種のモデルがある。データロガーをData Acquisition(データ・アクイジション)の頭文字からDAQ(ダック)と表記することは多いが、この名称のネーミングは「SmartなDAC」とQではなくCを使っている(DACはD/Aコンバータの略記で使われることが多い)。以下の記事に構造が概説されている。技術情報・レポート/原理・基礎の「記録計・データロガーの基礎と概要」https://www.techeyesonline.com/tech-column/detail/Reference-Recorder-02/