計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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ファームウェア(ふぁーむうえあ)

(firmware)一般にハードウェアとソフトウェアを比較すると、ハードウェアは(ソフトウェアに比べて)処理が速いが変更はしずらく、ソフトウェアはハードウェアほど速くないが変更が容易である。設計時に、ある機能をどう作りこむか(ハードウェアとソフトウェアのどちらで実現するか)ということは両者の長短を勘案して決定される。本来ハードウェアで実現するような機能をソフトウェアでつくりこんでいるものをファームウェアと呼ぶ。電気機器の設計部門の技術者に「担当は何ですか?」と聞いて「ファームです」と答えたら、この技術者はソフトウェアの開発をしているのでICE(マイコン開発支援装置)を使う可能性があるが、ハードウェアにも関係しているのでオシロスコープやプロトコルアナライザのようなハードウェア設計者が使う測定器も使う可能性がある。株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集では次のように解説している。「ファームウェア:ハードウェアの基本的な制御を行うために機器に組み込まれたソフトウェア。機器に固定的に搭載されほとんど変更されないことから、ハードウェアとソフトウェアの中間的な存在としてファームウェアと呼ばれている。機器に内蔵されたROMやフラッシュに記憶されている。パソコンのBIOSもファームウェアの一種である。機能の追加や不具合の修正のため、後から変更できるようになっているものもある。」

ファイバースコープ(ふぁいばーすこーぷ)

(fiber scope) 製品の深部や内部の画像をモニタに写し出す機器。工業用内視鏡の別称。以前の内視鏡は光ファイバを使い、フィルム式のカメラで撮影していた。そのためファイバースコープと呼ばれたが、現在の工業用内視鏡の主力製品の名称はビデオスコープで、ファイバは使っていない。ただしファイバースコープの時代が長かったので、今でも工業用内視鏡といえば「ファイバースコープ」と呼称されることが多い。 内視鏡の世界的トップメーカのオリンパス(※)の工業用内視鏡の主力製品はビデオスコープである。ただし、距離や線径の条件によってビデオスコープでカバーできない範囲は光ファイバを使った従来のファイバースコープで補っている。光ファイバといえば現在の基幹通信網として世界中で導入されているが、内視鏡での利用はそれよりも早い。そのため「内視鏡といえばファイバ」という認識があり、ファイバースコープが現在でも内視鏡の通称になっていると思われる。

ファイバーレーザー(ふぁいばーれーざー)

光ファイバーを増幅器とした固体レーザ。加工用レーザの主流となりつつある。表記は「ファイバ」と「ファイバー」の2つがあり、各企業によってどちらかを使っている。

5G(ふぁいぶじー)

(5th Generation Mobile Communication System) 日本語では「第5世代移動通信システム」。現在商用化されている4Gの次の規格。全世界で導入が計画されている。韓国が一番早く2019年に導入予定。日本は2020年のオリンピックに向けて導入が進んでいる。次世代無線通信システムとも呼ばれる(2019年3月現在)。英語の5th Generationを「5G」と略記している。 現在のスマートフォンにつながる小型の携帯電話として、1991年4月にNTTはmova (ムーバ)4機種を発売した。当時はアナログ通信で、NEC、富士通、三菱電機、松下通信工業(後のパナソニック モバイルコミュニケーションズ)の4社が特徴ある端末を提供した。94年には端末は従来からのレンタル制から買取り制になり、普及が加速した。当時の携帯電話は国により通信方式が違ったため、国際電気通信連合 (ITU) が次世代の世界共通のデジタル通信の規格を勧告し、2001年にNTTドコモが世界に先駆けてこの勧告に準拠するW-CDMAの商用サービスを開始した。これが3G(第3世代移動体通信、スリージー)で、それ以前の方式を2Gといって区別した。現在(2019年)の通信規格はさらに次の4Gである。

5G NR(ふぁいぶじーえぬあーる)

(New Radio)5G(第5世代移動通信システム)用に3GPPが開発した新しい無線アクセス技術。

FireWire(ふぁいやーわいやー)

IEEE1394規格の愛称。オーディオ・ビデオ関連のストレージ用の規格として、SCSI(スカジー)の後継としてAppleはFireWire(ファイヤーワイヤー)のコードネームで新しい規格を設計した。後にソニー、IBMなどと共同で1995年にIEEE1394の名称で標準化された。つまりIEEE1394が正式な規格の名称。ソニーはIEEE1394をi.Link(アイリンク)の商標で同社製品に搭載している。1990年代後半のIEEE1394普及期にはIEEE1394用のプロトコルアナライザが重宝された。新しい通信規格の黎明期には必ずプロトコルアナライザが必要だが、その製品需要は長くはない。IEEE1394プロトコルアナライザは現在はほぼ生産中止。

ファウンドリ(ふぁうんどり)

(foundry)開発や設計は行わず、生産に特化するメーカのこと。半導体の委託生産をするTSMCは世界で最も企業価値の高い半導体専門ファウンドリである。逆に生産を外部委託して開発・設計に特化するメーカを「ファブレス」という。foundryの翻訳は「鋳造所、鋳物工場」。

FastAcq(ふぁすとあくいじしょん)

テクトロニクス独自のアクイジション手法の名称。オシロスコープには「サンプル・ポイントからどのように波形ポイントを構成するかを決める」アクイジションモードがある。Acquisitionの意味は「取得」。マーケティング用語では顧客獲得などの意味で使われている。

ファストトランジェントバーストジェネレータ(ふぁすととらんじぇんとばーすとじぇねれーた)

ノイズ研究所のバーストノイズシミュレータの品名。

ファブリペロー共振器(ふぁぶりぺろーきょうしんき)

(Fabry-Perot resonator) ファブリペロー干渉計ともいう。反射板・透明板・半透鏡などで構成され、通信、レーザー、光学分野で使われる。電波の共振波長から誘電率などが測定できる。 シャルル・ファブリとアルフレッド・ペローから命名された。

ファブレス(ふぁぶれす)

(fabless)生産を外部委託して開発・設計に特化するメーカのこと。生産工場を持たない開発・設計企業。半導体の分野では製造のための最先端の設備投資が莫大な金額になり、このような水平分業が進んだ。逆に開発は行わず、生産に特化するメーカをファウンドリと呼ぶ。台湾のTSMCは半導体の委託生産をする世界最大の企業として有名。fablessとはfab(fabrication facility、工場)を持たないという意味。

FAMOS(ふぁもす)

(fast analysis and monitoring of signals) 元々の英語を翻訳すると「信号の高速分析と監視(モニタリング)」。ひずみ測定が得意なドイツの計測器メーカimc(正式にはimc Test & Measurement GmbH)社は1987年にWindows3.11版のFAMOSをつくった。画像解析など、測定結果を視覚的に表示する、グラフィカル データ分析プログラムである。多くのサイズのデータの高速表示と処理を行えることが特長である。 Imc社の日本での販売を行っている東陽テクニカは「imc FAMOS 波形解析ソフトウェア」と題したリーフレットをつくっている。「1989年にWindows波形解析ソフトウェアとして開発されたimc FAMOSは、試験計測技術者に対して試験計測後のPCを使った測定データの観察・解析・報告書作成をサポートする」とある。 FAMOSは自動車産業、輸送機器産業、電力産業、重工業などの多くの産業で、試験計測の後処理業務(バックエンド)で採用され、試験計測業務の効率改善(測定データの観察・解析・報告書作成など)に寄与している。 imc社にはハードウェアとしてのデータロガー(CRONOS PLやCRONOS compactなど)があるが、他社の計測器で収集したデータをFAMOSで処理している技術者もいる。それくらい、振動やひずみの解析ではシェアがあるソフトウェアがFAMOSである。自動車業界で導入されたデータロガーであるDEWETRON(デュートロン)も強力な解析ソフトであるDEWEsoft(デューソフト)が強みだった。

ファラッド(ふぁらっど)

(farad) 静電容量(キャパシタンス)の単位。国際単位系(SI単位)。記号は[F]。 電子部品のコンデンサで、1Vの電位差を与えたとき1C(クーロン)の電気量(電荷)が蓄えられるとき、このコンデンサの値は1Fである(1F=1C/1V)。表現を変えると「1クーロンの電気量を充電したときに1ボルトの直流電圧を発生するような、2つの導体間の静電容量」が1ファラッド。 電磁気学や電気化学の分野で功績を残した、英国の化学・物理学者マイケル・ファラデー(Michael Faraday、1791~1867年)に由来する。表記は「ファラッド」と「ファラド」の2つが使われている。

ファンクションジェネレータ(ふぁんくしょんじぇねれーた)

(Function Generator)サイン波や方形波など様々な波形を発生する汎用的な信号発生器。FGと略記されることが多い。高周波の信号発生器である標準信号発生器(Signal Generator:SG)は原則サイン波しか出力しないが、FGは多くの機能(Function)があることが語源と思われる。国産No.1メーカのエヌエフ回路設計ブロック(エヌエフ)は「マルチファンクションジェネレータ」を品名にしている。その名の通り、excelで作成したデータをインポートして出力できるなど、任意波形発生器(AWG)に近い機能を備えている。テクトロニクスは高周波も出力できる機種群をラインアップするなどAWGのNo.1メーカだが、2000年代に同社はAFGシリーズという、表示画面に出力波形が表示され、従来よりサイズが小さいモデルのFGを発売した。以降、エヌエフやキーサイト・テクノロジーというFGの主力メーカも小型の波形表示タイプをこぞって発売した(たとえばエヌエフのWF1973/1974など、AFGの発売から1年後には発売されている)。デジタルマルチメータ(DMM)やFGは長年、デジタルの数値表示だったのが、今では波形が表示されるモデルが主流である。 岩崎通信機が2020年発売のSG-42xxシリーズの品名は「任意波形/ファンクション・ジェネレータ」で、FGとAWGは境界があいまいになる傾向である。FGがアナログ方式からDDS技術によって任意波形の作成ができるようになったため、FGとAWGの堺がなくなりつつある(以下の参考記事を参照)。 計測器メーカとしては世界的にはキーサイト・テクノロジーが有名だが、日本ではエヌエフがシェアが高い。テクトロニクスや岩崎通信機もラインアップがある。横河計測は2021年現在、現役モデルが無く撤退したと思われる。テクシオ・テクノロジーやリゴルなどの中華系メーカもラインアップを増やしている。FGは、オシロスコープやDMMと並ぶ、汎用測定器の代表カテゴリーである。 参考記事:ファンクションジェネレータの基礎と概要 (第1回)・・FGがDDS方式になりAWG機能をもったことが解説されている。 計測器情報:ファンクションジェネレータの製品例、任意波形発生器(AWG)の製品例

VR(ぶいあーる)

(Virtual Reality) 日本語では「仮想現実」、「人工現実感」と訳される。「バーチャルリアリティー」という表現もみかける。

VIG(ぶいあいじー)

Voltage Current Generatorの略。電圧電流発生器(電圧・電流源)のこと。アドバンテスト(現エーディーシー)のモデル5245/6246の製品カタログにSMUの機能の図解があり、「VIGとDVM(5 1/2桁)とエレクトロメータ」で構成されている。VIGやDVM(Digital Volt Meter)はタケダ理研工業(アドバンテストの旧社名)特有の表現である。通常、電圧電流発生器は英文字で略記されることはなく、VIGは同社以外では使われていない。同社も前述の製品カタログ以降にVIGという表記は見かけないが、2020年現在も同社のSMUの設計担当部署名は「開発部 VIG計測」である。

フィールドバランサ(ふぃーるどばらんさ)

フィールドバランサやバランシングマシンは、回転体の不釣合いを測定するもの。回転中心と重心がずれていると、回転させたときに余計な振動が出る。振動が起きる原因は余分な質量が付いているためで、それが何度の位置に何グラムあるかを計測して、どこに重りを付けるか(あるいは削るかして)振動が減るかを計測できる。計測器を現場に持っていき、対象機器に振動センサ・回転センサを付け、対象機器自身の軸受けや回転機構を使ってバランスをとる計測器をフィールドバランサという。バランシングマシンは、フライホイールなどの回転機械の部品単品をバラシングマシンが駆動させてアンバランスを測定するもの。フィールドバランサは、シグマ電子工業株式会社が30年位前から作っている老舗(推定シェア:約60%、バランシングマシンは低シェア)。従来は技術者が電卓で計算しながらバランス修正していたのを、同社が初めて自動で修正指示量の表示までする計測器にしたと言われている。

Field Fox(ふぃーるどふぉっくす)

キーサイト・テクノロジーのハンドヘルドRF製品群の通称。NA(ネットワークアナライザ)にSA(スペクトラムアナライザ)機能の一部を付加した、マイクロ波/ミリ波のハンドヘルド製品群である。

VSIM(ぶいえすあいえむ)

SMUの機能の1つ。電圧を印加して電流を測定する。

VSA(ぶいえすえー)

(Vector Signal Analyzer)キーサイト・テクノロジーの製品名(現在は製造中止)。周波数軸と時間軸の両方の波形表示ができる同社のユニークな製品。デジタル無線の黎明期にメーカなどのR&D部門では、変調信号の解析に威力を発揮した。計測器の外観は箱で、外部にコントローラ(コンピュータ)をつないで使用した。現在は無線通信に使う変調信号の解析はもっぱらシグナルアナライザ(スペクトラムアナライザ)が使われるが、1990年頃にはVSAは有効な測定器の1つであった。