計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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アイトラッキング(あいとらっきんぐ)

(eye tracking) 直訳は「目・追跡」。日本語では「視線追尾」や「視線計測」。視点の位置(見ている場所)や眼球の動きを追尾して表示すること。アイトラッカやアイカメラとも呼ばれる。 メーカはTobii Technologyが世界的に有名。日本法人のトビー・テクノロジー株式会社は2008年に設立している。論文などの文献での採用数が1万件以上あるといわれる。トビー以外にも内外の多くのメーカがつくっている。ゴーグル(頭に装着するメガネのような機器)型が多いが、非接触式のモデルもある。カメラなどのハードウェアと処理を行うソフトウェアで構成されるので、高速度カメラなどのカメラメーカや、画像処理メーカなどの様々な企業がアイトラッキングに参入している。現在、市場が拡大している活況な製品の1つといえる。 脳の血流量の測定器をつくる日立ハイテクノロジーズ(現日立ハイテク)は東北大学と共同で株式会社NeU(ニュー)を2017年に設立した。同社ホームぺージには「脳計測とアイトラッキングを併用して、CMや動画コンテンツを評価する」手法が提案されている。

Waygate Technologies(うぇいげーとてくのろじーず)

2020年頃につくられた、元GEの非破壊検査機器のブランド名。工業用内視鏡や発電所の振動計測で使われているBently Nevada(ベントリーネバダ)などの製品がある。2002年から会社はGEではなく、OIL&GASの世界的な会社であるBaker Hughesになった。複数の機種群(メーカ)があるため、新ブランドを立ち上げた。

AFM(えーえふえむ)

(Atomic Force Microscope)原子間力顕微鏡

fps(えふぴーえす(ふれーむぱーせっく))

(frames per seconds) 1秒間あたりに表示される画像(フレーム)数。数が大きいほど1秒間の動画を構成する画像が多いため、滑らかな動画になる。「フレームレート」や「撮影速度」と呼称され、表記は「コマ/秒」もある、動画の代表的な指標(単位)。 フォトロンやナックイメージテクノロジー(nac)の高速度カメラは、VGA解像度(画素数640×480ピクセル)で10,000(1万)fps以上のモデルが多い。2社はハイスピードカメラの代表的な国産メーカである。ハイエンド製品は米国のVision Research社(Ametekグループ)がトップブランドである。一般にハイスピードカメラというと高速で高額な製品であるが、数千fps以下の低速域で使われるモデルもあり、株式会社ディテクトは産業用途からスポーツまで幅広く販売し、売上を伸ばしている。同社の一番の売れ筋モデルHAS-U2のメーカ価格は95万円である。ハイスピードカメラは1千万円するモデルも珍しくはないので、ディテクトの低速域の製品群はフォトロン、nacとは位置づけが異なるハイスピードカメラといえる。 撮影速度は「フルHD(Full HD)で○○コマ/秒」、「最高撮影速度△△fps」など、前述のVGA解像度とは別の表現がハイスピードカメラメーカ各社のカタログには書かれている。各メーカは(他社と簡単には比較できないように)自社モデルの優位な仕様が目立つような表現をしている、と筆者には思える(一般に商品はそのように特長をPRするのは普通であるが)。fpsの定義は明瞭で、動画撮影の代表製品であるハイスピードカメラの仕様を示す最も基本性能の1つだが、各社製品の比較にはfps以外の基礎知識が必須である。 余談だが、ローデ・シュワルツ(R&S)のスペクトラムアナライザの主力モデルの形名はFPSxx(xx:数字)である。

金属顕微鏡(きんぞくけんびきょう)

試料に対して接眼レンズ側より光を照射し、その反射光の明暗や色のコントラストにより、試料の物性を観察する顕微鏡。

空間周波数(くうかんしゅうはすう)

(spatial frequency) 長さ(距離)の逆数の物理量(単位:1/m)。時間の逆数を周波数と呼ぶのに倣い、長さ(空間)の逆数をこのように命名した。空間的な(spatial)周波数(frequency)である。 元来、周波数とは「単位時間当たりの波の数、振動数」や回転体の速さのことで、電気では重要な基本物理量である。計測ではスペクトラムアナライザやFFTアナライザなど周波数ドメインの計測器は、マルチメータ(電圧・電流)、オシロスコープ(時間)と共に、最も使用頻度が高い基本測定器である。数学の手法であるラプラス変換で、時間の関数を変換すると周波数の関数となる(フーリエ変換)。周波数による分析は、時間的な周期がある現象を簡便に解析できて便利である。そのため、時間とともに基本的な概念である空間の逆数(空間周波数)を求めると、「空間的な周期をもつ構造」を解析することができる。空間周波数とは「単位長に含まれる構造の繰り返しの多さ」を表し、メートルあたりの周期といえる。この概念から、各分野で多くの応用がなされている。 画像処理の分野では「ミリメートルあたりの線数」が空間周波数である。画像を扱う光学の用語では、物体が正弦波格子で構成されていると考えたときの強度(振幅)の指標を、単位長あたりの白黒の数(コントラストのペア)、lp/mm(lines pair per millimeter、ラインペア/ミリメータ)で表し、これを空間周波数と呼称する(画像にある「単位長に含まれる明暗の縞模様の波の数」のこと)。画像は位置によって(空間的に見る場所によって)明るさ(信号)が変化する。そのため、「空間周波数:空間的に変化する信号の周波数」という説明もできる。「空間周波数が高い」とは、像にエッジなどの鋭い変化があることを意味する。 半導体の分野では「露光される周期的なパターンの長さの逆数」を空間周波数という。投影光学の解像度に関係する指標である。 時間に対する周波数という概念や分析手法を、空間(長さ)に応用して「空間周波数」なる概念(物理量)を考案することで、画像、光学、半導体などの広い科学技術分野で使われている。

形状測定顕微鏡(けいじょうそくていけんびきょう)

顕微鏡で拡大しながら表面形状を測定する機器。

顕微鏡(けんびきょう)

微少な物体を観測する機器。

光学顕微鏡(こうがくけんびきょう)

可視光線を利用した顕微鏡。ふつう透過顕微鏡を指すが、特殊なものに金属顕微鏡・偏光顕微鏡・限外顕微鏡・位相差顕微鏡などがある。

工業用内視鏡(こうぎょうようないしきょう)

(industrial endoscope) 製品の深部や内部の画像をモニタに写し出す機器。別名:ファイバースコープ。内視鏡は細い管の中を調べる検査機器で、配管などの内部劣化を検査する保守用の測定器である。医療用内視鏡は「胃カメラ」と呼ばれる。日本のオリンパスは医療用、工業用ともに内視鏡の世界的なトップメーカ(※)。工業用内視鏡はファイバースコープの名称で、フィルム式のカメラで撮影していたが、CCDなどの画像素子や撮影技術の進歩によって、現在は静止画だけでなく動画撮影や、3次元計測などもできるビデオスコープになっている。そのためファイバースコープとは現在はいわないが、今でも死語にならず工業用内視鏡のことを「ファイバースコープ」と呼称することが多い。モニタに表示するのでモニタースコープという品名の製品もあるが、一般にモニタースコープというとマイクロスコープ(電子顕微鏡)のことである。 (※)治療機器事業と内視鏡事業をしているオリンパスは、「医療分野と科学分野のそれぞれの事業特性に合った経営体制を確立する」、として工業用内視鏡を含む科学事業を2022年4月に分社化して株式会社エビデントを設立、さらに同年8月にはBain Capital Private Equity(ベインキャピタル)にエビデントを譲渡する契約を締結したと発表。名門オリンパスは工業用内視鏡だけでなく非破壊検査機器から撤退することになった。なので、現在の国内最大手の工業用内視鏡メーカはエビデント。海外ではGE系列だったWaygate Technologiesなどがある。 計測器情報:工業用内視鏡の製品例

高速度カメラ(こうそくどかめら)

(high speed camera) 一般に1秒間に1000枚以上の撮影ができるカメラの総称(通常のカメラは30~60枚/秒)。別名:ハイスピードカメラ。自動車の衝撃試験や、電子機器の落下試験など用途は広い。実態はカメラだが高額な計測機器(試験装置の1種)として、各メーカでの導入が進んだ。 メーカは国産のナックイメージテクノロジー(nac)が老舗。同じく国産の株式会社フォトロン(Photron)も横河電機のオシロスコープと協業するなど、シェアを伸ばしている。上記の国産2社が国内ではシェアを競っている。「国内市場は飽和しているのでハードウェアのみの販売はもう伸びない」としてフォトロンはアプリケーションの開発に注力している。米国のVision Research社(Ametekグループ)が最速・超高感度の世界的トップブランドで、別格(ハイエンド)である(日本の総代理店は株式会社ノビテック)。それに次ぐ領域を国産のフォトロン、ナックイメージテクノロジーがラインアップしている。 低速域の高速度カメラもあり、株式会社ディテクトが高シェア。同社は2000年頃に(低速域の高速度カメラ)市場に参入し、ラインアップを増やした。同社の上位モデルは前述3社の下位モデルと基本仕様は同じだが、価格が大変安価で、競合という感じではない。シナノケンシも生産ライン向けの低速域のモデルがある。

高速ビデオ(こうそくびでお)

高速で動作する機械や装置の挙動解析・工業製品や部品の破壊現象の解析・生産現場での加工・組立機械の動作解析等を行うためのビデオ。

コリメータ(こりめーた)

(collimator) 光線を平行に集束させる機構。光源から放射される多方向のビームを平行な光線に揃える装置。そのほか、レンズの焦点距離・光軸などを測定する機器を指していることもある。 参考用語:オートコリメータ

コンフォーカル(こんふぉーかる)

(confocal)共焦点。コンフォーカル光学系は、焦点の合った部分だけが際立って明るく撮像される。焦点の合っていない箇所からの不要散乱光が除去されて高コントラストのため解像度が上がるため、レーザー顕微鏡に採用されている。

SAT(さっと)

(Scanning Acoustic Tomograh) 超音波映像装置。超音波で物体を走査し、内部を映像化する装置。非破壊検査(NDI)機器の1種で、超音波探傷検査(UT)を応用した検査機器。

GEセンシング(じーいーせんしんぐ)

(GE sensing)正式社名:GEセンシング・ジャパン株式会社。圧力計(マノメータや圧力キャリブレータなど)のDruck(ドラック)社と流量計のPanametrics(パナメトリックス)社がGE(米国の総合電機メーカであるゼネラル・エレクトリック)社のセンシング部門に2002年に買収され、その日本法人の名称。Druckの日本法人であるドラックジャパン株式会社とPanametricsの日本法人である日本パナメトリクス株式会社の販売員がほとんどGEセンシング・ジャパンに移籍した。2002年から2017年に存在した。2017年にGEの事業再編で、GEの資本から離れ、2つの計測器はBaker Hughes社になり、現在は日本ベーカー・ヒューズ株式会社である。DruckとPanametricsは2つとも計測器の老舗ブランドだが、GEセンシングの時代はDruckやPanametricsというブランドの使用を禁止し、GEを前面に出していた。Baker Hughesになってからは元のブランドを復活している。DruckとPanametricsは別の組織で、各人の名刺にはそのロゴが印刷されている(2022年現在)。正確には、2017年から2021年頃まではGEセンシング&インスペクション・テクノロジー株式会社で(Baker HughesとDruck/Panametricsの両方のロゴを併記していて)、2021年頃に日本ベーカー・ヒューズ株式会社に社名変更している(2017年にBaker Hughesになったが、日本での会社名は2021年頃まではGEセンシングという社名が続いた)。 GEセンシング・ジャパンの本社は東京都武蔵野市(吉祥寺)にあり、Druck部門は「プレッシャー・プロダクト(つまり圧力計)営業部」で、全国の原子力発電所(原発)を主な顧客にしていた。Panametricsは「フロー&ガス・モイスチャー営業部」といった。中央区月島にテクニカルセンターがあり、流量計や分析機器の校正を行った。Baker Hughesになってからはドラック事業本部、パナメトリクス事業本部である。 GEには工業用内視鏡(ファイバースコープ)や超音波探傷機器もあり、2002年にGEインフラストラクチャー・ジャパン株式会社となっていたが、それらすべてがBaker Hughesに引き継がれた。2017年にGEセンシング・ジャパンと統合して、GEセンシング&インスペクション・テクノロジー株式会社となり、(前述のように2021年頃に)日本ベーカー・ヒューズ株式会社になっている。非破壊検査機器(内視鏡など)は2020年頃にWaygate Technologies(ウェイゲート・テクノロジーズ)という新ブランドを創設した。Baker Hughesの製品群にはタービンもあり、機械設備の状態監視(振動測定など)を行うBently Nevada(ベントリーネバダ)も(発電所の振動計測で実績が高い)計測ツールの1つである(原発にタービンや発電機などを納品する三菱重工、日立製作所、東芝はベントリーネバダの振動計測器を設備として保有している)。Baker Hughesの非破壊検査機器は複数のプロダクト(複数社の製品群)があるためDruckやPanametricsのように既知のブランドではなく、新しいブランドが必要だったと推測される。 まとめると、Baker Hughesは複数の異なる製品群を持っていて、日本法人は日本ベーカー・ヒューズ株式会社になる。ただし3つのブランドDruck、Panametrics、Waygate Technologiesを前面に押し出していて、そのロゴを名刺に印刷し、3つのブランドの製品を掲載しているHPは全く別に3つ存在している。 Druck製品は丸文株式会社が販売店をしていているなど、Baker Hughesの計測器の直販比率は高くはない(外資はどこもそうなる)。原発では計測器としての圧力校正器や圧力計を多く使用するが、Druckと横河計測(当時は圧力計などの現場測定器は横河メータ&インスツルメンツ株式会社)が競っていた。3番手が露点計で有名なMichell Instruments社(日本にはミッシェルジャパン株式会社がある)。2011年の東日本大震災以降、多くの原発が稼働していないので、圧力計各社は別の顧客を模索している。

実体顕微鏡(じったいけんびきょう)

数倍~40倍ぐらいの倍率で観察するための顕微鏡。

スコープ(すこーぷ)

(scope)翻訳すると、「目で見える範囲、視野」のことだが、計測器では「見る機器」、「観察・観測するもの」という意味で使われる。計測器の代表であるオシロスコープ(oscilloscope)は「発振(oscillation)の観測器(scope)」の造語といわれる(発振器の信号波形、周波数の観測をすることが語源という説がある)。telescopeは遠く(tele)を見る機器(scope)なので望遠鏡、逆にマイクロスコープ(microscope)は小さい(micro)範囲を見る機器で、顕微鏡のことである。periscopeは(潜水艦の)潜望鏡や(塹壕で使う)展望鏡のこと(periは周辺の意味)。 計測器でスコープの代表はオシロスコープとマイクロスコープである。正確にはスコープはテスタやメータのような「数値を計測する」ものとは違い、「観察、観測」する機器である。オシロスコープは電圧の時間変化を波形表示する。横軸の時間は大変精度が良いが、A/Dコンバータの分解能はハンドヘルドのDMMよりも劣っていて、デジタル表示された電圧値は2桁までしか信用できない(最近の高分解能オシロスコープはこの点が改善された)。 そんなに精度が悪くて良いのかというと、波形を観測・観察するスコープであって、(数値を測定するものではないので)それで良い。高速AD変換器を使ったデジタルオシロスコープの誕生から約30年、分解能がずっと8ビットだったのは、ビット数を増やす必要(需要)が無かったからである。その意味では最近(2012年以降)の高分解能オシロスコープは精度よく電圧が測定できるので、オシロメータ(オシロテスタ)である。高分解能モデルの登場によって、やっとオシロスコープは電圧を正確に測定できる、正式な計測器の仲間入りをしたといえる。 microscopeを日本語にすると顕微鏡だが、日本語のマイクロスコープを英語にするとmicroscopeである。日本では「顕微鏡」というと通常は光学顕微鏡(optical microscope)を指し、接眼レンズと対物レンズで微小な物体を拡大して観察する機器のことである。光源としてレーザーを利用するレーザー顕微鏡もあるが、一般には可視光を利用しているものを指し、実体顕微鏡も含まれる。マイクロスコープは対物レンズのみで、接眼レンズに相当する部分がデジタルカメラになる(「デジタルマイクロスコープ」と呼称するメーカも多く、デジタルカメラを搭載した顕微鏡がデジタルマイクロスコープともいえる)。 またマイクロスコープは通常、観察対象をモニターに映す(顕微鏡のように筒を覗かない)。そのためマイクロスコープを「モニタースコープ」と呼称する場合もある(ハンドヘルドの工業用内視鏡をモニター付きスコープ、ということでモニタースコープと呼称している例もある)。試料に電子線を当てる電子顕微鏡(SEM、セムと呼称)は原子レベルまで拡大した観察ができる(水平分解能:約1nm)。その次に倍率が高いのがレーザー顕微鏡とデジタルマイクロスコープといわれる(数10nm~1mm)が、マイクロスコープはより光学顕微鏡に近い性能、という解説もある。これらの○○顕微鏡やマイクロスコープは用途によって使い分けられている。英語はmicroscopeだが、日本では顕微鏡とマイクロスコープは別の製品である。 テレメータ(telemeter)は遠隔地の測定データを測定する機器で、データロガーと同じデータ集録機器の1種である(遠くを見るテレスコープではなく、遠くを計測するのがテレメータ)。

ストロボフラッシュ(すとろぼふらっしゅ)

高速運動物体の撮影時や夜間の道路を遠距離照射する照明。

SEM(せむ)

(Scanning Electron Microscope)読み方:セムまたはエスイーエム。走査型電子顕微鏡。電子線を観測対象に照射し、放出される二次電子などから像を作る。略して「電子顕微鏡」といわれることが多い。