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- 気圧(きあつ)
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(atmospheric pressure)空気の重さのこと。標準気圧である1気圧は1013hPa(ヘクトパスカル)。気圧のことを大気圧とも呼ぶ。高度が高くなると気圧は下がる。たとえば500mの高さの山に登ると50hPa下がるといわれている。人間の耳の内部は気圧を敏感に感じ取るため、飛行機に乗るなど、高度が高くなると耳が鳴ることがある。
- 気圧計(きあつけい)
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大気圧を測定する機器。 (=大気圧計)
- Keysight World(きーさいとわーるど)
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世界的な総合計測器メーカのキーサイト・テクノロジーが毎年開催する自社イベント(個展)のこと。日本だけでなく世界中で開催している。日本では古くは2016年7月に東京で開催された記録が残っている。 2~3日間の日程で、カンファレンス(最新技術の講演)と計測器の展示(カンファレンスで紹介した機器以外も展示)で構成される。時代に合ったテーマの講演、セミナーと、同社の新製品や、今後発表予定のソリューションを知ることができる。キーサイト・テクノロジーだけでなく同社のパートナー企業も参加し、個々に展示ブースを設けることもある。Tech Eyes Online取材班は、展示品の中から目利きして選んだ製品群を、イベントレポートで紹介している。世界最高速の広帯域オシロスコープの世界初披露や、小型・軽量になった53GHzのベクトルネットワークアナライザ(USB計測器)、オール・フォトニクス・ネットワークを目指すNTTのIOWNなどで使われる、近未来の光電融合デバイスの評価ソリューション(偏波シンセサイザなど)、など毎回、最新のソリューションが紹介される。同社の強みである高周波の新製品の数々が展示される(以下の参考記事を参照)。 計測器の展示会というと古くはJEMIMA(ジェミマ、日本電気計測器工業会)が開催する計測展(現IIFES、アイアイフェス)があるが、海外の計測器メーカはいつの頃からか参加しなくなった(効果がなくなった為と推測される)。国内の計測器メーカも30周年や100周年などの節目に個展を開くことはあるが、原則、大きな総合展示会に参加している。オシロスコープのトップベンダー、テクトロニクスも同様に毎年、個展を開いている(TIF、テクトロニクス・イノベーション・フォーラムと称している)。 テレビ・オーディオ測定器の2トップ(逆にいうと唯一の国産2社)である、リーダー電子とアストロデザインも、計測展には出展せず、映像関連の展示会に参加し、2015年頃から毎年プライベートショー(個展)を開催している。小野測器は人とくるまのテクノロジー展(会場:パシフィコ横浜)の常連だが、同時期に会場近くのホテル上層階の大会場で個展を開き、招待状を送付した特別の顧客だけに情報提供をしてきた(2020年からコロナウイルスの蔓延で中止している)。 当サイトは2017年8月に開設し、2018年と2019年の7月に開催されたKeysight Worldを取材して、新製品などを記事で紹介した。2020年はコロナ対策で開催は中止され、2021年と2022年は10月にオンラインで開催された。2023年8月には、4年ぶりの対面での開催が御茶ノ水駅近くの会場で催された。
- 機械語(きかいご)
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(machine language) マイクロコンピュータ(マイコン、CPU)を動かすソフトウェアに関連する用語。マイクロコンピュータが理解して実行できる命令が書かれたプログラム(言語)。0と1の2進数の文字列。別名:マシン語。 人間は機械語を書けないので、C言語などでプログラムを記述する(ソースファイル)。C言語(人間が書いたプログラム)はアセンブリ言語を経由して最終的に機械語に変換される。詳しく流れを書くと、まずソースファイルはコンパイラによってアセンブリ言語に変換される。アセンブリ言語はアセンブラによってオブジェクトファイルに翻訳される。オブジェクトファイルはリンカやコンバータによって機械語(データファイル)に変換される。 プログラマが書いたソースファイルは、このような流れでオブジェクトファイルを経由してマイクロコンピュータが実行できるデータファイル(機械語)になる。この一連の作業工程(ソースファイルからデータファイルを作る)をコンパイルと呼んでいる。(以下の参考記事の図5が詳しい) 1970年代にインテルなどが開発した4ビットのマイクロコンピュータは、1980年代に8ビット、16ビット、32ビットと発展した。コンピュータの心臓部であることは周知だが、ソフトウェアを搭載した組込み機器(組込みシステム、embedded)も普及し、いまや炊飯器からスマートフォンまでCPUを動かすソフトウェアが搭載されている。機械語(マシン語)は私たちの日常の身近にある。 データファイルをメモリに格納し(実際はEPROMなどの、簡便に何度も書き換え可能なデバイスを使う)、プログラムを実行させ、電子機器(組込み機器)を動作させ、検証していく作業をデバッグと呼ぶ。プログラムをどこからどこまでの範囲で実行させるかなどを設定するツールがICE(アイス)である。そのためICEは別名、デバッガ(debagger:debagする物)とも呼ばれる。ICE市場は2000年代以降に激減したが、組込みマイコン(組込み機器用のCPU)の黎明期から普及期(1980~2000年代)は、計測器メーカと電子機器ベンチャーが競って製品開発をした、モンキービジネス(花形の計測器カテゴリー)だった。
- 機械式電力計(きかいしきでんりょくけい)
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計測器としての低周波の電力計の1種で、指針型のアナログ表示の電力計のこと。一般に電力計(watt meter)というとこの機械式電力計のことを指すが、広義の電力計は高周波電力計やデジタルパワーメータや積算電力量計まで含む。 電力計測が始まった当初からある指示計器で、直流から交流まで測定でき、駆動するための電源は不要で、構造がシンプルであり、表示が直感的であるため、開発~生産まで幅広く使われた。理工系の電気の学生実験では現在でも必ず使用されている。 参考用語:YEW 参考記事:電力計の基礎と概要 (第1回)・・冒頭に各種の電力測定器を解説。
- ギガビットLAN(ぎがびっとらん)
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(gigabit LAN) 企業内に広く導入された10/100 BASE-Tの延長線上にあるデータ伝送速度が1G/10GbpsのLANで、2000年代に構想された。LANとイーサネット(ethernet)はほぼ同義。ギガビット・イーサネット(GbE)と言うと伝送速度1Gbpsを指し、ルータなどに装備されている。また10ギガビット・イーサネット(10GbE)は最大40Kmの伝送距離があるため、基幹網に導入されている。 GbEには1000BASE-LX/SX/CX/Tの4規格があり、LX/SXが光ファイバ、CX/Tが銅線。10GbEは7規格がありすべて光。それぞれ用途によって使い分けされる。ギガビットLANは1Gbpsまでは普及したが、10Gbpsは業務用までで、一般家庭にはまだ普及していない。なお10GbEはイーサネットの根幹であるCSMA/CD技術を採用していないし、LAN向けとWAN向けの2種類の仕様があるため、厳密にはイーサネットでもLANでもない。 2020年頃には通信速度は100Gbpsに進み、アンリツのネットワークマスタ プロ MT1040Aはデータセンタ内で導入が進む400Gイーサネットの物理レイヤを測定できるため、品名の後に「400Gテスタ」と但し書きされている。
- GHz(ぎがへるつ)
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(giga hertz) 周波数 の単位で、1,000,000,000Hz に相当。G(ギガ)は10の9乗の接頭辞。無線(RFなどの高周波)の基本測定器であるスペクトラムアナライザの、仕様の1番目は測定周波数である。最高3GHz~9GHzモデルのラインアップが多い(キーサイト・テクノロジーの最上位機種、Xシリーズ シグナルアナライザは110GHzまで測定可能。2022年3月現在)。現在普及している携帯電話で最も使われている周波数(キャリア、搬送波)は1.5GHz帯である。このようにGHzは無線通信の測定器で大変良く使われる用語(単位の略記)である。 2000年代に登場した高速オシロスコープは、周波数帯域 数百MHz(メガヘルツ)が主流だったオシロスコープを高周波の製品群(GHzの製品)に豹変させた。初めての広帯域なオシロスコープとして54855A(6GHz)を発売したキーサイト・テクノロジーは2018年には世界最高速の110GHzモデルを発売している(以下の参考記事が詳しい)。 電子工作の専門技術誌、月刊「トランジスタ技術」2023年12月号は、高周波の代表的な機種であるネットワークアナライザで、最近話題のnanoVNAを特集した(特集のタイトルは「GHz測定 nanoVNAで回路名人になる」)。記事の執筆者の1人にペンネーム「じがへるつ」氏がいる。GHzをもじったネーミングである。つまり、ペンネームに使われるくらい、「GHz」は計測器を含む電気(高周波)の世界で基本の(親しまれている)ことばである。
- GigE Vision(ぎぐいーびじょん)
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産業用・工業用カメラの国際規格。イーサネットのIPネットワーク上で動作するカメラ・インタフェース標準。準拠したものはロゴが使用できる。カメラが撮影した映像信号をイーサネット経由で伝送し、カメラの制御にも使われるプロトコル。Camera Linkなどと同じマシンビジョン標準規格の中の1つ。JIIA(日本インダストリアルイメージング協会)が詳しい説明を掲載している。 GigE(ギグイー)とは、PoEを使った1G bpsのイーサネット規格で、Gigabit Ethernetを略記したと思われる。出力構成(コンフィグレーション)を1 GigEや10 GigEなどと呼称し、画像データの転送速度が異なる。Visionはマシンビジョンからきていると思われる。つまり「ギガビット・イーサネット(GbE、ギガビットLAN)のマシンビジョンの規格」とでもいうネーミングである。 イーサネット通信規格(IEEE802.3)を用いたカメラ・インタフェース規格として2006年5月にリリースされ、2018年にVersion 2.1が発表された。標準のイーサネットケーブルを使い、長距離を高速にエラーなく伝送する。この規格によって、異なるベンダの機器やアプリケーションを各種のデータレートで接続することができる。IEEE 1588を使った高精度な同期機能も規定している。伝送速度は1、2.5、5、10Gbits/s。コネクタは銅線から光ファイバまで各種ある。
- 器差(きさ)
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(instrumental error)測定器が示す値(指示値など)と、本来示すべき正確な値(真の値)との差。JIS(日本産業規格)では「器差:1.測定器の示す値から示すべき真の値を引いた値。2.標準器の公称値から真の値を引いた値」と定義している。 個別の機器がもつ誤差のことを「その器の(真値との)差」という意味で器差と呼んでいるようだが、通常、電子計測器の業界では誤差や精度、確度などの用語が使われ、「器差」なる表現は限られた機種群だけで使われている(多くの電気計測器メーカの用語解説には「器差」は無い)。たとえばノギスやマイクロメータなどの寸法測定器は器差という用語を使っているようである。寸法測定器メーカのホームページで、「測定機器が持つ精度のことを器差という」という解説があった。医科器械メーカの用語解説にも器差があるので、医療器具でも誤差や精度のことを表しているようである。 当サイトのお問い合わせフォームに「温度計のモデル○○の器差はいくつですか?」という技術相談があり、○○の製品カタログなどの資料にはどこにも記載がないので、メーカに確認したら、「器差は仕様で規定していません、精度は△△です」という回答だった。つまり電気計測器である温度計には器差なる概念は無いのである。一般に計測器には精度や確度、分解能などの仕様の規定はあるが、器差を明記しているメーカや機種はほとんどない(上記のように寸法計測器ではしているようである)。 JISの計測用語で誤差のことを器差と規定しているため、「校正とは、器差を知って、計測器と真値の差を・・・」といいたくなるが、ほとんどの計測器の校正事業者は器差なることばは使っていない。計測器の精度/品質管理である校正でも、器差という表現は使われていない。電気計測器全般ではなく、ごく限られた機種群で使う用語といえる。JISに器差の規定があるのに電気計測器では使われていない理由は不明。 一口に計測(や測定)といっても、業界によってJISのどの範囲を参照するか同じではないと推測される。計測(測定)の分野は細分化されていて、各村では流儀(用語などの使い方)が違うので、どの村のことばなのか把握することが肝要である(素人にはめんどくさい話である)。たとえば電気計測器と科学分析機器では使われる用語に違いがある。
- 疑似(ぎじ)
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計測器の品名では擬似が多く使われる(擬似電源回路網、擬似線路、擬似音声発生器、擬似交換機など)が、疑似の代表例は「疑似呼」(コールシミュレータ)。ときどき「疑似信号」というような表現をしている計測器メーカを見かけるので、日本語としては疑似が一般的と思われる(が、計測器業界では圧倒的に「擬似」が多い)。
- 擬似(ぎじ)
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計測器では良く使われる熟語。「疑似」ではない。計測器の品名の例は以下。擬似電源回路網(協立テクノロジーKNW-407、アンリツMN425B)、擬似線路(東京理工研究所TR-8058)、擬似音声発生器(アンリツMG11A、菊水電子工業KSG3600)、ISDN擬似端末(アンリツEQ612A) 擬似交換機(アドシステムズX-4108、甲賀電子KG-3008、ニシヤマEXCEL-A004、ハウND4T-EXCH)。このようにその機種群の有名なメーカはほとんど「擬似」を品名にしている(一部のメーカには擬似もある)。ただし、通信計計測器の代表例であるコールシミュレータの別名は「疑似呼」で、擬似呼ではない。疑似呼以外の計測器はほぼ擬似のことが多い。「微少」と「微小」は計測器メーカによってどちらかが使われている(たとえば微小電流計、微少測定など)が、日本語で一般的な「疑似」より「擬似」のほうが計測器では圧倒的に使われているので、パソコンの漢字変換の時は注意が必要である(形名と型名に似ている)。計測器はニッチで、特殊な熟語の使い方をするので素人にはわかりにくい例である。
- 疑似基地局(ぎじきちきょく)
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基地局を模擬した動作をする移動体通信の代表的な計測器。RFポートから規格に準じた信号が出力され、この信号を携帯電話などの無線端末に入れて、端末がネットワークにつながるか、またつながった後で想定通りに動作するかを確認する。新しい無線通信の規格ができると、それに対応した端末の一通りの試験ができる。別名、基地局シミュレータ、基地局エミュレータ、シグナリングテスタなど、メーカによって名称(品名)は異なる。 国産の無線通信計測器メーカであるアンリツはシグナリングテスタの名称で早くから疑似基地局を開発・リリースしてきた。日本のNTTに長年、計測器を納品してきた電電ファミリーの代表である。 キーサイト・テクノロジーが2023年2月に発売した、ローカル5Gの規格(リリース17)であるRedCapに対応した疑似基地局の品名は「5Gワイヤレス・テスト・プラットフォーム」である。この名称からは疑似基地局であることは想像しにくい。 ローデ・シュワルツが2024年5月に開催したTechnology Symposium(90周年記念企画のイベント)では、2023年末に規格化された、最新の高速無線LANのWi-Fi 7に対応した「5G ワンボックス・シグナリング・テスタ」の講演と製品展示がされた。同社は無線機テスタの中の1モデル、と称しているが、上記のキーサイト・テクノロジーと同じ、疑似基地局である。無線機テスタのことをワンボックステスタと呼ぶことが多い(1台ですべての試験ができるテスタという意味)。 基地局シミュレータを日本語で「疑似基地局」と呼んでいる。日本語の疑似基地局を直訳したpseudo base stationは、英語としては意味不明である。シミュレータを日本語で疑似と表記するが、擬似を英訳しても正確な英語にはならない。負荷試験機も英語ではtraffic generatorやnetwork simulatorで、負荷をloadと翻訳すると、間違った英語になってしまう。
- 疑似呼(ぎじこ)
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(call simulator/traffic generator) 計測器としての「疑似呼」は交換機の試験機。交換機にたくさんの電話機がつながったとき(発呼や着呼)、交換機が正常に動作するかを試験する。多くの電話機(呼)の代わりをして交換機に負荷をかける測定器。反対に電話機などの端末の試験機は疑似交換機。日本の疑似呼メーカは電話機などの情報通信装置メーカであったアンリツ。コールシミュレータの品名でEF104などの製品があった。通常、アンリツの計測器の形名はMS2830スペアナ、MG3703信号発生器、のように頭がMではじまる。これは計測器事業部門の製品であることを示すMeasure(計測)の頭文字をとっている。コールシミュレータは電話機をつくっていた事業部門の製品なのでMでなくEで形名がはじまる。電話機や情報通信装置を手掛けてきたので、呼制御の技術が疑似呼につながった。同様にNTTに通信計測器を納入してきた安藤電気や、電話機を納入してきた岩崎通信機には、疑似呼はない。呼制御などの疑似呼の基礎技術は、後のデジタル無線通信時代のアンリツのシグナリングテスタ(呼接続試験機)につながったともいえる。 以下のような解説がある。「疑似呼発生器(traffic trials generator):携帯電話の利用者が一時的に集中する状況を模擬するために、集中負荷疑似呼を発生させ、実際にフィールドで発生する状況に即した無線基地局装置の疑似呼試験を行う」。この解説ではtraffic trials generator(情報量・試練・発生器)なる英語が使われているが、コールシミュレータ(call simulator)またはトラフックジェネレータ(traffic generator)が擬似呼の別名では使われる。また、固定電話の時代疑似呼と呼称されたが、携帯電話の時代になると、アンリツは「シングナリングテスタ」という製品をつくったが、携帯電話用の疑似呼といわれるような負荷試験装置は見当たらない。
- 擬似交換機(ぎじこうかんき)
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(network emulator、exchange simulator) 有線通信測定器の1種。電話機などの端末の性能試験に使われる、交換機の代わりをする測定器のこと。別名、ネットワーク エミュレータ(network emulator)、ネットワーク シミュレータ(network simulator)、回線シミュレータ。 インターネットが普及する2000年代まで、電話機などの端末同士をつなぐのは交換機が担った。そのため、アナログの電話回線の代わりをする(通信回線と同じ機能を持ち、動作をする物)をアナログ擬似交換機、ISDNなどのデジタル回線の代わりをする物をデジタル擬似交換機と呼んだ。NTTが新しい通信サービスを開始するとき、それに対応した電話機などの、新しい機能を持つ端末を開発・試験するために擬似交換機が必要になる。1988年にNTTが「INSネット64」、「INSネット1500」というISDNサービスを開始する際は、そのサービスに対応するDSU(Digital Service Unit、ディーエスユー)やTA(Terminal Adapter、ターミナルアダプタ)などの端末機器が発売されたが、それら端末の開発・試験にはISDNに対応した擬似交換機が使われた。ISDNは2000年頃まで契約者数が増えたので、ISDN擬似交換機は複数メーカが発売した。 アナログ擬似交換器の老舗はアドシステムズで、X-4000シリーズ(X-4008 アナログ交換シミュレータなど)が有名。アナログ通信時代の通信計測器をラインアップしていた株式会社ニシヤマもEXCEL9204などを販売。三和無線測器研究所はAX267。これらはすべて生産終了(ニシヤマは2023年11月現在、EXCEL-N000シリーズを販売している)。現在は「松本無線パーツ株式会社岩国」が@約4万円で、電話回線疑似交換機(Network Simulator)TK-7598Wモジュラー縦置きタイプ、TK-7598WHモジュラー横置きタイプの2モデルを販売している。同社ホームページには「電話網のシミュレーションを行うための疑似交換機(ネットワークシミュレーター)で、各種電話機やFAX(ファックス)等の電話端末装置を、加入者回線に接続することなく試験やデモンストレーションができる。ナンバーディスプレイ対応。」とある(2024年5月現在)。 1988年に日本でISDNが開始されるまでは、擬似交換機はアナログの電話回線用が大半だったと筆者は推測する。ISDNが始まってISDN擬似交換機が計測器として各メーカから発売され、擬似交換機の主流はデジタルになったが、現在は主要な計測器メーカは擬似交換機をつくっていない。工場・防災・監視システムメーカの株式会社ハウは、アナログ電話回線用と「ISNネット64」用の疑似交換機をラインアップしている。有線電気通信機器メーカの甲賀電子株式会社はISDN擬似交換機を複数モデルつくっている。 emulateは「倣う」なので、「まねをする、代わりの動作をする」ものをemulator(エミュレータ)という(エミュレータの代表にICEがある)。simulation(シミュレーション)も「見せかけ、ふり、擬態」などの意味で、「模擬実験」の計測器をシミュレータと呼んでいることが多い。交換機の代わりをする擬似交換機はネットワーク エミュレータ(やシミュレータ)と呼ばれる。ネットワーク(通信回線)の代わりをする擬似通信網(擬似通信回線)という意味である。交換機は英語でexchangeなので、擬似交換機を単純に英訳するとpseudo exchangeになるが、計測器の擬似交換機は英語ではnetwork emulator(またはexchange simulator)が適切と筆者は思う。 ネットワーク機器に多くのアクセス(トラフィック、情報量)を与えて動作を評価する測定器を、負荷を与えるということで日本語では「負荷試験機」と呼ぶが、英語表記はtraffic generator(トラフィック発生器)で、負荷の英語であるloadではない。交換機に多くの電話機からアクセス(呼、call)が集中した際に正常な動作ができるか確認する測定器を疑似呼(ぎじこ、英語ではcall simulator、コールシミュレータ)という。多くの電話機が交換機につながろうとしてアクセスする(呼の負荷をかける)、多くの電話機(呼)の代わりをするのが疑似呼である。負荷試験機や疑似呼は通信回線にある機器(ネットワーク機器)に多くの機器からアクセスがある状況をつくり(トラフィックの負荷をかけて)評価し、擬似交換機は(交換機などのネットワーク機器ではなく)ネットワークにつながる端末(電話機など)を評価する測定器である。ただし、2000年代以降は交換機があまり新設されず、擬似交換機でなくネットワークシミュレータといういい方が増えている。また、負荷試験機をネットワークシミュレータと呼称するメーカもあり、品名からは両者の判別がつきにくくなっている。 余談だが、上記メーカはほとんど「擬似」交換機と表記しているが。「疑似」交換機という記載も散見する。日本語としては擬似より疑似のほうが良く使われるが、LISN(擬似電源回路網)、擬似音声発生器など、計測器は「疑似」より「擬似」が多い。ただし呼制御の測定器は「疑似呼」である。計測の技術用語は、微小と微少、擬似と疑似のように、メーカによって表現が違い、統一されていない。計測器はニッチな製品で、計測器業界は村社会のため素人が理解しにくい所以である。
- 擬似電源回路網(ぎじでんげんかいろもう)
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電源ラインの妨害ノイズ測定に使用する機器。EMCのエミッション(EMI)試験で使われる。別名:LISN、AMN、擬似電源網。一部のメーカでは「疑似電源回路網」と表記している場合もある。参考用語:擬似、疑似
- 基準接点温度補償(きじゅんせってんおんどほしょう)
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温度計などに使われる温度センサである熱電対は、測温接点と基準接点との温度差で熱起電力が決定される。そのため測温点の温度を知るためには基準接点の温度も測る必要がある。その温度に相当する電圧を熱電対の起電力に加算し補正すること。(日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」より)参考記事:記録計・データロガーの基礎と概要 (第2回)・・記録計/データロガーを利用する上での留意点として、基準接点補償について図解している。
- 基準レベル(きじゅんれべる)
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スペクトラムアナライザの表示で、画面の最大レベルの目盛ラインの値。(2009年9月発行のテクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて」より)
- 気象観測機器(きしょうかんそくきき)
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雨量計、風向風速計、積雪計など、「天気予報で発表されるような数値」を計測する機器のこと。環境計測の機器(日射計や微粒子測定器、騒音計など)のうち、日射計は気象関連計測器に含まれることもある。温湿度計(気象用)や気圧計は、温度計や圧力計に分類されるが、気象観測機器に区分されることもある。 株式会社YDKテクノロジーズ(旧横河電子機器、横河ウエザック)は気象観測装置で有名。ノースワン株式会社には風向風速計KADECがある。
- 擬似ランダム・ビット・ストリーム(ぎじらんだむびっとすとりーむ)
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高速シリアル通信の波形評価では、ランダムな信号がテストパターンとして使われる。別名:擬似ランダム信号。 テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説では「擬似ランダム・ビット・ストリーム(PRBS):ランダムに繰り返される数字の列から構成される1 組のシーケンス。乱数のように見えるが、実際は予測可能な数学的パターンに従う。デジタル・システムでランダム・ノイズを作成するために使用される。」とある。略記:PRBS:Pseudo Random Bit Stream(or Sequence)。
- 擬似ランダム・ワード・ストリーム(ぎじらんだむわーどすとりーむ)
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(Pseudo Random Word Stream) 複数の擬似ランダム・ビット・ストリーム(PRBS)から構成されるワード・ストリームで、信号発生器のパラレル出力から送出される。シリアライザやマルチプレクサのテストによく使用される。略記:PRWS。(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)