計測関連用語集

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圧力伝送器(あつりょくでんそうき)

圧力を測定し、電流信号に変換して伝送する機器。

HLS(えいちえるえす)

(Hi-speed Link System)計装で使われる通信規格の1種。株式会社ステップテクニカが提唱している超高速・高信頼なフィールドネットワークの名称。モデルベース開発のHILやHILSと表記が似ているが全く違う。また同じ表記で、動画配信の仕組みであるHTTP Live StreamingもHLSと略記されている。

FA-M3(えふえーえむさん)

横河電機のPLC(プログラマブルロジックコントローラ)の通称。モジュール型で、CPU、電源、I/O、I/Fなど様々なモジュール製品の組み合わせで構成される。形名はF3XXYY-YX(XX:アルファベット大文字2つ、YY:数字2桁)、たとえばF3SP76-7SシーケンスCPUモジュールなど。同社HPでは「プログラマブルコントローラ」と表記されている。 現在の現役モデルは「FA-M3V(シリーズV)」(2021/8/1現在)

温調計(おんちょうけい)

温度調節計や指示調節計の略称。工場の炉などの温度は制御対象で、一定に保つように制御され、その役目をする機器。一般に測定入力の指示部と目標設定部があり、指示値(測定入力値)と目標設定値との差から調節信号を出力して、制御対象の温度を目標設定値に一致させるように動作する。FAや計装の分野の機器である。 「制御」と「計測」の代表的なメーカである横河電機のHPでは、「製品・サービス」のページの「制御/制御デバイス/ディジタル指示調節計(温度調節計/温調計)」に掲載されている。「制御」の機器としてはDCSやPLCが掲載されている。同様に工場に導入されている伝送器(でんそうき)や流量計は「制御」と横並びの「計測」の下に「フィールド機器」として掲載されている。つまり温調計は温度計(計測器)ではなく、制御機器である。当サイトのカテゴリー(機種分類)では「計装制御機器」に区分される。 横河電機と同業で「計測・制御・監視」の株式会社チノーは「温度のチノー」を標榜していて、幅広く温度計をラインアップしている(サーモグラフィなどの赤外線計測から燃料電池評価試験まで)が、温度制御も得意で、温調計は有名である。同社では「調節計」や「指示調節計」と表記していて、「温調計」という表現はしていない。 OMRON(オムロン)の制御機器事業のHPでは、「製品/コントロール/温度調節器(デジタル調節計)」に掲載されている。オムロンも「温度調整器」や「調節計」で、温調計という表現ではない。 温調計だと計測器である温度計に間違われるので、「温度を調整する機器」から「温調器」とでも呼称したらベターだったと筆者は思う。「調節計」では一体、何を調節する計(メータ)なのか伝わらないので、そんなことをいわないでもわかる村人たちの世界のことばである。「伝送器」と伝送交換の「伝送」のように、温調計と温度計は混同されやすい素地がある。

計装(けいそう)

(instrumentation) 生産工程などを制御するために、計測装置や制御装置を装備し、測定すること。語源は「計測器を装備する」。たとえば工場では昼夜を問わず機械が稼働しているので、それらが停止することなく安全に稼働し続けるために、温度や圧力などを常時計測して監視している。測定した圧力や温度から、温度を上昇させたり、圧力を下げたり、制御弁を開閉したり、という制御をして、機器の状態を安全に保つようにする。温度を一定に保つためにエアコンや冷凍機などを自動制御する。これら一連の行為を計装と呼び、PLCやDCS、温調計、伝送器、トランスデューサなどが計装用の機器である。プラントで材料から製品を生産する工程を管理するプロセス制御も計装である。そのため「計装制御」とも呼ばれる。横河計測の電流電圧発生器&モニタであるコンパクトキャリブレータ(形名CA150など)は「プロセス用キャリブレータ(計装の校正器)」といわれる。工場(プラント)内に装備されている機器が正しく電圧・電流を検知して出力しているかを確認(校正)する目的で使われる。工場やプラントに設置してある、圧力を表示する指示計器である圧力計は、可搬型圧力校正器で保守点検を行う(圧力校正器は圧力計測器としてカテゴリー「物理量測定器」に掲載している)。

工業計器(こうぎょうけいき)

(industrial instruments) 工場の生産過程で計測に使われる機器の総称。自動制御にかかわる高精度の計器類のこと。その機器・計器が工業計器か否かは、製品名から正確に判断することは難しい。たとえば、流量計、圧力計、ガス成分計、粘度計、厚さ計、重量計など、各種工業量を検出する目的で使用されれば工業計器と呼称される。計測器としての機種群(カテゴリー)では、流量計や圧力計、重量計は物理量測定器に、ガス成分計や粘度計、厚さ計は分析計に分類されるが、用途によっては上記のように工業計器に分類される。 石油化学、鉄鋼、紙パルプなどの工場のPA(プロセスオートメーション)に使われるレベルセンサ(静電容量式レベル計など)、温度計、荷重・回転・トルク計などや、付随するセンサ類を工業計器と呼んでいる。つまりPA/IA(インダストリーオートメーション)/ FAなどの計装の機器と工業計器はほぼ同義である。伝送器(でんそうき)や温調計、信号変換器、電力変換器、PLC、(計測器の)キャリブレータなども工業計器(計装)に分類される機器である。 日本の老舗計測器メーカで最大手だったYEW(横河電機製作所、現横河電機)は、1970年代にDCSを開発しFA/IA/PA(工業計器、計装)事業に集中していった(2000年代に通信計測器や半導体テスタ、フォトニクス事業の光デバイスなどに参入したが2010年代までにすべて撤退している)。高度経済成長を支えたハイテク機器である横河電機の電子計測器は、現在は子会社の横河計測が担い、横河電機の事業の根幹は工業計器である。同業の工業計器の会社である株式会社チノーは、「温度のチノー」と自称し、制御機器(工業計器)の温調計から、計測器の温度計まで幅広くラインアップし、温度計測・温度制御が得意である。工場では温度の管理が重要であることが同社をそうさせたと想像できる。このように計測器と工業計器(計装)は大変に関係が深い。 似た言葉に工業計測(industrial instrumentation、industrial measurement)がある。こちらは「工業の生産過程で行われる工業量の計測」と説明されるが、工業計器や計装とほぼ同義である。

交流電圧トランスデューサ(こうりゅうでんあつとらんすでゅーさ)

PT(変圧器)の電圧を計装用信号に変換する機器。

交流電流トランスデューサ(こうりゅうでんりゅうとらんすでゅーさ)

CT(変流器)の電流を計装用信号に変換する機器。

シーケンサ(しーけんさ)

三菱電機のPLC(Programmable Logic Controller)、プログラマブルロジックコントローラの名称。製品の通称は(2023年1月現在では)MELSEC(形名はユニットごとにR12CCPU-Vなど)。 英語のsequence(シークエンス)は「順番」、「輪番」の意味。PLCはプログラムに従って順番に処理を行う。科学の世界では一連の処理(手順)のことをアルゴリズムやシークエンスと呼称する。「決められた手順通りに処理をしていくもの」とでもいう意味でシーケンサと命名したと推測される。ただしこれは日本語であり、英語のsequencerでは英語圏では通用しないと思われる(google翻訳ではPLCとは無関係な解釈が表示される)。同社のPLCの日本語カタログには「シーケンサ」と明記されているが、英語カタログでは「Programmable Controller」である。つまり、同社はPLCのことをシーケンサ、またはプログラマブルコントローラと称している。 PLC一般の名称としても「シーケンサ」と呼ばれることが多いので、三菱電機のPLCのシェアが高いことを示唆している。FA(ファクトリーオートメーション、工場の自動化)や計装分野の用語。

JUXTA(じゃくすた)

横河電機の信号変換器の通称。プラントなどで使われる計装機器の1種。

周波数トランスデューサ(しゅうはすうとらんしゅでゅーさ)

入力電圧の周波数を演算して計装信号に変換する機器。

信号変換器(しんごうへんかんき)

計測・制御で使われる機器の1種。熱電対の信号を電圧に変換する機器(熱電対変換器)。信号変換器は、フィールドの各種センサ(熱電対、伝送器、流量計、ロードセル、ポテンショメータなど)や計装設備のアナログ信号(直流4-20mA、1-5Vなど)、接点などのデジタル信号を、上位システムに伝えるための信号に変換する機器。代表的な計装の会社である横河電機には JUXTA(ジャクスター)シリーズという通称の信号変換器がある。

DCS(でぃーしーえす)

(Distributed Control System) 日本語では「分散制御システム」。工場やプラントの生産現場に導入されている工業用コンピュータシステム(工場を制御しているシステム)。メーカによっては「ディジタル計装制御システム」と表現している。ことばが示す通り、(1台のコンピュータで集中制御するのではなく)システムを構成する各機器ごとに制御装置があり(分散制御)、それらが相互に通信して、全体を管理し合うシステム。 代表的なメーカである横河電機では「統合生産制御システム」と称している。同社ホームページによれば「横河電機は世界初の分散型制御システム(DCS)であるCENTUM(せんたむ)を1975年に発売開始した」とある。CENTUMだけでなく、同社にはコントローラ、計装システムとしてYEWMAC(ゆーまっく、YEWという略称が時代を感じさせる)、ASTMAC(あすとまっく)、STARDOM(すたーだむ)などの通称の製品群がある。 1970年代には同社以外の工業計器メーカや、三菱電機や東芝などの総合電機メーカもDCSを製品化している。国内のDCS最大手は横河電機とアズビル(旧山武)といわれている(※)。 日本電気計測器工業会のホームページでは、技術解説の一番目は(電気測定器ではなく)「プロセス計測制御」で、「分散形制御システム:DCS(ディジタル計装制御システム)」についてである。日本の高度経済成は1955年から1973年を指すが、1970年代のIA(インダストリー・オートメーション、産業の自動化)の進展に、DCSは工場のプロセス管理・制御を自動化するコンピュータシステムとして世界中で普及が進んだ。計装の世界のコンピュータである。 (※)1980年頃に筆者が学生だったとき、就職担当の先生から「工業計器の御三家というと、横河電機製作所(YEW)、株式会社山武、北辰電機製作所で、横河と山武はトップを競っている、北辰は3位かな」と聞かされた。1983年にYEWは北辰を吸収合併し「横河北辰電機」になり、現在は横河電機。2008年に山武はグループ名称をazbilグループに変更し、現在の社名は「株式会社アズビル」。 参考用語:PLC、伝送器、PROFIBUS、Modbus、HART、BRAINターミナル

電圧トランスデューサ(でんあつとらんすでゅーさ)

PT(変圧器)の電圧を計装用信号に変換する機器。

伝送器(でんそうき)

工業計測、計装、FA(ファクトリー・オートメーション)の用語。検出器の情報を遠距離にある計器室などに送るためには、伝送に適した信号に変換する必要があり、この変換器を伝送器と呼ぶ。工業計器の雄、横河電機株式会社にはフィールド機器の項目に「圧力伝送器」や「差圧伝送器」が多数ラインアップされている。大気圧を基準として、センサが検出した圧力の情報を、遠隔設置されている受信計・制御装置に伝送する。ここでいう伝送は「NTTなどの基幹通信網に設備されている伝送装置」のことではない。そのため通信計測器の伝送/交換装置用測定器は全く関係ない。伝送器は(プラントに設置されている)圧力などの情報を伝える機器である。基幹通信網の伝送装置は広い意味の「伝送」という呼称をされることが多いが、ここでいう計装の伝送器は「伝送」と略されることは無い。そのため通信の伝送と間違われることはほとんど無い。つまり伝送装置(通信)と伝送器(計装)は同じ伝送という表現をしているがまったく違うものである。「伝送器」は計装の分野のものだが、似た言葉に「電装品」(でんそうひん:自動車に装備される電気機器)がある。

電流トランスデューサ(でんりゅうとらんすでゅーさ)

CT(変流器)の電流を計装用信号に変換する機器。

電力トランスデューサ(でんりょくとらんすでゅーさ)

電流と電圧から電力(有効電力)を演算して計装信号に変換する機器。

トランスデューサ(とらんすでゅーさ)

(transducer) 広義には、ある入力エネルギー信号を、異なった出力エネルギー信号に変換する素子または装置。狭義には計装 で使われる機器の1つ。たとえば熱電対などの温度センサの出力は微小な電圧(0~10mV)なので、PLCには直接の入力はできない。トランスデューサを介してPLCに信号が伝わり、温度制御がなされる。

熱電対変換器(ねつでんついへんかんき)

熱電対の信号を電圧に変換する機器。別名:信号変換器。

HART(はーと)

(Highway Addressable Remote Transducer ) フィールド機器などのプロセス産業に採用されているデジタルデータ伝送の世界規格。4-20mAのアナログカレントループを利用するため、既存のアナログ設備を流用してデジタル化でき、普及した。HART協会(HCF:HART Communication Foundation)がプロトコルを規定。フィールドバスの1種。計装の世界で普及しているアナログ通信手法である4-20mAは直流のため、これに交流のデジタル信号を重畳することで、デジタル伝送を実現する。デジタル信号には温度などの検出器の測定値だけでなく、シリアル番号などの機器情報も伝送されている。このような「4-20mA信号にデジタル信号を重畳して、多数の信号を伝送する手法」が、各計装メーカで始まった(スマート通信と呼ばれた)。各社が独自の方式を導入したので、業界標準が提唱されHARTができた。たとえば横河電機は自社製品の専用通信プロトコルBRAIN (ブレイン)を1970年代から導入している(たとえばBRAINターミナルなど)。ただし最近はHARTやPROFIBUS(プロフィバス)などの標準フィールドバスにも対応している。