インバータ
(inverter)
直流を交流に変換する装置。交流モータの速度を連続的に、かつ広範囲に制御するもので、エアコン、ポンプ、ブロアなどの可変速駆動に使われている。商用電源をいったん直流に変換しフィルタを通し、サイリスタインバータやトランジスタインバータに入力し異なった周波数に変換する装置。(共立電気計器株式会社の用語集より)
交流
(AC)を直流
(DC)に変換する機器をコンバータ(converter)という(可搬型のパソコンにコンセントから電源を供給したり、スマホに充電するACアダプタはコンバータである)。逆にDCからACに変換する機器をコンバータの反対という意味のin-converterを略してinverter(インバータ)という。ACをDCに変換するコンバータを順変換装置、逆にDCを任意周波数のACに変換するインバータを逆変換装置と呼んでいる文献もある。インバータは広義には計測器ではないが、電源関連の機器メーカ(計測用の安定化電源メーカや、ノイズカットトランスで有名な電研精機研究所など)がつくっているので、カテゴリー「電源装置」に分類している。
太陽光パネルはDC出力する電池なので、PV(太陽光発電)用のインバータであるパワーコンディショナで適切なACに変換されて、家庭の電気機器や電力系統に供給される。太陽光発電の発電効率はインバータの性能が大きな要因の1つである。
EV(電気自動車)はバッテリの電力(DC出力)を効率よくモータ(ACを供給して動く)に伝えるために、自動車用インバータの性能アップが各メーカで研究開発されている。日本のエアコンはほとんどがインバータを採用していて、省エネを実現している。このように私たちの生活のいたるところにインバータは使われ、また性能向上が日々進んでいる。
インバータを構成するパワー半導体として従来の元素であるSi(シリコン)に代わりSiC(シリコンカーバイド)やGaN(ガン)などの、小型で電力変換効率が優れた素子を使ったデバイスが開発され、そのような半導体を使い、従来より小型で性能が良いインバータ製品が日進月歩で製品化されている。
半導体デバイスの主要メーカ(世界のキープレーヤ)は欧米や台湾・韓国で日本メーカではないが、パワー半導体では日本メーカは世界的に最先端である。パワー半導体の世界トップ3のデバイスメーカはインフォニオンテクノロジーズ(ドイツ)、オンセミコンダクター(米国)、STマイクロエレクトロニクス(スイス)だが(2021年統計)、それに続くのは日本の三菱電機や富士電機、東芝などである。SiCの商用化ではロームが早かった。ルネサスエレクトロニクスも注力をしている。これらの半導体を使い、各メーカがインバータをつくっている。インバータは広範な分野に製品があるため、代表的なメーカを述べるのが難しい。
参考用語
参考記事
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車載ECUのインバータ技術~電動化に欠かせないコア技術
電気自動車に導入されているインバータについて解説。
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自動車に搭載されているケーヒンのインバータ機器を取材。
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会員専用市場動向レポート 「パワーエレクトロニクス機器 (インバータ) の評価方法の勘所」2014年1月号 TechEyes Vol.03
インバータの評価方法を概説。
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会員専用市場動向レポート 「パワーデバイス (電力用半導体素子) と評価用測定器」2018年2月号 TechEyes Vol.27
インバータの性能を左右する、デバイスの評価について概説。
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会員専用【イベントレポート】テクトロニクス イノベーション・フォーラム2018 (会場:ステーションコンファレンス東京) Part1
インバータ評価に使われる計測器の例として、光絶縁プローブを取材。