計測関連用語集

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詳細説明

偏波スクランブラ

読み方:

へんぱすくらんぶら

カテゴリー:

#光測定器

(polarization scrambler)
光通信に使われる光コンポーネントを評価するには偏波を制御する必要がある。偏波コントローラと呼ばれる製品(光測定器の1種)は、あらゆる偏光状態を任意の偏光状態に変換する。一方、偏波スクランブラは、偏光をランダム化する。偏波状態を高速(MHz)に変化させて、その影響を平均化する。光源DUT(光コンポーネント)の間に入れて、偏った偏波状態にしないようにするのが偏波スクランブラ。
アドバンテスト通信計測器に注力していた1990年~2000年代には、光通信だけでなく光デバイス試験システムもラインアップしていた。偏波依存性損失(PDL)の測定用にQ8163偏波スクランブラ(1995年発売)などがあった。Q8163は同社独自の偏波可変方式を使い、偏波制御を行っていた(同社は2003年頃に光通信測定器から撤退したので、現在は生産中止)。アンリツ安藤電気ではなくアドバンテストやHP(現キーサイト・テクノロジー)の偏波関連の中古計測器がWeb上(ECサイト)に掲載されている。アドバンテストやHPは光部品評価に注力したが、アンリツや安藤電気(現横河計測)はOTDRなどの光通信用途のラインアップを継続してつくり続けている。アンリツと安藤電気は光ファイバ以外の光コンポーネントの評価測定器をほとんどつくっていない(光ファイバ用では波長分散の測定器などをつくった)。

PDL測定には偏波コントローラを使う場合もあり、メーカによって製品や名称が異なる。キーサイト・テクノロジーの偏波スクランブラN7785Cは「入力と出力の両方のトリガ機能を使用して、一連の偏波状態(SOP)を繰り返し切り替えることができる高速同期スクランブラ」と説明されていて、PDL測定には別モデル(N7786C 偏波シンセサイザやN7788C 光コンポーネントアナライザ)を使用する旨が解説されている。
偏波スクランブラだけでなく、偏波シンセサイザ、偏波アナライザ、偏波コントローラ、偏波スタビライザなどの各種の製品が各メーカにあるが、それぞれの定義は統一されていないので、各モデルの仕様を良く確認することが肝要である。

scramble(スクランブル)は「かき混ぜる」。偏波スクランブラとは「偏波の状態をかき混ぜるもの」という意味。scrambled eggs(スクランブル・エッグ、炒り卵)は「かき混ぜられた卵」である。交差点で、自動車をすべて止めて人が自由な方向に歩ける(前進だけでなく左右の路を横断できる)のはスクランブル交差点という(人の動きが、まるでかき混ぜられている、というネーミング)。軍事用語では、国籍不明の航空機が自国の空域を侵犯すると、戦闘機などを発進させることをスクランブル発進という。この場合のscrambleは「急ぐ」「慌てる」「緊急」という意味で使われている。

参考用語
参考記事
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