計測関連用語集

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詳細説明

光通信測定器

読み方:

ひかりつうしんそくていき

カテゴリー:

#光測定器

現在、世界の先進国では基幹通信網の有線通信は、電線に電気を流すのではなく、光ファイバレーザー光を通すことで行われている。日本ではNTT(旧日本電信電話公社:略称、電電公社)が1970年代から実用化を始めた。現在ではインターネットを光回線で契約しているユーザも多い。世界の状況では、1990年代にはEU、北米、日本などは海底に敷設した光ファイバでつながり(光海底ケーブル)、インターネットの普及を支え、また最近でも新しい海底ケーブルの敷設によって世界中の通信需要をカバーしようとしている(2000年頃の光海底ケーブルバブルで敷設が中止になったが、データ通信量の増大で2020年代には新設がはじまった)。
携帯電話などのワイヤレス(無線)通信では周波数が基本だが、光通信は電磁波の波長が基本になる。光ファイバ通信は(ファイバの伝送損失が最も少ない波長を選び)1300nmと1500nm付近の2つの波長で実用化されている。もっと波長が短い400nm~600nm付近は、DVDなどの光記憶媒体に使われている。近年青色LEDという発光素子が開発され、Blu-ray Disc(ブルーレイディスク)が普及した。そのため、従来の光通信用測定器も波長帯域を1200~1600nmではなく、より短波長の300nm付近からカバーするような機種も増えた。
光源、光パワーメータ(略記:OPM)、光スペクトラムアナライザ(俗称:光スペアナ)、波長計などは、当初、一番の需要は光ファイバとそれを使った通信のために開発されたので、「光通信測定器」であるが、主要な計測器メーカ(アンリツ、安藤電気、キーサイト・テクノロジーなど)は当初から「光測定器」と呼称してきた。光測定器というと、輝度計照度計色彩計などの色・光の測定器(いわゆる照明機器や表示装置などの可視光の測定器)もあり、それらの計測器メーカも光測定器と呼称している。そのため、光測定器というとどちらを指すのか紛らわしいが、光通信用測定器のメーカは「光測定器」といって譲らないし、通信だけでなく短波長(DVDなどの家電製品)もカバーするので、いっそう光通信ではなく、光測定器という妥当性が増したといえる。当サイトの機種群(カテゴリー)も光通信測定器ではなく「光測定器」である(メーカの表現に倣っている)。

本稿では誤解が無いように光通信測定器と表記する。まずそのおおまかな種類を述べる。
基本測定器は
1.光源:波長が固定の安定化光源はLD(レーザーダイオード)光源とLED光源があり、可変波長光源はチューナブル光源とも呼ばれる。
2. 光パワーメータ (OPM:Optical Power Meterと略記される):ユニット式で光源モジュールが装着可能な「光マルチメータ」と呼称するものもある。
3.波長測定器:光スペアナ、光波長計
4.その他:変換器(O/E、E/O)、光減衰器、光チャンネルセレクタなど。
専用測定器は
1. 光ロステスタ(光源とOPMの組み合わせ): IDテスタ光ファイバ心線対象器など。
2. OTDR(光ファイバの障害位置試験器、別名:光パルス試験器)。
3.光ファイバの特性測定器:波長分散や偏波などの測定器。
4.融着接続器。計測器メーカではく、光ファイバをつくる大手電線メーカが光ファイバ融着器をつくっている。光ファイバの工事には必須の機材。
5. DCA(デジタルコミュニケーションアナライザ)や光コンポーネントアナライザなど。
1の光ロステスタ、2のOTDR、4の融着器は主にフィールド用途(敷設や保守)である。5のDCAはキーサイト・テクノロジーの通称で、構造はサンプリングオシロスコープなので、純粋な光通信測定器ではない。

上記のほとんどすべての測定器を日本ではNTTをスポンサーとしてアンリツと安藤電気(2000年頃に横河電機に吸収されて現在は横河計測)がラインアップした。現在はアンリツも横河計測も光源、OPM、OTDRに注力し、ラインアップを広げていない(横河計測の光スクトラムアナライザは世界No.1である)。1980年代には横河電機やアドバンテストも光通信測定器に参入したが、ほとんど生産終了している(アドバンテストのRF以外のモデルを継承したエーデイーシーは、短波長帯のOPMをラインナップしているが、これはDVD評価用で、光通信用途ではない)。キーサイト・テクノロジーもアンリツや安藤電気を上回るほどラインアップがあったが、2000年の光海底ケーブルバブル以降に製品群を縮小し、現在は光部品測定用途に注力してOPM、光源、波長計、偏波アナライザをつくっている(2022年5月現在の同社ホームページの製品・サービスのページにはオシロスコープや信号発生器、ソフトウェアなどの項目が並ぶが、光測定器は「その他」にまとめられていてすぐには探せない)。
ベンチトップの高精度のOPMでなく、ハンドヘルドの現場・工事用OPMは、三和電気計器や日置電機をはじめとして数えきれないくらい多くのメーカがある。海外の光通信測定器メーカはM&AによってEXFO(エクスフォ)とViavi Solutions(ヴィアビ)に収斂されたが、光通信測定器よりもビット誤り率試験器(BERT)などの「有線通信の伝送品質評価測定器」に注力していて、それ等も含めて光通信と呼称している。

計測器情報:レーザーなどを扱う光通信測定器の例

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