計測関連用語集

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詳細説明

日立電子

読み方:

ひたちでんし

カテゴリー:

#オシロスコープ

日立電子株式会社は業務用のカメラなど、放送機材のメーカ。1973年から2000年に存在した会社だが、1970年代にはアナログオシロスコープなどの計測器もつくっていた(いつからつくっていたかは不明)。計測器・検査装置としてはデジタルストレージオシロスコープ(DSO)や半導体テスタもつくったが、2000年代に日立グループの再編の中で、計測器からは撤退した。日立電子の計測器の、最終の会社名は日立国際電気になる。
国産のアナログオシロスコープでは岩崎通信機(シンクロスコープ)が有名だが、日立電子や松下通信工業も老舗である。HitachiやPanasonicと書かれたオシロスコープの方がIwatsu(岩通)より、コンシューマとしては知名度がある。理工系の学校の学生実験の器材として日立電子のオシロスコープは採用されていた。2023年現在でも、ネットに中古品が多く出品されている。アナログやデジタルストレージが多く、たとえばV-358(35MHz、2ch、アナログ)、V-1100A(100MHz、アナログ)、VC-6165(100MS/sデジタルストレージ)、VC-6723(2chデジタルストレージ)。
2000年頃の日立電子の計測器の修理窓口は「日立国際電気サービス/ビデオサービス部/T.S.C.グループ」だった。現在は株式会社HYSエンジニアリングサービスが測定器の校正事業をしているので、修理も相談されるようである(日立電子の計測器は生産中止から20年以上経過しているので、修理不能の場合が多いと推測する)。
現存する継続会社である日立国際電気のホームページには日立電子の沿革について以下のような記述があるが、ほとんど放送機器についてで、計測器については全く書かれていない。日立電子の計測器の概要(いつ頃オシロスコープに参入し、どんな機種群をラインアップしたかなど)は、いまとなっては良くわからない。V-xxxxやVC-xxxx(xxxxは数字)という形名がオシロスコープだが、VR-3511デジタルマルチメータなどの製品もあった。計測器からいつ撤退したかも不明。沿革の概略を示す。
1948年、芝電気(株)設立。
1959年、国産初の放送用VTRを完成し、1964年の東京オリンピックでVTRが活躍。
1973年、日立電子に社名変更。
2000年、国際電気(株)、日立電子(株)、八木アンテナ(株)が合併し、(株)日立国際電気に商号変更。

日立電子をネット検索すると「放送・通信機器、ビデオシステムのメーカで、ネット利用の監視システムなどに注力」などとあり、計測器にはまったく触れていない。映像・放送関連の学会誌に日立電子の記事が残っているが、計測器に関する記録は見つけることが難しい。

現在、「日立の計測器」をネット検索すると、株式会社日立ハイテクの分析機器が一番に出てくる。また、日立といえばX線などの放射線測定器もあった。日立製作所や日立メディコ、(JRC、日本無線の系列の)アロカがつくっていたが、2011年から2022年に日立グループ(ヘルスケア事業部門)に吸収・整理され、現在はアロカの後継会社である日本レイテック株式会社に統合されている。さらに、株式会社日立製作所製(計測器事業部)のマノメータ DMS-7シリーズは、横河電機(現横河計測)のMTシリーズや長野計器の GCシリーズ(GC15、GC16など)のように、プラントなどの現場で使われることが多かった。現在は株式会社日立ハイテクソリューションズが継承しているが、2023年12月に生産終了する旨が、同社ホームページに掲載されている。
このように、日立ブランドの計測器・分析機器は多種類に及ぶ。日立の計測器全般のサービス業務を行う日立計測器サービスという会社もあった(現在は日立の半導体検査装置、電子顕微鏡のエンジニアリングを主にしている株式会社日立ハイテクフィールディングになっている)。株式会社日立電子のオシロスコープ撤退によって、現在は日立の計測器といえば、日立ハイテクの電子顕微鏡になった(電子顕微鏡は電気計測器よりも科学分析機器の範疇であるが)。

高度経済成長の時代(1955年頃~1973年頃)から2000年代までは日立製作所(日立電子)、松下電器(松下通信工業)、ソニー(ソニー・テクトロニクス)という日本の大手電機各社が、産業のマザーツールである電気計測器を系列企業でつくっていたが、いまでは3社とも計測器からは撤退している。通信機器メーカも2000年頃までは計測器と関係していた。日本電気(NEC)はグループ内に安藤電気アンリツミナトエレクトロニクスがあった(アンリツは現在も健在)。富士通はタケダ理研工業に資本参加して、会社名はアドバンテストになった。沖電気工業株式会社(OKI)もNTTに交換機を納める電電ファミリーで(現在の事業はATMなどの店舗システムやEMS)、沖エンジニアリング株式会社は計測器の受託校正をしていた(現在は信頼性評価、環境試験などの受託試験が主力)。

日立のオシロスコープを知っているのはいまや高齢のエンジニアだが、当サイトが2023年1月に読者に行ったアンケートで、オシロメーカとして日立電子をあげた人が(少数ながら)いる。いまでも「使ったことがあるオシロのメーカは日立」という人がいることは、同社オシロが大変売れていたことを物語っている。
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参考用語
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