計測関連用語集

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詳細説明

シグナルソースアナライザ

読み方:

しぐなるそーすあならいざ

カテゴリー:

#ネットワークアナライザ

(signal source analyzer)
水晶発振器やPLLなどの信号源の特性を評価する測定器で、主に位相雑音(側波帯雑音)を正確に測定できる。RFなどの無線通信分野や、高周波の計測器メーカがつくっている。キーサイト・テクノロジー(キーサイト)とローデ・シュワルツ(R&S)、Wavecrest(ウェーブクレスト)がラインアップしている。キーサイトはE505xシリーズが現役モデル。R&Sの品名は「位相雑音アナライザ/VCOテスタ」(FSWP26、FSWP8など)。英語表記を略記したSSAが計測器メーカ資料に使われている。メーカ価格は約1千万円のため高額測定器である。
「3つのドメイン(周波数、振幅、時間)を1台で解析」とPRしているメーカもある。従来はフェイズノイズアナライザ(位相雑音測定器)、スペクトラムアナライザ(スペアナ)、オシロスコープ(オシロ)、タイムインターバルアナライザなどの複数の測定器が必要だった信号源評価を1台に集約した複合計測器である。携帯電話を含む無線機の総合評価測定器である無線機テスタ(ワンボックステスタ)の信号源版といえる。振幅ノイズ以外に、ジッタスペクトラムやPLLの2次、3次伝達関数(transfer function)が測定できる。時間領域では発振波形の立ち上がり時間(オシロの機能)やタイムインターバルも確認できる。
位相雑音の測定はスペアナでもできる。キーサイトとR&Sはスペアナの要素技術を使いSSAをラインアップしている。2社のSSAはPLL法を使っている。もう1社のWavecrestはオシロスコープ法を採用している。同社はSignal Integrity Analyzer(シグナルインテグリティアナライザ)のSIAシリーズを1990年代からラインアップし、PCI Express(PCIe)などの高速通信規格のジッタ解析に使われた。つまり、高速デジタルが勃興する時代にジッタ解析ができるオシロをつくった(2000年代後半以降はリアルタイムオシロスコープの周波数帯域が数10GHzまで伸び、広帯域オシロスコープが普及したので、SIAの優位性は薄れた)。同社のSSAはSIAをベースにしている。2013年頃にTriple Domain(3軸、3つの領域)と銘打ってSSA-20、SSA-50、SSA-150などをPRしている。

アンリツはMS2840A(スペアナ/シグナルアナライザ)の位相雑音測定機能をPRしている。「無線機の基準発振部の位相雑音評価に高価なSSA(専用器)ではなくMS2840A(汎用器)を流用して使えば、SSAの1/3程度の価格で位相雑音評価が行える」、と主張している。
SSAは「信号源(signal source)の評価機器・解析器(analyzer)」という命名だが、品名から機能がイメージしにくい(最近のスペアナはシグナルアナライザを品名にしているモデルが多く、SSAと似た名称である)。その点、ローデ・シュワルツの品名は「発振回路の代表であるVCO(Voltage Controlled Oscillator)のテスタ」というわかりやすいネーミングである。SSAという名称には「位相雑音やVCOだけの測定ではなく、信号源の総合的な評価ができるアナライザ」、というメーカの主張が伺える。
テクトロニクスリアルタイムスペクトラムアナライザであるRSA3000Aに信号源解析ソフトウェア(オプション)を搭載すると、対数目盛りの周波数(横軸)に単位周波数当たりの値に正規化した雑音レベル(dBc/Hz)を表示できる。高速フーリエ変換(FFT)の手法を使い、位相雑音の測定を実現している(RSA3000Aは生産中止。現在の同社はスタンドアロンではなくPC接続型の小型のリアルタイムスペアナにラインアップをシフトしている)。

SSAの機種群(カテゴリー)の分類は難しい。キーサイト・テクノロジーの製品ページには、機種分類としてオシロ&アナライザ、信号源&電源、ワイヤレスなどと並列に「測定器」なる表記があり、その下の分類にDMMLCRメータ、位相雑音測定などがある(2023年11月同社ホームページ)。位相雑音測定をクリックするとSSAが現れる。ローデ・シュワルツはEMC測定機器、アナライザ、オシロなどの分類があり、アナライザの下にスペアナや位相雑音アナライザがあり、位相雑音アナライザをクリックすると「位相雑音アナライザ/VCOテスタ」(モデルはFSWPやFSPM)が掲載されている(2023年11月同社ホームページ)。キーサイト・テクノロジーは「SSAはワイヤレスなどの無線通信ではなく基本測定器の1種」という主張かもしれない。
当サイトではSSAをノイズフィギュアメータ(雑音指数測定器)とともにカテゴリー「ネットワークアナライザ」(ネットアナ)に分類している。その他という分類をつくらず、既存のどこかのカテゴリーに入れたいため、高周波の部品の総合評価という範疇でネットアナに登録している(これが最も適切な分類ということではない)。

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