計測関連用語集

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詳細説明

無線機テスタ

読み方:

むせんきてすた

カテゴリー:

#無線/移動体測定器

(transceiver tester、radio tester)
無線通信測定器の1種(1カテゴリー名)。アンリツのMS555が有名なので、無線機テスタというとアンリツの品名ともいえる(同社が無線測定器の代表メーカであることを伺わせる)。アナログ無線通信時代(2000年頃まで)に、無線機の総合試験機として重宝された。SG(信号発生器)にPM(RFパワーメータ、高周波パワーメータ)やSA(スペクトラムアナライザ、スペアナ)機能などを付加し、送信と受信の両方を1台で測定できる。後のデジタル無線通信時代の携帯電話評価用のワンボックステスタの源流。
国産では日本無線(JRC)の計測器部門もラインアップがあった。安藤電気ラジオコミュニケーションアナライザの品名で無線機テスタ製品があった。海外のマルコーニ(旧AEROFLEX、現在はVIAVIの傘下)製品は菊水電子工業が現在でも取り扱っている。ローデ・シュワルツアドバンテストの外販営業部門が販売していた(この部署が独立して現在の日本法人、ローデ・シュワルツ・ジャパンとなった)。

アンリツの形名がMSであることから、同社はスペアナの1種と位置付けていたと推定されるが、その後のデジタル通信時代にはMT8801ラジオコミュニケーションアナライザがある(ワンボックステスタのテスタからTをとったと推定。また品名も無線機テスタではない)。また同時期に スペアナをベースにしたMS8608デジタル移動無線送信機テスタという製品もある。これは「送信機テスタ」というスペアナの1種で、ワンボックステスタ(T)と送信機テスタ(S)の2系統の製品でユーザニーズに応えていた。

2000年代中期には無線機テスタの種類は次の4つといわれた。1.RFコンフォーマンステストシステム、2.シグナリングテスタ+プロトコルテストシステム、3.デジタル無線機テスタ、4.サービステスタ。この分類は(現在からみれば)大変広義の解釈である。無線機テスタとはアナログ方式の無線機の総合試験機で、デジタル時代になるとワンボックステスタとよばれ上記3と4がデジタル無線の無線機テスタといえる(4は保守用途に特化した小型のモデル)。シグナリングテスタ(呼接続試験機)は現在では別カテゴリーとして確立している。2000年代は携帯電話のデジタル方式が始まった黎明期で、その当時の解説といえる。

トランシーバなどの無線機(端末)を試験するには、信号発生器からスペアナ、パワーメータなどの各種のRF基本測定器が必要で、各試験によって測定器をつなぎ変えていた。そこで、無線機の評価に必須な機能だけを合体させた総合試験機をつくり、無線機とは1回だけつなぐことで試験を効率化した。これを無線機テスタと命名したのは自然である。なので英訳したら「無線機(transceiver、トランシーバ)のtester」である。1980年代に登場し、1990年代に爆発的に普及した携帯電話(ガラケー)は送信と受信をするアナログの無線機の1種である。無線機テスタは携帯電話(端末)に必須の測定器となった。
1990年頃のアナログ無線通信時代のキーサイト・テクノロジーの無線機テスタ、8923の品名は「Test Set」である。つまり、無線機テスタ(Transceiver Tester)とは日本の計測器メーカが命名した名称で、海外メーカのモデル名の翻訳ではない、と筆者は思う。無線機テスタと同等の品名にラジオコミュニケーションアナライザ(無線通信の解析器、という意味)という名称も使われた(ローデ&シュワルツのCMU200の品名は「Universal Radio Communication Tester」だった)。その後、デジタル無線の時代になると、「すべての試験ができるように、1箱(ワンボックス)に収まった試験器」という意味のワンボックステスタが、国内・海外メーカ共通の名称になった。
アンリツMS555が有名だが、これが「無線機テスタ」の元祖(はじめて世に出た無線機テスタ)かどうかは不明である。

参考記事
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