計測関連用語集

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詳細説明

リアルタイムスペクトラムアナライザ

読み方:

りあるたいむすぺくとらむあならいざ

カテゴリー:

#スペクトラムアナライザ

当サイトの計測器入門記事「スペクトラムアナライザの基礎と概要(2021年3月公開)」には次のように説明されている。スペクトラムアナライザ(スペアナ)を方式で分類すると、周波数を掃引しながら信号の大きさを観測する掃引式アナライザと、現象の同時性を重視して信号を観測するリアルタイムアナライザに大別される。デジタル方式の掃引型スペアナはさまざまなデジタル変調信号解析などが行えるようになったため、従来のスペアナと区別してシグナルアナライザと呼ばれるようになった。ただし掃引型は変化する信号を途切れなく観測することはできない。変化する信号を途切れなく観測できるのがリアルタイムスペクトラムアナライザ(リアルタイムスペアナ)である。
オシロスコープとビデオ(映像)関連測定器が2枚看板だったテクトロニクスは、2000年代にスペアナに参入した。2004年にRSA3000シリーズ、2006年にRSA6000シリーズのリアルタイムスペアナ(RSA)を発売している。従来、横軸は周波数だったスペアナに、時間軸での表示機能を追加し、時間とともに変化するスペクトルの様子を捕捉して、各種の無線方式の信号の干渉を的確に捉え、信号の競合による誤動作の解消に貢献した。信号の強さを色で識別したRSAシリーズの表示波形(時間と共に変化するスペクトル)は、当時は衝撃的だった。以降、同社は高周波領域の製品群に力を入れている(ただし、その後スペアナ市場のキーサイト・テクノロジーアンリツなどのシェアを同社が取ったかはあやしい)。
余談だが、時間軸と周波数軸の2つのドメインをもつ製品はRSA以前にすでにキーサイト・テクノロジーにある。VSA(ベクトルシグナルアナライザ)といい、スペアナがデジタル変調解析機能を強化してシグナルアナライザになる以前は、無線の研究者はVSAで変調解析をしていた。つまり、キーサイト・テクノロジーにとっては、周波数軸だけでなく時間軸で波形表示をすることは、既知のことで、テクトロニクスがRSAを発売しても、ほとんど驚かなかった(自社のスペアナの売上にはほとんど影響がないと思った)と推測される。なぜなら、すでにそんなことはVSAを数多く販売して、そのような機能や需要について熟知していたと筆者には思われる。製品としてのVSAはすでに生産中止だが、スペアナのシグナルアナライザ化につながっている。
スペアナの品名は、キーサイト・テクノロジーやアンリツ、マイクロニクスはスペクトラムアナライザやシグナルアナライザ、ローデ・シュワルツはシグナル・スペクトラム・アナライザなどで、「リアルタイムスペクトラムアナライザ」という品名はテクトロニクス以外にはほとんど聞かない。そのため、「リアルタイムスペクトラムアナライザ:テクトロニクスのスペアナの品名」という解説もできる。リアルタイムスペアナは多くのスペアナメーカがつくっているが、テクトロニクスのスペアナはリアルタイムスペアナだけである。
テクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて(2009年9月発行)」には「リアルタイム・スペクトラム・アナライザ:RF信号中の捕捉困難なRFイベントでトリガをかけることができ、その信号を連続してメモリに取込んで、周波数、時間および変調の各領域で解析できる測定器」とある。
上記でお気づきのように、スペクトラムアナライザをスペクトラム・アナライザと表記することがあるのと同じく「リアルタイム・スペクトラム・アナライザ」という表記も一般的である。

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