計測関連用語集

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詳細説明

nanoVNA

読み方:

なのぶいえぬえー

カテゴリー:

#ネットワークアナライザ

2020年頃からECサイトなどで販売され始めた小型RF測定器の1種(tinySAやnanoVNAなど)。マイクロコンピュータFPGAなどで内部のアナログ回路を簡素化し、低価格(約1万円)で小型(ポケットサイズ)ながら高い性能を実現したネットワークアナライザ。表示画面2.8インチのエントリーモデル(最高周波数1.5GHz)から、最高周波数6.3GHzモデルまである(2023年6月現在)。メーカは従来のRF計測器メーカ(キーサイト・テクノロジーローデ・シュワルツなど)ではなく、開発者も日本ではなく中国が多い。nano(10憶分の1の単位、非常に小さいことをあらわす表現)VNA(Vector Network Analyzer)というネーミング。つまり「大変小さなサイズのVNA」ということ。
nanoVNAの説明は「超小型のネットワークアナライザ」、「コンパクトでハンドヘルドベクトルネットワークアナライザ」、「個人で入手可能になった低価格ネットワークアナライザ」などで、明確な(定量的な)定義は難しい。「nanoVNA系格安ネットアナの操作方法(コマンド体系)」などの表記が雑誌やネットに見られる。モデルや仕様、使い方などは解説があるが、そもそもnanoVNAとは何か、は(毎年のように進化しているので)解説が困難である。
nanoVNAは日本人の高橋知宏氏が始めたプロジェクトである。オープンソースのため海外に広がり、複数メーカが製品をリリースするようになった。高橋氏は2016年頃にオリジナルを発表したが、回路図やファームウェアを公開していたので、中国のハッカーが改良し製品化したといわれる。2019年には中国の通販サイトに登場している。現在はnanoVNA-H、nanoVNA-H4、LiteVNA、LibreVNAなどのモデルが日本で購入できるが(2023年6月現在)、各モデルは開発者が異なる(tinySAの設計者である中国のHugen氏も開発者の1人である)。
日本では2022年頃から趣味のアマチュア電子工作の月刊誌、トランジスタ技術(CQ出版社)にnanoVNAの記事が掲載されるようになった。高額な計測器だったネットワークアナライザが激安価格になったので、電子工作マニア、アマチュア無線愛好家などが購入して使うようになり、トランジスタ技術 2023年8月号ではnanoVNAだけで約26ページの特集が組まれている(マニアがnanoVNAで測定した評価結果のグラフや操作方法が掲載されている)。

5万円以下の格安オシロスコープ(ポケットサイズからポータブルまで)がリゴルOWON(オウオン)などの中華系オシロスコープメーカがつくっているように、nanoVNA、tinySAなどの小型/格安RF測定器も中国を抜きには語れない。中国発の計測器は2000年以降に数が増え、5~10年位かけて製品の品質を安定させ、従来の計測器メーカと遜色ないラインアップに成長しつつある。Siglent Technologies(シグレント)は2023年7月のTECHNO-FRONTIERに、日本で初めて出展した。テクトロニクスやキーサイト・テクノロジーのミドルクラスのベンチトップモデルと遜色ない仕様の製品を、上記2社よりも安価でリリースしている。Good Will Instrument (GW Instek)(日本での販売はテクシオ・テクノロジー)やリゴルに次いで、OWONやSiglent Technologiesなどの中華系格安計測器の露出が2023年から加速している。
エントリーからミドルクラスのオシロスコープのように、今後は(個人ユースではなく企業で技術者が使う)格安RF測定器(当然、中華系)が発売される時代が近づいているかもしれない。ハンドヘルド・スペアナは中華系格安メーカが主流で、キーサイト・テクノロジーやローデ・シュワルツ、アンリツは上位の高額モデル(ベンチトップ)にラインアップをシフトする、という図式である。計測器メーカはハンドヘルドでも高性能(安価ではない)モデルをラインアップしているので(Streamlineなど)、現在は中華系計測器メーカの参入はあまりないが、Good WillがEMCに特化したスペアナ(GSP-9330など)でシェアを伸ばすなど、今後のRF測定器メーカの展開(勢力図)はわからない。

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