計測関連用語集

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詳細説明

光海底ケーブル

読み方:

ひかりかいていけーぶる

カテゴリー:

#光測定器

(optical submarine cable)
海底に敷設された光ファイバケーブルで海外と通信するインフラのこと。海岸沿いの送受信装置や、海底ケーブルに一定間隔で挿入される中継器(アンプ)などで構成される。1988年に実用化されると、北米とEUや日本など、世界の主要先進地域が複数本のケーブル網でむすばれ、1990年代以降のインターネットの基幹インフラとなった。当時は国内の電話はNTT、海外との通話はKDD(国際電信電話、現在はauを運営するKDDI)が行っていた。KDDは光海底ケーブルを使い米国と電話をつないだ。

ケーブルの新設には莫大な費用がかかるため出資者を募り配当する。通信容量の増加をはるかに超える規模の敷設計画が投機として加熱し、2000年に光通信バブルが起こった。バブル崩壊によって光通信測定器の世界No1だったキーサイト・テクノロジーは3つあった工場が1つになり、光測定器のラインアップを大幅に減らした(多くの光測定器のモデルを生産終了)。No2だった安藤電気は会社自体が存続困難になり、横河電機に身売りした(同社の光スペクトラムアナライザ横河計測の1製品群として残り、世界No.1を堅持している)。2000年以降のデータセンタの通信量の増大(IoT、ビッグデータ)などにより、太平洋に新しいケーブル敷設の入札があったが、安全保障上の懸念から中国企業の入札無効が2021年3月に報じられた。

最盛期(1990年代)には日本の通信メーカ各社(NEC、富士通、三菱電機、日立製作所など)は陸揚げ局などの各種通信装置(光伝送装置)の受注にしのぎを削り、光ファイバを手掛ける電線大手メーカ(フジクラ、古河電工、住友電工)は海底用の増幅器(アンプ)の開発・増産に追われ、KDDは敷設船を保有して、ケーブル敷設事業が活況だった。限られた一定期間に大量の高額な専用測定器が必要なため、上記の計測器メーカと計測器レンタル各社は新しい敷設案件(海底ケーブルプロジェクト)の情報収集に奔走した。2000年のバブル崩壊で計測器メーカだけでなくレンタル会社も傷を負った(レンタル受注を見込んで購入してしまった大量の計測器は特殊用途向けなので、不良資産となった)。
現在では敷設事業は日本のNECと、サブコム(米国)、アルカテル・サブマリン・ネットワークス(フランス)の3社で寡占しているが、世界の通信網の覇権をめざして中国企業が台頭している。

光海底ケーブル新設用の通信計測器と、国内の携帯電話メーカ用の製造ライン向けの移動体通信用測定器は、1990年代から2000年代にかけて活況にレンタルされたので、計測器を取り扱うレンタル会社は8社あったが、2020年代には3社に減っている。光海底ケーブルバブルのように突然ではなかったが、国産の携帯電話メーカも2000年には10社以上あったが、2020年にはほぼゼロになった(iPhoneの普及によって国内の家電メーカはほとんど携帯電話端末の設計・製造から撤退した)。このように、光伝送や移動体通信用の計測器は、時代と共に需要が激変するビジネスである。

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