パルス
(pulse)
電気の用語としては、急激に立ち上がり、短い継続時間で急激に降下するような電圧(電流)波形。方形波(矩形波、くけいは)のことをパルスと呼ぶこともある。電気以外の一般には「脈動」の意味で使われている。
電気回路でパルスの役割は広範である。何かを動作させるきっかけ(トリガ)に使ったりする。そもそもデジタル信号は1(high)と0(low)の組み合わせが続くパルス列によってつくられている。テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)では「パルス:一般的な波形で、急激な立ち上がりエッジ、幅、急激な立ち下がりエッジを持つ」と説明されている。
「短い継続時間で急激に」や「急激な立ち上がりエッジ、幅」でわかるように、数値で何秒がパルスかは定義されていない。これがミソである。パルスになるかどうかはその電子機器や電子回路の扱う仕様によって決まる。たとえば1ms(1ミリ秒、0.001秒、10-3乗秒)程度で動作している機器にとって1μs(1マイクロ秒、0.000001秒、10-6乗秒)の幅の方形波の信号は十分に短く、急激な(オシロスコープで観測したら、まるで針のように鋭い波形の)信号なので、パルスである。「高周波」(RFなど)が具体的に何Hzの範囲か定義されていないことと同じで、電気や計測の世界では、使用者や対象にしている機器にとって、パルスや高周波であるかどうかが決まる。基礎知識のない素人には何がパルスや高周波かは難しい。
参考用語:パルス発生器、PAM4、パターンジェネレータ、パルスオキシメータ
計測器情報:品名にパルスが付く製品の例・・信号発生器を中心に多数ある。