シグナル・インテグリティ
(signal integrity)
integrityは「忠実」なので、日本語にすると「信号忠実度」や「信号完全性」。デジタル伝送では、意図したとおりの波形に実際になっているかが重要になる。送信側、伝送路、受信側などの各装置はノイズや損失など様々な影響を受けて波形が変化する。短い距離や低い伝送レート(bps、baud)では波形が変化しない(十分な忠実度があった)が、USBやHDMIのような高速のシリアル通信が普及すると、広帯域オシロスコープ(高速オシロスコープ)でシグナル・インテグリティを確認するようになった。逆に言うと、2000年代に新情報家電(デジタルカメラ、DVD、液晶パネル、スマートフォンなど)が普及すると、それを評価すために従来よりも広帯域なオシロスコープが求められ、高周波の技術がある海外のオシロスコープメーカがこれに応えた。
テクトロニクス「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)では「シグナル・インテグリティ:デジタル信号の高速化によって生じるリンギングやクロストーク、グランド・バウンスなどのノイズがいかに抑えられているか、すなわちデジタル信号の波形品質のこと」とある。
2021年2月に表記の仕方を調べたら、計測器メーカ(キーサイト・テクノロジーやテレダイン・レクロイ)は「シグナル・インテグリティ」だが、マクニカやイノテックのようなITベンダー(電気・電子機器、部品の商社)は「シグナルインテグリティ」と表記している。どちらの表記も良く使われる。また、2023年3月20日配信のキーサイト・テクノロジーのニュースは「シグナルインテグリティー」という表記だった。同じメーカ内でも表記の仕方は統一されていないようである。