タブレット型オシロスコープ
マウスやキーボードの代わりにペンを画面にあてて入力するタッチパネルのノートPCをタブレット型と呼ぶが、同じようなサイズ(画面の大きさや、薄い奥行き)のオシロスコープのこと。「タブレット型」という表現が確立してはいないが、amazonなどのECサイトで「タブレットオシロスコープ」として数万円の商品が掲載されている。それらは主に海外製で、大手計測器メーカ(フルークやキーサイト・テクノロジー)がつくるハンドヘルドのモデルよりも性能が低い、趣味の電子工作ユーザ向けである。
ところが、オシロスコープの世界的トップベンダーであるテクトロニクスはエントリークラスの「3シリーズMSO」の下位機種として、2022年6月に「2シリーズMSO」を発売した。この形状が前述のタブレットオシロスコープと同じである。仕様は最大500MHz周波数帯域で、組込みシステムの開発、デバッグに使えるミドルクラスのオシロスコープである。価格は最低238,000円だが、仕様やオプションによっては百万円以上になる。MSO(ミックスドシグナルオシロスコープ)でタブレット型のモデルが出現したので、「タブレット型オシロスコープ」ということばを解説した。
中国の計測器メーカOWON
(オウオン)には可搬型(ハンドヘルド)のオシロスコープがあり、日本でも通販や秋葉原のショップなどで「タブレットデジタルオシロスコープ」が購入できる。OWONは、2000年代に中華系の激安計測器として輸入が始まったGood Will(GW Instek)やRIGOL(リゴル)に次いで、2010年代に日本に上陸した「中華系計測器の第二弾メーカ群」の1社である(2022年に日本法人を設立)。またShanghai MCP Corp.(INSDAC)も可搬型の計測器を多くラインアップする中国の計測器メーカで、ECサイトに周波数、チャンネル別に約10モデルのタブレット型オシロスコープを掲載している。
計測器情報(2シリーズMSO):モデルMSO22、モデルMSO42