真空管電圧計
(vacuum tube voltmeter)
菊水電子工業のモデル164形の品名。真空管を使ったAC電圧計。前面パネルだけ見ると、上部が針の振れるメータ、下部は切替器のロータリーノブと入力コネクタで、まるで電気工作で使う小型の可搬型(ハンドヘルド)のテスタのようだが、奥行きがあるベンチトップ(据え置き型)の製品である。ほぼサイズが同じ後継品の164Dは真空管を半導体のトランジスタに変更している。
同社には164型の前身で107A形、111A形、117A形などの真空管電圧計のモデルがあった。1966年の同社のカタログ(ELECTRONIC TEST INSTRUMENTS & REGULATED DC POWER SUPPLY)にはそれぞれのモデルの価格として「正価:18,500円、24,000円、24,500円」と記載されている。菊水電子工業は現在ではベンチトップのDC電源などの計測用の安定化電源が主力製品の筆頭だが、当時は電圧計やオシロスコープのメーカだった。
以前は同社以外にも真空管電圧計をつくる計測器メーカはあり、1990年頃には理工系の学校の電気実験で使われていたが、現在はほとんど生産中止で、いまとなってはどんなメーカがあったか正確にはわからない。