国際電気
日立製作所系の通信機器・電子部品メーカ。1949年~2000年に存在した会社名。
《 以下の3行は2025年12月に追記 》
2000年からは会社名が「日立国際電気」だったが、2023年12月に日清紡ホールディングス(株)の連結子会社になり、2024年12月に日清紡グループの一員となったことに伴い(株)国際電気に商号変更。つまり、国際電気が社名で復活した(※)。
国際電気の簡単な沿革を述べる。
1940年、政府系の国際電気通信が東京・狛江市に自家用通信機工場を建設。1949年、民営化されて国際電気株式会社となる。1955年、日立製作所と技術提携。1960年代に半導体関連分野に進出(1980年代には半導体ウェーハをつくる、シリコン引き上げ装置などをラインアップ)。1973年に日本電信電話公社(現NTT)からポケットベル製造メーカの指定を受け、情報機器部門を拡大。2000年10月、日立電子(株)、八木アンテナ(株)と合併し、日立国際電気となる。日立電子は業務用カメラなどの放送機材のメーカ、八木アンテナは八木・宇田アンテナで有名なダイポールアンテナのメーカである。
つまり、1980年以降にインフラ設備が進む移動体通信の事業と、後の株式会社KOKUSAI ELECTRICとなる半導体製造装置の2つを事業にしていた(2つの顔を持つ)のが国際電気である。青梅の羽村工場では1990年代から移動体通信用の計測器を使って設計・開発をしていた。携帯電話ではなく基地局などの無線装置メーカとして、計測器レンタル会社のターゲット顧客の1社だった。ただし、日立国際電気となった2011年の売上構成(%)は半導体製造システム43、通信情報システム31、放送映像システム25、その他1、海外売上比率42%、なので、半導体関連の会社になったといえる。
通信と半導体は計測器と関係が深い事業(市場)である。計測器関連の用語(基礎的な常識)として国際電気は有名な会社名であるが、日本電気や富士通のようには知られていない。ただし1980年頃には半導体や通信の関係者には日本電気や富士通と同様に良く知られていた会社(メインプレーヤ)である。
2017年7月に同社を紹介するネット記事では「主に無線通信システムに力を入れていて、過去には携帯電話やポケットベルの普及に大きな貢献をしてきた。現在の売上高は連結で1800億を超える大企業」と書かれている。2018年6月に日立国際電気は成膜プロセスソリューション事業を米国の投資会社KKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)に売却し、この事業は株式会社KOKUSAI ELECTRICとなる。日立系半導体製造装置メーカとして2023年10月に東京証券取引所に上場し、高値をつけた。半導体製造プロセスの「成膜」技術が強く、バッチ成膜装置やトリートメント装置などをラインアップ。ウェ―ハに薄膜を形成する「成膜」に特化して、縦型と呼ばれるバッチ式成膜装置では世界シェア1位。半導体製造装置メーカとしては2022年売上高で国内メーカ4位。国際電気が1960年代に参入した半導体製造装置ビジネスが大きく開花したといえる。2025年12月のSEMICON Japanでは、東京エレクトロン(TEL)やSCREENセミコンダクターソリューションズ、キヤノン、ニコンなど、国産の主要メーカが並ぶ南館の先頭(入口の1番目)にKOKUSAI ELECTRICは出展している。
現在の日立国際電気は売上構成を公表していないが、R&D部門に5G技術開発部があり、プロダクト本部には放送機器改革推進プロジェクトがある(2023年会社案内より)。
(※) 2025年12月の国際画像機器展に国際電気はカメラを出展していた。旧日立電子の映像機器は有名だったが、その関連で現在もカメラをつくっている。営業統括本部の民需営業本部/パートナー営業部の方(旧日立電子)に話を伺った。「社名から日立がなくなったのは青天の霹靂」だったようである。筆者もまさかの会社名「国際電気」復活に驚いた。創業時の「国際電気」へ社名を戻しただけなのだが、合弁した日立電子からすれば日立○○でなくなるとは夢にも思わなかったのは想像に難くない。TechEyesOnline用語集で過去の会社名を取り上げて、風化する前に記録を残している筆者も当てが外れた。
面談した方の名刺には「NISSHINBO(カピバラの画像)」のシールが貼ってあった。日清紡はNISSINBOの企業ロゴで、動物を擬人化したシリーズのTV CMを放映している。ウーパールーパーやネコ、カピバラ編などの動画がある。日立国際電気の資本比率で、日立製作所の割合がどう変遷したのかは不明である。
日立電子はオシロスコープの老舗だが、面談者は映像機器部門のため計測器について詳しくなくて、「計測器をやめたのはだいぶ以前のこと」という認識だった。日立電子がいつどのように計測器から撤退したかは記録がなく、歴史の闇に埋もれて、謎である。
2025年12月の鉄道技術展に、日清紡グループ4社(日清紡ホールディングス、JRCモビリティ、国際電気、長野日本無線)は、鉄道向けの最新技術を活用した製品群(無線通信、位置特定、画像分析、電源技術など)を展示した。無線機器を柱に計測器も手掛けた日本無線は、2017年10月に日清紡 ホールディングスの完全子会社になっている。2023年の日立国際電気吸収で、日清紡グループは無線通信事業を拡大した。鉄道技術展に出品した国際電気の製品群が旧日立電子(映像機器)か国際電気(無線機器)かはわからない。
下図(左)は2025年12月の国際画像機器展、右は2025年11月のInter BEE。


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