ガラケー
「ガラパゴスケータイ」の略で、フィーチャーフォンとほぼ同義。3G方式までの通話機能が主体の日本の携帯電話を指す。折り畳み式(コンパクト型)の携帯電話が代表的。ガラパゴスは生物が独自の進化を遂げてきたガラパゴス諸島が語源。日本独自の機能(ワンセグ、おサイフケータイ、赤外線通信など)を持ち、日本独自の機能を進化させてきたので、ガラパゴスと揶揄された。
2023年現在の通信方式である4Gや5Gに比べて、3Gは古い方式で、各キャリアの3G回線は順次サービスが終了する。auは2022年3月末、SoftBankは2024年の1月下旬、NTTドコモは2026年3月末に「3G回線をサービス終了(停波)する予定である」ことを告知している。各端末メーカは3G回線のガラケー新機種を生産・発売していないので、現在ガラケー使用者はスマートフォンなどへの機種変更が必要である。
3Gの商用サービスは日本では2001年にNTTドコモが開始した。世界初のデジタル方式の携帯電話だった。当時は家電、情報通信メーカ各社が3G用の携帯電話端末をつくり、日本には20社近いメーカの設計・生産拠点があった。開発から製造までには各種の無線通信用の計測器が必要で、NTTドコモなどの通信事業者(キャリア)から各メーカへの生産計画は、モデル別に毎月のように変更になるため、各メーカの生産ラインの試験機材はほとんどレンタルだった。シグナリングテスタや無線機テスタ(ワンボックステスタ)、ベクトル信号発生器、デジタル変調の解析ができるスペクトラムアナライザなど数百万円~1千万円する高額な通信計測器が複数台、各携帯電話メーカの製造現場でレンタルされた。無線通信用の高額な専用機だけでなく、菊水電子工業のPMCシリーズなどの小型の直流安定化電源(シリーズレギュレータ方式)も100台単位でレンタルされた。キーサイト・テクノロジーには移動体通信用電源と称される機種群があった(GP-IB機能がある66311など)。
計測器を取り扱うレンタル会社はこぞって高額な通信計測器を購入し、2000年代にはモンキービジネスが展開されたが、体力のないレンタル会社は不良資産を抱えて撤退した。2010年代には携帯電話の国産メーカはほとんどなくなり、ガラケー時代は終わり、iPhoneやアンドロイドのスマーフォンになった。ガラケー時代は、メーカの製造ライン設備がリースでなくレンタルで運用された稀有(特異、異常)な例(唯一といえる例)である。