計測コントローラ
1970年~80年代にかけて自動計測用に使われたコンピュータのこと。1980年頃のPC(パーソナルコンピュータ)は現在のような性能がなく、計測器の制御用には適していなかった。そのため計測器メーカは自社で自動計測用のPCを製品化した。例えば安藤電気のamics(アミックス)80、AE-8101デスクトップ コンピュータなど。アンリツも製品があった。
走りはHP(現キーサイト・テクノロジー)が同社製計測器の多目的コントローラとして、1966年に開発したコンピューター「HP 2116A」。その後も同社は計測用のコンピュータ(コントローラ)をラインアップし、自動計測だけでなく計測後の後処理(科学技術計算)として、コントローラ製品は日本の理工系大学の研究室などで1980年代まで重宝された。1980年頃に理工系の研究室にあるHPの計測コントローラを、先生が「科学技術計算をするひゅーぱー(HPのこと)の最新コンピュータ」と紹介したことを、筆者は強烈に今でも覚えている(最新コンピュータの会社名が「ひゅーぱー」なんて、耳を疑った)。
HPは1970年代に汎用コンピューター「HP 3000」でビジネスコンピュータに参入、1980年にはパーソナルコンピュータを発売し、ワークステーションやサーバといったIT機器に注力し、コンピュータ以外を別会社に分社化してコンピュータメーカになっていく。計測器のためのコンピュータ(計測コントローラ)はそれらの源流ともいえる。HPは計測器で始まったが、IT(コンピュータ)に参入しIT以外の分野はアジレント・テクノロジー(科学分析機器)、キーサイト・テクノロジー(電子計測器)などに分社していった。HPというブランドは計測器ではなくコンピュータが襲名した。