恒温槽
(constant temperature bath、thermostatic chamber)
電子機械部品の温度・湿度環境による耐力を試験する機器。環境試験装置の1種だが、計測器にも分類されている。恒温槽は「温度が一定な(恒温)、大きな容器(おけ)」という英語を翻訳した熟語である。温度と湿度は密接な関係があり、湿度も調節できる製品が多いため、別名「恒温恒湿器」とも呼ばれる。製品の試作から完成品の最終試験まで、メーカでは必ず恒温槽による評価を行う。恒温槽は記録計(レコーダ)を併用することも多い。
恒温槽ということばが示す範疇は広範で、温湿度の耐圧を試験する機器全般を指すが、恒温恒湿器と呼ばれる製品を限定して言っている場合もある。メーカによっては冷熱衝撃試験器(冷熱衝撃装置)などの品名のモデルもあり、定義には曖昧さがある。inTEST Thermal Solutions社のサーモストリームのように熱風や冷風を試験対象物(EUT)に当てて急速に熱したり冷やしたりする温度耐圧の試験装置もあるが、この方式は恒温槽とは呼ばれない。
恒温槽メーカは国産ではエスペック、ETAC(楠本化成株式会社エタック事業部)、ヤマト科学、ナガノサイエンスなどがある。海外のDESPATCH(デスパッチ)社は国内での販売実績があるが、現在は国内に販売店が無く、使用しているユーザからの問い合わせが困難である(2022年現在)。環境試験で温湿度に並ぶのは振動試験で、国産のIMVやエミックが振動試験器(加振器など)をつくっている。