メモリハイコーダ
(memory hicorder)
日置電機のメモリレコーダの品名(商標名)。現在、計測器としての記録計(レコーダ)の主流であるメモリレコーダで同社は国内No.1。略称の「メモハイ」はレコーダの代名詞で、トップブランドといえる。
同社はミリオームハイテスタやクランプリークハイテスタ、Zハイテスタなど、品名にハイテスタ(英語表記:HiTester)と付くモデルが多い(最近は「ハイテスタ」は減ったと筆者は感じる)。同社製品のメモリハイコーダの英語表記はMemory HiCorderである。HiCorderやHiTesterを同社はブランドとしている。高性能な計測器を象徴するワードとして「ハイ」を冠していると思われる。
メモリハイコーダは電圧・電流・温度などの電気信号を高速サンプリング(最高200M S/sなど)で内蔵メモリに記録する。突発的な故障、電源の瞬停や瞬断、モータの突入電流などの現象を捉えるのに適している。受変電機器(キュービクル、メタクラ含む)の設置・保守などでは同社のメモハイとクランプは必需品である。
プリンタ機能は、ハンドヘルドなどの小型モデル(MR8870など)にはなく、印刷はPCにつないで処理する必要がある。より大型のモデルでは、本体にオプションのプリンタユニットを装着することで、波形データをその場でチャートに印刷できる。主力機種のMR8847Aの後継器MR8848が2025年6月に発売された(10年ぶりのリニューアル)。主な用途は発電所や鉄道などの社会の基盤となるインフラ設備の保全と、トラブルを未然に防ぐための異常解析としている。プレスリリースではオプションの組み込みプリンタで波形を印刷できることを特長の1つにあげている。データのデジタル化が進んでいるが、改ざん防止には紙に印刷して残すやり方は有効である。記録計の老舗である横河電機はレコーダのペーパーレス化を進めたが、同社のレコーダは計装用途(工業計器、FA分野)である。計測器のレコーダの本流となったメモリレコーダは印刷機能を継続しているモデルがある。
レコーダは計測器の中では歴史が長い。アナログ時代からのレコーダの主要メーカは横河電機(現横河計測)、三栄測器(現エー・アンド・デイ、商品名:オムニエース)、渡辺測器(現グラフテック、サーマルアレイコーダ)。日置電機は後発でレコーダに参入した。1983年発売のモデル8801以降に進化を続け、現在はMR88xxやMR6000など多くのラインアップがある(TechEyesOnlineの記事、「メモリレコーダの基礎と概要 (第3回)」にモデルの変遷が図解されている)。LCRメータは国産メーカが1980年頃に参入したが世界的なデファクトのhp(ヒューレット・パッカード、現キーサイト・テクノロジー)の牙城を崩せなかった。日置電機は後発で参入し、2000年以降にシェアを伸ばし、高周波のインピーダンスアナライザまでラインアップを広げ、2010年代には国内トップシェアになっている(2020年現在)。メモハイやLCRメータは同社の看板商品である。




.png)