計測関連用語集

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詳細説明

インステック ジャパン

読み方:

いんすてっくじゃぱん

カテゴリー:

#電圧・電流・電力測定器 #オシロスコープ #ネットワークアナライザ

(Instek Japan)
2003年~2014年に存在した、台湾のGOODWILL INSTRUMENT CO.,LTD.(通称Goodwill、グッドウィル)の日本法人(販売会社)。計測器のブランド(ロゴ)はGW Instek。正式会社名は「株式会社インステック ジャパン」。2003年以前にすでにグッドウィル ジャパンがあったが、元ケンウッドの計測器関係者がインステック ジャパンを立ち上げた。記録が残っていないので9年間の実態は不明。
GW Instek製品は2000年代初頭に日本に輸入されると、秋葉原の計測器ショップに陳列された。激安のオシロスコープアナログオシロスコープ時代からの老舗、日立電子(日立国際電気)や松下通信工業(パナソニックモバイルコミュニケーションズ)が計測器から撤退する遠因になった。それまで国内市場のミドルクラスのモデル(周波数帯域 150MHz~500MHz)として売れていた、横河電機(現横河計測)のDLシリーズ(DL1600、DL1700など)も売上を落とした。GW InstekやRIGOL(リゴル)という中華系オシロスコープの上陸による価格破壊は、国産計測器メーカの退場にとどまらず、テクトロニクスキーサイト・テクノロジーなどのオシロスコープのトップベンダーが安価なモデルをラインアップする契機となった。

インステック ジャパンは2007年に東京ビッグサイトで開催された計測器の展示会、計測展に出展している(それ以前の出展は不明)。当時の代表取締役 専務はGoodwillの鄧 宗輝(Tsung-Huei Teng)氏だが、社長は日本人で、日立電子の出身者もいた。営業部にパワーサプライグループがあり、当時からオシロスコープだけでなく直流電源にも注力していたことが伺える。翌2008年の「計測展 2008 OSAKA」では日本電計ブースに出展している。「周波数帯域 25MHz~100MHzのモデルが全オシロスコープの販売台数の50%と推定している」(電子計測グループのマネージャー)と、展示会場で筆者は聞いた。つまりオシロスコープのヴォリュームゾーンは350MHzや500MHzなどではなく100MHz以下であり、GW Instek製品はその周波数帯域でリーズナブルな価格のモデルを揃えている、という主張である。ちなみに当時の横河電機(現横河計測)の主力モデルはDL1600シリーズ(200MHz)、DL1700シリーズ(500MHz)で、1GHz帯域のDL9000シリーズが新製品だった。

Goodwillの資本が入り傘下となったテクシオ・テクノロジー(ブランド TEXIO)は2014年1月1日にインステック ジャパンを吸収し、以降は「日本でのGW Instekブランドのオシロスコープ、スペクトラムアナライザ(スペアナ)、直流電源、マルチメータなどの販売・修理・校正の事業はテクシオ・テクノロジーが継続した」(同社ホームページより)。
2018年のTECHNO-FRONTIERでテクシオ・テクノロジーはEMCプローブとスペアナの新製品を展示している。Goodwillは早くから高周波の計測器も開発していたことがわかる。2020年前半まではLCRメータや絶縁試験器など多くの新製品が発売されている。ただし2025年頃の同社はDC電源に再注力しているように筆者には見える。クロマやITEC(アイテック)などの台湾の電源メーカが回生電源などで国内の売上を伸ばす中、GoodwillとしてもDC電源で負けてはいられないということであろう。

GoodwillとRIGOLはほぼ同時期に輸入が始まったが、Goodwillがいち早く日本法人を設立し、さらに国産計測器メーカを傘下に収めた。ただし2025年現在、汎用オシロではRIGOLが日本で着実に売上を増やし、Goodwillは伸びていない。2021年に国産電源メーカの高砂製作所は通信計測器メーカのアンリツの子会社となった。高砂製作所が売りに出されたときRIGOLは買う意欲を示した。電源メーカの技術が欲しかったとされる。その意味ではGoodwillはトリオ(ケンウッド)に始まる老舗電源メーカのテクシオを手に入れている。
電源やオシロという基本計測器は中華系が躍進しているが、老舗国産メーカの健闘も続いている。RF計測器の老舗 ローデ・シュワルツが2010年にオシロスコープに参入し、シリーズを増やして売上を伸ばしたり、キーサイト・テクノロジーが計測器商社との連携を強めて、DC電源の販売を強化したり、国産メーカの前途は容易ではない。

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