VNA
Vector Network Analyzerの略記。ネットワークアナライザ(NA)の現在主流の略称。
ネットワークアナライザには従来、スカラー(※)型とベクトル型(VNA)があり、前者は下位モデルで安価、後者は上位で高額だった。最近はスカラー型が減り、ほとんどのNAがVNAになり、特別にいわないでもNAといえばVNAが多くなった。現在ではあえてVNAという必要性はないように思えるが、キーサイト・テクノロジーなどの計測器メーカは好んでVNAの表記を使っている(※※)。同社にはUSB計測器のStreamlineシリーズがあるが、VNAのラインアップが一番多い。2020年頃からnanoVNA なる計測器がamazonなどの通販で販売されている。約1万円でGHzオーダの測定ができる、カードサイズの小型・激安VNAである。ホビー向け電子工作の記事を満載している月刊誌、トランジスタ技術などにnanoVNAで実測した例が掲載されている。
(※) (scalar) 大きさのみを持つ量を指し、ベクトルに対比して使われる用語。ベクトルは大きさと向きを持っている物理量。圧力、加速度などの多くの自然界の計測量がベクトルである。特に電気信号はベクトルで表現される(電子回路理論では、数学の複素数を使った表記をされる)。VNAは大きさ(dB、デシベル)と向き(位相など)のベクトル量(実数部と虚数部の2つがある複素数)で測定できる。dBだけを測定する安価なモデルがスカラー型NAだった。昔のNAは高価な測定器だったが、技術革新によって安価なVNAが流通するようになった。
(※※) オシロスコープは1980年代にデジタル方式が開発され、従来モデルは「オシロスコープ」から「アナログオシロスコープ」に名称変更され、現在ではほとんど生産中止している。アナログモデルがなくなったのでわざわざ「デジタルオシロスコープ」といわずに「オシロスコープ」といわれることも多い。逆にいうと「オシロスコープといえばほぼデジタルオシロスコープ」を指している。NAはベクトルネットワークアナライザが主流になった現在でもあえてVNAという表記が多い。計測器は、進化の変遷(機種の歴史)を知らないと良くわからない、ニッチな世界である。なぜオシロスコープとネットワークアナライザの機種名称の表現方法が同じではないのか?正確に回答できる計測器のプロはなかなかいないと筆者は思う。




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